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悉皆
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すっかり
ふりがな文庫
“
悉皆
(
すっかり
)” の例文
ところが今の空っ風で病院が無暗に
流行
(
はや
)
るでしょう。到頭此方で女房を貰う。子供が続々出来る。
最早
(
もう
)
悉皆
(
すっかり
)
土着してしまいましたよ。
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
それがお前さん、動員令が下って、出発の準備が
悉皆
(
すっかり
)
調った時分に、秋山大尉を助けるために河へ入って、死んじゃったような訳でね。
躯
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
東京は火事があぶねえから、好い着物は預けとけや、と云って、東京の
息子
(
むすこ
)
の家の目ぼしい着物を
悉皆
(
すっかり
)
預って丸焼にした家もある。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
すると、驚いたことには小刀が
悉皆
(
すっかり
)
赤錆
(
あかさび
)
になっております。これを見た時、私は何ともいえない
慚愧
(
ざんき
)
悔恨の念が胸にこみ上げて来ました。
幕末維新懐古談:37 鋳物の仕事をしたはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
多くの家具を腹の立つほど
廉
(
やす
)
く売払っても、老婆の給料まで
悉皆
(
すっかり
)
払って行くことは
覚束
(
おぼつか
)
ない、いずれ名古屋から送る積りだ、とも言った。
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
▼ もっと見る
中で幾束かの美しい麻糸をさげて売っている。
悉皆
(
すっかり
)
買おうと申込んだが、売主がおらず探しても現れず、ついに惜しい別れをしてしまった。
全羅紀行
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
「いや、冗談じゃア無い、真剣なんだ。その代り
悉皆
(
すっかり
)
こっちの味方になって、大働きに働いて貰わなければならないんだがね」
悪因縁の怨
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
知れているところでも
悉皆
(
すっかり
)
は私に話す事ができなかった。したがって慰める私も、慰められる奥さんも、共に波に浮いて、ゆらゆらしていた。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
此処
(
こゝ
)
に寝ているのが亥太郎の
親父
(
おやじ
)
長藏
(
ちょうぞう
)
と申して年六十七になり、頭は
悉皆
(
すっかり
)
禿げて、白髪の
丁髷
(
ちょんまげ
)
で、頭痛がすると見え手拭で
鉢巻
(
はちまき
)
をしているが
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
それから厚い
毛布
(
けっと
)
かフランネルを二枚に
畳
(
たた
)
んでも三枚に畳んでもようございますから今の桶の上へ
悉皆
(
すっかり
)
蒙
(
かぶ
)
せて氷の速く
融
(
と
)
けないようにします。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
「いや、まだ
悉皆
(
すっかり
)
快
(
い
)
いという訳には行かないよ。何でも三週間ぐらいは
懸
(
かか
)
るだろうと思うが……。
併
(
しか
)
しまあ、
生命
(
いのち
)
に別条の無いのが
幸福
(
しあわせ
)
さ。」
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
私とお嬢さんとの動作だけは、
悉皆
(
すっかり
)
見えたに相違ない。然し会話は聞えなかったろう。少し間隔が離れ過ぎていたから。
奥さんの家出
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「
可
(
よ
)
う御座います。僕も決して自滅したくは有りません
若
(
も
)
し
貴様
(
あなた
)
が僕の
物話
(
はなし
)
を
悉皆
(
すっかり
)
聴
(
きい
)
て、
其
(
その
)
上
(
うえ
)
で僕を救うの策を立てて下さるのなら僕は
此
(
この
)
上
(
うえ
)
もない幸福です。」
運命論者
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
それから、何だろうかと思っていると、
旋
(
やが
)
てその女郎屋の主人が、
釣棹
(
つりざお
)
を
悉皆
(
すっかり
)
纏
(
まと
)
めて、
祖父
(
じじい
)
の
背後
(
うしろ
)
へやって来たそうです。それで、「もう早く帰ろう。」というんだそうです。
夜釣の怪
(新字新仮名)
/
池田輝方
(著)
恐らく此広い世界で
略
(
ほ
)
ぼ
実
(
まこと
)
の罪人を
知
(
しっ
)
たのは己一人だろう、是まで分ッたから後は明日の昼迄には分る、面白い/\、
悉皆
(
すっかり
)
罪人の姓名と番地が分るまでは先ず荻沢警部にも黙ッて居て
無惨
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
今度こそ本当のことを
悉皆
(
すっかり
)
申し上げてしまいます。——致し方もございません。
遺書に就て
(新字新仮名)
/
渡辺温
(著)
「おまかせしてもよい。……けれども、相馬殿(彼は将門をそう呼んだ)——この武芝が、興世や経基のために、祖先代々の居館も財物も、
悉皆
(
すっかり
)
、焼き払われたことは御存知でしょうな」
平の将門
