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出張
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でば
ふりがな文庫
“
出張
(
でば
)” の例文
一番目の兄も、
機嫌
(
きげん
)
の好い時は、わざわざ奥から玄関まで
出張
(
でば
)
って来る。そうしてみんないっしょになって、益さんに
調戯
(
からか
)
い始める。
硝子戸の中
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
百合、
撫子
(
なでしこ
)
などの造花に、
碧紫
(
あおむらさき
)
の電燈が
燦然
(
さんぜん
)
と輝いて——いらっしゃい——受附でも
出張
(
でば
)
っている事、と心得違いをしていたので。
開扉一妖帖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
女ひとりを引っ立てて来るのに四、五人の
出張
(
でば
)
りはちっと
仰山
(
ぎょうさん
)
らしいが、庄兵衛の申立てによって奉行所の方でも幾分か警戒したらしい。
青蛙堂鬼談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
まあ聞け、こういうわけなんだ、どの方面と名は言わないが、このおれにひとつ京都へ
出張
(
でば
)
ってみないかという話が持ちかけられたんだよ。
大菩薩峠:41 椰子林の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
子分二 おい、何だと言っているんだ?(二人返事をせぬ)……この辺に見かけねえ面だか、今日
出張
(
でば
)
りりの
外手
(
ほかで
)
の者じゃなさそうだ。何だ?
天狗外伝 斬られの仙太
(新字新仮名)
/
三好十郎
(著)
▼ もっと見る
それから私たちは泥岩の
出張
(
でば
)
った
処
(
ところ
)
に
取
(
と
)
りついてだんだん上りました。一人の生徒はスイミングワルツの
口笛
(
くちぶえ
)
を
吹
(
ふ
)
きました。
イギリス海岸
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
第一、吉野川の上流平和な地域にそんな事件がかつてないせいもあったろうが、なにしろ、
龍耳
(
りゅうじ
)
老人が
出張
(
でば
)
ってくるなんてまことに珍らしい。
鳴門秘帖:05 剣山の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「うんそれが、なんでも朝鮮沖の、
欝陵島
(
うつりょうとう
)
の根拠地へ
出張
(
でば
)
ってるんだそうだ。成る程あそこは、ナガス鯨の本場だからな」
動かぬ鯨群
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
「わたしが自分で
遣
(
や
)
ります。」こう云って、エルリングは左の方を指さした。そこは
龕
(
がん
)
のように
出張
(
でば
)
っていて、その中に
竈
(
かまど
)
や
鍋釜
(
なべかま
)
が置いてあった。
冬の王
(新字新仮名)
/
ハンス・ランド
(著)
「御用筋が
忙
(
せわ
)
しくて他町の騒動を外にしていた親分もこれじゃあいかさま
出張
(
でば
)
らにゃなるめえ。ほい来た
奴
(
やっこ
)
、それ急げ! 三度に一度あ
転
(
こ
)
けざあなるめえ!」
釘抜藤吉捕物覚書:06 巷説蒲鉾供養
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
大「いえ、どうも
甚
(
はなは
)
だ何もございませんで、此の辺は誠にどうも……市ヶ谷から
此処
(
これ
)
へ
出張
(
でば
)
りますことで、
好
(
い
)
い道具や何かは皆
此方
(
こちら
)
の蔵へ入れ置きますという事で」
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
いよいよ
空の家
(
エア・ハウス
)
へまで
出張
(
でば
)
って来てから、かなり長い思索の時間をもったように聞えるが、じつはただ——出来るだけ悠然とこのチャアルス
街
(
がい
)
角の入口をまたぎながら
踊る地平線:04 虹を渡る日
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
「玻璃窓の平八お
出張
(
でば
)
りござる」「鼠小僧がおりましょうぞ」「ううん」とこれには平八老人も
名人地獄
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
年の頃四十五六、頬の思切つて
出張
(
でば
)
ツた、眼の飛出した、鼻の先の赭い、顏の大きな
老爺
(
おやぢ
)
だ。
昔の女
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
行く手には、岬のように
出張
(
でば
)
った山の鼻が、真黒い
衝立
(
ついたて
)
となって立ち
閉
(
ふさ
)
がり、その仰向いて望む凸凹な山の脊には、たった一つ、
褪朱色
(
たいしゅいろ
)
の火星が、チカチカと引ッ掛っていた。
鉄路
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
そこへお師匠さんまで
出張
(
でば
)
って呉んなすったんでげすから、若旦那も
冥加
(
みょうが
)
に尽きるなかと申してな、へっへ、
下方衆
(
したかたしゅう
)
はもう寄ると触るとその噂で——いや、本心、へへへへへへ
助五郎余罪
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
岩屋島の断崖は複雑な凸凹を為していて、その一番
出張
(
でば
)
った部分に魔の淵の洞穴があった。
孤島の鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
ちょうど月代りの最後の日で、呉服橋からは、せんぶりの千太が高慢ちきな顔をして
出張
(
でば
)
って来て、ひと目見るなり、こりゃア、虎列剌だ、まぎれはねえ、で引きとって行った。
顎十郎捕物帳:05 ねずみ
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
褐色に黒ずんで固まつてゐるものだから、
尚
(
なお
)
さら小さく見えた。顔は
面長
(
おもなが
)
の方だつた。骨組はがつしりしてゐるらしいが、どれも一様に胸はくぼみ、腰骨がひどく
出張
(
でば
)
つて見えた。
夜の鳥
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
彼は何か
出張
(
でば
)
った石の頭に
蹉
(
つまず
)
いて
踉
(
よろ
)
けた。
御身
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
あくる朝、奥野は藤次郎をつれて再び柳島へ
出張
(
でば
)
ると、さらに新しい事実が発見された。お園の死骸が柳島橋の下に浮かんでいたのである。
真鬼偽鬼
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
子分二 おい、何だといっているんだ? (二人返事をせぬ)……この辺に見かけねえ面だが、今日
出張
(
でば
)
りの
外手
(
ほかで
)
の者じゃ無さそうだ。何だ?
