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小手
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こて
ふりがな文庫
“
小手
(
こて
)” の例文
焚火の前には彼より先に熊の胴服を寛々と着て
小手
(
こて
)
脛当
(
すねあて
)
で身を
鎧
(
よろ
)
った、
頬髯
(
ほおひげ
)
の黒い、総髪の一人の荒武者が腰かけていたが、数馬
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「ガロアが、四月に、まっぱだかで川を泳いだ、とその本に書いていたかね。」私はお
小手
(
こて
)
をとるつもりで、そう言ってやった。
乞食学生
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
問はゞ左りへ
綾
(
あや
)
なし越前とやら
名
(
めい
)
奉行でも何の
恐
(
おそ
)
るゝ事やあらんと
高手
(
たかて
)
小手
(
こて
)
は
縛
(
いまし
)
めの繩の
縷
(
より
)
さへ戻す氣で引れ行くこそ
不敵
(
ふてき
)
なれ。
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
小手
(
こて
)
をかざしてみれば、いちめんの
高原植物
(
こうげんしょくぶつ
)
、月光と
露
(
つゆ
)
に
繚乱
(
りょうらん
)
たるなかに、ぽちりと、ひとりの少女のすがたが、ありありと立って見えた。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、遠くへ
小手
(
こて
)
をかざして与吉がさけぶと、それと聞いて萩乃は、今までおくれがちだった脚が、にわかにはやまって……。
丹下左膳:03 日光の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
▼ もっと見る
主人が主人なれば、家来もまた家来……主人を
嵩
(
かさ
)
に着た家来たちのために、到頭
高手
(
たかて
)
小手
(
こて
)
に締め上げられてしまいました。
棚田裁判長の怪死
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
よいか。そしてその真中へ鎧、刀これも三十人分、甲は無論
小手
(
こて
)
脛当
(
すねあて
)
まで添えて並べ立てた。
金高
(
かねだか
)
にしたらマルテロの御馳走よりも、
嵩
(
かさ
)
が張ろう。
幻影の盾
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
多門
(
たもん
)
は
小手
(
こて
)
を一本に
面
(
めん
)
を二本とりました。数馬は一本もとらずにしまいました。つまり三本勝負の上には
見苦
(
みぐる
)
しい負けかたを致したのでございまする。
三右衛門の罪
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
蔵へまいって
著込
(
きごみ
)
を持ってまいれの、
小手
(
こて
)
脛当
(
すねあて
)
の用意のと云っているうちに、
夜
(
よ
)
はほの/″\と明け渡りたれば、もう狼藉者はいる
気遣
(
きづかい
)
はなかろうと
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
そのうちに、こちらの
立合
(
たちあい
)
は、一方が
焦
(
じ
)
れて
小手
(
こて
)
を打ちに来るのを、得たりと一方が竹刀を頭にのせて勝負です。
大菩薩峠:01 甲源一刀流の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
抜き打ちに敵の
小手
(
こて
)
に斬りつけた。あいにくと少年のことで、一尺八寸ばかりの
小脇差
(
こわきざし
)
しか差していない。
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
これは、ほんの
小手
(
こて
)
しらべだよ。まだまだおどろくことがある。さあ、何をやらせようかな。うん、そうだ。
将棋
(
しょうぎ
)
をさすことにしよう。Qは将棋がうまいのだよ。
鉄人Q
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
これは似たような絵じゃが、
余吾将軍維茂
(
よごしょうぐんこれもち
)
ではない。見さっしゃい。
烏帽子素袍大紋
(
えぼしすおうだいもん
)
じゃ。手には
小手
(
こて
)
、
脚
(
あし
)
にはすねあてをしているわ……
大森彦七
(
おおもりひこしち
)
じゃ。南無妙
縁結び
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
そのうちに或る船の船頭……それは老人で、さっきから
彼
(
か
)
の男と同じように、
小手
(
こて
)
をかざして陸上の空を仰いでいたのであるが、俄かに突っ立ちあがって大音に
呶鳴
(
どな
)
った。
半七捕物帳:32 海坊主
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
浅野弥兵衛が頭分で、いずれも口利であり、外交駈引接衝応対の
小手
(
こて
)
の利いた者共である。
蒲生氏郷
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
もう十日にもなるが一向に
音便
(
おとさた
)
なく、
小手
(
こて
)
をかざして巴里の方角を眺めやれば、うす薔薇色の雲がたな引き、いかにも快活な空模様であるに引きかえ、この島には雨雲低く垂れ
ノンシャラン道中記:01 八人の小悪魔
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
