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鉄槌
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かなづち
ふりがな文庫
“
鉄槌
(
かなづち
)” の例文
旧字:
鐵槌
朝早くから
鉄槌
(
かなづち
)
でカンカンと革を打ちつけながら、あとからあとから車輪の脂を舐めに来る犬どもを引つきりなしに追ひ立てた。
ディカーニカ近郷夜話 後篇:04 イワン・フョードロヸッチ・シュポーニカとその叔母
(新字旧仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
翁は、自から大きな
鉄槌
(
かなづち
)
を取り上げて、少女の両手を拡げさせて、動脈の打つ
手頭
(
てくび
)
のあたりへ五寸釘を
打
(
ぶ
)
ち込んで、白木の十字架に打ち附けた。
点
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
鉄槌
(
かなづち
)
で叩いたのでなければ、恐ろしい
強力
(
ごうりき
)
です、——どうして刺したろう——平次はフトそんな事を考えておりました。
銭形平次捕物控:004 呪いの銀簪
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
鉄槌
(
かなづち
)
を
斯
(
こ
)
んなに大きく振って川をあるくことはもう何年ぶりだらう。波が足をあらひ水はつめたく
陽
(
ひ
)
は
射
(
さ
)
してゐる。
台川
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
……別に
鉄槌
(
かなづち
)
、うむ、
赤錆
(
あかさび
)
、黒錆、青錆の
釘
(
くぎ
)
、ぞろぞろと……青い
蜘蛛
(
くも
)
、
紅
(
あか
)
い
守宮
(
やもり
)
、黒
蜥蜴
(
とかげ
)
の血を塗ったも知れぬ。
多神教
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
向うは一面の
田圃
(
たんぼ
)
で、すぐ眼の下には川が青々と流れて、その流れに沿うた道ばたの一軒の家から、最前の
鉄槌
(
かなづち
)
の音が引っきりなしにきこえて来ます。
豚吉とヒョロ子
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
三鳥山人
(著)
もしもちとなり破壊れでもしたら
同職
(
なかま
)
の
恥辱
(
はじ
)
知合いの面汚し、
汝
(
うぬ
)
はそれでも生きて居らりょうかと、とても再び
鉄槌
(
かなづち
)
も
手斧
(
ちょうな
)
も握ることのできぬほど引っ
叱
(
しか
)
って
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
しばらくは父の
押木
(
おしぎ
)
の上に一ぱいに散らかっている
鉄槌
(
かなづち
)
だの、
鏨
(
たがね
)
だの、
鑢
(
やすり
)
だのを私にいじらせてくれた。
幼年時代
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
網で捕えて
薪
(
まき
)
数車を積み焼くに、薪尽きても燃えず灰中に立ち毛も焦げず、
斫
(
き
)
っても刺しても入らず、打てば灰嚢のごとし、
鉄槌
(
かなづち
)
で数十度打ってようやく死ねど
十二支考:07 猴に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
小僧
(
こぞう
)
や。小「へえ。旦「お
隣
(
となり
)
へ
往
(
いつ
)
てノ
蚊帳
(
かや
)
の
釣手
(
つりて
)
を打つんだから
鉄槌
(
かなづち
)
を
貸
(
か
)
して下さいと
然
(
さ
)
う
云
(
い
)
つて
借
(
か
)
りて
来
(
こ
)
い。小「へえ……
往
(
いつ
)
て
参
(
まゐ
)
りました。旦「
貸
(
か
)
して
呉
(
く
)
れたか。 ...