斬られの仙太
(新字新仮名)
/
三好十郎
(著)
向こうの
藤棚
(
ふじだな
)
の陰に見える少し
出張
(
でば
)
った新築の中二階などとくらべると、まるで比較にならないほど趣が違っていた。
手紙
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
桐井角兵衛
(
きりいかくべえ
)
のさしずで、少し遅れて
出張
(
でば
)
ってきた徳島の
町同心
(
まちどうしん
)
、
浅間丈太郎
(
あさまじょうたろう
)
、田宮善助、
助同心
(
すけどうしん
)
岡村
勘解由
(
かげゆ
)
。
鳴門秘帖:05 剣山の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
なんかと与吉、この道は始めてのくせに例のとおり知ったかぶりをして、
出張
(
でば
)
った山鼻の小径を曲がる——が早いか、血相をかえたつづみの与の公、ギオッ!
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
近所
(
きんじよ
)
の
犬
(
いぬ
)
は
遠
(
とほ
)
くから
遁
(
に
)
げさうな、が、
掻垂眉
(
かいだれまゆ
)
のちよんぼりと、
出張
(
でば
)
つた
額
(
ひたひ
)
にぶら
下
(
さが
)
つた
愛嬌造
(
あいけうづく
)
り、と
見
(
み
)
ると、なき
一葉
(
いちえふ
)
がたけくらべの
中
(
なか
)
の、
横町
(
よこちやう
)
の
三五郎
(
さんごらう
)
に
似
(
に
)
て
居
(
ゐ
)
る。
松の葉
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
時に
明和
(
めいわ
)
の元年、勝山の御城主にお成りなさいました粂野美作守さまのお
城普請
(
しろぶしん
)
がございまして、人足を雇い、お
作事
(
さくじ
)
奉行が
出張
(
でば
)
り、本山寺へ入らっしゃいまして方々御見分が有ります。
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「ああも店々が繁昌するのは、夜鷹宿が嗜好に合ったからだ。それ夜鷹宿をもっとふやせ」——というのであちこちに巣食っていた夜鷹宿の主人が
出張
(
でば
)
って来て、空地へ夜鷹宿を建てたところ
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
山々の木の葉がほんとうに落ちはじめて、鷲がいよいよその巣を離れて遠征をこころみる十月の頃になると、古参の腕利きが初めて
出張
(
でば
)
るのである。
鷲
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
あなたの
控
(
ひか
)
え
所
(
じょ
)
へ
出張
(
でば
)
っていた
典医衆
(
てんいしゅう
)
は、なにがなにやらわからないが、とにかく、
呼
(
よ
)
び立つこえがしきりなので、
薬籠
(
やくろう
)
をかかえてその人なかへかけつけた。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
蔭に隠れて見えねえけれど、そこに
一張
(
ひとはり
)
天幕
(
テント
)
があります。何だと言うと、火事で焼けたがために、仮ごしらえの電信局で、温泉場から、そこへ
出張
(
でば
)
っているのでございます。
唄立山心中一曲
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「御嬢さんは何でまたあすこまで
出張
(
でば
)
っていたんですか。ただ私を釣るためなんですか」
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ひっとらえて、人柱に塗りこめるよりほかみちがあるまい。主水! そちに一任いたす。
鹿沼新田
(
かぬましんでん
)
の関所に
出張
(
でば
)
って、しかるべき母と子の旅の者を物色いたせ。極秘にナ——ぬかるまいぞ!
