トップ
>
蝋燭
>
ろうそく
ふりがな文庫
“
蝋燭
(
ろうそく
)” の例文
百物語とは多勢の人が集まって、
蝋燭
(
ろうそく
)
を百本立てて置いて、一人が一つずつ
化物
(
ばけもの
)
の話をして、一本ずつ蝋燭を消して行くのだそうだ。
百物語
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
マロニエの花とはどれかと訊いて、街路樹の黒く茂った葉の中に、
蝋燭
(
ろうそく
)
を束ねて立てたような白いほの/″\とした花を指さゝれた。
巴里祭
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
それで、一般に町人の若い者たちは、心掛けの好いものは、
手鍵
(
てかぎ
)
、差し子、
草鞋
(
わらじ
)
、
長提灯
(
ながぢょうちん
)
に
蝋燭
(
ろうそく
)
を添えて
枕頭
(
まくらもと
)
に置いて寝たものです。
幕末維新懐古談:16 その頃の消防夫のことなど
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
蝋燭
(
ろうそく
)
の灯を置いて、卓上には一面の地図がひろげてあった。谷将軍を中心に、幕僚の顔がそれに集まって、小声に何か熟議していた。
日本名婦伝:谷干城夫人
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
蝋燭
(
ろうそく
)
は(夜食のまえに替えた)まだ充分にある。彼は乾し草の束をいいぐあいに直し、矢立から筆を抜いて、料紙をそこへひろげた。
日日平安
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
▼ もっと見る
その右手に持たせる恰好にし
蝋燭
(
ろうそく
)
を吹き消して——こいつはやり過ぎだったが、家持の町人はどんな場合でも火の用心は忘れない——
銭形平次捕物控:182 尼が紅
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
筆者に尻を向けて、ドッコイショと中央の通路向きに腰を
卸
(
おろ
)
した翁は、
袂
(
たもと
)
から一本の新しい日本
蝋燭
(
ろうそく
)
を出して、マッチで火を
点
(
つ
)
けた。
近世快人伝
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
燈火の方が実は見た目には美しく、また前の宵から飾っておいて祭を営むにも花々しかったので、紙や絵具や
蝋燭
(
ろうそく
)
が手に入りやすく
年中行事覚書
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
「まあとにかく、」とジョンドレットは言った、「いるかどうか見に行ったってさしつかえねえ。おい娘、
蝋燭
(
ろうそく
)
を持って見てきな。」
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
そこで白煙をあげて消えたが、パラフィン
蝋燭
(
ろうそく
)
を吹き消した後のような匂いがした。この火の玉であちらこちらに火事が起こった。
長崎の鐘
(新字新仮名)
/
永井隆
(著)
「
今朝
(
けさ
)
の出来事できっと非常に驚いただろうな?」と、監督はたずね、そう言いながら両手で、
蝋燭
(
ろうそく
)
とマッチ、本と針床といった
審判
(新字新仮名)
/
フランツ・カフカ
(著)
机の上には大理石の
屑
(
くず
)
、塩酸の
壜
(
びん
)
、コップなどが置いてあった。
蝋燭
(
ろうそく
)
の火も燃えていた。学士は手にしたコップをすこし
傾
(
かし
)
げて見せた。
岩石の間
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
(みづから
天幕
(
テント
)
の中より、
燭
(
とも
)
したる
蝋燭
(
ろうそく
)
を
取出
(
とりい
)
だし、
野中
(
のなか
)
に黒く立ちて、高く手に
翳
(
かざ
)
す。一の烏、三の烏は、二の烏の
裾
(
すそ
)
に
踞
(
しゃが
)
む。)
紅玉
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
ジャンナン夫人は、もう支度の時間ではないかと始終懐中時計を見ていたが、朝の四時ごろになると、
蝋燭
(
ろうそく
)
をともして起き上った。
ジャン・クリストフ:08 第六巻 アントアネット
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
さていづれの靈もかの圈の中、さきにそのありし處に歸れるとき、動かざることあたかも燭臺に立つ
蝋燭
(
ろうそく
)
の如くなりき 一三—一五
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
春照
(
しゅんしょう
)
の
高番
(
たかばん
)
という陣屋に、夜もすがら外には
篝
(
かがり
)
を焚かせ、内は白昼のように
蝋燭
(
ろうそく
)
を立てさせて、形勢穏かならぬ評議の席がありました。
大菩薩峠:36 新月の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
このようなことを言っているところへ、初やが
狐饅頭
(
きつねまんじゅう
)
を買って帰ってくる。小
提灯
(
ぢょうちん
)
を消すと、
蝋燭
(
ろうそく
)
から白い煙がふわふわと
揚
(
あが
)
る。
千鳥
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
