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斑点
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はんてん
ふりがな文庫
“
斑点
(
はんてん
)” の例文
旧字:
斑點
なんとも言えないほど
嬉
(
うれ
)
しかったことには、行になって並んでいる数字のようなものが、ところどころに
斑点
(
はんてん
)
になって見えるんだね。
黄金虫
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
ところどころ、樹のまわりには、黄色い
斑点
(
はんてん
)
が、鷓鴣のようでもあり、また土くれのようでもあり、私の眼はすっかり迷ってしまう。
博物誌
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
世間の噂では、「ロボの
頸
(
くび
)
に
金環
(
かなわ
)
がついている。」とか、また、「かれの
肩
(
かた
)
には
悪魔
(
あくま
)
の
仲間
(
なかま
)
である印として
逆
(
さかさ
)
十字の
斑点
(
はんてん
)
がある。」
動物物語 狼の王ロボ
(新字新仮名)
/
アーネスト・トンプソン・シートン
(著)
いくらか張った彼の顎の右のところに、直径一センチぐらいのうす紫色の
斑点
(
はんてん
)
ができていた。その一つの斑点が磯崎の命を奪った。
道標
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
彼女の顔からは血が流れた。何かの消えないしるしのように、小さな
痣
(
あざ
)
のような黒い
斑点
(
はんてん
)
が彼女の顔に残ったのも、またその際である。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
▼ もっと見る
暗いスクリーンの上にいろいろの形をした光の
斑点
(
はんてん
)
や線条が順次に現われて、それがいろいろ入り乱れた運動をするのであるが
踊る線条
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
その時すでに暗灰色の花びらに黒褐色の
斑点
(
はんてん
)
をすらまじへて、およそグロテスクを極めてゐたが、僕は敢然として防疫吏の前に
わが心の女
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
他のものは暗紅に紫黒と
海老
(
えび
)
色の帯をまとって、ところどころ
鳥糞
(
ちょうふん
)
ににた白い
斑点
(
はんてん
)
がついている。これは夕ばえの天の姿である。
小品四つ
(新字新仮名)
/
中勘助
(著)
月光
(
げつくわう
)
其
(
その
)
滑
(
なめ
)
らかなる葉の
面
(
おも
)
に落ちて、葉は
宛
(
さ
)
ながら
碧玉
(
へきぎよく
)
の
扇
(
あふぎ
)
と
照
(
て
)
れるが、
其上
(
そのうへ
)
にまた黒き
斑点
(
はんてん
)
ありてちら/\
躍
(
おど
)
れり。
李樹
(
すもゝ
)
の影の
映
(
うつ
)
れるなり。
良夜
(新字旧仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
そのうちに、老人の指先には、白い
球
(
たま
)
がつまみあげられていた。
卵大
(
たまごだい
)
ではあるが、卵ではなく、一方に黒い
斑点
(
はんてん
)
がついていた。
少年探偵長
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
すでに、返り血の
斑点
(
はんてん
)
を身に浴び、剣それ以外に何ものもない、無想境の
神
(
しん
)
に入った弦之丞は、仆れ重なった三個の死体に片足を踏まえて
鳴門秘帖:03 木曾の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それは葉が
狭長
(
きょうちょう
)
だからである。山地
向陽
(
こうよう
)
の草中に野生し、オニユリのごとき
丹赤色
(
たんせきしょく
)
の花が咲き、
暗褐色
(
あんかっしょく
)
の
斑点
(
はんてん
)
がある。球根は食用によろしい。
植物知識
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
七八寸位の小さなものであった。それを
石膏
(
せっこう
)
型にとって岡野さんは帰朝される時持ちかえられたが、帰国後石膏に
斑点
(
はんてん
)
が出たという通知があった。
自作肖像漫談
(新字新仮名)
/
高村光太郎
(著)
鮮やかな色の花々が上段を縁どって生え、その真ん中には、豊満な、珍しいほど大輪の、赤い
斑点
(
はんてん
)
のある黄ダリヤが、今を盛りと咲き誇っていた。
紅い花
(新字新仮名)
/
フセヴォロド・ミハイロヴィチ・ガールシン
(著)
爺は、この黒い、白い雪の
斑点
(
はんてん
)
の付いた昆布のように凍えた合羽を
後方
(
うしろ
)
に取り
脱
(
の
)
けると、女の背には、乳飲児が
負
(
おわ
)
されていた。これを見た老婆は
凍える女
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
また
発疹
(
はっしん
)
や病的な赤い
斑点
(
はんてん
)
なども見えていた。二、三人の者は、車の横木に
繩
(
なわ
)
を結わえてそれを
鐙
(
あぶみ
)
みたいに下にたらし、その上に足を休めていた。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
と同時に、涼しく美しかった両のまなこは、さっと異様に輝きました。
死骸
(
しがい
)
のいたるところに紫の
斑点
(
はんてん
)
