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遙々
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はる/″\
ふりがな文庫
“
遙々
(
はる/″\
)” の例文
今ぞとおもふ心の勇み立ちて、五十を
踰
(
こ
)
えし母に別るゝをもさまで悲しとは思はず、
遙々
(
はる/″\
)
と家を離れてベルリンの都に来ぬ。
舞姫
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
無論博士の心の臓は化粧箱に入れた儘、奈良の
屋形
(
やかた
)
に残してゐるに相違なかつたが、博士は直ぐその
後
(
あと
)
を慕つて、
遙々
(
はる/″\
)
博多まで
下
(
くだ
)
つて往つた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
何百万光年、何億光年——そんな
遙々
(
はる/″\
)
とした距離の長さに考を向けてゐると、彼の
平常
(
ふだん
)
の尺度は混乱して、気の遠くなるやうな心地を感じるのだ。
朧夜
(新字旧仮名)
/
犬養健
(著)
ば
仕舞
(
しまひ
)
住馴
(
すみなれ
)
し
京都
(
みやこ
)
を
後
(
あと
)
になし
孤子
(
みなしご
)
を
抱
(
かゝ
)
へて
遙々
(
はる/″\
)
東
(
あづま
)
の
空
(
そら
)
へ
赴
(
おもむ
)
く
途中
(
とちう
)
三州迄は來たれども
殆
(
ほとん
)
ど
困窮
(
こんきう
)
に
迫
(
せま
)
り餘儀なく我が子を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
「これは八五郎と言つて俺同樣の男だ。遠慮なく話すが宜い。一體どんな用事で柏木から
遙々
(
はる/″\
)
來なすつたんだ」
銭形平次捕物控:153 荒神箒
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
從者
(
ずさ
)
はやがて門に立ちよりて、『瀧口入道殿の庵室は茲に非ずや。
遙々
(
はる/″\
)
訪
(
たづ
)
ね來りし主從二人、こゝ開け給へ』と呼ばはれば、内より
燈
(
ともしび
)
提
(
さ
)
げて
出來
(
いできた
)
りたる一個の僧
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
古
(
ふる
)
い
名
(
な
)
を
持
(
も
)
つ
草津
(
くさつ
)
に
隱
(
かく
)
れて、
冬籠
(
ふゆごも
)
る
身
(
み
)
にも、
遙々
(
はる/″\
)
と
高原
(
かうげん
)
の
雪
(
ゆき
)
を
分
(
わ
)
けて、うらゝかな
日
(
ひ
)
は
照
(
て
)
つてゐる。
日の光を浴びて
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
ト
其
(
そ
)
の
氣
(
き
)
で、
頬杖
(
ほゝづゑ
)
をつく
民也
(
たみや
)
に
取
(
と
)
つては、
寢床
(
ねどこ
)
から
見
(
み
)
る
其
(
そ
)
の
板
(
いた
)
の
間
(
ま
)
は、
遙々
(
はる/″\
)
としたものであつた。
霰ふる
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
病む子を
遙々
(
はる/″\
)
見舞はうとして出立の支度を整へた遠い故郷の
囲炉裏端
(
いろりばた
)
で、真赤に怒つてゐるのならまだしも、親の情を
斥
(
しりぞ
)
けた子の電文を打黙つて読んでゐる父のさびしい顔が
途上
(新字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
中には
遙々
(
はる/″\
)
広島県下から呼び寄せたものさえあるが、苦心肝胆を砕いて漸く核心に触れる事が出来たので、今日第二回の訊問をなすべく支倉を予審廷に呼び出したのであるが
支倉事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
聞及びしゆゑ家來に
召抱
(
めしかゝ
)
へたく
遙々
(
はる/″\
)
此處まで參りしなり
聊
(
いさゝ
)
かの金子などに心を
掛
(
かけ
)
る事なく
予
(
よ
)
に
隨身
(
ずゐしん
)
なすべし
追
(
おつ
)
ては五萬石以上に取立て大名にし
遣
(
つか
)
はすべし
迷
(
まよひ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
「ひどくあわてて居ましたが、用事も名前も、いくら訊いても言つてくれません。
遙々
(
はる/″\
)
遠方から、お名前を訊いて訪ねて來たが、錢形の親分に逢ひ度いと——」
銭形平次捕物控:319 真珠太夫
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
大阪美術
倶楽部
(
くらぶ
)
で催された故
清元
(
きよもと
)
順三の
追悼会
(
ついたうゑ
)
