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身悶
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みもだ
ふりがな文庫
“
身悶
(
みもだ
)” の例文
二人の
相撲
(
すもう
)
は力を入れ、むきになっている
癖
(
くせ
)
に、時々いかにもこそばゆいという風に
身悶
(
みもだ
)
えしてキャッキャッと笑い興じていました。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
おひさは
身悶
(
みもだ
)
えをし、声をあげて泣くのであった。計之介はそれをやめさせようとし、ときにしばしば女の口を
塞
(
ふさ
)
いでどなりさえした。
葦は見ていた
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
女は
身悶
(
みもだ
)
えして、からみついている蛇の口から逃れようとするが、いよいよそれは、しっかりと巻き締めて、
骨身
(
ほねみ
)
に食い入るようです。
大菩薩峠:18 安房の国の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
折くべ居る時しも此方の
納戸
(
なんど
)
共覺しき所にて何者やらん
夥多
(
おびたゞ
)
しく
身悶
(
みもだ
)
えして苦しむ音の聞ゆるにぞ友次郎は
膽
(
きも
)
を
潰
(
つぶ
)
し何事成んと耳を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
彼女は、
蜘蛛
(
くも
)
だ。恐ろしく、美しい蜘蛛だ。自分が彼女に
捧
(
ささ
)
げた愛も熱情も、たゞ彼女の網にかゝった
蝶
(
ちょう
)
の
身悶
(
みもだ
)
えに、過ぎなかったのだ。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
▼ もっと見る
ある新聞社が、ミス・日本を
募
(
つの
)
っていた時、あの時には、よほど自己推薦しようかと、三夜
身悶
(
みもだ
)
えした。大声あげて、わめき散らしたかった。
ろまん灯籠
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
蔽
(
おお
)
うた佐助々々わては
浅
(
あさ
)
ましい姿にされたぞわての顔を見んとおいてと春琴もまた苦しい息の下から云い
身悶
(
みもだ
)
えしつつ夢中で両手を動かし顔を
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
省三は何事が起ったろうと思い思いその傍へ往った。と、壮い女の姿は無くなって細君が一人苦しんで
身悶
(
みもだ
)
えをしていた。
水郷異聞
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
「ああ悔しい‼……思いつめた女に友達と見変えられた」といってかっと両子で
頭髪
(
あたま
)
を引っ
掻
(
か
)
いて蒲団の中で
身悶
(
みもだ
)
えした。
うつり香
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
私は
身悶
(
みもだ
)
えし、蓋を押し開こうとして痙攣的な動作をした。蓋は動こうともしなかった。ベルの綱を捜して手首にさわってみた。それもなかった。
早すぎる埋葬
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
婦人は
苦
(
あっ
)
と
身悶
(
みもだ
)
えして、
仰向
(
あおむけ
)
に
踏反返
(
ふんぞりかえ
)
り、苦痛の中にも人の深切を喜びて、
莞爾
(
にっこり
)
と笑める顔に、吉造魂飛び、身体
溶解
(
とろ
)
け、
団栗眼
(
どんぐりまなこ
)
を糸より細めて
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
彼女が
鎮
(
しず
)
まったのはずっと後のことで、朝の十時近くになってからであった。やっと泣きやんで、
身悶
(
みもだ
)
えも止まると、今度はひどく頭痛がし出した。
大ヴォローヂャと小ヴォローヂャ
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
それに、あの尼僧のような性格を持った方が、声を
慄
(
ふる
)
わせ
身悶
(
みもだ
)
えまでして、私の身を残酷にお洗いたてになるのでした。馬具屋の娘……
賤民
(
チゴイネル
)
ですって。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
彼はどうしていいかわからないという風に、
身悶
(
みもだ
)
えしていたが、やがて、やっと決心がついたという顔になって
地球要塞
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
身悶
(
みもだ
)
えして泣き狂っている彼女を慰めていたわって、再び挽地物屋の店へ連れて帰った。しかしお冬の家は親ひとり子ひとりで、その親は拘引されている。
慈悲心鳥
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
彼は独居の部屋に閉じ籠り、頭を抱えて
身悶
(
みもだ
)
えして
呻吟
(
うめ
)
くより外なかった。それでいながら経巻や仏像の影を見ることには前より一層厭嫌の感情を増した。
宝永噴火
