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山蔭
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やまかげ
ふりがな文庫
“
山蔭
(
やまかげ
)” の例文
それは本土との交通がほとんどなく、少数の貧しい漁夫たちが、所々の寂しい
山蔭
(
やまかげ
)
に住んでるような、暗く
荒寥
(
こうりょう
)
とした
島嶼
(
とうしょ
)
であった。
小泉八雲の家庭生活:室生犀星と佐藤春夫の二詩友を偲びつつ
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
雪枝
(
ゆきえ
)
が
路
(
みち
)
を
分
(
わ
)
け、
巌
(
いは
)
を
伝
(
つた
)
ひ、
流
(
ながれ
)
を
渉
(
わた
)
り、
梢
(
こずゑ
)
を
攀
(
よ
)
ぢ、
桂
(
かつら
)
を
這
(
は
)
つて、
此処
(
こゝ
)
に
辿
(
たど
)
り
着
(
つ
)
いた
山蔭
(
やまかげ
)
に、はじめて
見
(
み
)
たのは
此
(
こ
)
の
桜
(
さくら
)
で。……
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
草のかおりがする。雨と空気と新鮮な嵐と、
山蔭
(
やまかげ
)
は
咽
(
むせ
)
ぶばかりの
松脂
(
まつやに
)
のにおいである。
駛
(
はし
)
る、駛る、新世界の大きな昆虫。
木曾川
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
平常
(
ふだん
)
は
静
(
しず
)
かな
山蔭
(
やまかげ
)
の
港
(
みなと
)
も、あらしの
日
(
ひ
)
にはじつに
気味悪
(
きみわる
)
い
港
(
みなと
)
でありました。
船乗
(
ふなの
)
りらはこの
石
(
いし
)
の
音
(
おと
)
をきくと、ひやりと
体
(
からだ
)
じゅうが
寒
(
さむ
)
くなるといいます。
カラカラ鳴る海
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
きょうは月並の祭日か、日本三大
神楽
(
かぐら
)
の一つに数えられている、三峰神社の太鼓が
山蔭
(
やまかげ
)
にとどろいて聞こえてくる。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
山蔭
(
やまかげ
)
の土に四
月
(
つき
)
も五
月
(
つき
)
もひつゝいて居る落葉のやうなものを着て居るのです。竹の棒やら、木の
片
(
はし
)
やらを皆持つて居て私等の足に近い所を叩いて居るのです。
私の生ひ立ち
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
するとその
時
(
とき
)
、この
国
(
くに
)
の
国守
(
こくしゅ
)
の
山蔭
(
やまかげ
)
の
中将
(
ちゅうじょう
)
という人が、
大
(
おお
)
ぜい
家来
(
けらい
)
を
連
(
つ
)
れてお
通
(
とお
)
りかかりになりました。
鉢かつぎ
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
こう思って
各々
(
めいめい
)
は同じく山下へ入り込んで行きましたが、
究竟
(
くっきょう
)
と思う
木蔭
(
こかげ
)
山蔭
(
やまかげ
)
をも無事に通り抜けさして、ついに
鶯谷
(
うぐいすだに
)
、
新坂
(
しんざか
)
の下まで乗物を送って来てしまいました。
大菩薩峠:01 甲源一刀流の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「こんなふうにたびたびお訪ねくださる光栄を得て、
山蔭
(
やまかげ
)
の家も明るくなってきた気がします」
源氏物語:47 橋姫
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
惑
(
まど
)
はしの幸福に暫くの間溺れ——次には悔いと恥ぢの苦い涙にむせんでゐるのと——村の小學教師となつて健全な英國中部地方の快い
山蔭
(
やまかげ
)
に、自由に、正直にしてゐるのと
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
今夜は宿が見つからず、
山蔭
(
やまかげ
)
の渓谷の大樹の下に草を
藉
(
し
)
いて、四人がごろ
寐
(
ね
)
をしている。
悟浄歎異:―沙門悟浄の手記―
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
売茶翁
(
ちやをうるおきな
)
に問ば、これは
山蔭
(
やまかげ
)
の谷にあるなり、めしたまはゞすゝめんといふ。さらばとて
乞
(
こ
)
