トップ
>
懺悔
>
ざんげ
ふりがな文庫
“
懺悔
(
ざんげ
)” の例文
身をせめて深く
懺悔
(
ざんげ
)
するといふにもあらず、唯
臆面
(
おくめん
)
もなく身の耻とすべきことどもみだりに書きしるして、或時は
閲歴
(
えつれき
)
を語ると号し
書かでもの記
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
若い女にさいなまれている老人の
懺悔
(
ざんげ
)
を、半七は嘲るような又あわれむような心持で聴いていると市丸太夫は恐る恐る語りつづけた。
半七捕物帳:17 三河万歳
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
今じゃあの世で後悔しているだろう。仏に代って、俺が
懺悔
(
ざんげ
)
してやる。みんなお政の心得違いからだ、——この殺しには誰も罪はない
銭形平次捕物控:053 小唄お政
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
その悩みから絞り出された世にも陰惨たる寂寥の影……もっと平易に説明すれば悪人
懺悔
(
ざんげ
)
の心持ちが顔に現われているからであった。
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
老公は、
懺悔
(
ざんげ
)
された。その昔まだ
部屋住
(
へやずみ
)
の壮年ごろ、江戸表に在府中、人知れず向島の小梅に囲っておいた愛妾があったということ。
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
喃
(
のう
)
、瀧口殿、
最早
(
もは
)
や世に浮ぶ瀬もなき此身、今更
惜
(
を
)
しむべき譽もなければ、誰れに恥づべき名もあらず、重景が一
期
(
ご
)
の
懺悔
(
ざんげ
)
聞き給へ。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
その日彼女はフランシスに
懺悔
(
ざんげ
)
の席に
列
(
つらな
)
る事を申しこんだ。懺悔するものはクララの
外
(
ほか
)
にも沢山いたが、クララはわざと最後を選んだ。
クララの出家
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
まさか
死刑
(
しけい
)
にはなりますまいが終身懲役だってそんないいもんじゃありませんよ。どうです。今のうち
懺悔
(
ざんげ
)
してやめてしまっては。
ビジテリアン大祭
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
「では申し上げましょうかね。人様のことを申し上げるには、自分の
懺悔
(
ざんげ
)
からはじめなければなりません。まあ、お茶を一つ……」
大菩薩峠:29 年魚市の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
傭
(
やと
)
うまで待ってくれと云ったら人足じゃいかん
懺悔
(
ざんげ
)
の意を表するためにあなたが自身で起さなくては仏の意に
背
(
そむ
)
くと云うんだからね
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
だんまりで夜道を
徒歩
(
ひろ
)
うてえなア気がきかねえ。一つ、色
懺悔
(
ざんげ
)
をなさいまし、色懺悔を……豆太郎、謹んでお聞きしますよ、エヘヘヘヘ
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「しかし僕は先生の訓戒に従って改心しているんだ。先生は宗教家だよ。
懺悔
(
ざんげ
)
によって
罪障
(
ざいしょう
)
が消滅するということを知っている」
ロマンスと縁談
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
そのとき、
妊
(
みごも
)
ったのがそもじで、その名をベーリングが、末期の際に書いたというのも、ステツレルに対する
懺悔
(
ざんげ
)
の印なのじゃ。
紅毛傾城
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
自己の職分と父の
贖罪
(
しよくざい
)
と二重の義務を
負
(
お
)
んでるのだからと
懺悔
(
ざんげ
)
して居る程です、思ふに我々の
播
(
ま
)
ける
種子
(
たね
)
を
培
(
つちか
)
ふものは、彼等の手でせうよ
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
兄は彼女ソーニャのところへ、まず第一番に
懺悔
(
ざんげ
)
に来た。してみると、兄は人間が必要になったとき、彼女の中に人間を求めたのである。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
岸本の書き
溜
(
た
)
めて置いた
懺悔
(
ざんげ
)
の稿はポツポツ世間へ発表されて行った。岸本と節子との最初の関係は早や多くの人の知るところと成った。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
貴方
(
あなた
)
がこれまでに犯したいちばん重い罪を神様の前に
懺悔
(
ざんげ
)
しなさい。懺悔によりて罪は亡びるのです。貴方は救われるのです。
悪魔の聖壇
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
この像の仕上げのために喜捨を募るという張り札がしてある。回廊の引っ込んだ所には、
