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性來
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せいらい
然し
卯平は
老衰の
身を
漸くのことで
投げ
掛けた
心の
底に
蟠つた
遠慮と
性來の
寡言とで、
自分から
要求することは
寸毫もなかつた。
やがては
墨染にかへぬべき
袖の
色、
發心は
腹からか、
坊は
親ゆづりの
勉強ものあり、
性來をとなしきを
友達いぶせく
思ひて、さま/″\の
惡戯をしかけ
且性來記憶力に
乏しき
余は、
此等の
病症の
爲に
益其※退するを
感じ、
治療法に
苦心せる
時、
偶冷水浴を
爲して
神に
祷願せば
必ず
功驗ある
可しと
告ぐる
人あり。
早くせし
以來は何にも彼にも只二人
偖我口より此樣な事を申すは
自負に
似たれど
吾儕は
性來潔白にて只正直を
一葉女史はおのれと
同じ
園生にありて
萩の
舍の
露におほし
立られし
下葉なり
萩の
舍中島の
師は
常にいにしへぶりのしなたかきを
教さとし
給へれど
性來のすき
心によの
耳ちかく
俗に
今樣の
情態を
彼は
性來嚴疊で
大きな
身體であつたけれど、
其の
蹙めたやうな
目には
不斷に
何處か
軟かな
光を
有つて
居るやうで
口惜しげに
相手を
睨みしこともありしがそれは
無心の
昔なり
我れ
性來の
虚弱とて
假初の
風邪にも
十日廿日新田の
訪問懈れば
彼處にも
亦一人の
病人心配に
食事も
進まず
稽古ごとに
行きもせぬとか
此の二つの
外には
別段此れというて
數へる
程他人の
記憶にも
残つて
居なかつた。それでも
彼の
大きな
躰躯と
性來の
器用とは
主人をして
比較的餘計な
給料を
惜ませなかつた。
元來一
腹一
對の
中に
育ちて
他人交ぜずの
穩かなる
家の
内なれば、さして
此兒を
陰氣ものに
仕立あげる
種は
無けれども、
性來をとなしき
上に
我が
言ふ
事の
用ひられねば
兎角に
物のおもしろからず