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
それがどうも盗人の言葉に、聞き入っているように見えるではないか? おれは
妬
(
ねたま
)
しさに
身悶
(
みもだ
)
えをした。が、盗人はそれからそれへと、巧妙に話を進めている。
藪の中
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
私は殴られる
度
(
たび
)
に、
身悶
(
みもだ
)
えしたので、後手にくくられた手が、荒い柿の肌で、むごたらしく
擦
(
す
)
り
剥
(
む
)
けた。
あまり者
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
死の舞踏のやうな歡喜の
身悶
(
みもだ
)
えをする時には、白つぽくぼやけた茶色の壁の上を、それのグロテスクな物影が壁の半分以上を黒くして、音こそは立てないけれども
田園の憂欝:或は病める薔薇
(新字旧仮名)
/
佐藤春夫
(著)
やがて、二本の螯が、頭の上で、大きく半円を描いたかと思うと、今度は、巨大な虫の全身がモゾモゾと動き出して、まともに起き返ろうと
身悶
(
みもだ
)
えするかに見えた。
妖虫
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
いや一人はいる。
宗純
(
そうじゅん
)
和尚(一休)がそれだ。あの人の風狂には、何か胸にわだかまっているものが
迸出
(
ほうしゅつ
)
を求めて
身悶
(
みもだ
)
えしているといった
趣
(
おもむき
)
がある。気の毒な老人だ。
雪の宿り
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
「この恥知らず……貴方は到頭
企
(
たくら
)
んだのですね! 企んだのですね!」と妻は
歯軋
(
はぎし
)
りせんばかりに
身悶
(
みもだ
)
えした。急いで身を翻すと今度は枕許の卓上電話を取り上げた。
陰獣トリステサ
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
今日まで一度だつて自分を女だと思つた事のない広岡女史は、それを聞くともう溜らないやうに
身悶
(
みもだ
)
えした。大きな膝の下では椅子が苦しさうに、ぎち/\泣き出した。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
「あい。ま! あの方も、念日様も、あそこへ曳かれてまた折檻に合うていなさりますと見え、あの影が、
身悶
(
みもだ
)
えしておりまするあの影が、わたしの念日様でござります」
旗本退屈男:06 第六話 身延に現れた退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
襖の奥に、軽い
身悶
(
みもだ
)
えをする響きが伝わったが、それも、
怺
(
こら
)
え声も止んでしまうと、お稲のからだは抵抗を失ったように、いつまでも、狭い低い暗闇に口がきけなくなっていた。
八寒道中
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
この不思議な装置の重圧する機械はゆるゆると地下を匐い、それ
故
(
ゆえ
)
、全身はさかしまに
吊
(
つる
)
されながら暗黒の中を匐って行く。苦しい
喘
(
あえ
)
ぎと
身悶
(
みもだ
)
えの末、更に恐しい音響が破裂する。
冬日記
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
青年はすると、誘うまでもなく、酷く焦燥しながら、
身悶
(
みもだ
)
えをするようにして署長の
背後
(
うしろ
)
へ
追縋
(
おいすが
)
って行った。その後から、三人の刑事は、何か
目交
(
みま
)
ぜをして、薄笑いながら跟いて行った。
三稜鏡:(笠松博士の奇怪な外科手術)
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
あるいはまたあたかも、群集の中を通りながら、二つの深い眼にぶつかったようなものだった。そういう現象はしばしば、精神が空虚のうちに
身悶
(
みもだ
)
えをする
悄沈
(
しょうちん
)
の時間のあとに起こった。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
我と我身が
怨
(
うら
)
めしいというような悩みと、時機を一度失えば、もう取返しのつかない、
身悶
(
みもだ
)
えをしても及ばないくいちがいが、穏かに、寸分の
透
(
すき
)
もなく、
傍目
(
わきめ
)
もふらせぬようにぴったりと
樋口一葉
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
窓とすれすれのところで苦しげに葉を揺すりながら
身悶
(
みもだ
)
えしているような樹々の外には殆ど何も見えない客車の中で、圭介は生れてはじめての不眠のためにとりとめもなくなった思考力で
菜穂子
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
それを聞くと子供はつけこむやうに殊更声を曇らしながら
身悶
(
みもだ
)
えした。
An Incident
(新字旧仮名)
/
有島武郎
(著)
悲しいのか、せつないのか、何の考えさえもつかなかった。唯、
身悶
(
みもだ
)
えをした。するとふわりと、からだは宙に浮き上った。留めようと、袖をふれば振るほど、身は次第に、高く
翔
(
かけ
)
り昇って行く。
死者の書