すなわち
攫者
(
キャッチャー
)
が面と
小手
(
こて
)
(
撃剣
(
げきけん
)
に用うる面と小手のごとき者)を着けて
直球
(
ジレクトボール
)
を
攫
(
つか
)
み
投者
(
ピッチャー
)
が
正投
(
ピッチ
)
を学びて今まで九球なりし者を四球(あるいは六球なりしか)に改めたるがごときこれなり。
ベースボール
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
小手
(
こて
)
をかざして、どぎつい太陽の光をさえぎりつつ、なおも峰々へ眼をやった。
氷河期の怪人
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「ものゝふの矢なみつくろふ
小手
(
こて
)
の上に霰たばしる那須の篠原」という実朝の歌は、殆ど
森厳
(
しんげん
)
に近いような霰の趣である。芭蕉は身に親しく霰を受けて「いかめしき音や霰の
檜木笠
(
ひのきがさ
)
」と
詠
(
よ
)
んだ。
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
武田博士は、
小手
(
こて
)
をかざして、黒々とそびえ立つ槍岳をあおいだ。
昭和遊撃隊
(新字新仮名)
/
平田晋策
(著)
「
新
(
しん
)
ちゃん、
僕
(
ぼく
)
は、お
小手
(
こて
)
がうまいのだぜ。」
はととりんご
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「そこで
小手
(
こて
)
も取られたんだあねですか」
いたずら小僧日記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
そのとき、ふもとのほうから、ワーッという、ただならぬ
鬨
(
とき
)
の
声
(
こえ
)
がおこった。
鎖
(
くさり
)
はまだきれていないが、
忍剣
(
にんけん
)
はその声に、
小手
(
こて
)
をかざして見た。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
このとき、うしろの
蔵宿
(
くらやど
)
両口屋から出てきた老人の侍が、おなじく
小手
(
こて
)
をかざして栄三郎を望見していた。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
しかし数馬は気合いをかけながら、
鮮
(
あざや
)
かにそれを切り返しました。同時にまた多門の
小手
(
こて
)
を打ちました。わたくしの依怙の致しはじめはこの
刹那
(
せつな
)
でございまする。
三右衛門の罪
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「あの隣りの客は
竹刀
(
しない
)
と
小手
(
こて
)
の事ばかり云ってるじゃないか。全体何者だい」と圭さんは
呑気
(
のんき
)
なものだ。
二百十日
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
踏込
(
ふみこみ
)
し故に終には
折重
(
をりかさ
)
なりて段右衞門を
高手
(
たかて
)
小手
(
こて
)
に
縛
(
いまし
)
め家内の者は宿役人に預けられ段右衞門は江戸表大岡殿の
白洲
(
しらす
)
へぞ引れける斯くて大岡殿は重四郎の段右衞門を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
このようにして名探偵と大盗賊の初対面の
小手
(
こて
)
しらべは、みごとに探偵の勝利に帰しました。
怪人二十面相
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
脚本は在来の「
和田合戦女舞鶴
(
わだかっせんおんなまいづる
)
」をそのままであったが、かの門破りの場に出る板額は、下げ髪にうしろ鉢巻、
直垂
(
ひたたれ
)
に
小手
(
こて
)
脛当
(
すねあて
)
をつけて
毛沓
(
けぐつ
)
を
穿
(
は
)
いているという
活歴式
(
かつれきしき
)
のこしらえで
明治劇談 ランプの下にて
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
腹巻き一つ着けたもの、
小手
(
こて
)
脛当
(
すねあ
)
てだけ付けた者、そうかと思うと半裸体の乞食非人さながらの者、それがいずれも意気
軒昂
(
けんこう
)
と、血まみれの槍や刀を
携
(
たずさ
)
え
屯
(
たむ
)
ろしているのでございます
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
と切り声を掛け、
小手
(
こて
)
も動かさず、いきなりに抜きつけた。又内は
狼狽
(
ろうばい
)
して
無惨やな
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
驚破
(
すは
)
秋草
(
あきぐさ
)
に、あやかしのついて
候
(
さふらふ
)
ぞ、と
身構
(
みがまへ
)
したるほどこそあれ、
安下宿
(
やすげしゆく
)
の
娘
(
むすめ
)
と
書生
(
しよせい
)
として、
出來合
(
できあひ
)
らしき
夫婦
(
ふうふ
)
の
來
(
きた
)
りしが、
當歳
(
たうさい
)
ばかりの
嬰兒
(
あかんぼ
)
を、
男
(
をとこ
)
が、
小手
(
こて
)
のやうに
白
(
しろ
)
シヤツを
鎧
(
よろ
)
へる
手
(
て
)
に
弥次行
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「お
小手
(
こて
)
。」
はととりんご
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
