源氏げんじ)” の例文
日本にほんのむかしの武士ぶしで一ばんつよかったのは源氏げんじ武士ぶしでございます。その源氏げんじ先祖せんぞで、一ばんえらい大将たいしょうといえば八幡太郎はちまんたろうでございます。
八幡太郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
あの“源氏げんじ”や“枕草子”のような恋愛もし、優美な日常を楽しんで暮らしたということも、すばらしい人間記録にはちがいありません。
随筆 新平家 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一、えき源氏げんじ、七十二候などその外種々の名称あれども多くは空名に過ぎず。実際に行はるる者は歌仙かせんを最も多しとし、百韻ひゃくいんこれに次ぐ。
俳諧大要 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
数千の軍中よりただ一人選抜された名誉は顧みぬとしても、全源氏げんじ軍の名誉をただ一身にになって弓を引いたときの心はいかであったろう。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
自然と人事との交錯するある光景の描写の不思議にうまいのは、「源氏げんじ」「まくら」「大鏡おゝかゞみ」などの、平安朝ものに見られるのだ。
武州公秘話:02 跋 (新字新仮名) / 正宗白鳥(著)
自然と人事との交錯するある光景の描写の不思議にうまいのは、「源氏げんじ」「まくら」「大鏡おゝかゞみ」などの、平安朝ものに見られるのだ。
多田院ただのゐん日光につくわう徳川家とくがはけ靈廟れいべうで、源氏げんじ祖先そせんまつつてあるから、わづか五百石ひやくこく御朱印地ごしゆいんちでも、大名だいみやうまさ威勢ゐせいがあるから天滿與力てんまよりきはゞかなかつた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
高平太はそこを恐れているのじゃ。おれはこう考えたら、苦笑くしょうせずにはいられなかった。山門や源氏げんじの侍どもに、都合つごうい議論をこしらえるのは、西光法師さいこうほうしなどのはまり役じゃ。
俊寛 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
天下てんか勢力せいりょくを一もんにあつめて、いばっていた平家へいけも、とうとう源氏げんじのためにほろぼされて、安徳天皇あんとくてんのうほうじて、だんうらのもくずときえてからというもの、この壇ノ浦いったいには
壇ノ浦の鬼火 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
まして九つより『栄華えいが』や『源氏げんじ』手にのみ致し候少女は、大きく成りてもます/\王朝の御代みよなつかしく、下様しもざま下司げすばり候ことのみつづり候今時いまどきの読物をあさましと思ひ候ほどなれば
ひらきぶみ (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
いや源氏げんじの題に、小松橋こまつばしというのはありませんが、今日はあの橋の上で、)
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
これはな、平家へいけさんの御紋じゃ。源平合戦で敗れた平家さんの落武者は、源氏げんじの追討が、えッときびしいもんじゃけえ、日本国中の山奥に逃げこんだんじゃが、このあたりにも来なさったんじゃ。
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
これを雨月物語うげつものがたり式につづれば、範頼の亡霊がここへ現われて、「なんじ、見よ。源氏げんじの運も久しからじ。」などと、恐ろしいのろいの声を放つところであろう。思いなしか、晴れた朝がまた陰って来た。
綺堂むかし語り (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
道長みちながは、「この世をばわが世とぞ思う」と歌った。権力独占の事実を、後人に告白している。藤原氏の世は乱れた。地方に住まっていた源氏げんじ平家へいけは、かくて必然に、その勢力を得てきたのである。
「親分は源氏げんじですか、それとも平家ですか」
八幡太郎義家はちまんたろうよしいえから三だいめの源氏げんじ大将たいしょう六条判官為義ろくじょうほうがんためよしといいました。為義ためよしはたいそうな子福者こぶくしゃで、おとこ子供こどもだけでも十四五にんもありました。
鎮西八郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
「オオ、甲斐かい源氏げんじ、白旗といえば、これはえんのあるほこらです。若さましばらく、ここでやすんでまいりましょうに……」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
月のないくらいよるには、この壇ノ浦の浜辺はまべや海の上に、かずしれぬ鬼火おにび、——めろめろとしたあおが音もなくとびまわり、すこし風のある夜は、波の上から、源氏げんじ平家へいけとがたたかったときの
壇ノ浦の鬼火 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
平家へいけ大将たいしょう清盛きよもりは、源氏げんじにかたきをられることをこわがって、義朝よしとも子供こどもつけしだいころそうとかかりました。
牛若と弁慶 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
こうなると、つねの怯者きょうしゃ勇士ゆうしになるものだ。伊部熊蔵いのべくまぞうはカッといかって、中断ちゅうだんされたなわのはしから千ぼんびさしくさりにすがって、ダッ——と源氏げんじへ飛びこんだ。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
むかし源氏げんじ武士ぶしいくさに出るとき氏神うじがみさまの八幡大神はちまんだいじんのおとなえるといっしょに、きっと先祖せんぞ八幡太郎はちまんたろうおもして、いつも自分じぶんかって行く先々さきざきには
八幡太郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
閣上かくじょう源氏げんじには、一すい燈火ともしび切燈台きりとうだいあぶらいつくして、ジジジと泣くように明滅めいめつしている。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「はッは。たかが九州きゅうしゅう小大名こだいみょうのくせに、ばかなやつらだ。いったいおれをなんだとおもっているのだろう。子供こどもだって、りっぱな源氏げんじ本家ほんけの八なんじゃないか。」
鎮西八郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
於通は、菩提山ぼだいさん松琴尼しょうきんにの手許で、源氏げんじ素読そどくを習っていた頃のような調子で、それを読んだ。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ちょうどいちばんちいさい牛若うしわかまれたばかりのとき、源氏げんじ旗色はたいろわるくなりました。義朝よしともけて、方々ほうぼうげかくれているうちに、家来けらい長田忠致おさだのただむねというものにころされました。
牛若と弁慶 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
「それは源氏げんじ大将たいしょう頼光らいこうと、それについております四天王てんのうさむらいどもにかぎります。」
大江山 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
むかし源氏げんじ平家へいけ戦争せんそうをして、おたがいにったりけたりしていたときのことでした。源氏げんじ大将たいしょう義朝よしともには、悪源太義平あくげんたよしひら頼朝よりとものほかに今若いまわか乙若おとわか牛若うしわか、という三にん子供こどもがありました。
牛若と弁慶 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
源氏げんじ平家へいけ敵味方てきみかたかれてちからくらべをしようというおおいくさだ。
鎮西八郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)