夜っぴてよ、
蝋燭
(
ろうそく
)
でよ、銭勘定したり、横浜までゆくのに、旅費がなくって、
宿場
(
しゅくば
)
の
牛太郎
(
ぎゅうたろう
)
までしやがったことわすれてやがる。
旧聞日本橋:23 鉄くそぶとり(続旧聞日本橋・その二)
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
検視に来た役人たちはそこらの草の中に小さい
蝋燭
(
ろうそく
)
の燃えさしと、ほかに
印籠
(
いんろう
)
のようなものが落ちているのを見つけ出しました。
蜘蛛の夢
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
なるほど亜片だけになかなか捨て得ないとみえて、すぐ前の聖なる処女の御堂には
蝋燭
(
ろうそく
)
の灯が燃え、おまいりの善男善女ひきも切らない。
踊る地平線:01 踊る地平線
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
新所帯の仏壇とてもないので、仏の位牌は座敷の床の間へ飾って、白布をかけた小机の上に、
蝋燭
(
ろうそく
)
立てや香炉や花立てが供えられてある。
深川女房
(新字新仮名)
/
小栗風葉
(著)
一人の老人が私の前に
蝋燭
(
ろうそく
)
を持って立っている——しかし恐らく幻覚であろう——その老人を囲繞して宝石が無数に輝いている。
沙漠の古都
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
最後に丸い穴の
開
(
あ
)
いた反射鏡を出して、宗助に
蝋燭
(
ろうそく
)
を
点
(
つ
)
けてくれと云った。宗助は蝋燭を持たないので、清に
洋灯
(
ランプ
)
を
点
(
つ
)
けさした。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
その夢と云うのは、母が突然帰って来て、土産だと云って懐の中から
蝋燭
(
ろうそく
)
や線香を出した夢なのです。それが十本や二十本ではありません。
母の変死
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
そう言って、風間老看守は、
手燭
(
てしょく
)
の
蝋燭
(
ろうそく
)
に火をつけようとするのだが、手がふるえて火が消えるので、何度も何度もマッチをすりつづけた。
灯台鬼
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
蝋燭
(
ろうそく
)
がたった一本テーブルのうえに燃えて、おぼろげに彼女の顔を照らしているだけだったが、その気持の引き立たないことは見てとれた。
犬を連れた奥さん
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
「ボースン! こんなに暗くちゃ何もわからんじゃないか、
蝋燭
(
ろうそく
)
をつけて来い。五、六本!」と、チーフメートは一発放した。
海に生くる人々
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
さらにその夜は各学校
聯合
(
れんごう
)
の
提燈
(
ちょうちん
)
行列があり、私たちは提燈一箇と
蝋燭
(
ろうそく
)
三本を支給され、万歳、万歳と連呼しながら仙台市中を練り歩いた。
惜別
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
すなわち、死体もしくは被害の個所を、周囲に
蝋燭
(
ろうそく
)
を立てて照明すると、それで犯罪が、永久発覚しないという迷信が端緒だったのである。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
蝋燭
(
ろうそく
)
にホヤをはめた
燭台
(
しょくだい
)
や
手燭
(
てしょく
)
もあったが、これは明るさが不充分なばかりでなく、何となく一時の間に合せの燈火だというような気がする。
石油ランプ
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
「しかし
蝋燭
(
ろうそく
)
がなくてはどうもならんなア」とクレーヴンが不意に言った、「どうやら
暴模様
(
あれもよう
)
になって来たようだし、これでは暗くて読めん」
作男・ゴーの名誉
(新字新仮名)
/
ギルバート・キース・チェスタートン
(著)
それを直すのに一月近くも寝込んでしまいましたり、そうかと思えば小僧が仏壇のお花を棄てるのに誤って
蝋燭
(
ろうそく
)
立てを小指の先に突き刺して
蒲団
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
男は窓の
処
(
ところ
)
に行って、そこの
蔭
(
かげ
)
になっている処に立っている。
蝋燭
(
ろうそく
)
の光は男の足の所にちら付いているだけである。
暫
(
しばら
)
くして男が言い出した。
みれん
(新字新仮名)
/
アルツール・シュニッツレル
(著)
そして奥の間で「
些
(
ち
)
っと失礼します。」といって
蒲団
(
ふとん
)
を米の横へ持って出て来てから、楕円形の
提灯
(
ちょうちん
)
に火を
照
(
つ
)
けた。
蝋燭
(
ろうそく
)
は四
寸
(
すん
)
ほどもあった。
火
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
長くなり始めた夜もそのころにはようやく
白
(
しら
)
み始めて、
蝋燭
(
ろうそく
)
の黄色い
焔
(
ほのお
)
が光の
亡骸
(
なきがら
)