ひければ
翁
(
おきな
)
菜刀
(
なきりはうてう
)
を
把
(
とり
)
、
盎
(
さら
)
のなかへさら/\と
音
(
おと
)
して
削
(
けづ
)
りいれ、豆の
粉
(
こ
)
をかけていだせり。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
その蓮池の
山蔭
(
やまかげ
)
。
名君忠之
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
見返ればハヤたらたらさがりに、その
肩
(
かた
)
躑躅
(
つつじ
)
の花にかくれて、
髪
(
かみ
)
結
(
ゆ
)
ひたる
天窓
(
あたま
)
のみ、やがて
山蔭
(
やまかげ
)
に見えずなりぬ。
竜潭譚
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
黄昏
(
たそがれ
)
近きを思わせた
山蔭
(
やまかげ
)
の道も、明るく
展
(
ひら
)
けて来た視野には、なお夕陽にはだいぶ間のある空であった。
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
売茶翁
(
ちやをうるおきな
)
に問ば、これは
山蔭
(
やまかげ
)
の谷にあるなり、めしたまはゞすゝめんといふ。さらばとて
乞
(
こ
)
ひければ
翁
(
おきな
)
菜刀
(
なきりはうてう
)
を
把
(
とり
)
、
盎
(
さら
)
のなかへさら/\と
音
(
おと
)
して
削
(
けづ
)
りいれ、豆の
粉
(
こ
)
をかけていだせり。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
普通の人から立てられる使いもまれな
山蔭
(
やまかげ
)
へ、院のお
便
(
たよ
)
りを持って阿闍梨が来たのであったから、宮は非常にうれしく思召して山里らしい
酒肴
(
しゅこう
)
もお出しになっておねぎらいになった。お返事
源氏物語:47 橋姫
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
畠
(
はた
)
うつや鳥さへ
啼
(
なか
)
ぬ
山蔭
(
やまかげ
)
に
郷愁の詩人 与謝蕪村
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
南むきの
山蔭
(
やまかげ
)
に七、八軒の長屋がある。時親に代って飛び領の百姓を差配している山武士の家族と牛や馬の小屋だが、同日の
午
(
ひる
)
さがり、上の山荘から耳の遠い
婆
(
ばば
)
がここへ来て
私本太平記:07 千早帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
水
(
みづ
)
を……
水
(
みづ
)
をと
唯
(
たゞ
)
云
(
い
)
つたのに、
山蔭
(
やまかげ
)
に
怪
(
あや
)
しき
伏屋
(
ふせや
)
の
茶店
(
ちやみせ
)
の、
若
(
わか
)
き
女房
(
にようばう
)
は、
優
(
やさ
)
しく
砂糖
(
さたう
)
を
入
(
い
)
れて
硝子盃
(
コツプ
)
を
與
(
あた
)
へた。
藥師
(
やくし
)
の
化身
(
けしん
)
の
樣
(
やう
)
に
思
(
おも
)
ふ。
人
(
ひと
)
の
情
(
なさけ
)
は、
時
(
とき
)
に、あはれなる
旅人
(
たびびと
)
に
惠
(
めぐ
)
まるゝ。
麻を刈る
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
しかし小野の
山蔭
(
やまかげ
)
には春のきざしらしいものは何も見ることができない。
源氏物語:55 手習
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
父
(
ちゝ
)
が
此
(
こ
)
の
処
(
ところ
)
を
巡廻
(
じゆんくわい
)
した
節
(
せつ
)
、
何処
(
どこ
)
か
山蔭
(
やまかげ
)
の
小
(
ちひ
)
さな
堂
(
だう
)
に、
美
(
うつくし
)
い
二十
(
はたち
)
ばかりの
婦
(
をんな
)
の、
珍
(
めづら
)
しい
彫像
(
てうざう
)
が
有
(
あ
)
つたのを、
私
(
わたくし
)
の
玩弄
(
おもちや
)
にさせうと、
堂守
(
だうもり
)
に
金子
(
かね
)
を
遣
(
や
)
つて、
供
(
とも
)
のものに
持
(
も
)
たせて
帰
(
かへ
)
つたのを、
他
(
ほか
)
に
姉妹
(
きやうだい
)
もなし
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
山
常用漢字
小1
部首:⼭
3画
蔭
漢検準1級
部首:⾋
14画
“山”で始まる語句
山
山家
山路
山羊
山茶花
山間
山中
山谷
山毛欅
山車