トップ
>
流行唄
>
はやりうた
ふりがな文庫
“
流行唄
(
はやりうた
)” の例文
流行唄
(
はやりうた
)
——少しも讃州らしい匂いのない、江戸の流行唄——を二つ三つやると、やがて、達弁な口上の声につれて立ち上がりました。
銭形平次捕物控:016 人魚の死
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
ションガイナは今のみなさんの「しょうが無いな」と同じ意味の言葉で、もう今から三百年もまえの
流行唄
(
はやりうた
)
の
囃
(
はや
)
しの文句であった。
母の手毬歌
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
その時戸を明けて貸自動車屋の運転手らしい洋服に
下駄
(
げた
)
をはいた男が二人、口笛でオペラの
流行唄
(
はやりうた
)
をやりながら入って来たので
雪解
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
おりからあちこちの遊女の室から、品のいい、なまめかしい
流行唄
(
はやりうた
)
が、自分の不幸を訴えるかのように、哀々とした調子で聞こえて来た。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
宵の口だけまだ、土地柄、人通りが賑やかで、
流行唄
(
はやりうた
)
をうたったりして通る二三人位ずつの群が、夏のなごりを残していた。”
浅草風土記
(新字新仮名)
/
久保田万太郎
(著)
▼ もっと見る
流行唄
(
はやりうた
)
を謡うものがあったりした。ひろ子のわきで、若い女と膝組みにもまれこまれた父親の好色めいた冗談を、その娘が
播州平野
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
益満は、濃染の手拭で顔をかくし、富士春は、編笠をきて、益満が唄うと、女が弾く、流しの、
流行唄
(
はやりうた
)
唄いの姿であった。
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
淺薄な
流行唄
(
はやりうた
)
の文句のやうなこんな標題で、ありもしない惡名を書き立てられたのかと思ふと、自分の心は暗くなつた。
貝殻追放:002 新聞記者を憎むの記
(旧字旧仮名)
/
水上滝太郎
(著)
私が玄關の小部屋に机を控へて勉強して居りますと、彼等の一人が主人の子供を抱いて來て、窓の外を見せながらよく當時の
流行唄
(
はやりうた
)
を歌ひました。
幼き日:(ある婦人に与ふる手紙)
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
時々古臭い「カチューシャ」や「沈鐘」の
流行唄
(
はやりうた
)
を唄ったり、大声で嬉しそうに父親に話し掛けたりしていたとの事。
とむらい機関車
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
見たところ元気のいい子で、顔も背中も渋紙のような色をして、そして当時
流行
(
はや
)
っていた卑猥な
流行唄
(
はやりうた
)
を歌いながら丸裸の
跣足
(
はだし
)
で浜を走り廻っていた。
海水浴
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
フツフウ、ユウユウと云ふ
流行唄
(
はやりうた
)
の二つの間投詞を取つて名づけた二匹の小犬が居て食卓の下で
我我
(
われわれ
)
の足に突当り
乍
(
なが
)
らうろうろする。膝へ
駆上
(
かけあが
)
つても来る。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
彼はなかなか
我慢
(
がまん
)
づよく、そしてふだんは黙り屋であったけれど、どうかすると、鼻をぶりぶりと、ラッパのようにならして、軍歌や
流行唄
(
はやりうた
)
などをふいてみせた。
地底戦車の怪人
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
竹「私は少しも知らないので、何か
無駄書
(
むだがき
)
の
流行唄
(
はやりうた
)
かと思いましたから、丸めて
打棄
(
うっちゃ
)
ってしまいました」
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
活動写真ともなれば
流行唄
(
はやりうた
)
ともなり、中学校の国文教科書にも載れば絵葉書にも発行され、今ではどんな田舎の片山里でも『金色夜叉』の名を知らないものはない。
硯友社の勃興と道程:――尾崎紅葉――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
なるほどお前のこゝろでは、五百石のお家が大事であらうが、主とわたしの戀を唄うた此ごろの
流行唄
(
はやりうた
)
を、お前はなんと聞きなさんした。なんの五千石君とねよ……。
箕輪の心中
(旧字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
例えば『春色梅暦』巻之七に出ている
流行唄
(
はやりうた
)
に「気だてが粋で、なりふりまでも意気で」とある。
「いき」の構造
(新字新仮名)
/
九鬼周造
(著)
卑猥
(
ひわい
)
な雑談にふけったり、
流行唄
(
はやりうた
)
を唄ったりして夜更けまで闇の中をあちこちとうろつき廻った。
田舎医師の子
(新字新仮名)
/
相馬泰三
(著)
しかしそれは伝法肌の隠居が、何処かの
花魁
(
おいらん
)
に習つたと云ふ、二三十年以前の
流行唄
(
はやりうた
)
だつた。
庭
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