吝嗇家
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
彼は
時々
(
とき/″\
)
寐
(
ね
)
ながら、左の
乳
(
ちゝ
)
の
下
(
した
)
に手を置いて、もし、
此所
(
こゝ
)
を
鉄槌
(
かなづち
)
で一つ
撲
(
どや
)
されたならと思ふ事がある。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
その棚板を左手でかかえ、右手で
鉄槌
(
かなづち
)
を、口で釘を三、四本含んで圓太郎は、荒神様と鼠入らずの間の板壁のところまでゆくと、瞬くうちに棚をひとつ吊りあげた。
円太郎馬車
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
胸の骨が出ていると
鉄槌
(
かなづち
)
で叩いて押し込んだり、喉の切口から空気を吹込んで
膨
(
ふく
)
らませたりします。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
鉄槌
(
かなづち
)
を以て器械に附着したる氷雪を
打毀
(
うちこ
)
わす等、その他千種
万態
(
ばんたい
)
なる困難辛苦を以て造化の試験を受けてやや整頓の
緒
(
ちょ
)
に就かんとせし所に、
図
(
はか
)
らずも
妻
(
さい
)
登山し
来
(
きた
)
りたり
寒中滞岳記:(十月一日より十二月廿一日に至る八十二日間)
(新字新仮名)
/
野中至
(著)
去年のあのころ、道太の頭脳はまるで
鉄槌
(
かなづち
)
で
打
(
ぶ
)
ちのめされたようになっていたので、それを慰めるつもりで、どうせ今日は立てないからと、辰之助は彼をこの家へ引っ張ってきた。
挿話
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
その時に、あとから来た男が駈け寄って、なにか
鉄槌
(
かなづち
)
のような物で女の髷のあたりを叩きました。薄暗くって、よくは判りませんでしたが、女はそれぎりでぐったり倒れたようでした。
半七捕物帳:57 幽霊の観世物
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
鉄槌
(
かなづち
)
に鶴嘴ですよ。全くこれくらい坑夫にとって、手近で屈強な武器はありませんからね。しかも坑夫たちは
安全燈
(
ランプ
)
と同じように、大事な仕事道具として必らず一つずつは持っております。
坑鬼
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
仕事場の
鞴
(
ふいご
)
の
囲
(
まわ
)
りには三人の男が働いていた。
鉄砧
(
かなしき
)
にあたる
鉄槌
(
かなづち
)
の音が高く響くと疲れ果てた彼れの馬さえが耳を立てなおした。彼れはこの店先きに自分の馬を引張って来る時の事を思った。
カインの末裔
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
右の斜面の鼠色じみた帆の幌の
小舎
(
こや
)
の内では、
褌
(
ふんどし
)
ひとつの船大工が船の内側を
河心
(
かしん
)
へ向けて、ととんとん、ととんとんとんと釘を打ち打ちしている。ほれぼれとしたものだ。遊ぶようなその
鉄槌
(
かなづち
)
の手。
木曾川
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
鉄槌
(
かなづち
)
をこんなに大きく振って川をあるくことはもう何年ぶりだろう。
波
(
なみ
)
が足をあらい水はつめたく
陽
(
ひ
)
は
射
(
さ
)
している。
台川
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
神職 ……居眠りいたいて、ものもあろうず、
棺
(
かん
)
の
蓋
(
ふた
)
を打つよりも
可忌
(
いまわし
)
い、
鉄槌
(
かなづち
)
を落し、
釘
(
くぎ
)
を
溢
(
こぼ
)
す——釘は?……
多神教
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
彼は時々寐ながら、左の乳の下に手を置いて、もし、
此所
(
ここ
)
を
鉄槌
(
かなづち
)
で一つ
撲
(
どや
)
されたならと思う事がある。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
被害者の右脇に在る
鉄槌
(
かなづち
)
を右手で(犯人を右利きと仮定して)取上げて、
老爺
(
おやじ
)
の頭を喰らわせるのに都合のいい位置を考え考え、上り框に腰を掛け直してみた結果
山羊髯編輯長
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
或
(
あるい
)
は高く或は低く絶えずかちかちと
鉄槌
(
かなづち
)
の音を響かせている細工場の中から、(父は
屡〻
(
しばしば
)
留守だった……)、よく
頓狂
(
とんきょう
)
な奴だとみんなから叱られてばかりいた佐吉という小僧が
幼年時代
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
「お半を殺したのは大工らしいというのは、
鉄槌
(
かなづち
)
からですか」
半七捕物帳:57 幽霊の観世物
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
お代や、胡桃餅を拵えよう。
和女
(
おまえ
)
鉄槌
(
かなづち
)
を