のように、ゆるぎもせずにともっていた。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
百目
蝋燭
(
ろうそく
)
を、ともしつらねた
灯光
(
ひかげ
)
が、金屏風に、
度強
(
どぎつ
)
く照り映えるのも、この土地なれば、浅間しからずふさわしく見える。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
何枚も画を懸けた部屋の中に紅毛人の
男女
(
なんにょ
)
が二人テエブルを中に話している。
蝋燭
(
ろうそく
)
の光の落ちたテエブルの上には
酒杯
(
さかずき
)
やギタアや
薔薇
(
ばら
)
の花など。
誘惑
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
お
禮
(
れい
)
も
何
(
なに
)
といひかぬるを、よう
似合
(
にあふ
)
のうと
笑
(
わら
)
ひながら、
雪灯
(
ぼんぼり
)
手
(
て
)
にして
立出
(
たちいで
)
給
(
たま
)
へば、
蝋燭
(
ろうそく
)
いつか三
分
(
ぶん
)
の一ほどに
成
(
な
)
りて、
軒端
(
のきば
)
に
高
(
たか
)
し
木
(
こ
)
がらしの
風
(
かぜ
)
。
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
鳥屋で半月もいたことがあるとすれば、鳥屋は注意してあの嘴を
蝋燭
(
ろうそく
)
ででも焼いてやるよ、あんまり延びすぎているものね
オカアサン
(新字新仮名)
/
佐藤春夫
(著)
それが星とも天の花とも見えるのだろう。……それとも天魔が青い底から
蝋燭
(
ろうそく
)
を
点
(
とも
)
して下界を
窺
(
うかが
)
っているのかも知れない。
捕われ人
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
彼はそっと起き上って
蝋燭
(
ろうそく
)
をつけた。真直ぐに立上っていく焔を
凝視
(
みつめ
)
ているうちに、彼の眼の前に、大きな部屋が現れた。
橋
(新字新仮名)
/
池谷信三郎
(著)
そして
蚊帳
(
かや
)
が
一張
(
ひとはり
)
しかなかったので、夜おそくまで、
蝋燭
(
ろうそく
)
の火で壁や
襖
(
ふすま
)
の蚊を焼き焼きしていた。そんなことをして、夜を明かすこともあった。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
ふいにあざやかな光線が彼の部屋をぱっと照らした——ナスターシャが
蝋燭
(
ろうそく
)
とスープの皿を持ってはいって来たのである。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
すると、かれは、だまって、前にある一本の
燭台
(
しょくだい
)
をひきよせ、右手の指を、いきなり、
蝋燭
(
ろうそく
)
の炎の中につきさしました。
ジェンナー伝
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
夕方に商人が出る時分に「おはよ/\」の
蝋燭
(
ろうそく
)
屋の歌公というのが、
薩摩
(
さつま
)
蝋燭を大道商人に売り歩いて、
一廉
(
ひとかど
)
の
儲
(
もうけ
)
があった位だということでした。
江戸か東京か
(新字新仮名)
/
淡島寒月
(著)
小屋のなかへはいると、四人の一行はすぐ
背嚢
(
ルックザック
)
をおろし、うす暗い
蝋燭
(
ろうそく
)
の光をたよりに、探鉱や分析試験のこまごました器械を組み立てはじめた。
キャラコさん:04 女の手
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
与一は二寸ばかりの黄色い
蝋燭
(
ろうそく
)
を
釘
(
くぎ
)
箱の中から探し出すと、灯をつけて台所のある
部屋
(
へや
)
の方へ
疳性
(
かんしょう
)
らしく歩いて行った。
清貧の書
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
そうなれば帆村も一彦もくろこげになって死ぬというのですから、二人の命は、もはや風の前の
蝋燭
(
ろうそく
)
とおなじことです。
怪塔王
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
実家に帰っているという柳吉の妻が、肺で死んだという
噂
(
うわさ
)
を聴くと、蝶子はこっそり法善寺の「
縁結
(
えんむす
)
び」に
詣
(
まい
)
って
蝋燭
(
ろうそく
)
など思い切った寄進をした。
夫婦善哉
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
図265は
蝋燭
(
ろうそく
)
屋の看板で、黒地に蝋燭が白く浮き出ている。図266は大きな六角形の箱に似たもので、その底から黒い頭髪が垂れ下っている。
日本その日その日:03 日本その日その日
(新字新仮名)
/
エドワード・シルヴェスター・モース
(著)
“蝋燭(ろうそく)”の解説
ろうそく(漢字表記:蝋燭あるいは蠟燭「蝋燭」は簡易慣用字体で、正字は「蠟燭」、en: candle キャンドル)は、綿糸などの糸あるいはイグサ(灯芯草)をにして、その周囲に円柱状に蝋(ろう)を固めて成型した灯火用具。ロウソク、ローソクとも。
(出典:Wikipedia)
蝋
漢検準1級
部首:⾍
14画
燭
漢検準1級
部首:⽕
17画
“蝋燭”で始まる語句
蝋燭屋
蝋燭立
蝋燭代
蝋燭火
蝋燭位
蝋燭台
蝋燭岩
蝋燭持
蝋燭焼
蝋燭瘡