がはっきりと、浮かび上がっていたからです。
右門捕物帖:05 笛の秘密
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
屋根にも四方にも
莚
(
むしろ
)
が張ってあるとは云うものの、莚と莚との合わせ目が
隙間
(
すきま
)
だらけで、見物席に日光の
斑点
(
はんてん
)
が出来
蓼喰う虫
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
真っすぐに水に落したというが、死骸の首から肩へかけての
斑点
(
はんてん
)
が変じゃないか——たぶん声をも立てずに、あっと言う間に死んでしまったことだろう
銭形平次捕物控:122 お由良の罪
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
白眼の表面は、灰色の
斑点
(
はんてん
)
で、殆ど
覆
(
おお
)
い尽され、黒目もそこひの様に
溷濁
(
こんだく
)
して、
虹彩
(
こうさい
)
がモヤモヤとぼやけて見えた。
虫
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
正覚坊のことを、一名アオウミガメというのは、暗緑色で、暗黄色の
斑点
(
はんてん
)
があるからで、大きさも、形もよくにた海がめにアカウミガメというのがある。
無人島に生きる十六人
(新字新仮名)
/
須川邦彦
(著)
いつの間にやら殆ど全部
蝕
(
むし
)
ばまれて、それに
黄褐色
(
おうかっしょく
)
のきたならしい
斑点
(
はんてん
)
がどっさり出来てしまっていることに、その朝、私は始めて気がついたのだった。
美しい村
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
一人の顔が
小豆粒大
(
あずきつぶだい
)
に写っている写真である。よく気をつけて見ると、顔の形をなすものは大部分が黒くて、その一部に白い
斑点
(
はんてん
)
があるだけのものである。
南画を描く話
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
而
(
そう
)
して木の葉の
網目
(
あみめ
)
を
洩
(
も
)
る日光が金の
斑点
(
はんてん
)
を地に落すあの
白樺
(
しらかば
)
の林の
逍遙
(
しょうよう
)
! 先生も其処に眠って居られる。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
さっきから、かの女の
瞳
(
ひとみ
)
を
揶揄
(
やゆ
)
するように陽の反射の
斑点
(
はんてん
)
が、マントルピースの上の肖像画の肩のあたりにきろきろして、かの女の視線をうるさがらしていた。
母子叙情
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
手を出そうかなと思う矢先へもって来て、急に黒い
斑点
(
はんてん
)
が、
晴夜
(
せいや
)
の
星宿
(
せいしゅく
)
のごとく、縦横に行列するんだから、少し
辟易
(
へきえき
)
してしまって、ぼんやり皿を
見下
(
みおろ
)
していた。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
これも明暗の
斑点
(
はんてん
)
の中に、
止
(
とま
)
り
木
(
ぎ
)
をあちこち伝わっては、時々さも不思議そうに籠の下の男を眺めている。男はその度にほほ
笑
(
え
)
みながら、葉巻を口へ運ぶ事もある。
母
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
花を洩れ枝を洩れ、新酒の色をした日の光は、仮面の城主の仮面の上へも、その体へも
斑点
(
はんてん
)
をつけた。
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
出発の日までにはいつものようにケロリト
癒
(
なお
)
ると思っていたのが、三日めごろから熱が急にたかくなって、手足から首へかけて紅い
斑点
(
はんてん
)
がいっぱいにふき出してきた。
冬枯れ
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
雨は三日まえからあがったままで、林の中の水をたっぷり吸った土には、
木洩
(
こも
)
れ
陽
(
び
)
が
斑点
(
はんてん
)
になってゆらぎ、檜の若葉が
咽
(
む
)
せるほどつよく、しかし爽やかに匂っていた。
ちくしょう谷
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
眼の前の薄黄色い光りの中で、無数の灰色の
斑点
(
はんてん
)
がユラユラチラチラと明滅するのを感じていた。
木魂
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
馭者はたいてい幅のひろい福々しい顔をしているが、妙に赤い
斑点
(
はんてん
)
があって、飲み食いがさかんなために血液が皮膚の血管のひとつひとつに溢れているかのように見える。
駅馬車
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
嘴
(
くちばし
)
は
浅緑
(
あさみどり
)
色、羽は
暗褐色
(
あんかっしょく
)
に
淡褐色
(
たんかっしょく
)
の
斑点
(
はんてん
)
、長い足は美しい浅緑色をしていた。それをあらくつぶして、骨をトントンと音させてたたいた。それにすらかれは
疲労
(
つかれ
)
を覚えた。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
その時傍の窓ガラスの面に、音もなく黒い
斑点
(
はんてん
)