に、家元
延寿太夫
(
えんじゆだいふ
)
が順三との
幼馴染
(
おさななじみ
)
を
懐
(
おも
)
ひ出して、病後の
窶
(
やつ
)
れにも
拘
(
かゝは
)
らず、
遙々
(
はる/″\
)
下阪
(
げはん
)
して来たのは美しい情誼であつた。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
東枕
(
ひがしまくら
)
も、
西枕
(
にしまくら
)
も、
枕
(
まくら
)
したまゝ
何處
(
どこ
)
をさして
行
(
ゆ
)
くのであらう。
汽車案内
(
きしやあんない
)
の
細字
(
さいじ
)
を、しかめ
面
(
づら
)
で
恁
(
か
)
う
透
(
すか
)
すと、
分
(
わか
)
つた——
遙々
(
はる/″\
)
と
京
(
きやう
)
大阪
(
おほさか
)
、
神戸
(
かうべ
)
を
通
(
とほ
)
る……
越前
(
ゑちぜん
)
ではない、
備前國
(
びぜんのくに
)
糸崎
(
いとざき
)
である。
雨ふり
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
一門の
頼
(
たより
)
、天下の望みを
繋
(
つな
)
ぐ御身なれば、さすがの
横紙
(
よこがみ
)
裂
(
やぶ
)
りける
入道
(
にふだう
)
も心を痛め、此日
朝
(
あさ
)
まだき西八條より
遙々
(
はる/″\
)
の見舞に、
内府
(
ないふ
)
も暫く
寢處
(
しんじよ
)
を出でて對面あり、
半晌計
(
はんときばか
)
り
經
(
へ
)
て還り去りしが
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
蒙
(
かうぶ
)
り母の
看病仕
(
かんびやうつかま
)
つり
度
(
たし
)
と涙ながらに申けるを大岡殿聞れ汝が申
條
(
でう
)
道理
(
もつとも
)
には聞ゆれ
共
(
ども
)
又
(
また
)
胡亂
(
うろん
)
なる處あり
其
(
そ
)
の
譯
(
わけ
)
は
其方
(
そのはう
)
遙々
(
はる/″\
)
利兵衞を
頼
(
たの
)
みに思ひて來りしに
渠
(
かれ
)
約束
(
やくそく
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
十
歩
(
ぽ
)
に
足
(
た
)
らぬそゞろ
歩行
(
あるき
)
も、
山路
(
やまぢ
)
を
遠
(
とほ
)
く、
遙々
(
はる/″\
)
と
辿
(
たど
)
るとばかり
視
(
なが
)
め
遣
(
や
)
る……
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
小橋氏はかう思つたので、喜捨金を
募
(
つの
)
りに
遙々
(
はる/″\
)
米国まで出掛けて往つた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
幸ひ與力笹野權三郎は、忍藩の重役某の縁者で、それを
辿
(
たど
)
つて配下の御用聞錢形平次を動かし、暫らく平次を保養させることにして、
遙々
(
はる/″\
)
川越の田舍まで出張らせることに段取を拵へたのでした。
銭形平次捕物控:270 転婆娘
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
と
野中
(
のなか
)
の
古廟
(
こべう
)
に
入
(
はひ
)
つて、
一休
(
ひとやす
)
みしながら、
苦笑
(
にがわらひ
)
をして、
寂
(
さび
)
しさうに
獨言
(
ひとりごと
)
を
云
(
い
)
つたのは、
昔
(
むかし
)
、
四川酆都縣
(
しせんほうとけん
)
の
御城代家老
(
ごじやうだいがらう
)
の
手紙
(
てがみ
)
を
持
(
も
)
つて、
遙々
(
はる/″\
)
燕州
(
えんしう
)
の
殿樣
(
とのさま
)
へ
使
(
つかひ
)
をする、
一刀
(
いつぽん
)
さした
威勢
(
ゐせい
)
の
可
(
い
)
いお
飛脚
(
ひきやく
)
で。
みつ柏
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
年に一度同窓生の会合があると、いつも
遙々
(
はる/″\
)
東京まで出掛けて来る。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
遙々
(
はる/″\
)
深川からやつて來たといふのです。
銭形平次捕物控:152 棟梁の娘
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
民也
(
たみや
)
は
心
(
こゝろ
)
も
其
(
そ
)
の
池
(
いけ
)
へ、
目
(
め
)
も
遙々
(
はる/″\
)
と
成
(
な
)
つて
恍惚
(
うつとり
)
しながら
霰ふる
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
遙
部首:⾡
14画
々
3画
“遙”で始まる語句
遙
遙拝
遙拜
遙下
遙察
遙授
遙望
遙語
遙遙
遙拝所