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篤
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とく
ふりがな文庫
“
篤
(
とく
)” の例文
篤
(
とく
)
と見ているうちにいよいよ不快の色で満たされて、この時はさすがにこの人も、その
憤懣
(
ふんまん
)
を隠すことができないらしくありました。
大菩薩峠:16 道庵と鯔八の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
……とはいえ客人は小さいと仰せられ、それがしは大きいという。いずれが
是
(
ぜ
)
やら、いずれが非やら、
篤
(
とく
)
と、見ていただきとう存ずる
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
〈月蝕の宵〉は九月に入ってかかりまして出品間際にやっと出来上りましたばかりで
篤
(
とく
)
と見ている間もないくらいでありました。
寛政時代の娘納涼風俗
(新字新仮名)
/
上村松園
(著)
だが立ち話ではどうにもならぬから、上がって頂いて
篤
(
とく
)
と相談してあげたいのだけれど、京に用事があって今から出かけるところである。
みやこ鳥
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
拙者このたび、殿の御
参覲
(
さんきん
)
に江戸表へ御供を仰付かりました。ついては一年の在番中お笛をお預けいたしますゆえ、お
手許
(
てもと
)
にて
篤
(
とく
)
と性質を
嫁取り二代記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
▼ もっと見る
いかなる点を
篤
(
とく
)
と国民に了解して貰うのかというに、一つは我々の投ずる一票が一票としては甚だ無力のように見えるけれども
憲政の本義を説いてその有終の美を済すの途を論ず
(新字新仮名)
/
吉野作造
(著)
「こりや何うしたもんだ………何うも頭が
變
(
へん
)
てこりんだぞ。何をびくついてゐるんだ。まア、落着け!………そして
篤
(
とく
)
と考へて見るんだ。」
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
顯
(
あら
)
はさんと思はれ一度の吟味もなく
直
(
すぐ
)
に麹町名主矢部與兵衞へ
内通
(
ないつう
)
有つて村井長庵が
在宿
(
ざいしゆく
)
を
篤
(
とく
)
と見屆させ置召捕方の與力同心を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
篤
(
とく
)
と御相談くださるように、昨夜わざわざ戻してあげましたに、いま以て何の御相談もないというは、こちらの志を無にしたような致され方
半七捕物帳:07 奥女中
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
一見してこれは容易ならぬものだと、非常に
驚愕
(
きょうがく
)
に打たれたのであります。と申しますのは、……どうか皆さんも、
篤
(
とく
)
とこの函を御覧願います。
ウニデス潮流の彼方
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
篤
(
とく
)
と私の志を述べて、暫く命を
存
(
なが
)
らえて、己になり代って
家
(
うち
)
のお
母
(
っかア
)
に孝行をして呉れるようにくれ/″\も
後々
(
あと/\
)
の事を頼む
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
篤
(
とく
)
とこの大黒を拝もうと心掛けて滞在して米屋旅館に、岩田梅とて芳紀二十三歳の丸ぼちゃクルクル
猫目
(
ねこめ
)
の仲居頭あり。
十二支考:11 鼠に関する民俗と信念
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
殉死は国家の御
制禁
(
せいきん
)
なる事、
篤
(
とく
)
と承知候えども壮年の頃相役を討ちし某が死遅れ候
迄
(
まで
)
なれば、御
咎
(
とがめ
)
も無之かと存じ候。
興津弥五右衛門の遺書(初稿)
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
さて破笠子はおのれが歌舞伎座作者部屋に入り芝居道実地の修業したき心底
篤
(
とく
)
と聞取りし後
倶
(
とも
)
に出でて福地家に至り勝手口より上りてやや暫くわれを
書かでもの記
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
「まあさ、しまいまで御聞きなさい。——それで、ともかくも本人に逢って
篤
(
とく
)
と
了簡
(
りょうけん
)
を聞いた上にしようと云うところまでに
漕
(
こ
)
ぎつけて来たのです」
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
風「常談は措いて、いづれ四五日
内
(
うち
)
に
篤
(
とく
)
と話を付けるから、今日のところは、久しぶりで会つた僕等の顔を立てて、何も言はずに帰つてくれ給へな」
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
当然のことにして、又その家の貧富貴賤、その人の才不才徳不徳、その身の強弱、その容貌の醜美に至るまで、
篤
(
とく
)
と吟味するは
都
(
すべ
)
て結婚の約束前に在り。
