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所有
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もの
ふりがな文庫
“
所有
(
もの
)” の例文
金銀用度も皆兄まかせにて我が
所有
(
もの
)
といふものもなく、
唯
(
ただ
)
衣
(
き
)
ることと食ふこととに不足なさざるばかりなれば奴隷といふても
宜
(
よ
)
かるべし
印度の古話
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
「お前はお嫁になることもできないで、おんだされたのを
羞
(
は
)
じないの。まだ人の家の財産を自分の
所有
(
もの
)
にしているつもりなの。」
小翠
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
みんな私の
所有
(
もの
)
なんだ。そしてみんな私の涙が流るるような愛の抱擁を待っているんだ。私は其処に身を躍らして飛び上った。
蠱惑
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
そこでこの不思議な朗快が彼の観照と形成との作用へ浸徹するのであるが、この朗快は彼をまって初めて音楽の
所有
(
もの
)
となった。
ベートーヴェンの生涯:02 ベートーヴェンの生涯
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
あらゆる、自分の心を引き着ける、そんな美しい部分を
綜合的
(
そうごうてき
)
に持っている生き物を自分の
所有
(
もの
)
にしてしまわなければ、身も世もありはせぬ。
黒髪
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
▼ もっと見る
「いや! しかしな、貴様からお母さんに話して、この開墾した土地を、我々の
所有
(
もの
)
にしてもらわねえと困るからな。そこを頼むわけなのさ。」
熊の出る開墾地
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
小次郎はにわかに恍惚となり、心も体も自分の
所有
(
もの
)
でなく、他人によって勝手自由に、使われているように思われて来た。
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
お定の家は村でも兎に角食ふに困らぬ程の農家で、借財と云つては一文もなく、多くはないが田も畑も自分の
所有
(
もの
)
、馬も青と栗毛と二頭飼つてゐた。
天鵞絨
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
「さあ、」校長は
行
(
ゆ
)
き
詰
(
つま
)
つたやうに頭へ手をやつた。「いや、あの方のぢや無からう、多分神様の
所有
(
もの
)
でがせうよ。」
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
そうだ! しかもその寝台の柱は彼自身の
所有
(
もの
)
であった。寝台も彼自身のものなら、部屋も彼自身のものであった。
クリスマス・カロル
(新字新仮名)
/
チャールズ・ディケンズ
(著)
「馬鹿」ガルールは苦笑いをして、「おれ達の
所有
(
もの
)
になったって、この中に船を動かせる奴は一人もいやしねえ」
ラ・ベル・フィユ号の奇妙な航海
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
眼について欲しいなと思ったものは何でもシモンの
所有
(
もの
)
でした。シモンが兵隊をさし向けると、兵隊はシモンの欲しいものを立ちどころに持って来ました。
イワンの馬鹿
(新字新仮名)
/
レオ・トルストイ
(著)
、なんぼ自分の
所有
(
もの
)
だといつて、さうぽん/\と
無造作
(
むざうさ
)
に取上げられたんぢや、全くやりきれやしない。
新らしき祖先
(新字旧仮名)
/
相馬泰三
(著)
花と望みし峯の白雲あとなく消れば、殘るはお蘭さまの御身一つと、痛はしや脊負ふにあまる
負債
(
もの
)
もあり、あはれ此處なる邸も
他人
(
ひと
)
の
所有
(
もの
)
と、唯これだけを
曉
(
さと
)
り得ぬ
暗夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
彼
(
かれ
)
は
南
(
みなみ
)
の
家
(
いへ
)
から
借
(
か
)
りた
鋸
(
のこぎり
)
で
大小
(
だいせう
)
の
燒木杙
(
やけぼつくひ
)
を
挽切
(
ひつき
)
つた。
遂
(
しまひ
)
に
彼
(
かれ
)
は
後
(
うしろ
)
から
燒
(
や
)
けた
竹
(
たけ
)
を
伐
(
き
)
つて
來
(
き
)
て
簀
(
す
)
の
子
(
こ
)
のやうに
横
(
よこた
)
へて
低
(
ひく
)
い
床
(
ゆか
)
を
造
(
つく
)
つた。
竹
(
たけ
)
を
伐
(
き
)
つた
鉈
(
なた
)
も
彼
(
かれ
)
の
所有
(
もの
)
ではなかつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
されば巨万の財産を挙げて娘の
所有
(
もの
)
となし、姉の下枝に我を
娶
(
めあ
)
わせ後日家を譲るよう、叔母はくれぐれ遺言せしが、我等の
年紀
(
とし
)
の
少
(
わか
)
かりければ、得三は
旧
(
もと
)
のまま
一家
(
いっけ
)
を支配して
活人形
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
彼等のとび越えただけのものは、彼等の
