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生々
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いきいき
ふりがな文庫
“
生々
(
いきいき
)” の例文
そして自分が水を
与
(
や
)
ったので庭の草木の勢いが善くなって
生々
(
いきいき
)
として来る様子を見ると、また
明日
(
あした
)
も
水撒
(
みずまき
)
をしてやろうとおもうのさ。
太郎坊
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
お綾の皮膚の色は、
羽二重
(
はぶたえ
)
に
紅珊瑚
(
べにさんご
)
を包んだようで、
生々
(
いきいき
)
した血色と、真珠色の光沢の上に、銀色の
白粉
(
おしろい
)
を叩いたかと思われました。
奇談クラブ〔戦後版〕:04 枕の妖異
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
ホームズと私とは、朝の新鮮な空気を吸いこみ、小鳥の音楽、四月の春の
生々
(
いきいき
)
とした
黄韻
(
こういん
)
を享楽しながら、砂の多い広い道を進んだ。
自転車嬢の危難
(新字新仮名)
/
アーサー・コナン・ドイル
(著)
珍らしくその頬に
生々
(
いきいき
)
とした血が流れた。おしげはがっくりと卓子によりかかっていたが、小首をかしげてから、杯をとりあげた。
死の前後
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
それから、肩に近いところには、絞首台とそれにぶら下っている男とのスケッチがあり、なかなか
生々
(
いきいき
)
と出来ていると私は思った。
宝島:02 宝島
(新字新仮名)
/
ロバート・ルイス・スティーブンソン
(著)
▼ もっと見る
と
快川和尚
(
かいせんおしょう
)
が、
幼心
(
おさなごころ
)
へうちこんでおいた教えの力が、そのとき、かれの胸に
生々
(
いきいき
)
とよみがえった。にっこりと笑って、涙をふいた。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「あの
竹藪
(
たけやぶ
)
は大変みごとだね。何だか
死人
(
しびと
)
の
膏
(
あぶら
)
が
肥料
(
こやし
)
になって、ああ
生々
(
いきいき
)
延びるような気がするじゃないか。ここにできる
筍
(
たけのこ
)
はきっと
旨
(
うま
)
いよ」
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ひる近くまで、ぐったりと寝台の中に沈んでいて、夕方になると、急に
生々
(
いきいき
)
して男のお友達を大勢誘って遊びに出かける。
キャラコさん:08 月光曲
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
というのは、どっちへ目を向けても、
生々
(
いきいき
)
とした、緑色のものが芽を吹いていて、今にも夏を迎えようとしていたから。
ワンダ・ブック――少年・少女のために――
(新字新仮名)
/
ナサニエル・ホーソーン
(著)
しかし七年間の小諸生活は私に取って一生忘れることの出来ないものだ。今でも私は
千曲川
(
ちくまがわ
)
の川上から川下までを
生々
(
いきいき
)
と眼の前に見ることが出来る。
千曲川のスケッチ
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
然るに歌麿はまづ
橢円形
(
だえんけい
)
の顔を作り
出
(
いだ
)
してその形式的なる
面貌
(
めんぼう
)
の
中
(
うち
)
にも往々
生々
(
いきいき
)
したる精神を
挿入
(
そうにゅう
)
し得たるは従来の浮世絵画中かつて見ざる所なり。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
そうしたすがすがしい眺めと
薫
(
かお
)
りとをこの子はどんなに
貪
(
むさぼ
)
り吸ったことか。父とまた初めて旅するこの子の瞳はどんなに黒く
生々
(
いきいき
)
と燃えていたことか。
木曾川
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
帆村の眼は、久しぶりに
生々
(
いきいき
)
と輝いた。彼はこの自記地震計をもって、かのとんとんとんととんという不整な地響のする地点を探しあてるつもりだった。
東京要塞
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
まだ
生々
(
いきいき
)
としている小さな
金壺眼
(
かなつぼまなこ
)
は、まるで
二十日鼠
(
はつかねずみ
)
が暗い穴から
尖
(
とん
)
がった
鼻面
(
はな
)
を突き出して、耳を
欹
(
そばだ
)
てたり、髭をピクピク動かしながら、どこかに猫か
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
智恵子は、信吾が帰つてからの静子の、常になく
生々
(
いきいき
)
と
噪
(
はしや
)
いでゐることを感じた。そして、それが何かしら物足らぬ様な
情緒
(
こころもち
)
を起させた。自分にも兄がある。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
ありふれた好みとは異っている
女
(
ひと
)
が、芸にうちこんだ
生々
(
いきいき
)
しさで、立った老女の方へ眼をくばっている——
大橋須磨子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
私は、長靴の伊太利から、明るい春の煙りが、カラカラ浴場跡の雑草のように、