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
この讃美歌は新約
路加
(
ルカ
)
伝第十五章第十一節より第三十二節に
亙
(
わた
)
り、
放蕩児
(
ほうとうじ
)
が金を持ち、親や兄を捨て旅行して遊蕩に
耽
(
ふけ
)
り、
悉皆
(
すっかり
)
費消し尽して悲惨なる目に
遭
(
あ
)
い、改心するまでを
詠
(
よ
)
んだもので
芳川鎌子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
では兄さん、この残り餌を土で
団
(
まる
)
めておくれでないか、なるべく固く団めるのだよ、そうしておくれ。そうしておくれなら、わたしが釣った
魚
(
さかな
)
を
悉皆
(
すっかり
)
でもいくらでもお前の宜いだけお前にあげる。
蘆声
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
片岡君は朝から鎧を着たような重苦しい気分に圧迫されていたが、今やそれが取れて
悉皆
(
すっかり
)
寛
(
くつ
)
ろいだ。元日が元日らしくなって来た。
一年の計
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
あれが
悉皆
(
すっかり
)
判れば
余
(
よ
)
ほど面白かろうと思うのですが、
何
(
ど
)
うでしょう、あなたには……。読んで下さることは
能
(
でき
)
ますまいか。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「おい山本。
一寸
(
ちょっと
)
あちらの貯蔵庫を検べて見てくれないか。
先刻
(
さっき
)
の騒ぎで
悉皆
(
すっかり
)
壊れているかもしれない。あれが使えなくなってはそれこそ大変だ。」
月世界跋渉記
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
先ず
悉皆
(
すっかり
)
洗い上げて、すうッと湯屋から出て
家
(
うち
)
へ帰って来ますと、ポーンと鳴る、是が
申刻
(
なゝつ
)
と云うので、それから
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
そうして
養蚕
(
ようさん
)
の
忙
(
せわ
)
しい四月の末か五月の初までに、それを
悉皆
(
すっかり
)
金に換えて、また富士の北影の焼石ばかりころがっている小村へ帰って行くのだそうである。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そのため富五郎は
悉皆
(
すっかり
)
気を落としてしまい、気の狭い話だが、
自暴
(
やけ
)
を起して、商売の方は打っちゃらかして
幕末維新懐古談:01 私の父祖のはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
一尺足らずの獲物ながら、名人の構えた扇であった、浪之助にはその扇が、差しつけられた白刃より凄く、要介の
躰
(
からだ
)
がそれの背後に、
悉皆
(
すっかり
)
隠れたかのように思われた。
剣侠
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
十分やって行けるようにするからと云うんで、世帯道具や何や彼や大将の方から
悉皆
(
すっかり
)
持ち込んで、漸くまあ婚礼がすんだ。秋山さんは間もなく中尉になる、大尉になる。
躯
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
嘘を吐け、一度二度じゃあるまい、と畳みかけて
責
(
せ
)
めつけると、
到頭
(
とうとう
)
悉皆
(
すっかり
)
白状してしまいました
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
「
可
(
よろ
)
しい!
何卒
(
どう
)
か
悉皆
(
すっかり
)
聴かして
貰
(
もら
)
いましょう。今度は僕の方からお願します。」
運命論者
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
玄渓の病家先の
絹屋弥兵衛
(
きぬややへえ
)
という者に、討入装束として着用する鉢金頭巾や、
着込
(
きごみ
)
、羽織、その他を註文して、それも
悉皆
(
すっかり
)
出来
(
でき
)
あがったので、すべて手元を空にして支払ってしまっている。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
取てから仮粧蹈舞は
悉皆
(
すっかり
)
無くなるし
夫
(
それ
)
かとて
立茶番
(
たちちゃばん
)
も此頃は余り無い
無惨
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
「いや、現に然う宣言しているんだもの。
悉皆
(
すっかり
)
分った。これじゃ僕よりは余計飲むくせに、一滴も飲まないことになっている筈だ」
求婚三銃士
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
というので、おかめも一人旅で、連が出来たから心嬉しく思っておりますと、最う
悉皆
(
すっかり
)
そのおかみさんに馴染んで、おかみさんと一緒に寝なければ聞かない。
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
多年東京の空気に
混
(
まじ
)
っている
中
(
うち
)
に、そんなお伽話のような奇怪な伝説は、彼の
頭脳
(
あたま
)
から
悉皆
(
すっかり
)
忘れられていたのを、今や再び七兵衛
老爺
(
おやじ
)
から叱るが如くに
諭
(
さと
)
されて
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
内部の
献立
(
こんだて
)
が
悉皆
(
すっかり
)
出来上がり、会名が附いたので
届
(
とどけ
)
