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骨董
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ふりがな文庫
“
骨董
(
こっとう
)” の例文
見ても分るじゃありませんか。
骨董
(
こっとう
)
らしいものは一つも並んでいやしない。もとが
紙屑屋
(
かみくずや
)
から出世してあれだけになったんですからね
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
この場合、他の
骨董
(
こっとう
)
品と同じく、数が少なければ、それだけ珍重されたのも、和本そのものが、すでに芸術的に出来ているがためです。
書を愛して書を持たず
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
今も昔も変らないのが
骨董
(
こっとう
)
の夜店であるが、銀座の夜店の骨董に
真物
(
ほんもの
)
なしといわれるまでに、イミテーション物が多いのは事実である。
新古細句銀座通
(新字新仮名)
/
岸田劉生
(著)
そのほか土蔵のなかの
骨董
(
こっとう
)
や
什器
(
じゅうき
)
の
類
(
たぐ
)
ひから宝石類に至るまで、
殆
(
ほとん
)
ど洗ひざらひ姉さまのところへ運び出されたやうな感じでした。
死児変相
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
もう質屋はしまってる時刻だし、つぎの汽車で出発したくはあったので、町の
骨董
(
こっとう
)
屋へ行こうとした。すると階段でモークに出会った。
ジャン・クリストフ:09 第七巻 家の中
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
▼ もっと見る
骨董
(
こっとう
)
屋でも、目が利くということがいちばん大切なのと同じである。骨董屋は商売だから、目が利くのはあたりまえではないか。
材料か料理か
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
欽窯
(
きんよう
)
の花瓶なぞ、七条家の御門の外に出た事のない御秘蔵の書画
骨董
(
こっとう
)
の数々を盗み出して、コッソリと大阪の商人に売りこかし
名娼満月
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
人は
骨董
(
こっとう
)
や美術や風景を愛すけれども、私は美しい人間を趣味的に愛しているので、私は人間以外の美しさに見向きもしないたちなのだ。
魔の退屈
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
一皿数千円もするというような
骨董
(
こっとう
)
としての九谷と、夜店で売っている九谷とが、今の東京の人に知られているので、丁度その連絡をなし
九谷焼
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
エデスはこのスミスの活躍をすこしも知らずに、商売物の
骨董
(
こっとう
)
のことで各地を旅行していることと信じきっていたというのだ。
浴槽の花嫁
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
芸術家などいう連中には、
骨董
(
こっとう
)
などをいじくって
古味
(
ふるみ
)
というようなものをありがたがる風流人と共通したような気取りがある。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
書画、古着、手道具、
骨董
(
こっとう
)
、武具、
紙屑
(
かみくず
)
に至るまで、それぞれを専門とする
上方訛
(
かみがたなまり
)
の商人の声が、屋敷町の裏をうるさく訪れて廻っている。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
書画
(
しょが
)
骨董
(
こっとう
)
を
買
(
か
)
うことが
熱心
(
ねっしん
)
で、
滝田
(
たきた
)
さん
自身
(
じしん
)
話
(
はな
)
されたことですが、
何
(
なに
)
も
買
(
か
)
う
気
(
き
)
がなくて
日本橋
(
にほんばし
)
の
中通
(
なかどお
)
りをぶらついていた
時
(
とき
)
夏目先生と滝田さん
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
唐櫃は
骨董
(
こっとう
)
やガラクタ道具を入れたもので、旧家にこんな物のあることはなんの不思議もありませんが、その唐櫃の中に、骨董品にまじって
銭形平次捕物控:132 雛の別れ
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
朝鮮国王の城が開かれた時、城内の金銀財宝には目をつける人はあったけれども、書画
骨董
(
こっとう
)
に目のとどく士卒というのは極めて稀れであった。
大菩薩峠:34 白雲の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
土佐の藩士で造幣局に出て、失職して千葉の監獄の監守になり、後に台湾で
骨董
(
こっとう
)
商と金貸をした(虎と蛇の薬をもって来た)人の細君だった。
旧聞日本橋:12 チンコッきり
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
浜田は先日も「柳が物を持つと、どんな
骨董
(
こっとう
)
でも、たちどころに骨董でなくなり、まっさらなものになる。これが不思議だ」
民芸四十年
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
骨董
(
こっとう
)
というのは元来
支那
(
しな
)
の田舎言葉で、字はただその
音
(