龍巻
(
たつまき
)
は、
舌
(
した
)
うちをしてふりかえった。
社
(
やしろ
)
の
廻廊
(
かいろう
)
にたって、
小手
(
こて
)
をかざしていた
民蔵
(
たみぞう
)
は、なおぎょうさんにとびあがって
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
何
(
なん
)
でも先生に学んだ
一人
(
ひとり
)
は武徳会の大会に出、相手の
小手
(
こて
)
へ
竹刀
(
しなひ
)
を入れると、余り気合ひの
烈
(
はげ
)
しかつた為に相手の腕を一打ちに折つてしまつたとか云ふことだつた。
本所両国
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
高手
(
たかて
)
小手
(
こて
)
に
縛
(
しば
)
りあげ傍らなる
柱
(
はしら
)
へ
縛
(
くゝ
)
り
着置
(
つけおき
)
ヤレ/\大騷ぎをしたりと云ながら其身は
臥寢
(
ふしど
)
に
入
(
いり
)
たりけり
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
「そこで、その、相手が
竹刀
(
しない
)
を落したんだあね。すると、その、ちょいと、
小手
(
こて
)
を取ったんだあね」
二百十日
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
くるわの火消しがまっさきに駈けあがったが、その一人は左の肩を切られて転げ落ちた。つづいて上がろうとした一人も、
手鳶
(
てとび
)
を柄から斜めに切られて、余った切っ先きで
小手
(
こて
)
を傷つけられた。
籠釣瓶
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
頭領は断崖の
縁
(
ふち
)
に立って、黒暗々たる淵の底を
小手
(
こて
)
をかざして見入った。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
万吉も
小手
(
こて
)
をかざしていた。その間にも、二人の影を
隈
(
くま
)
どって、稲光りの
閃光
(
せんこう
)
がしきりに明滅した。
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
隣り座敷の
小手
(
こて
)
と
竹刀
(
しない
)
は双方ともおとなしくなって、向うの
椽側
(
えんがわ
)
では、六十余りの
肥
(
ふと
)
った
爺
(
じい
)
さんが、丸い
背
(
せ
)
を柱にもたして、
胡坐
(
あぐら
)
のまま、毛抜きで
顋
(
あご
)
の
髯
(
ひげ
)
を一本一本に抜いている。
二百十日
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
日ならず二人は綱利の前で、晴れの
仕合
(
しあい
)
をする事になった。
始
(
はじめ
)
は甚太夫が兵衛の
小手
(
こて
)
を打った。二度目は兵衛が甚太夫の
面
(
めん
)
を打った。が、三度目にはまた甚太夫が、したたか兵衛の小手を打った。
或敵打の話
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
小手
(
こて
)
をかざせば望めるような——或いは川をへだてて相対しているような——または、丘と丘とで睨み合えるような——郡を隣りしているそれらの城と城とのあいだには
新書太閤記:10 第十分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
城らしきものは
霞
(
かすみ
)
の奥に閉じられて
眸底
(
ぼうてい
)
には写らぬが、流るる
銀
(
しろがね
)
の、
烟
(
けむり
)
と化しはせぬかと疑わるまで末広に薄れて、空と雲との境に入る程は、
翳
(
かざ
)
したる
小手
(
こて
)
の下より遙かに双の
眼
(
まなこ
)
に
聚
(
あつ
)
まってくる。
幻影の盾
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
すると今度は
数馬
(
かずま
)
から
多門
(
たもん
)
の
小手
(
こて
)
へしかけました。多門はその
竹刀
(
しない
)
を払いざまに、数馬の小手へはいりました。この多門の取った小手は数馬の取ったのに比べますと、弱かったようでございまする。
三右衛門の罪
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
対岸の東
美濃
(
みの
)
から、
小手
(
こて
)
をかざして見ている斎藤方の兵は、またもかと、笑止がっていた。
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
右の
股
(
もも
)
、左の
小手
(
こて
)
に一ヵ所、浅からぬ傷さえうけた様子である。
鳴門秘帖:06 鳴門の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
跳びかかって、ぱっと、紋太夫の
小手
(
こて
)
をつかんだ者がある。
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、
小手
(
こて
)
をかざして、肉眼で見当をつける。
鳴門秘帖:04 船路の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
春ちかければ
小手
(
こて
)
の上の
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
小
常用漢字
小1
部首:⼩
3画
手
常用漢字
小1
部首:⼿
4画
“小手”で始まる語句
小手招
小手指
小手毬
小手技
小手調
小手先
小手鞠
小手指原
小手下
小手古