行
(
ゆ
)
く先々の庄屋のもの
置
(
おき
)
、村はずれの辻堂などを仮の
住居
(
すまい
)
として、昼は村の註文を集めて仕事をする、傍ら夜は村里の人々に時々の
流行唄
(
はやりうた
)
、
浪花節
(
なにわぶし
)
などをも唄って聞かせる。
唄立山心中一曲
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「若い時ア二度無い」といふ
流行唄
(
はやりうた
)
の文句まで引いて、熱心にお定の決心を促すのであつた。
天鵞絨
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
カフェーに居る時覚えた
流行唄
(
はやりうた
)
を初め歌っていたが、いつのまにか、女学校や小学校の頃習った唱歌になってしまった。自分の声に聞き惚れていると、自然に涙が出て来た。
二つの途
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
今時
(
いまどき
)
は投節を面白く歌うて聞かせる芸子もなければ、それを聞いて
欣
(
よろこ
)
ぶ客もない。あんなガサツな
流行唄
(
はやりうた
)
や、
突拍子
(
とっぴょうし
)
もない詩吟で、廓の
風情
(
ふぜい
)
も台なし、いよいよ世は末じゃて
大菩薩峠:03 壬生と島原の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
耳慣れぬユーゴの
流行唄
(
はやりうた
)
の二つ三つを聞かせてくれたり、それが終るとまた三人で食卓を囲んで、湯気の出るスープや
鶏
(
チキン
)
のソテーや、新鮮なアスパラガスやセロリーのサラダなぞ……。
墓が呼んでいる
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
云ふもまた
可笑
(
をか
)
し
終
(
つひ
)
に我輩問ひて此地の
流行唄
(
はやりうた
)
に及びしに彼また
委
(
くは
)
しく答へて木曾と美濃と音調の
差
(
たがひ
)
あることを論じ名古屋はまた異なりと例證に唄ひ分けて聞す其聲
亮々
(
りやう/\
)
として岩走る水梢を
木曽道中記
(旧字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
愛宕
(
あたご
)
の山蔭に短い秋の日は次第にかげって、そこらの茶見世から茶見世の前を、破れ三味線を
弾
(
ひ
)
きながら、哀れな声を絞って
流行唄
(
はやりうた
)
を歌い、物を
乞
(
こ
)
うて歩く
盲
(
めし
)
いた
婦
(
おんな
)
の音調が悪く
腸
(
はらわた
)
を断たしめる。
狂乱
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
「およしなさい。町の
流行唄
(
はやりうた
)
なんか。もっといい
鞠唄
(
まりうた
)
があるでしょ」
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
『京の三条の橋の上ツていふ
流行唄
(
はやりうた
)
の主人公だね。此処の神は?』
百日紅
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
声高に話し合って、カラカラと
日和下駄
(
ひよりげた
)
を引きずって行くのや、酒に酔って
流行唄
(
はやりうた
)
をどなって行くのや、至極天下泰平なことだ。そして、障子一重の家の中には、一人の女が惨殺されて横わっている。
D坂の殺人事件
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
いつも
流行唄
(
はやりうた
)
を真っ先に覚えて来ては
幇間
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
生活に對する
今日
(
こんにち
)
までの經驗が何事によらず
直
(
すぐ
)
と物の眞底を
見透
(
みすか
)
して興味を
殺
(
そ
)
いでしまふし、其れと同時に、路傍に聞く新しい
流行唄
(
はやりうた
)
なども
歓楽
(旧字旧仮名)
/
永井荷風
、
永井壮吉
(著)
今から振返ってみると、歌がこのごろのように職業者の手に移ってきた
路筋
(
みちすじ
)
もほぼたどることができる。始めには頻々たる
流行唄
(
はやりうた
)
の移植があった。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
言葉のやさしいのと
流行唄
(
はやりうた
)
の調子に近いのとで、手ぬぐいに髪を包んでそこいらの橋のたもとに遊んでいるような町の
子守
(
こも
)
り娘の口にまで上っていた。
夜明け前:03 第二部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「
葵
(
あおい
)
の花はまもなく
凋
(
しぼ
)
もう、しかしその代わりに菊の花が、全盛をきわめて咲くであろう。夏の次には秋が来るものだ」——こういう意味の
流行唄
(
はやりうた
)
なのであった。
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「若い時ア二度無い」といふ
流行唄
(
はやりうた
)
の文句まで引いて、熱心にお定の決心を促すのであつた。
天鵞絨
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
そのころの
流行唄
(
はやりうた
)
に「死んでしまおか、お台場へ行こか。死ぬにゃ
優
(
ま
)
しだよ、土かつぎ」
半七捕物帳:61 吉良の脇指
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