女大学評論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
... 知らぬから
未
(
ま
)
だ合点が行かぬと云う丈の事」判事は目科の横鎗にて再び幾分の
危
(
あやぶ
)
む念を浮べし如く「今夜
早速
(
さっそく
)
牢屋へ行き
篤
(
とく
)
と藻西太郎に
問糺
(
といたゞ
)
して見よう」
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
お兄様はお
厭
(
いや
)
だろうと思いますのに、次兄はそれでも気軽にお兄様の御用をあちこちなさるので、「
篤
(
とく
)
、篤」といって、御機嫌は悪くもありませんかった。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
なにゆえにおのれはこのことにつき、かく熱するかを
篤
(
とく
)
と攻究したいのである。
凝
(
こ
)
っては思案に
能
(
あた
)
わずと、
古人
(
こじん
)
も教えている。
凝
(
こ
)
るとは熱するの
謂
(
いい
)
である。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
……御依頼により埋葬
仕
(
つかまつ
)
……と小生とかの蕗屋の三人のみに
有之
(
これあり
)
……右につき
篤
(
とく
)
と御談合
申上度
(
もうしあげたく
)
……
郷表
(
ごうおもて
)
(一二字分不明)六三
中村
(
なかむら
)
……御一読の上は必ず火中……
一寸法師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
この頃の
家内
(
かない
)
の
動静
(
ようす
)
を詳く叔父の耳へ入れて父親の口から
篤
(
とく
)
とお勢に云い聞かせる、という一策で有る。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
「先日申し入れました尾州中納言家御用金一万両、用人大橋要人改めて頂きにまかり出ましてご座る。これは留守居役山澄淡路守殿の書面、
篤
(
とく
)
と御被見下さるよう」
銭形平次捕物控:227 怪盗系図
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
そこで僕は承諾するともしないとも言わないでマアともかくも二、三日待ってくれろ、
篤
(
とく
)
と勘考した上で返事をしようといっておいた。中川君、どうしたものだろうね
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
それを
篤
(
とく
)
と御勘考のうえ、ここはひとまず思いとまられて、お返しください。おかえしください!
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
ゆえに法王殿下には
篤
(
とく
)
とこの事を御考慮遊ばされて、私の真実なる願いを
容
(
い
)
れられん事を
希
(
こいねが
)
う。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
「玉目三郎どのは、な——」と彼は云った、「おてまえの夫でござろう、われらを裏切るような人物ではありません、そのことは、殿よりも
篤
(
とく
)
とおはなしがあった
筈
(
はず
)
じゃが」
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
仕方がないから記者は暫く沈黙して、その間に
篤
(
とく
)
と先生の身なりを拝見することにした。
蘿洞先生
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
きょうは手術を受けますから、
死骸
(
しがい
)
になって手術室から出て来る所をよっく御覧なさってあなたの愛子に知らせて喜ばしてやってくださいましよ。死にに行く前に
篤
(
とく
)
とお礼を申します。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
「だれもお前に無理強いはしねえ。
篤
(
とく
)
と
考
(
かんげ
)
えろよ。己たちぁ一人だってお前をせき立てはしねえつもりだ、兄弟。お前と一緒にいると愉快で時のたつのがわからねえくれえだからなあ。」
宝島:02 宝島
(新字新仮名)
/
ロバート・ルイス・スティーブンソン
(著)
……そこでと、藪殿いかがでござる、せっかく貴殿も心にかけ
大鵬
(
たいほう
)
の行方を追って来たことじゃ、これから二人でビショット氏を訪ね、大鵬すなわち飛行機なるものを
篤
(
とく
)
とご覧になられては。
大鵬のゆくえ
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
しかしのう、ゴンゴラ大将。それについて、余は、
篤
(
とく
)
と貴公と打合わせを
独本土上陸作戦:――金博士シリーズ・3――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
それでは私が後で
篤
(
とく
)
りと申し聞こしまして、御返事を致しませう程にと、躰よくその場を済ましくれたれば、君子はほツと一息して、我が部屋へ退きたりしが、背後につきてはや母親は入来りつ
当世二人娘
(新字旧仮名)
/
清水紫琴
(著)
そんなのは
篤
(
とく
)
と
産土神様
(
うぶすなのかみさま
)
に
伺
(
うかが
)
いまして、
差支
(
さしつかえ
)
のないものにはできる
丈
(
だけ
)
話
(
はなし
)
が
纏
(
まと
)
まるように
骨
(
ほね
)
を
折
(