僧侶
(
そうりょ
)
が
懺悔
(
ざんげ
)
をきく所がいくつもある。
先生への通信
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
皆さん、
懺悔
(
ざんげ
)
させて下さい。私は、チャアリイ・ロスを
誘拐
(
ゆうかい
)
して世を騒がせたジョウ・ダグラスという者です。相棒と二人でやったんです。
チャアリイは何処にいる
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
さてお
約束
(
やくそく
)
の
懺悔
(
ざんげ
)
でございますが、
私
(
わたくし
)
にとりて、
何
(
なに
)
より
身
(
み
)
にしみているのを
一
(
ひと
)
つお
話
(
はな
)
し
致
(
いた
)
しましょう。それは
私
(
わたくし
)
の
守刀
(
まもりがたな
)
の
物語
(
ものがたり
)
でございます。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
お増はそれと前後して、浅井からも謝罪めいた
懺悔
(
ざんげ
)
を聞いたのであったが、二人のなかは、やはりそれきりでは済まなかった。
爛
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
伴天連
(
ばてれん
)
様。どうかわたしの
懺悔
(
ざんげ
)
を御聞き下さい。御承知でも御座いましょうが、この頃世上に噂の高い、
阿媽港甚内
(
あまかわじんない
)
と云う
盗人
(
ぬすびと
)
がございます。
報恩記
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
ここきりの話だが底をわって言えば、そして私の
牧人
(
ひつじかい
)
なる君に至当なる
懺悔
(
ざんげ
)
をすれば、私は正当なる理性を有するのである。
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
今はむしろ疑惑不定のありのままを
懺悔
(
ざんげ
)
するに適している。そこまでが真実であって、その先は造り物になる恐れがある。
序に代えて人生観上の自然主義を論ず
(新字新仮名)
/
島村抱月
(著)
工藝に関するいかなる批評家もこの問題に会する時、ついに自らの力に最後の
判
(
さば
)
きを受ける。すべての者はこの問題の前において自ら
懺悔
(
ざんげ
)
する。
工芸の道
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
だのにそれをすぐに申し出ることを恐れた。私は私に浴びせかけられる
叱言
(
こごと
)
や
折檻
(
せっかん
)
やを恐れた。そうして私は常に、
懺悔
(
ざんげ
)
の第一の機会を失った。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
妙齢
(
みょうれい
)
の婦女子の
懺悔
(
ざんげ
)
を聴き病気見舞と称する
慰撫
(
いぶ
)
をこころみて、心中ひそかに怪しげなる情念に酔いしれるのを喜んだ。
振動魔
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
またそう考えることは、過去における幾多の死刑囚の書いた、
懺悔
(
ざんげ
)
告白の記録から見て、当然なことであろうと考える。
陰獣トリステサ
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
お引受け申して、こりや思懸けない、と相応に苦労をしました
揚句
(
あげく
)
、まず……昔の
懺悔
(
ざんげ
)
をしますような取詰め方で、ここを頼んだのでございます。
吉原新話
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
現任大蔵大臣 この尼僧はネパールのカトマンズへさして二十年程以前に、
罪障
(
ざいしょう
)
懺悔
(
ざんげ
)
のために巡礼に行かれた事がある。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
能々
(
よく/\
)
承まはれ此上は汝
積惡
(
せきあく
)
を
懺悔
(
ざんげ
)
なし本心に立歸れと
睨付
(
にらみつけ
)
られ九郎兵衞は一言もなく
閉口
(
へいこう
)
せし樣子を大岡殿
篤
(
とく
)
と見られコリヤ九郎兵衞今大源が申を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
妾の
懺悔
(
ざんげ
)
、懺悔の苦悶これを
愈
(
いや
)
すの道は、ただただ苦悶にあり。妾が天職によりて、世と
己
(
おの
)
れとの罪悪と戦うにあり。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
どんなことをも理解し
宥恕
(
ゆうじょ
)
してくれる、眼に見えない友へ、自分の心を打ち明けるという慰安を、もの悲しい楽しみを、彼は
懺悔
(
ざんげ
)
のうちに味わった。
ジャン・クリストフ:08 第六巻 アントアネット
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
Marcel Proust "La confession d'une jeune fille"(マルセル・プルウスト『少女の
懺悔
(
ざんげ
)
文』)
キャラコさん:05 鴎
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
