看護かんご)” の例文
看護かんごひとつかれぬ、雪子ゆきこよわりぬ、きのふも植村うゑむらひしとひ、今日けふ植村うゑむらひたりとふ、かはひとへだてゝ姿すがたるばかり
うつせみ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
読者中病身の細君さいくんを親切に看護かんごする者あれば、これをめる者があると同時に、彼奴きゃつかかあのろいと批評された経験もあろう。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
おどしだに山間さんかんから、かわるがわるに手車てぐるまんで竹童ちくどうを助けだしてきた少女たちは、その松原の横へはいって、しきりと彼を看護かんごしていた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「おうバクスター、心配することはないよ、ここはぼくら四人で十分だから、きみは幼年たちを看護かんごしてくれたまえ」
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
月日つきひはやくもたって、すでにたび結婚けっこんをしてから、十ねんあまりにもなりました。すると、おっとはあるとき、病気びょうきにかかりました。彼女かのじょは、よく看護かんごをいたしました。
ちょうと三つの石 (新字新仮名) / 小川未明(著)
僕は、病床びやうしようして看護かんごしてれる、やさしい女性ぢよせいも知らないでさびしい臨終りんじゆうげるんだ!
虚弱 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
でもセン・ヴェンサン・ド・ポールのあまさんがするように、親切にしかも規則きそく正しく看護かんごしてくれて、けっしてかんしゃく一つ起こさないし、なに一つ手落ちなしにしてくれた。
「それがようござる。およばずながら愚老ぐろう看護かんごして以上いじょう手落ておちはいたさぬかんがえじゃ」
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
腸窒扶斯ちょうチフスかかりたるとき、先生、とくまげられ、枕辺まくらべにて厚く家人に看護かんご心得こころえさとされ、その上、予がみずからきたる精米せいまいあり、これは極古米ごくこまいにして味軽く滋養じようも多ければ
ほんの一二枚の著替きがえしかもっていなかったところから、病気が長引くとみて、必要なものだけひとかばん東京の宅から送らせて、当分この町に滞在するつもりであったが、あによめ看護かんごに行っていて
挿話 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
先生せんせい奥樣おくさまと、夜晝よるひる病床ベツドそばはなれませんでした。そしてくだいて看護かんごをなされました。先生せんせいは「自分じぶんにかはれるものならばよろこんでかはつてやりたい」と沁々しみ/″\、そのとき、わたしにはれました。
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
ものぐるひを看護かんごしておもはればれとしてゐるをんなと相見つるかも
つゆじも (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
あにのいなくなったあとは、かよわいおんなながら、いもうとは、はたらいて、よく父親ちちおや看護かんごをしていました。
赤土へくる子供たち (新字新仮名) / 小川未明(著)
この夜は終夜まくらもとにつきそうて看護かんごした。ドノバンはやっぱり昏睡状態こんすいじょうたいである。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
そのたんびにこの子を生かしたものは母親の看護かんごの力であった。
かゝらではもどらるゝことかはさるにても此病人このびやうにんのうへにこの生計くらしみぎひだりもおひとつにりかゝるよしさまが御心配ごしんぱいさぞなるべし尋常つねなみならば御兩親ごりやうしん見取みと看護かんごもすべき餘所よそ見聞みきくるしさよとかへなみだむねみてさしのぞかんとする二枚戸にまいど
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
そのから、急激きゅうげきねつたかくなって、医者いしゃにもかかったけれど、ついに悪性あくせい肺炎はいえんこし、近所きんじょ人々ひとびと看護かんごをしてくれたかいもなく、とうとう、んでしまいました。
万の死 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「グロース、ウエップ、ガーネットの三君は、ドノバン君を看護かんごして、ここにかくれていたまえ。わたしは富士男、ゴルドン、サービス、イルコックの四君とともに敵を撃退げきたいしよう」
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
ここは、病院びょういんの一しつでありました。そこには、五つになるおとこが、ろっこつカリエスにて、もうながらく入院にゅういんしていました。その看護かんごには、しんのおかあさんが、あたりました。
雲と子守歌 (新字新仮名) / 小川未明(著)