おん
)
を表わしているのみであるから、骨の字にも董の字にもかかわった義があるのではない。
骨董
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
骨董
(
こっとう
)
趣味とは主として古美術品の
翫賞
(
がんしょう
)
に関して現われる一種の不純な趣味であって、純粋な芸術的の趣味とは自ずから区別さるべきものである。
科学上の骨董趣味と温故知新
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
余談にわたりますが、師匠東雲師は、まことに道具が好きで、仏の方のことは無論であるが
骨董
(
こっとう
)
的な器物は何によらず鑑識に富んでおりました。
幕末維新懐古談:28 東雲師逝去のこと
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
変態的
骨董
(
こっとう
)
趣味の一つのあらわれに過ぎないかも知れないが、一体人には、よかれ
悪
(
あし
)
かれ、自分にないものをあこがれ求める共通性があるもので
踊る地平線:12 海のモザイク
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
(いや、ますます降るわえ、奇絶々々。)と寒さにふるえながら牛骨が
虚飾
(
みえ
)
をいうと(妙。)——と歯を
喰切
(
くいしば
)
って、
骨董
(
こっとう
)
が負惜しみに受ける処だ。
薄紅梅
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
故畑柳氏は、
骨董
(
こっとう
)
ずきで、書斎にも古い仏像などを置き並べていたが、氏の没後も、それが皆そのままになっている。
吸血鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
ことに晩年は
骨董
(
こっとう
)
などにお凝りになり、すっかり家運の傾いた後だったので、お前のお父様と私とで、それを建て直すのに随分苦労をしたものだった。
楡の家
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
旧
(
もと
)
は夜店で果物なんか売っていたんですけれど、今じゃどうして問屋さんのぱりぱりです。
倶楽部
(
クラブ
)
へも入って、
骨董
(
こっとう
)
なんかもぽつぽつ買っていますわ。
挿話
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
だから、足まめにして親切で売ることにしよう。しかし、いかに俗に
堕
(
お
)
ちればとて、世間医のやる
幇間
(
ほうかん
)
と
骨董
(
こっとう
)
の
取次
(
とりつぎ
)
と、金や嫁の
仲人
(
なこうど
)
口だけは利くまい
上田秋成の晩年
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
秋の日の暮れかかる
灯
(
ひ
)
ともし
頃
(
ごろ
)
、奈良の古都の街はずれに、
骨董
(
こっとう
)
など売る道具市が立ち、店々の暗い軒には、はや宵の
燈火
(
あかり
)
が淡く
灯
(
とも
)
っているのである。
郷愁の詩人 与謝蕪村
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
折角の保護建造物が皆ガタ/\に狂ってしまうぜ。そこで
骨董
(
こっとう
)
大切
(
だいじ
)
の
窮策
(
きゅうさく
)
があんな妙な悲鳴を挙げているのさ。
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
さすがは豪家のことであって書画や
骨董
(
こっとう
)
や刀剣類には、素晴らしいような
逸品
(
いっぴん
)
があったが、惜し気なく取り出して見せてくれた。これも彼には嬉しかった。
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
それぞれ書画や
骨董
(
こっとう
)
類を贈ったので、幸子も祖父母の時代からある、表に御所車の
刺繍
(
ししゅう
)
をした
帛紗
(
ふくさ
)
を贈った。
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
ヴァンクゥヴァの自分の家の庭に日本ふうの
四阿
(
あずまや
)
をつくり、家じゅうを日本に関する書籍と
骨董
(
こっとう
)
でいっぱいにして、たいていは日本の着物を着て暮らしている。
キャラコさん:05 鴎
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
しかし、他の人たちにはたいてい書画
骨董
(
こっとう
)
などという財産もあり、それを売り払ってどうにかやっていたらしいが、私にはそんな財産らしいものは何も無かった。
十五年間
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
金が出来ると、
女色
(
にょしょく
)
を
漁
(
あさ
)
る、自動車を買う、邸を買う、家を新築する、分りもしない
骨董
(
こっとう
)
を買う、それ切りですね。中に、よっぽど心掛のいゝ男が、寄附をする。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
武術などというものは、もう無用の
骨董
(
こっとう
)
だと思ってばかにしていたが、こういうことになってみると。
風流太平記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
江戸演劇は既に通俗なる平民芸術にはあらで貴重なる
骨董
(
こっとう
)
となりし事あたかも
丹絵売
(
たんえうり
)
が一枚
幾文
(
いくもん
)
にて街頭にひさぎたる浮世絵の今や数百金に
値
(
あたい
)
