“出張:でば” の例文
“出張:でば”を含む作品の著者(上位)作品数
吉川英治7
泉鏡花6
林不忘5
岡本綺堂4
夏目漱石3
“出張:でば”を含む作品のジャンル比率
芸術・美術 > 演劇 > 大衆演芸4.8%
文学 > 日本文学 > 戯曲1.0%
文学 > 日本文学 > 小説 物語1.0%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
向こうの藤棚ふじだなの陰に見える少し出張でばった新築の中二階などとくらべると、まるで比較にならないほど趣が違っていた。
手紙 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
出張でばつたひたひにぶらさがつた愛嬌造あいけうづくり、とると、なき一葉いちえふがたけくらべのなか
松の葉 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
旧い神楽師かぐらしの家があり、毎月、三峰神社の月祭りには、そこの家で調べをあわせて、秩父へ出張でばってゆくので
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「うんそれが、なんでも朝鮮沖の、欝陵島うつりょうとうの根拠地へ出張でばってるんだそうだ。成る程あそこは、ナガス鯨の本場だからな」
動かぬ鯨群 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
あくる朝、奥野は藤次郎をつれて再び柳島へ出張でばると、さらに新しい事実が発見された。お園の死骸が柳島橋の下に浮かんでいたのである。
真鬼偽鬼 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
累代るいだいの楠木家の当主が、遠い地方まで出張でばッて、しばしば土豪的な荒稼ぎをやった陣頭の旗である。
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そこは海へ出張でばった山のすそを、人の通れるだけの狭いはばけずって、ぐるりと向う側へ廻り込まれるようにした坂道であった。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
山々の木の葉がほんとうに落ちはじめて、鷲がいよいよその巣を離れて遠征をこころみる十月の頃になると、古参の腕利きが初めて出張でばるのである。
(新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
女ひとりを引っ立てて来るのに四、五人の出張でばりはちっと仰山ぎょうさんらしいが、庄兵衛の申立てによって奉行所の方でも幾分か警戒したらしい。
青蛙堂鬼談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
年の頃四十五六、頬の思切つて出張でばツた、眼の飛出した、鼻の先の赭い、顏の大きな老爺おやぢだ。
昔の女 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
就中なかんづく、わざ/\東京とうきやうから出張でばつて親類しんるゐのものは、あるひなぐさめ、あるひはげまし
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
子分二 おい、何だと言っているんだ?(二人返事をせぬ)……この辺に見かけねえ面だか、今日出張でばりりの外手ほかでの者じゃなさそうだ。何だ?
天狗外伝 斬られの仙太 (新字新仮名) / 三好十郎(著)
子分二 おい、何だといっているんだ? (二人返事をせぬ)……この辺に見かけねえ面だが、今日出張でばりの外手ほかでの者じゃ無さそうだ。何だ?
斬られの仙太 (新字新仮名) / 三好十郎(著)
第一、吉野川の上流平和な地域にそんな事件がかつてないせいもあったろうが、なにしろ、龍耳りゅうじ老人が出張でばってくるなんてまことに珍らしい。
鳴門秘帖:05 剣山の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「東か——。」ぶらりと歩き出した。「そうだ。面白い。ひとつ、東海道筋へ出張でばってやれ。」
口笛を吹く武士 (新字新仮名) / 林不忘(著)
なんかと与吉、この道は始めてのくせに例のとおり知ったかぶりをして、出張でばった山鼻の小径を曲がる——が早いか、血相をかえたつづみの与の公、ギオッ!
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
お島は羽田村の漁師角蔵のむすめで、主人の弥太郎が羽田に出張でばる関係から、双方が自然知合いになって、お島は江戸の屋敷へ奉公することになったのである。
(新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
骨組はがつしりしてゐるらしいが、どれも一様に胸はくぼみ、腰骨がひどく出張でばつて見えた。
夜の鳥 (新字旧仮名) / 神西清(著)
なおこれ以上の騒動を起こすと松本の代官所からやっかいな者が出張でばってくる懸念もあり、かたがた衆人環視の中なので、ぜひなく三人は、会田屋の前を離れた。
鳴門秘帖:03 木曾の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「御嬢さんは何でまたあすこまで出張でばっていたんですか。ただ私を釣るためなんですか」
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
百合、撫子なでしこなどの造花に、碧紫あおむらさきの電燈が燦然さんぜんと輝いて——いらっしゃい——受附でも出張でばっている事、と心得違いをしていたので。
開扉一妖帖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
それから私たちは泥岩の出張でばったところりついてだんだん上りました。
イギリス海岸 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
一番目の兄も、機嫌きげんの好い時は、わざわざ奥から玄関まで出張でばって来る。
硝子戸の中 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「わたしが自分でります。」こう云って、エルリングは左の方を指さした。そこはがんのように出張でばっていて、その中にかまど鍋釜なべかまが置いてあった。
冬の王 (新字新仮名) / ハンス・ランド(著)
「御用筋がせわしくて他町の騒動を外にしていた親分もこれじゃあいかさま出張でばらにゃなるめえ。ほい来たやっこ、それ急げ! 三度に一度あけざあなるめえ!」
桐井角兵衛きりいかくべえのさしずで、少し遅れて出張でばってきた徳島の町同心まちどうしん浅間丈太郎あさまじょうたろう、田宮善助、助同心すけどうしん岡村勘解由かげゆ
鳴門秘帖:05 剣山の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