所有
(
もの
)
になるのだ。中世のダンテが
忽然
(
こつぜん
)
として怪しげな情ないものに変った。此の古式の(又、地方的な)儀礼は、
流石
(
さすが
)
にサモア人の間にさえ笑声を呼起した。
光と風と夢
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
「とにかく時機は過ぎ去った。かの女は既に
他人
(
ひと
)
の
所有
(
もの
)
だ!」
蒲団
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
「べつに何んでもありません、ただちょっとした
禁厭
(
まじない
)
でございますから、一度地べたへ落してくだすったら、もう用はありませんから、
直
(
す
)
ぐ拾って、貴郎の
所有
(
もの
)
にしてください、お礼にさしあげますから」
指環
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
「お、痛えや、親分。
他人
(
ひと
)
の
所有
(
もの
)
だと思って——。」
釘抜藤吉捕物覚書:13 宙に浮く屍骸
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
世界は今、黒猫の
所有
(
もの
)
になる。
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
誰の
所有
(
もの
)
でもない
小熊秀雄全集-09:詩集(8)流民詩集1
(新字旧仮名)
/
小熊秀雄
(著)
「神様の
所有
(
もの
)
にしても、いづれは将軍の舅さんからお買取りになつたのだらうが、どの位お仕払ひになつたか知ら。」
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
最後の京丸の秘密境へ埋めておいた莫大の金子は、この綴じ紙が手にはいったので、我々の
所有
(
もの
)
となることになった。
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
お定の家は、村でも兎に角食ふに困らぬ程の農家で、借財と云つては一文もなく、多くはないが田も畑も自分の
所有
(
もの
)
、馬も青と栗毛と二頭飼つてゐた。
天鵞絨
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
欲
(
ほ
)
しい女が思うように自分の
所有
(
もの
)
にならぬためにそんなに気が欝いでいるせいか、そのころ私はちょっとしたことにもすぐ感傷的になりやすくなっていた。
狂乱
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
自分達の帰って来ることの出来る自分達の
所有
(
もの
)
としての土地が、この生まれ故郷にあるのなら、或いは、梅三爺は伜と一緒に行く気になったかも知れなかった。
土竜
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
汝
如何
(
いか
)
ほど働きたりとて唯この家を富ますのみにて汝の
所有
(
もの
)
の
殖
(
ふ
)
ゆるにもあらねば、まことに
以
(
もっ
)
て楽み薄し、と
賢顔
(
かしこがお
)
に説きければ、弟はこれより分居の心を生じて
印度の古話
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
草臥
(
くたび
)
れ
切
(
き
)
つた
身體
(
からだ
)
で
彼
(
かれ
)
は
其
(
その
)
夜
(
よ
)
も
二人
(
ふたり
)
を
連
(
つ
)
れて、
自分
(
じぶん
)
の
所有
(
もの
)
ではない
其
(
その
)
茂
(
しげ
)
つた
小
(
ちひ
)
さな
桑畑
(
くはばたけ
)
を
越
(
こ
)
えて
南
(
みなみ
)
の
風呂
(
ふろ
)
へ
行
(
い
)
つた。
其處
(
そこ
)
にはいつものやうに
風呂
(
ふろ
)
を
貰
(
もら
)
ひに
女房等
(
にようばうら
)
が
聚
(
あつま
)
つて
居
(
ゐ
)
た。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
そりゃ借りた金だ抵当のお藤が居なくなれば、きっとお
返済
(
かえし
)
申すが、まだ家の財産も我が
所有
(
もの
)
にはならず、千円という大金、今といっては致方がございません。どうぞ
暫時
(
しばらく
)
の処を御勘弁。
活人形
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
思念
(
イデー
)
が突然、道の上や散歩や会話の最中に彼を襲うと、彼は(彼および彼の近しい人々がいったように)忘我状態(raptus)になった。もう自分が自分には属さず、
思念
(
イデー
)
の
所有
(
もの
)
となった。
ベートーヴェンの生涯:06 付録 ベートーヴェンへの感謝
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
結局、わたし達はもう、世間の
女
(
ひと
)
のようにはなれないということを悟りましたので、赤ん坊を
両女
(
ふたり
)
の
所有
(
もの
)
にして育ててゆこうと相談しました。それで、あの子は
彼女
(
あのひと
)
とわたしの共同の子供なのです。
二人の母親
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
「はい、足袋はたしかに寺男佐平の
所有
(
もの
)
。」
釘抜藤吉捕物覚書:02 梅雨に咲く花
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