が出来た。つづいて二つ、三つ。翼を流れるものが、風向きの関係か何かで、粒のまま窓ガラスにまっすぐ飛んで来るらしい。
幻化
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
建物疎開に行って遭難したのに、
奇蹟
(
きせき
)
的に命拾いをした中学生の甥は、その後毛髪がすっかり抜け落ち次第に元気を失っていた。そして、
四肢
(
しし
)
には小さな
斑点
(
はんてん
)
が出来だした。
廃墟から
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
どす黒い、
斑点
(
はんてん
)
のある、への字形に反りかえった腕が、格ガラスの右端から現われて、今にも、ハンドルに手をかけようとするのです……おお、父はよみがえったのでした。
紅毛傾城
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
胸は一面に目も当てられぬほどめちゃめちゃに砕けていた。右の方の
肋骨
(
ろっこつ
)
が二、三枚折れていて、左の方は心臓の真上に、黄味がかった黒い
斑点
(
はんてん
)
が、大きく無気味に広がっていた。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
ふと見るとその電燈の笠の内側に黒い
斑点
(
はんてん
)
が見えた。それは
壁虎
(
やもり
)
であった。壁虎は
餌
(
え
)
を見つけたのか首を出したがその首が五寸ぐらいも延びて見えた。彼はおやと思って足を止めた。
蟇の血
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
其の葉の隙から時々白く、殆ど銀の
斑点
(
はんてん
)
の如く光って見える空。地上にも所々倒れた巨木が道を拒んでいる。
攀上
(
よじのぼ
)
り、垂下り、絡みつき、
輪索
(
わな
)
を作る
蔦葛
(
つたかずら
)
類の
氾濫
(
はんらん
)
。
総
(
ふさ
)
状に盛上る蘭類。
光と風と夢
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
「地上」は、
苔
(
こけ
)
むしたようなすすけた緑の
斑点
(
はんてん
)
を、校舎の裏の赤土の上にひろげ、ところどころ地面に
凸凹
(
でこぼこ
)
の影をつくりながら、眼下から渋谷川のほうにかけて裸の空地をつづけている。
煙突
(新字新仮名)
/
山川方夫
(著)
写真は西洋のもので、いやにきらきら針のような
斑点
(
はんてん
)
が光って見えるおそろしく古いものであった、光一はだまってそれを眺めた。ひとりの男とひとりの女が現われて肩に手をふれあった。
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
定雄は吹く度にだんだん上達する笛の面白さにしばらく楽んで歩いていると、清も両手の笛を替る替る吹き変えては、木の
梢
(
こずえ
)
から
辷
(
すべ
)
り流れる日光の
斑点
(
はんてん
)
に顔を染めながら、のろのろとやって来た。
比叡
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
むらさきの枝に白い
斑点
(
はんてん
)
がある。
忘春詩集:02 忘春詩集
(新字旧仮名)
/
室生犀星
(著)
ゆるやかに波を打つ地面には麦畑らしい
斑点
(
はんてん
)
や
縞
(
しま
)
が見え、低い松林が見え、ポプラの並み木が見え、そして小高い丘の頂上には風車小屋があって
旅日記から
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
でっぷりとして、毛深くて、立派な毛皮にくるまって、
栗色
(
くりいろ
)
のからだには金色の
斑点
(
はんてん
)
があり、その眼は黒々としている。
博物誌
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
一片の干貝のような耳、
青蝋
(
あおろう
)
を彫りくぼませたような
瞼
(
まぶた
)
のあたり、そして、紙のカビみたいな
斑点
(
はんてん
)
までが、浮いてきた。
新・平家物語:02 ちげぐさの巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
といったが、古谷局長も貝谷の指した妙な血の
斑点
(
はんてん
)
がなんであるか、解くことができなかった。そのうちに、予定の十分間はいつの間にか経ってしまった。
幽霊船の秘密
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
身につけているのは、穴のあいた麻布ばかりで、一片の毛織りの布もなかった。所々に
肌
(
はだ
)
がのぞいていて、そのどこにも青い
斑点
(
はんてん
)
や黒い斑点が見えていた。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
今ではポツポツそばかすのような
斑点
(
はんてん
)
が出来、物によってはすっかり時代がついてしまって、まるで古めかしい画像のように
朦朧
(
もうろう
)
としたものもありましたけれど
痴人の愛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
プルートォは体のどこにも白い毛が一本もなかったが、この猫は、胸のところがほとんど一面に、ぼんやりした形ではあるが、大きな、白い
斑点
(
はんてん
)
で
蔽
(
おお
)
われているのだ。
黒猫
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
“斑点”の意味
《名詞》
斑点(はんてん)
まだらにある点。ぶち。
(出典:Wiktionary)
斑
常用漢字
中学
部首:⽂
12画
点
常用漢字
小2
部首:⽕
9画
“斑点”で始まる語句
斑点帯