生々
(
いきいき
)
と沸き上るのを見た。
踊る地平線:10 長靴の春
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
するとその
拍子
(
ひょうし
)
に、さっき大学の中で見かけた女の眼が、
何故
(
なぜ
)
か一瞬間
生々
(
いきいき
)
と彼の記憶に浮んで来た。
路上
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
一人は
艶々
(
つやつや
)
と栗色の髪を束ね、一人は長く編んだ髪を背中に下げて、二人とも活発で、身ぎれいで、肥って、
生々
(
いきいき
)
として、丈夫そうで、見る目も心地よいほどだった。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
彼女の顏色は例によつて
生々
(
いきいき
)
と、或ひはテラ/\と茶褐色に飽く迄光り輝き、短い袖からは鬼をもひしぎさうな赤銅色の太い腕が逞しく出てをり、圓柱の如き脚の下で
環礁:――ミクロネシヤ巡島記抄――
(旧字旧仮名)
/
中島敦
(著)
……その時に限って、お顔のいろも、御様子も、
生々
(
いきいき
)
として、さも喜ばしそうでござります。
レモンの花の咲く丘へ
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
袂
(
たもと
)
が中に、袖口をすんなり、白羽二重の裏が
生々
(
いきいき
)
と、女の
膚
(
はだ
)
を包んだようで、
被
(
き
)
た人がらも思われる、裏が通って、
揚羽
(
あげは
)
の蝶の紋がちらちらと羽を動かすように見えました。
唄立山心中一曲
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「我ぬ取り着きていひし子なはも」の句は、現実に見るような
生々
(
いきいき
)
したところがあっていい。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
黒潮に洗われるこの浦の波の色は濃く
紺青
(
こんじょう
)
を染め出して、夕日にかがやく白帆と共に、強い
生々
(
いきいき
)
とした眺めである。これは美しいが、夜の
欸乃
(
あいだい
)
は侘しい。訳もなしに身に沁む。
嵐
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
血の気が上ったようなこの花の
生々
(
いきいき
)
しさに、私、
妬
(
ねた
)
みを感じたのでしたわ、ところが叔父さま、まあ不思議な事には、今にも開きそうなこの蕾が、五日たっても十日たっても
潜航艇「鷹の城」
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
この
種々
(
いろいろ
)
な物を彫刻家が刻んだ時は、この
種々
(
いろいろ
)
な物が作者の
生々
(
いきいき
)
した
心持
(
こころもち
)
の
中
(
うち
)
から生れて来て、譬えば海から
上
(
あが
)
った
魚
(
うお
)
が網に包まれるように、芸術の形式に包まれた物であろう。
痴人と死と
(新字新仮名)
/
フーゴー・フォン・ホーフマンスタール
(著)
幽霊は純白の長衣を身に着けていた。そして、その腰の周りには光沢のある帯を締めていたが、その光沢は実に美しいものであった。幽霊は手に
生々
(
いきいき
)
した緑色の柊の一枝を持っていた。
クリスマス・カロル
(新字新仮名)
/
チャールズ・ディケンズ
(著)
シムソンがこう云った時に、机の上の電話器がコツコツジージーという
微
(
かす
)
かな変な音を立てました。道雄少年は急に
生々
(
いきいき
)
とした顔になって、受話器に手をかけて、取上げようとしました。
計略二重戦:少年密偵
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
芳町
(
よしちょう
)
と
蔵前
(
くらまえ
)
に
別
(
わか
)
れ
別
(
わか
)
れに
住
(
す
)
むようになったばかりに、いつか
会
(
あ
)
って
語
(
かた
)
る
日
(
ひ
)
もなく二
年
(
ねん
)
は三
年
(
ねん
)
三
年
(
ねん
)
は五
年
(
ねん
)
と、
速
(
はや
)
くも
月日
(
つきひ
)
は
流
(
なが
)
れ
流
(
なが
)
れて、
辻番付
(
つじばんづけ
)
の
組合
(
くみあわ
)
せに、
振袖姿
(
ふりそですがた
)
の
生々
(
いきいき
)
しさは
見
(
み
)
るにしても
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
生々
(
いきいき
)
として居た甘藷の蔓は、唯一夜に正しく
湯煎
(
うで
)
られた様に
凋
(
しお
)
れて、明くる日は最早真黒になり、
触
(
さわ
)
ればぼろ/\の
粉
(
こな
)
になる。シャンとして居た
里芋
(
さといも
)
の
茎
(
くき
)
も、ぐっちゃりと腐った様になる。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
あたりのいかにも充ち足りたような、
懶
(
ものう
)
い位の、
和
(
なご
)
やかさが、反ってそういう悲しみの多い人のお気の毒な身の上を、その一々の悲しみをまで、残酷なほど鮮かに、
生々
(
いきいき
)
と私に描かせていた……
ほととぎす
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
気候
(
きこう
)
さえあたり前だったら今年は僕はきっといままでの旱魃の
損害
(
そんがい
)
を
恢復
(
かいふく
)
してみせる。そして
来年
(
らいねん
)