を出し、許可になったので、その年の秋すなわち明治十九年十一月
向
(
むこう
)
両国の貸席
井生村楼
(
いぶむらろう
)
で発会することになった。
幕末維新懐古談:48 会の名のことなど
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
忽
(
たちま
)
ち村中の問題となりいくらか残っていた彼の信用は是で
悉皆
(
すっかり
)
地に墜ちて了った。
国事犯の行方:―破獄の志士赤井景韶―
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
例年
(
れいねん
)
隣家
(
となり
)
を頼んだ
餅
(
もち
)
を
今年
(
ことし
)
は
自家
(
うち
)
で
舂
(
つ
)
くので、
懇意
(
こんい
)
な車屋夫妻が
臼
(
うす
)
、
杵
(
きね
)
、
蒸籠
(
せいろう
)
、
釜
(
かま
)
まで
荷車
(
にぐるま
)
に積んで来て、
悉皆
(
すっかり
)
舂いてくれた。
隣
(
となり
)
二軒に
大威張
(
おおいばり
)
で
牡丹餅
(
ぼたもち
)
をくばる。
肥後流
(
ひごりゅう
)
の
丸餅
(
まるもち
)
を造る。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
要するに運動というより
気儘
(
きまま
)
勝手に遊び暮したという方で、よく春の休みなどになると、机を
悉皆
(
すっかり
)
取片附けて
了
(
しま
)
って、足押、腕押などいう詰らぬ運動——遊びをしては騒いでいたものである。
私の経過した学生時代
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
これは相も
悉皆
(
すっかり
)
崩れていたという話でね。
躯
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
拭取りながら椅子に
憑
(
よ
)
り「唯だ大変とばかりでは分らぬが手掛でも有たのか(大)エ手掛、手掛は最初の事です最う
悉皆
(
すっかり
)
分りました
実
(
まこと
)
の罪人が—何町何番地の何の誰と云う事まで」荻沢は怪しみて「何うして分った(大)理学的論理的で分りました
而
(
しか
)
も非常な罪人です実に大事件です」
無惨
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
しかし然ういつも柳の下に
泥鰌
(
どじょう
)
はいない。その日の中に下り始めたから、慌てゝ手放した。前に儲けただけを
悉皆
(
すっかり
)
吐き出してしまった。
勝ち運負け運
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
本堂や墓場の掃除でもして罪滅しをして一生を送り
度
(
た
)
いので、段々のお話で私は
悉皆
(
すっかり
)
精神
(
たましい
)
を洗い、誠の人になりましたから、どうか私をお弟子にして下さいまし
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
それに当時は私も
専
(
もっぱ
)
ら師匠の仕事を手伝い、また自分が
悉皆
(
すっかり
)
任されてやったといっても
好
(
よ
)
いものもあって、自分の腕にも
脳
(
あたま
)
にも少なからずためになったものでありました。
幕末維新懐古談:21 年季あけ前後のはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
翌日になるとアマは変な病気に
罹
(
かか
)
りぼんやりして不吉な事ばかり言うようになった。家人は
不図
(
ふと
)
昨日来た巫女の話を聞き、早速その通りお祈りをすると、不思議にも二三日して
悉皆
(
すっかり
)
癒った。
さまよう町のさまよう家のさまよう人々
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「御前聴いてたんだろう、
悉皆
(
すっかり
)
」
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「すると
悉皆
(
すっかり
)
見切ってくれと電話をかけた時にはもう決心がついていたんです。お郷里の方へ言ってやっても見込はないでしょうな?」
勝ち運負け運
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
その侍を打ん殴ろうとしたから侍の
姿
(
なり
)
形は
悉皆
(
すっかり
)
知ってるから、
宜
(
い
)
いかえ、お前が幽霊になって刀の詮議をするよりか、生きていて知れりゃア死ぬにゃア及ぶめえ
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
まだ本尊が
悉皆
(
すっかり
)
出来上がらない中に、附属品も、納まるものもチャンと
揃
(
そろ
)
っている。
幕末維新懐古談:08「木寄せ」その他のはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
「僕はこれから家へ帰ってマザーに
悉皆
(
すっかり
)
謝罪する。明日から生れ更った積りで働く。君は一つ
側
(
はた
)
から大いに気を利かしてくれ給え」
脱線息子
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
茂「こゝにお
銭
(
ぜゝ
)
が有るからお前に遣る、もう私は要らないから是だけ
悉皆
(
すっかり
)
お前に遣るから、これをお父さんの形見だと思って、これでお母さんに何か買って貰いな」
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
“悉皆”の意味
《形容動詞》
悉皆(しっかい)
残すところ無く、すっかり、ことごとく。
(出典:Wiktionary)
悉
漢検準1級
部首:⼼
11画
皆
常用漢字
中学
部首:⽩
9画
“悉皆”で始まる語句
悉皆屋
悉皆成仏
悉皆浄尽