お
)
ってやりますが、ひょっとすると、
妻子
(
さいし
)
のある
男
(
おとこ
)
と一
緒
(
しょ
)
になりたいとか、
又
(
また
)
人妻
(
ひとづま
)
と
添
(
そ
)
はしてくれとか
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
全く知らなかったし、また私は生れてからまだ、南アフリカなんて云うところには、行ったこともありませんよ。おせっかい屋のホームズさん、
篤
(
とく
)
とお考えなさって、冗談も休み休み仰有って下さい
自転車嬢の危難
(新字新仮名)
/
アーサー・コナン・ドイル
(著)
「実はそのことで、昨日は
篤
(
とく
)
と大巻にも相談したんですが、ちょうど工合よく川っぷちに空家がありましたので、そこを借りたらということになりました。古い百姓家ですが、相当広いうちです。」
次郎物語:03 第三部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
私は
篤
(
とく
)
と母の説明を考へ合せ、かう
申升
(
まうしまし
)
た。
黄金機会
(新字旧仮名)
/
若松賤子
(著)
お銀様が
篤
(
とく
)
とそれを見直すと、それは、ボロボロの風呂敷包にくるんであるとはいえ、中で、生きて動く気色がむくむくと見えました。
大菩薩峠:35 胆吹の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「もしまた、真の悪党だったら、どんなにでもなさるがいい。だが一応は、私に
篤
(
とく
)
とその人間を見させて下さらんか。私が
糺
(
ただ
)
してみる」
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
調
(
しら
)
べ申さんと有ゆゑ主税之助答へて
篤
(
とく
)
と
念入
(
ねんいれ
)
調
(
しらべ
)
らるべしと主税之助主從十人と
數
(
かぞ
)
へてぞ通しける主税之助は越前守の主從を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
一応先生に承わって当人へ
篤
(
とく
)
と意見を申し聞かせまする了簡で罷り出ました、えい友之助の悪い
廉
(
かど
)
は
私
(
わたくし
)
当人になり代りましてお詫を致しますが
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
左衛門大夫業政は武田勢の必至の軍配を察し適宜に兵をおさめて
籠城
(
ろうじょう
)
対陣の策をとるものとみえる。……晴信は物見から
篤
(
とく
)
とこのようすを見やって
一人ならじ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
どうぞ、
篤
(
とく
)
と御覧を願います。表面に
鋳出
(
ちゅうしゅつ
)
されております花冠を戴いた像は、ユリウス・ケーザルではありませぬ。
ウニデス潮流の彼方
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
「もし不都合があったら、私から
篤
(
とく
)
と云って聞かせるから、遠慮しないで、何でも話しておくれ。御互のなかで
気不味
(
きまず
)
い事があっちゃあ面白くないから」
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
惹起
(
じゃっき
)
する任務は普通の学究にては出来にくかるべしと思へばこそ貴兄へ懇請仕候ひしかと存候小生は本月末か来月早々上京のつもりに候故その時
篤
(
とく
)
と御話申上ぐべく候
書かでもの記
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
「比良野様の御意見は
御尤
(
ごもっとも
)
と存じます。度々の不始末で、もうこの上何と申し聞けようもございません。いずれ
篤
(
とく
)
と考えました上で、改めてこちらから申し上げましょう」
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
篤
(
とく
)
と調べては見たいけれど、神経の静かならぬ此の様な時に調べたとて我と我が心に欺かれる計りだから少し早過ぎるけれど外へ出て、充分に運動して其の上の事よと思い
幽霊塔
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
その真っ昼間の往来で、いつまでも飴売りのあとを付け廻しているわけにも行かないので、半七はその人相を
篤
(
とく
)
と見定めただけで、ひと先ずそこを立ち去るのほかは無かった。
半七捕物帳:54 唐人飴
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「
篤
(
とく
)
と御配慮を願います。
私奴
(
わたくしめ
)
が御預かり申上げましたのは、確かにこの小菊となまくら」
銭形平次捕物控:035 傀儡名臣
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
男一
匹
(
ぴき
)
と
誇
(
ほこ
)
るものはものごとの利害、曲直について
篤
(
とく
)
と
思慮
(
しりょ
)
する要素を備えねばならぬ。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
篤
常用漢字
中学
部首:⽵
16画
“篤”を含む語句
危篤
懇篤
篤志
武者小路実篤
篤行
篤介
正篤
篤次郎
篤実
篤胤
篤志家
平田篤胤
手篤
篤学
御危篤
温厚篤実
篤信
篤麿
実篤
篤疾
...