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
彼女の全身は荒い呼吸と苦痛と、
身悶
(
みもだ
)
えに波の
如
(
ごと
)
くうねった。
刺青
(新字新仮名)
/
富田常雄
(著)
その上に
俯伏
(
うつぶ
)
して肩を
戦
(
をのゝ
)
かせ、
身悶
(
みもだ
)
えし乍ら泣き出した。
鳥羽家の子供
(新字旧仮名)
/
田畑修一郎
(著)
妙案が
咄嗟
(
とっさ
)
に浮かばないので、鳰鳥は木蔭で
身悶
(
みもだ
)
えした。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
微風
(
そよかぜ
)
なげけば、花の
香
(
か
)
ぬれつつ
身悶
(
みもだ
)
えぬ。
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
本当に息苦しくて
身悶
(
みもだ
)
えをしたほどだった。もののあわれということに気づいたのはそんな頃からではなかったかと思う。
日本婦道記:桃の井戸
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
例の親熊の皮を欲しがって
身悶
(
みもだ
)
えをするのだということが、昨晩の実例と、説明とを聞いているだけに、米友の頭にはハッキリと受取れました。
大菩薩峠:30 畜生谷の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
ある新聞社が、ミス・日本を募っていたとき、あのときには、よほど自己推薦しようかと、三夜
身悶
(
みもだ
)
えした。大声あげて、わめき散らしたかった。
愛と美について
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
彷徨
(
さまよい
)
あるき、なにかの幸福を
手掴
(
てづか
)
みにしたい
焦慮
(
しょうりょ
)
に、
身悶
(
みもだ
)
えしながら、
遂々
(
とうとう
)
帰国の日まで過してしまいました。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
それがどうも
盜人
(
ぬすびと
)
の
言葉
(
ことば
)
に、
聞
(
き
)
き
入
(
い
)
つてゐるやうに
見
(
み
)
えるではないか? おれは
妬
(
ねたま
)
しさに
身悶
(
みもだ
)
えをした。が、
盜人
(
ぬすびと
)
はそれからそれへと、
巧妙
(
かうめう
)
に
話
(
はなし
)
を
進
(
すす
)
めてゐる。
藪の中
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
その痛みからまた父が深く懐われて来まして、しばらくは天も地も挟み
扭
(
よじ
)
れよとばかり
身悶
(
みもだ
)
えしました。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
お沢 (
身悶
(
みもだ
)
えしながら)堪忍して下さいまし、堪忍して下さいまし、そればかりは、そればかりは。
多神教
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
いや一人はゐる。
宗純
(
そうじゅん
)
和尚(一休)がそれだ。あの人の風狂には、何か胸にわだかまつてゐるものが
迸出
(
ほうしゅつ
)
を求めて
身悶
(
みもだ
)
えしてゐるといつた
趣
(
おもむき
)
がある。気の毒な老人だ。
雪の宿り
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
父は、座にも
堪
(
た
)
えないように、
身悶
(
みもだ
)
えして
口惜
(
くや
)
しがった。握っている
拳
(
こぶし
)
がブル/\と
顫
(
ふる
)
えた。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
と、
練絹
(
ねりぎぬ
)
のようにそれへ横たわると、もう身も世もない姿だった。同時に、彼女の肌の
蒸
(
む
)
れでもない
妖
(
あや
)
しい香気、それも
薫々
(
くんくん
)
と
身悶
(
みもだ
)
えを感じるような匂いの底に
焚
(
た
)
きくるまれる。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「ああ旦那は何にもお知りなさらねい。旦那こりゃ容易ならねえ話でやすぜ。旦那あ引っ繰り
返
(
けえ
)
りなさるだから」とホセはうまく言い現せないで、
身悶
(
みもだ
)
えせんばかりの様子であった。
陰獣トリステサ
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
若い士官は蛙のやうに
霊魂
(
たましひ
)
まで吐き出しさうに、また一頻り
身悶
(
みもだ
)
えした。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
そのつど頼正は
身悶
(
みもだ
)
えする。
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
重い
苦患
(
くげん
)
に
身悶
(
みもだ
)
えて
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
身
常用漢字
小3
部首:⾝
7画
悶
漢検準1級
部首:⼼
12画
“身”で始まる語句
身体
身
身上
身装
身扮
身體
身動
身長
身代
身分