彼女を自分ひとりの
所有
(
もの
)
にして楽しんでいる限りなき
歓
(
よろこ
)
びが、そのためにたちまち索然として、
生命
(
いのち
)
にも換えがたい大切な宝がつまらない物のような気持になった。
狂乱
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
公子 (窓外の月を眺め)あの月がひとまず沈み、やがて再び現われる頃、貴女は私の
所有
(
もの
)
です。
レモンの花の咲く丘へ
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
その眼には、「今迄この私は貴方の
所有
(
もの
)
と許り思つてました。恁う思つたのは間違でせうか?」
鳥影
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
さうして
疾
(
とう
)
に
自分
(
じぶん
)
の
住
(
す
)
んで
居
(
ゐ
)
る
土地
(
とち
)
までが
自分
(
じぶん
)
の
所有
(
もの
)
ではなかつた。それは
借錢
(
しやくせん
)
の
極
(
きま
)
りをつける
爲
(
ため
)
に
人
(
ひと
)
が
立
(
た
)
つて
東隣
(
ひがしどなり
)
へ
格外
(
かくぐわい
)
な
値
(
ね
)
で
持
(
も
)
たせたのである。それ
程
(
ほど
)
彼
(
かれ
)
の
家
(
いへ
)
は
窮
(
きう
)
して
居
(
ゐ
)
た。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
一時
(
ひとしきり
)
は魔の
所有
(
もの
)
に
寂寞
(
ひっそり
)
する、
草深町
(
くさぶかまち
)
は静岡の
侍小路
(
さむらいこうじ
)
を、カラカラと
挽
(
ひ
)
いて通る、一台、
艶
(
つや
)
やかな
幌
(
ほろ
)
に、夜上りの澄渡った富士を透かして、燃立つばかりの鳥毛の
蹴込
(
けこ
)
み、友染の
背
(
せなか
)
当てした
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ただただ土地を、完全に自分達の
所有
(
もの
)
にしてしまえばいいとの考えから、荒皮を引ん
剥
(
む
)
いたばかりの畑は、他の方を耕しているうちに他の一方が熊笹や野茨や茅に埋められるという有様だった。
熊の出る開墾地
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
「いい湖水だ。誰のだらう、やつぱり将軍の舅さんの
所有
(
もの
)
なんですか。」
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
そして今ではもうこの本は私の
所有
(
もの
)
ではなくなっている。
ベートーヴェンの生涯:02 ベートーヴェンの生涯
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
「
〆
(
しめ
)
たっ! この船はおれ達の
所有
(
もの
)
だ!」
ラ・ベル・フィユ号の奇妙な航海
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
自分にとっては何物にも
優
(
まさ
)
る、欲しい物品であるのだと思うと、どんなにしても自分の
所有
(
もの
)
にしたい。
狂乱
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
その眼には、「今迄この私は貴君の
所有
(
もの
)
と許り思つてました。
恁
(
か
)
う思つたのは間違でせうか?」
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
同じ運命の呪詛の
的
(
まと
)
! (女子を見て)そして女子よ、お前は俺の
所有
(
もの
)
となった
レモンの花の咲く丘へ
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
白刃
乳
(
ち
)
の下に臨める
刹那
(
せつな
)
、
幸
(
さいわい
)
にして天地は悪魔の
所有
(
もの
)
に非ず。
活人形
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
女子 (窓に寄り二人の使女の
口争
(
くちあらそい
)
を聞きおりしが、軽く笑い消し)お客様のお噂は、もういい加減にして止めておくれ。どのようにいいと思ったとて、所詮お前方の
所有
(
もの
)
にはなるまいに。
レモンの花の咲く丘へ
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
そして、俊吉が十五の春、土地の高等小學校を卒業した頃は、山も畑も他人の
所有
(
もの
)
に移つて、
少許
(
すこしばかり
)
の田と家屋敷が殘つて居た丈けであつた。其年の秋、年上な一友と共に東京に夜逃をした。
雲は天才である
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
淫婦よ! 多情者よ! 色餓鬼め! まだ
処女
(
おぼこ
)
の身でありながら、男の
生肌
(
なまはだ
)
恋しがり、あだ厭らしく小次郎を追い、ウカウカソワソワいたしおる! ……小次郎は姉の
所有
(
もの
)
! 年月手がけて磨きあげ
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
所
常用漢字
小3
部首:⼾
8画
有
常用漢字
小3
部首:⽉
6画
“所有”で始まる語句
所有主
所有物
所有者
所有地
所有農園
所有品
所有慾
所有山
所有林
所有者未定