大「いえ、どうもはなはだ何もございませんで、此の辺は誠にどうも……市ヶ谷から此処これ出張でばりますことで、い道具や何かは皆此方こちらの蔵へ入れ置きますという事で」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
蔭に隠れて見えねえけれど、そこに一張ひとはり天幕テントがあります。何だと言うと、火事で焼けたがために、仮ごしらえの電信局で、温泉場から、そこへ出張でばっているのでございます。
唄立山心中一曲 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「御家新とやらを押せえに出張でばろうじゃごわせんか。」
古市の出屋敷とは、つまり出張でばじょのことだ。
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あなたのひかじょ出張でばっていた典医衆てんいしゅうは、なにがなにやらわからないが、とにかく、び立つこえがしきりなので、薬籠やくろうをかかえてその人なかへかけつけた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
とこういうと、いよいよ空の家エア・ハウスへまで出張でばって来てから、かなり長い思索の時間をもったように聞えるが、じつはただ——出来るだけ悠然とこのチャアルスがい角の入口をまたぎながら
踊る地平線:04 虹を渡る日 (新字新仮名) / 谷譲次(著)
行く手には、岬のように出張でばった山の鼻が、真黒い衝立ついたてとなって立ちふさがり、その仰向いて望む凸凹な山の脊には、たった一つ、褪朱色たいしゅいろの火星が、チカチカと引ッ掛っていた。
鉄路 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
都会の武士らしからぬ言語風俗、まぎれもなくこの者たちは、阿波の国から急行してきたか、あるいは命をうけて安治川の阿州屋敷から出張でばったものか、いずれにせよ蜂須賀の原士はらしなるには相違ない。
鳴門秘帖:03 木曾の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
時に明和めいわの元年、勝山の御城主にお成りなさいました粂野美作守さまのお城普請しろぶしんがございまして、人足を雇い、お作事さくじ奉行が出張でばり、本山寺へ入らっしゃいまして方々御見分が有ります。
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「ああも店々が繁昌するのは、夜鷹宿が嗜好に合ったからだ。それ夜鷹宿をもっとふやせ」——というのであちこちに巣食っていた夜鷹宿の主人が出張でばって来て、空地へ夜鷹宿を建てたところ、予期したように繁昌する。
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
時が時、折が折なんですから、実は何にも言出しはしませんでしたが、その日、広土間の縁の出張でばりに一人腰を掛けて、力餅ちからもちを食べていた、鳥打帽をかぶって、久留米のかすりを着た学生がありました。
星女郎 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ちょうど月代りの最後の日で、呉服橋からは、せんぶりの千太が高慢ちきな顔をして出張でばって来て、ひと目見るなり、こりゃア、虎列剌だ、まぎれはねえ、で引きとって行った。……ところが、あくる日からすぐこっちの月番だ。
顎十郎捕物帳:05 ねずみ (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
回向えこうの時は坊さんが其の山へ出張でばる事ですから、長二も福泉寺の和尚に面会して多分の布施を納め、先祖の過去帳を調べて両親の戒名を書入れて貰い、それより和尚の案内で湯河原村の向山にある先祖の墓に参詣いたしたので
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「それでは、通りがかりの旅人をひっとらえて、人柱に塗りこめるよりほかみちがあるまい。主水! そちに一任いたす。鹿沼新田かぬましんでんの関所に出張でばって、しかるべき母と子の旅の者を物色いたせ。極秘にナ——ぬかるまいぞ!」
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
またこの橿原かしわばらというんですか、山のすそがすくすく出張でばって、大きな怪物ばけものの土地の神が海の方へ向って、天地に開いた口の、奥歯へ苗代田なわしろだ麦畠むぎばたけなどを、引銜ひっくわえた形に見えます。
春昼後刻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
勿論、倉沢は母屋から毎日出張でばって来て、話し相手になってくれるのではあるが、久し振りで出逢った友達というのではなし、東京のおなじ学校で毎日顔をあわせているのであるから、今さら特別にめずらしい話題が湧き出して来よう筈はない。
西瓜 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
平助のいう通り水はまだほんとうに引いていないので、船頭どものほかにも村々の若い者らが用心のために出張でばっていたので、それを見ると皆ばらばらと飛び込んで、あわや溺れそうな人々を見あたり次第に救い出して、もとの岸へかつぎあげた。
青蛙堂鬼談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「まあ聞け、こういうわけなんだ、どの方面と名は言わないが、このおれにひとつ京都へ出張でばってみないかという話が持ちかけられたんだよ。気の早い話だ、今日という今日の日に、人もあろうにこの神尾を見込んで、ひとつ京都へ乗込んで、一遊び遊んで来ちゃどうだという、甘い口がかかったんだ」
大菩薩峠:41 椰子林の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「刃の稲妻……」と故意わざと皮肉に、「消えた提灯、女の悲鳴、雪に響き渡る小鼓とあっては、こいつうっちゃっては置けませんからな」「ははあそれではお調べか?」「玻璃窓の平八お出張でばりござる」「鼠小僧がおりましょうぞ」「ううん」とこれには平八老人も、悲鳴を上げざるを得なかった。
名人地獄 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
この乳牛院の原へ、寄るともなく集まった者たちは、勿論、数から見ても、吉岡門下のほんの一部の人々に過ぎなかったが、その顔ぶれの中には、例の植田良平がいるし、京流の十剣と自称している高弟組の半分は見えているから、まず四条道場の中堅どころは、出張でばっているといってもさしつかえない。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
へっへっへ、和泉屋いずみやの若旦那も、あれでまあうやらこうやら名取りになったようなわけで、まずあの人が肩を入れたからこそ、へっへ、あれだけの顔が揃ったというもの、そこへお師匠さんまで出張でばって呉んなすったんでげすから、若旦那も冥加みょうがに尽きるなかと申してな、へっへ
助五郎余罪 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)