(すきなお
方
(
かた
)
と
相乘人力車
(
あひのりじんりきしや
)
、
暗
(
くら
)
いとこ
曳
(
ひ
)
いてくれ、
車夫
(
くるまや
)
さん
十錢
(
じつせん
)
はずむ、
見
(
み
)
かはす
顏
(
かほ
)
に、その
手
(
て
)
が、おつだね)——
恁
(
か
)
う
云
(
い
)
ふ
流行唄
(
はやりうた
)
さへあつた。おつだね
節
(
ぶし
)
と
名題
(
なだい
)
をあげたほどである。
麻を刈る
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
と、上方の
流行唄
(
はやりうた
)
を聞いたので、呼上げた。お俊は
何
(
ど
)
っかで見たような女だと思って、聞いてみると、お新であった。お新は三人が来馬を探していると聞くと共に、金入を出した。そして
新訂雲母阪
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
お松、お村の二人の美女が暫らく三味線と笛の合奏を續け乍ら、流行唄——少しも讃州らしい匂のない、江戸の
流行唄
(
はやりうた
)
——を二つ三つやると、やがて、達辯な口上の聲につれて立ち上がりました。
銭形平次捕物控:016 人魚の死
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
その癖、ちょいとした事には、器用な
性質
(
たち
)
で、
流行唄
(
はやりうた
)
と云うようなものは、一度聞くと、すぐに節を覚えてしまう。そうして、修学旅行で宿屋へでも泊る晩なぞには、それを得意になって
披露
(
ひろう
)
する。
父
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
従つて
寄席
(
よせ
)
の客の大半は労働者で帽や
白襯衣
(
シユミイズ
)
を着ない
連中
(
れんぢゆう
)
が多く、
大向
(
おほむかう
)
から舞台の歌に合せて口笛を吹いたり
足踏
(
あしぶみ
)
をしたりする仲間もあつた。演じた物には道化た
踊
(
をどり
)
や
流行唄
(
はやりうた
)
や曲芸などが多かつた。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
蒹葭は秋より冬に至って
白葦黄茅
(
はくいこうぼう
)
の景を作る時殊に文雅の人を喜ばす。
流行唄
(
はやりうた
)
にも「枯野ゆかしき隅田堤」というのがある。
向嶋
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
ところがこのごろいつとはなしにここへ集まって来る男女の間へ、一つの
流行唄
(
はやりうた
)
が
流行
(
はやり
)
だした。
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
直樹の父親が来て、「木曾のナカノリサン」などを歌い出せば、達雄は又、
清
(
すず
)
しい、
恍惚
(
ほれぼれ
)
とするような声で、時の
流行唄
(
はやりうた
)
を聞かせたものだった。直樹の父親もよく
細
(
こまか
)
い日記をつけた。
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
投銭にはちゃちゃらかちゃんなんて古風な
流行唄
(
はやりうた
)
をやってますが、
可
(
い
)
い声で、ぞッとするような
明烏
(
あけがらす
)
をやりますんでね。
私
(
わっし
)
あ例のへべれけで、
素見
(
ひやかし
)
数の子か何か、鼻唄で、銭のねえふてくされ。
三枚続
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ロンドンの
流行唄
(
はやりうた
)
、雷鳴の曲もありき。
閑天地
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
子供の時から朝夕に母が
渡世
(
とせい
)
の
三味線
(
しゃみせん
)
を聴くのが大好きで、習わずして自然に
絃
(
いと
)
の調子を覚え、町を通る
流行唄
(
はやりうた
)
なぞは一度聴けば
直
(
す
)
ぐに記憶する位であった。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
村田というのがその姓で、聞き香、茶の湯、鞠、揷花、風流の道に詳しい上に、当代無類の美男であったので「色の村田の中将や」と
業平
(
なりひら
)
中将に例えられて
流行唄
(
はやりうた
)
にさえ唄われた男。
紅白縮緬組
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
彼は聞くともなしにその無心な
流行唄
(
はやりうた
)
を聞きながら、宿役人らしい
袴
(
はかま
)
をつけていた。
夜明け前:03 第二部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
子供の時から
朝夕
(
あさゆふ
)
に母が
渡世
(
とせい
)
の
三味線
(
しやみせん
)
を
聴
(
き
)
くのが大好きで、習はずして自然に
絃
(
いと
)
の
調子
(
てうし
)
を覚え、町を
通
(
とほ
)
る
流行唄
(
はやりうた
)
なぞは一度
聴
(
き
)
けば
直
(
す
)
ぐに
記憶
(
きおく
)
する
位
(
くらゐ
)
であつた。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
流
常用漢字
小3
部首:⽔
10画
行
常用漢字
小2
部首:⾏
6画
唄
常用漢字
中学
部首:⼝
10画
“流行”で始まる語句
流行
流行歌
流行物
流行病
流行妓
流行児
流行神
流行感冒
流行廃
流行風邪