すると異なる事なし。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
多くのものは、御覧のとおり、
骨董
(
こっとう
)
趣味の意見にはほとんど服しないで選ばれたものだ。それでも、これらはどれも皆、このような部屋に掛けるにはふさわしいものだ。
しめしあわせ
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
これ等を取扱っていると、実に気持がよく、そしてこのような宝物を、最も簡単な小
骨董
(
こっとう
)
店で見出す面白さは、蒐集家の精神を持つ者のみが真に味い得るところである。
日本その日その日:03 日本その日その日
(新字新仮名)
/
エドワード・シルヴェスター・モース
(著)
彼れ居常他の
嗜好
(
しこう
)
なし、酒を飲まず、
烟
(
たばこ
)
を吹かず、その烟を吹かざるは、彼が断管吟の詩に徴して知るべし。
書画
(
しょが
)
、文房、
骨董
(
こっとう
)
、武器、一として彼の愛を経るものなし。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
生
(
なま
)
物識りの
骨董
(
こっとう
)
好きの人が、だれに製作させた物、某の傑作があると聞いて、譲り受けたいと、想像のできる貧乏さを
軽蔑
(
けいべつ
)
して申し込んでくるのを、例のように女房たちは
源氏物語:15 蓬生
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
骨董
(
こっとう
)
珍器、珠玉の類を
蒐集
(
しゅうしゅう
)
するためには、どのような不徳不義をも、甘んじて行おうとする気性、松浦屋の手から召し上げた珍品だけでも、数万両の額に上ると言われていた。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
いかにもそうだよ、書画や
骨董
(
こっとう
)
の鑑定に長じて千年以前の物も
立
(
たち
)
どころに真偽を弁ずると
威張
(
いば
)
る人が毎日
上海玉子
(
しゃんはいたまご
)
の腐りかかったのを食べさせられても平気でいる
世中
(
よのなか
)
だもの。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
柱ある
処
(
ところ
)
には硝子の箱を据え付け、その
中
(
うち
)
に
骨董
(
こっとう
)
を陳列す。壁にそいて右の
方
(
かた
)
にゴチック式の暗色の
櫃
(
ひつ
)
あり。この櫃には
木彫
(
もくちょう
)
の装飾をなしあり。櫃の上に古風なる楽器数個あり。
痴人と死と
(新字新仮名)
/
フーゴー・フォン・ホーフマンスタール
(著)
または
家重代
(
いえじゅうだい
)
というようなわけで古い人形を保存する人、一種の
骨董
(
こっとう
)
趣味で古い人形をあつめる人、ただ何が無しに人形というものに趣味をもって、新古を問わずにあつめる人
綺堂むかし語り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
その持ち去ったのは主に歌舞
音曲
(
おんぎょく
)
の書、随筆小説の類である。その他書画
骨董
(
こっとう
)
にも、この人の手から
商估
(
しょうこ
)
の手にわたったものがある。ここに保さんの記憶している一例を挙げよう。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
先
(
ま
)
ず予め
茲
(
ここ
)
で述べなければならないことは前論士は要するに仏教特に
腐敗
(
ふはい
)
せる日本教権に対して一種
骨董
(
こっとう
)
的好奇心を有するだけで決して仏弟子でもなく仏教徒でもないということであります。
ビジテリアン大祭
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
当時朝から晩まで代る代るに訪ずれるのは類は友の変物奇物ばかりで、共に画を描き
骨董
(
こっとう
)
を品して遊んでばかりいた。
大河内
(
おおこうち
)
子爵の先代や
下岡蓮杖
(
しもおかれんじょう
)
や
仮名垣魯文
(
かながきろぶん
)
はその頃の重なる常連であった。
淡島椿岳:――過渡期の文化が産出した画界のハイブリッド――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
彼は、有能な実際的科学者で、忠実な大英国の技術官で、
敬虔
(
けいけん
)
なスコットランド教会の信徒で、かの
基督
(
キリスト
)
教のキケロといわれるラクタンティウスの愛読者で、又、
骨董
(
こっとう
)
と
向日葵
(
ひまわり
)
との愛好者だった。
光と風と夢
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
骨董
(
こっとう
)
屋は
下手
(
げて
)
ものと呼んでいるように思う。
めでたき風景
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
「しかしこの頃俺に書画、
骨董
(
こっとう
)
や、刀剣の鑑定を持込んで来るには閉口しとる。一番わからん奴の処へ見せに来る訳じゃからの。ハハハハ」
近世快人伝
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
ダンディの自作の「山の詩」をひいたピアノ・レコードがフランスにあるが、それは
骨董
(
こっとう
)
になった。日本では手に入り難い。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
“骨董”の意味
《名詞》
骨 董(こっとう)
希少価値のある古道具や古美術品。
(出典:Wiktionary)
骨
常用漢字
小6
部首:⾻
10画
董
漢検準1級
部首:⾋
12画
“骨董”で始まる語句
骨董屋
骨董品
骨董店
骨董商
骨董集
骨董的
骨董物
骨董羹
骨董癖
骨董飯