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
老人
(
ろうじん
)
はだまってしげしげと二人の
疲
(
つか
)
れたなりを見た。二人とも
巨
(
おお
)
きな
背嚢
(
はいのう
)
をしょって地図を首からかけて
鉄槌
(
かなづち
)
を
持
(
も
)
っている。そしてまだまるでの
子供
(
こども
)
だ。
泉ある家
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
淋
(
さみし
)
い、
森
(
しん
)
とした中に
手拍子
(
てびょうし
)
が
揃
(
そろ
)
って、コツコツコツコツと、
鉄槌
(
かなづち
)
の音のするのは、この小屋に並んだ、
一棟
(
ひとむね
)
、
同一
(
おなじ
)
材木
納屋
(
なや
)
の中で、
三個
(
さんこ
)
の石屋が、石を
鑿
(
き
)
るのである。
三尺角
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
脳天の中央に、
鉄槌
(
かなづち
)
様の鈍器で叩き破られた穴がポコンと
開
(
あ
)
いて、真黒な血の
紐
(
ひも
)
がユラユラとブラ下がっていた。何等の苦悶の
形跡
(
あと
)
も無い即死と見えた……という簡単な死に方だ。
山羊髯編輯長
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
そこを窺って、清五郎が
鉄槌
(
かなづち
)
で頭をひと撃ち……
半七捕物帳:57 幽霊の観世物
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
(あっ、こっちですか。今日は。ご
飯中
(
はんちゅう
)
をどうも
失敬
(
しっけい
)
しました。ちょっとお
尋
(
たず
)
ねしますが、この
上流
(
じょうりゅう
)
に水車がありましょうか。)
若
(
わか
)
いかばんを
持
(
も
)
って
鉄槌
(
かなづち
)
をさげた学生だった。
十六日
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
煙の中に
藍
(
あい
)
を
湛
(
たた
)
えて、
或
(
あるい
)
は十畳、二十畳、五畳、三畳、
真砂
(
まさご
)
の床に絶えては連なる、平らな岩の、
天地
(
あめつち
)
の
奇
(
く
)
しき手に、
鉄槌
(
かなづち
)
のあとの見ゆるあり、削りかけの
鑪
(
やすり
)
の目の立ったるあり。
悪獣篇
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
トタンに使い終った重たい
鉄槌
(
かなづち
)
を無意識に、犯人の鼻の先へゴロリと投出す。
山羊髯編輯長
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
うつつに膝を直さんとする懐中より、一
挺
(
ちょう
)
の
鉄槌
(
かなづち
)
ハタと落つ。カタンと鳴る。仕丁。
多神教
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
一人の変に鼻の
尖
(
とが
)
った、洋服を着てわらぢをはいた人が、鉄砲でもない
槍
(
やり
)
でもない、をかしな光る長いものを、せなかにしょって、手にはステッキみたいな
鉄槌
(
かなづち
)
をもって、ぼくらの魚を
さいかち淵
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
と云いながら、鞄の中から
鉄槌
(
かなづち
)
を一つ取り出しました。
豚吉とヒョロ子
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
三鳥山人
(著)
一人の
変
(
へん
)
に
鼻
(
はな
)
の
尖
(
とが
)
った、
洋服
(
ようふく
)
を
着
(
き
)
てわらじをはいた人が、
鉄砲
(
てっぽう
)
でもない
槍
(
やり
)
でもない、おかしな光る長いものを、せなかにしょって、手にはステッキみたいな
鉄槌
(
かなづち
)
をもって、ぼくらの魚を
さいかち淵
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
地質調査をするときはこんなどこから来たかわからないあいまいな
岩石
(
もの
)
に
鉄槌
(
かなづち
)
を加へてはいけないと教へようかな。すぐ眼の前を及川が
手拭
(
てぬぐひ
)
を首に巻いて黄色の服で急いでゐるし、云はうかな。
台川
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
地質調査
(
ちしつちょうさ
)
をするときはこんなどこから来たかわからないあいまいな
岩石
(
もの
)
に
鉄槌
(
かなづち
)
を加えてはいけないと教えようかな。すぐ
眼
(
め
)
の前を
及川
(
おいかわ
)
が
手拭
(
てぬぐい
)
を
首
(
くび
)
に
巻
(
ま
)
いて黄色の
服
(
ふく
)
で
急
(
いそ
)
いでいるし、
云
(
い
)
おうかな。
台川
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
“鉄槌”の意味
《名詞》
大形のかなづち。ハンマー。
厳しい制裁や叱責。
(出典:Wiktionary)
鉄
常用漢字
小3
部首:⾦
13画
槌
漢検準1級
部首:⽊
14画
“鉄”で始まる語句
鉄
鉄瓶
鉄漿
鉄砲
鉄棒
鉄扉
鉄格子
鉄鎚
鉄柵
鉄拳