からはもううちの
経済
(
けいざい
)
も楽にするし長根ぜんたいまできっと
生々
(
いきいき
)
した
愉快
(
ゆかい
)
なものにしてみせる。
或る農学生の日誌
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
なるほど、自然の色を持った若葦の浅緑の
生々
(
いきいき
)
した葉裏などにその夏虫のとまっている所は、いかにもおもしろい。
異
(
おつ
)
でもあり、妙でもあって、とても、市中の
玩具屋
(
おもちゃや
)
を探して歩いてもある品でない。
幕末維新懐古談:41 蘆の葉のおもちゃのはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
黒目勝ちな
凉
(
すず
)
しい瞳、薔薇のように
生々
(
いきいき
)
した頬、そしてつややかな髪が、ふさふさときゃしゃなえり元までたれていました。で、この少年と犬と牛乳車をモデルにする画家が、たくさん出て来ました。
フランダースの犬
(新字新仮名)
/
マリー・ルイーズ・ド・ラ・ラメー
(著)
何か
生々
(
いきいき
)
としたものがそのものごしに甦ってきたのであった。
和紙
(新字新仮名)
/
東野辺薫
(著)
生々
(
いきいき
)
した、豊かな美しさを見て楽むが好い。345
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
かく見てその
生々
(
いきいき
)
した発表たるを知るのである。
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
生活が急に
生々
(
いきいき
)
となって来たのである。
貞操問答
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
大尉の頬は、
生々
(
いきいき
)
と赤くかがやいた。
昭和遊撃隊
(新字新仮名)
/
平田晋策
(著)
そう云われた僕にも実は余り
頻繁
(
ひんぱん
)
な経験ではなかった。新らしい気分に誘われた二人の会話は
平生
(
ふだん
)
よりは
生々
(
いきいき
)
していた。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
別にいい女ではないが、
円顔
(
まるがお
)
の非常に色の白いことと、眼のぱっちりして、目に立つほど
睫毛
(
まつげ
)
の濃く長いことが、全体の顔立を
生々
(
いきいき
)
と引立たせている。
ひかげの花
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
細君は血の気を失い、蝋のような顔をして、眼にためてる涙だけが
生々
(
いきいき
)
と輝いていた。島村は電話口へいった。
死の前後
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
彼はどことなく前より
生々
(
いきいき
)
してきて、性格までがあたかも心に一定の目的を懐ける人のように強固になった。
外套
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
「本艦は、本日を以て、
米国加州沿岸
(
べいこくかしゅうえんがん
)
に接近することができたのである」艦長の頬は
生々
(
いきいき
)
と
紅潮
(
こうちょう
)
していた。
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
前の
夜
(
よ
)
、あまり
生々
(
いきいき
)
したグループのなかで、
何時
(
いつ
)
までもいつまでも話しこんでいたあたしは、あんまり
異
(
ちが
)
った仲間のなかにいて、たしかに戸まどいもしているのだった。
遠藤(岩野)清子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
私はそれを聞くと同時に、
未
(
いまだ
)
に自分にもわからない、不思議に
生々
(
いきいき
)
した心もちになった。生々した? もし月の光が明いと云うのなら、それも生々した心もちであろう。
袈裟と盛遠
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「閣下、一日休みを下さいませ。」ブーシャール嬢は背が高く
生々
(
いきいき
)
とした姿でこの上もなくかわいい
薔薇色
(
ばらいろ
)
の顔つきをしていた。大司教のケラン氏はほほえんで言った。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
種々
(
さまざま
)
な文化の新様相も、決してそれは信長の創意したものでもなし、彼の構想でもなかった——にも
関
(
かか
)
わらず、
生々
(
いきいき
)
として、
悉
(
ことごと
)
く新しい、悉く脱皮している、旧臭旧態は
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼女の顔色は例によって
生々
(
いきいき
)
と、あるいはテラテラと茶褐色にあくまで光り輝き、短い袖からは鬼をもひしぎそうな赤銅色の太い腕が
逞
(
たくま
)
しく出ており、円柱の如き脚の下で
環礁:――ミクロネシヤ巡島記抄――
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
ここから見ると、あの雑然とした絵が、とつぜん、
生々
(
いきいき
)
とした実感をもちはじめた。
キャラコさん:09 雁来紅の家
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
生
常用漢字
小1
部首:⽣
5画
々
3画
“生々”で始まる語句
生々世々
生々的
生々流転
生々殿
生々動流
生々流々
生々流相
生々溌剌