人が、臨終の時に
為
(
な
)
す信頼は、
基督正教
(
カトリック
)
の信徒が、
死際
(
しにぎわ
)
の
懺悔
(
ざんげ
)
と同じように、神聖な重大なものに違いないと思った。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
その激した心には、芳子がこの
懺悔
(
ざんげ
)
を
敢
(
あえ
)
てした理由——
総
(
すべ
)
てを打明けて縋ろうとした態度を解釈する余裕が無かった。
蒲団
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
「じゃあ、おまえは
良心
(
りょうしん
)
に
罪
(
つみ
)
をしょわせたまま神様の前に出るつもりか」と先生がさけんだ。「あの男に
懺悔
(
ざんげ
)
させろ」
家なき子:02 (下)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
畜生め、昔の女熊坂は、死に際に、恋人の手にかかって、
女々
(
めめ
)
しく泣いて
懺悔
(
ざんげ
)
をしたかも知れねえが、このお初は、そんな
性
(
たち
)
とは丸っきり違うんだ。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
「今度は一つ私の
懺悔
(
ざんげ
)
話を聞いて戴きましょうか。勇ましい戦争の御話の後で、少し陰気過ぎるかも知れませんが」
二癈人
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
喝
(
かつ
)
、第一の宮に善根を
種
(
たねま
)
き
懺悔
(
ざんげ
)
をなすは、凡人の能はざるところにあらず、この凡人豈に大遠に通ずる生命と希望とを、いかにともするものならんや。
各人心宮内の秘宮
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
「エエドさん。」と一番
年嵩
(
としかさ
)
らしい婦人が呼びかけた。「貴方がそれ迄に
懺悔
(
ざんげ
)
なさいますには、何か
理由
(
わけ
)
がお有りでせう、聞かせて戴けないこと……」
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
一旦の
懺悔
(
ざんげ
)
によって其の罪は消えている、見なさいお嬢様の一命は助かり、お前の子はお嬢様の身代りになったんじゃ、誠に気の毒なは此の息子さん
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
ここまでお話ししたのでございますから、これから私の女難の二つ三つを
懺悔
(
ざんげ
)
いたしましょう。売卜者はうまく私の行く末を
卜
(
うらな
)
い当てたのでございます。
女難
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
阿難 ——師よ、
懺悔
(
ざんげ
)
いたします。どうぞお宥し下さい。お宥し下さい。どうぞ、どうぞ、わたくしの罪を……。
阿難と呪術師の娘
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
故にかく語りて
明
(
あきら
)
かにヨブを罪に定むると共に、彼をしてその罪を
懺悔
(
ざんげ
)
せしめて禍より救わんと計ったのである。
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
懺悔
(
ざんげ
)
や告白はひそかに自分の神の前においてのみ神妙になすべきことであって、人前で、ことに孫四郎ごとき者の前で軽々しく
喋々
(
ちょうちょう
)
すべき事柄ではない。
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死――
(新字新仮名)
/
長与善郎
(著)
尤も医者もあとで吾子を亡くして、自分が
曾
(
かつ
)
て斯々の事をした、それで
斯様
(
かよう
)
な罰を受けたと
懺悔
(
ざんげ
)
したそうですがね
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
そうして彼を苦しめたさまざまの欲望、情熱、憎悪などは、「十悪五逆」として仏の前に
懺悔
(
ざんげ
)
せられたのである。
日本精神史研究
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
子供の行末を思うその時の私の心事は実に淋しい
有様
(
ありさま
)
で、人に話したことはないが今打明けて
懺悔
(
ざんげ
)
しましょう。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
而して本篇の主とする所は太田の
懺悔
(
ざんげ
)
に在りて、舞姫は実に此懺悔によりて生じたる
陪賓
(
ばいひん
)
なり。然るに本篇題して舞姫と云ふ。
豈
(
あ
)
に不穏当の表題にあらずや。
舞姫
(新字旧仮名)
/
石橋忍月
(著)
“懺悔”の解説
懺悔(ざんげ、さんげ)とは、それぞれの宗教における神、聖なる存在の前にて、罪の告白をし、悔い改めることをいう。
なお、宗教を問わず「懺悔」という語の本来の読みは「さんげ」であるが、現在では一般的に「ざんげ」と読まれる(キリスト教の項を参照)。仏教では現在でも「さんげ」と読まれる。
(出典:Wikipedia)
懺
漢検1級
部首:⼼
20画
悔
常用漢字
中学
部首:⼼
9画
“懺悔”で始まる語句
懺悔話
懺悔録
懺悔心
懺悔文
懺悔状
懺悔也
懺悔室
懺悔座
懺悔式
懺悔物