丹下左膳:03 日光の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
寺は
曹洞宗
(
そうどうしゅう
)
で、
清谷山
(
せいこくざん
)
福泉寺と申して境内は手広でございますが、土地の風習で
何
(
いず
)
れの寺にも境内には
墓所
(
はかしょ
)
を置きませんで、近所の山へ葬りまして、
回向
(
えこう
)
の時は坊さんが其の山へ
出張
(
でば
)
る事ですから
名人長二
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
ことしは年番で
出張
(
でば
)
って、もし仕損じたというあかつきには、待ちかまえている人々が手を叩いて笑うであろう。
鷲
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
なおこれ以上の騒動を起こすと松本の代官所からやっかいな者が
出張
(
でば
)
ってくる懸念もあり、かたがた衆人環視の中なので、ぜひなく三人は、会田屋の前を離れた。
鳴門秘帖:03 木曾の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
またこの
橿原
(
かしわばら
)
というんですか、山の
裾
(
すそ
)
がすくすく
出張
(
でば
)
って、大きな
怪物
(
ばけもの
)
の土地の神が海の方へ向って、天地に開いた口の、奥歯へ
苗代田
(
なわしろだ
)
麦畠
(
むぎばたけ
)
などを、
引銜
(
ひっくわ
)
えた形に見えます。
春昼後刻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
そうしてそのまま
小坪
(
こつぼ
)
へ
這入
(
はい
)
る入口の
岬
(
みさき
)
の所まで来た。そこは海へ
出張
(
でば
)
った山の
裾
(
すそ
)
を、人の通れるだけの狭い
幅
(
はば
)
に
削
(
けず
)
って、ぐるりと向う側へ廻り込まれるようにした坂道であった。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「そうだ。面白い。ひとつ、東海道筋へ
出張
(
でば
)
ってやれ。」
口笛を吹く武士
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
お島は羽田村の漁師角蔵のむすめで、主人の弥太郎が羽田に
出張
(
でば
)
る関係から、双方が自然知合いになって、お島は江戸の屋敷へ奉公することになったのである。
鷲
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
累代
(
るいだい
)
の楠木家の当主が、遠い地方まで
出張
(
でば
)
ッて、しばしば土豪的な荒稼ぎをやった陣頭の旗である。
私本太平記:04 帝獄帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
就中
(
なかんづく
)
、わざ/\
東京
(
とうきやう
)
から
出張
(
でば
)
つて
来
(
き
)
た
親類
(
しんるゐ
)
のものは、
或
(
あるひ
)
は
慰
(
なぐさ
)
め、
或
(
あるひ
)
は
励
(
はげ
)
まし、
又
(
また
)
戒
(
いまし
)
めなどする
種々
(
いろ/\
)
の
言葉
(
ことば
)
を、
立続
(
たてつゞ
)
けに
嘵舌
(
しやべ
)
つたが、
頭
(
あたま
)
から
耳
(
みゝ
)
にも
入
(
い
)
れず……
暗闇
(
くらやみ
)
の
路次
(
ろじ
)
へ
入
(
はい
)
つて
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「御家新とやらを押せえに
出張
(
でば
)
ろうじゃごわせんか。」
釘抜藤吉捕物覚書:08 無明の夜
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
倉沢は母屋から毎日
出張
(
でば
)
って来て、話し相手になってくれるのではあるが、久し振りで出逢った友達というのではなし、東京のおなじ学校で毎日顔をあわせているのであるから
西瓜
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
秩父へ
出張
(
でば
)
ってゆくので、それが聞えて来たのだろうという説明だった。
宮本武蔵:07 二天の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
時が時、折が折なんですから、実は何にも言出しはしませんでしたが、その日、広土間の縁の
出張
(
でば
)
りに一人腰を掛けて、
力餅
(
ちからもち
)
を食べていた、鳥打帽を
冠
(
かぶ
)
って、久留米の
絣
(
かすり
)
を着た学生がありました。
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
船頭どものほかにも村々の若い者らが用心のために
出張
(
でば
)
っていたので、それを見ると皆ばらばらと飛び込んで、あわや溺れそうな人々を見あたり次第に救い出して、もとの岸へかつぎあげた。
青蛙堂鬼談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
都会の武士らしからぬ言語風俗、まぎれもなくこの者たちは、阿波の国から急行してきたか、あるいは命をうけて安治川の阿州屋敷から
出張
(
でば
)
ったものか、いずれにせよ蜂須賀の
原士
(
はらし
)
なるには相違ない。
鳴門秘帖:03 木曾の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「だって時々
出張
(
でば
)
って来らあ。」
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
古市の出屋敷とは、つまり
出張
(
でば
)
り
所
(
じょ
)
のことだ。
私本太平記:02 婆娑羅帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“出張”の解説
出張(しゅっちょう)とは、社員・職員が業務のために、普段の勤務地とは異なる場所に出向く行為を指す。
(出典:Wikipedia)
出
常用漢字
小1
部首:⼐
5画
張
常用漢字
小5
部首:⼸
11画
“出張”で始まる語句
出張演習
出張員
出張船商人