しょう)” の例文
かれは、つかればしかられるということをほのめかしたのでした。それから、物置ものおきけて、なかから、からの一しょうびんをしました。
真昼のお化け (新字新仮名) / 小川未明(著)
しょう糧米りょうまいと、一羽の赤い雄雞おんどりと、一升の酒とを或る蛮人に贈って、生きながら虎に変ずるの秘法を伝えられたのであった。
そのばん、俵的と女房だけを病院に残し、私は家へ帰ると台所から冷酒の入った一しょうびんを持ってきて机の上におき、コップで、ぐいぐいとあおった。
親馬鹿入堂記 (新字新仮名) / 尾崎士郎(著)
あっちはくりの出る所でしてね。まあ相場がざっとりょうに四升ぐらいのもんでしょうかね。それをこっちへ持って来ると、しょうに一円五十銭もするんですよ。
永日小品 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
二合になり三合になり、相手があると一しょうの酒を飲む。それだけでやまずにおりおり外へでて喧嘩をする、かれはうとかならず喧嘩をするのであった。
ああ玉杯に花うけて (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
しかるに場合によるとその枡より大きな一斗五しょうますで取立てる事もあり、また七升五合枡で取立てる事もあるから、納税者にとっては大変幸不幸がある。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
「それでは、文句はいままでのとおりにしましょう。そこで今日のお礼ですが、あなたは黄金きんのどんぐり一しょうと、塩鮭しおざけのあたまと、どっちをおすきですか。」
どんぐりと山猫 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
ただあやまるだけで済めばいが、酒を五しょうにわとりと魚か何かをもって来て、それで手をうって塾中でおおいに飲みました。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
各自がうちから持って来た盛相飯もっそうめしあとにして、真中に置いた五しょう入りぐらいな飯鉢めしばちの中にある団子だんごを指でつまんで旨そうに喫いだした。団子は煮た黒い黍団子きびだんごであった。
岩魚の怪 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
何がさて南蛮キリシタン国は広大富貴ふうきの国なれば、投薬の報謝、門徒の布施は一せつ受けぬ。かえつて宗門に帰依きえする者には、毎日一人あて米一しょう、銀八分をば加配する。
ハビアン説法 (新字旧仮名) / 神西清(著)
「はーい。米五ン合の豆一しょう。こいつは軽いぞ煮干にぼしかな。ほい、もう一つ米一升の豆五ン合——」
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
押絵の三人一組が二円。軍隊の襯衣シャツ縫いと足袋の底刺しが一日十何銭、米が一しょう十銭といったような言葉がまだ六歳の私の耳に一種の凄愴味を帯びて泌み込むようになった。
父杉山茂丸を語る (新字新仮名) / 夢野久作(著)
それもわるいとはもうさぬが、しかし一しょうますには一しょう分量ぶんりょうしかはいらぬ道理どうりで、そなたの器量うつわおおきくならぬかぎり、いかにあせってもすべてがちるというわけにはまいらぬ。
アアつまらねえ、こう何もかもぐりはまになった日にゃあ、おれほどのものでもどうもならねえッ。いめえましい、酒でもくらってやれか。オイ、おとま、一しょうばかり取って来な。
貧乏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
五分間ばかりで四しょうあまりの乳をしぼった。しぼったちちは、高くもりあがったあわが雪のように白く、毛のさきほどのほこりもない。主人はおぼえずみごとな腕前うでまえだと嘆称たんしょうした。
(新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
しょうますの冷酒に舌うち鳴らした上、料紙とすずりを借りうけ、何かしたためたものを小袖づつみの生首のもとどりに結びつけて、たッた今愛宕あたご通りを左へ曲がって行ったということが仔細に分った。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
火のなみ吹放ふきはなされて、西へ——西へ——毎日々々、百日と六日のあいだ、鳥の影一つ見えない大灘おおなだを漂うて、お米を二しょうに水一薄粥うすがゆで、二十人の一日の生命いのちつないだのも、はじめの内。
印度更紗 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
けれども、子供こどもたちがれてくれないものですから、こまって、むら油屋あぶらやへ行って、あぶらを一しょうぬすんで、それをみんなんで、のどをやわらかにして、またもどってて、とんとんとをたたきました。
物のいわれ (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
わしおまえは六合の米よ、早くイッショ(一緒いっしょ、一しょう)になれば好い」
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
私は米を一しょうほどと、野菜屋では、玉葱たまねぎ山東菜さんとうなを少しばかり求めて、ねこの子でもかくしているかのように前掛けでくるりと巻くと、何度となく味わったこれだけあれば明日いっぱいはと云う心安さや
清貧の書 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
田舎いなかの一しょう江戸えどでも一しょう
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
おくさま、まことに、おどくですけれど、ばんべるこめがないのです。どうか、一しょうばかり、おしくださいませんか。」と、つばをのみのみたのみました。
奥さまと女乞食 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「あっはっは。おかしなはなしだ。九十八の足さきというのは、九十八の切株きりかぶだろう。それがどうしたというんだ。おれはちゃんと、山主の藤助とうすけに酒を二しょう買ってあるんだ。」
かしわばやしの夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
「あの時分には、君は一しょうぐらい飲んだって平気だったが、今でもいくだろうね」
雨夜続志 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
「お前も知っている通り、飛騨の国は米が少いのだから、これを十倍にして返してれるか。」お杉は黙って首肯うなずいて去った。すると、その晩のうちに一しょうほどの白米が、その家の前にき散らされてあった。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
その頃はお米が一しょう十銭より下で御座いましたろうか。
押絵の奇蹟 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「ほんとうにまめがあったの。それは、なくならないうちにっておいたほうがいい。はやく、おまえいって、二しょうばかりっておいでなさい。」と、おかあさんはいわれました。
ごみだらけの豆 (新字新仮名) / 小川未明(著)
あぶら一しょうでとうろりとろり
かしわばやしの夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)