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襟飾
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えりかざり
ふりがな文庫
“
襟飾
(
えりかざり
)” の例文
先に立ちたるは、かち色の
髪
(
かみ
)
のそそけたるを
厭
(
いと
)
はず、幅広き
襟飾
(
えりかざり
)
斜
(
ななめ
)
に結びたるさま、
誰
(
た
)
が目にも、ところの美術
諸生
(
しょせい
)
と見ゆるなるべし。
うたかたの記
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
とくに念を入れた
服装
(
みなり
)
をしていて、フランネルの服、派手な手袋、白の
半靴
(
はんぐつ
)
、薄青の
襟飾
(
えりかざり
)
を
結
(
ゆわ
)
えていた。手には小さな
鞭
(
むち
)
をもっていた。
ジャン・クリストフ:04 第二巻 朝
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
道すがらはまたお
使者
(
つかい
)
で、金剛石のこの
襟飾
(
えりかざり
)
、宝玉のこの指環、(嬉しげに見ゆ)
貴方
(
あなた
)
の御威徳はよく分りましたのでございます。
海神別荘
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
新らしい
襟
(
えり
)
と
襟飾
(
えりかざり
)
を着け
易
(
か
)
えて、余の枕辺に坐ったとき、余は
昨夕
(
ゆうべ
)
夜半
(
よなか
)
に、
裄丈
(
ゆきたけ
)
の足りない宿の
浴衣
(
ゆかた
)
を着たまま、そっと
障子
(
しょうじ
)
を開けながら
思い出す事など
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
その政治家が召集されて初めてワシントンへ出掛ける時、夫人は叮嚀に
襟飾
(
えりかざり
)
の歪んだのを直してやりながら子供に教へるやうに言つて聞かせた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
▼ もっと見る
彼はまたタキシイドの胸のポケットへ革命的な
襟飾
(
えりかざり
)
を押し込んで、それを素晴らしい変り色の絹ハンケチであるかのごとく見せる術にも成功していた。
踊る地平線:09 Mrs.7 and Mr.23
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
杉田老画伯の如きは孫の数人もありながら赤き
襟飾
(
えりかざり
)
など致して、へんに風態を若々しく装い、
以
(
もっ
)
て老生を常日頃より牽制せんとする意図極めてあらわに見え申候。
花吹雪
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
新しい艶のある洋服を着て、
襟飾
(
えりかざり
)
の好みも
煩
(
うるさ
)
くなく、すべて
適
(
ふさ
)
はしい風俗の
中
(
うち
)
に、人を
吸引
(
ひきつ
)
ける
敏捷
(
すばしこ
)
いところがあつた。美しく
撫付
(
なでつ
)
けた髪の色の黒さ。頬の若々しさ。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
むすこはエーベルフェルドの電気工場に勤めているそうで、それがワイナハトには久しぶりで帰るというので、この間じゅうから妹娘が
贈物
(
ゲシェンク
)
する
襟飾
(
えりかざり
)
を編んでいました。
先生への通信
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
此
(
こ
)
の
代診
(
だいしん
)
は
脊
(
せ
)
の
小
(
ちひ
)
さい、
丸
(
まる
)
く
肥
(
ふと
)
つた
男
(
をとこ
)
、
頬髯
(
ほゝひげ
)
を
綺麗
(
きれい
)
に
剃
(
そ
)
つて、
丸
(
まる
)
い
顏
(
かほ
)
は
毎
(
いつ
)
も
好
(
よ
)
く
洗
(
あら
)
はれてゐて、
其
(
そ
)
の
氣取
(
きど
)
つた
樣子
(
やうす
)
で、
新
(
あたら
)
しいゆつとりした
衣服
(
いふく
)
を
着
(
つ
)
け、
白
(
しろ
)
の
襟飾
(
えりかざり
)
をした
所
(
ところ
)
は
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
其外にやすりと
小刀
(
ないふ
)
と
襟飾
(
えりかざり
)
が一つ落ちてゐる。
最後
(
さいご
)
に
向
(
むかふ
)
の
隅
(
すみ
)
を見ると、三尺位の
花崗石
(
みかげいし
)
の台の上に、
福神漬
(
ふくじんづけ
)
の
缶
(
くわん
)
程な込み入つた器械が乗せてある。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
橋板
(
はしいた
)
がまた、がツたりがツたりいつて、
次第
(
しだい
)
に
近
(
ちか
)
づいて
来
(
く
)
る、
鼠色
(
ねづみいろ
)
の
洋服
(
やうふく
)
で、
釦
(
ぼたん
)
をはづして、
胸
(
むね
)
を
開
(
あ
)
けて、けば/\しう
襟飾
(
えりかざり
)
を
出
(
だ
)
した、でつぷり
紳士
(
しんし
)
で、
胸
(
むね
)
が
小
(
ちひ
)
さくツて
化鳥
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
この
代診
(
だいしん
)
は
脊
(
せ
)
の
小
(
ちい
)
さい、
丸
(
まる
)
く
肥
(
ふと
)
った
男
(
おとこ
)
、
頬髯
(
ほおひげ
)
を
綺麗
(
きれい
)
に
剃
(
そ
)
って、
丸
(
まる
)
い
顔
(
かお
)
はいつもよく
洗
(
あら
)
われていて、その
気取
(
きど
)
った
様子
(
ようす
)
で、
新
(
あたら
)
しいゆっとりした
衣服
(
いふく
)
を
着
(
つ
)
け、
白
(
しろ
)
の
襟飾
(
えりかざり
)
をした
所
(
ところ
)
は
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
山本さんは部屋にある姿見の方へ行って、洋服の
襟飾
(
えりかざり
)
を直して見た。
僅
(
わず
)
かばかりの額の上の髪を
撫
(
な
)
でつけた。帽子を
冠
(
かぶ
)
って、旅の
鞄
(
かばん
)
を提げて、
旅舎
(
やどや
)
から小川町の停留場へと急いだ。
船
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
白チョッキをつけ赤い
襟飾
(
えりかざり
)
をした、若い、
脂
(
あぶら
)
ぎった、頭の
禿
(
は
)
げた、つやつやした顔色の役人が、彼の手を親しく握りしめて、前日の
歌劇
(
オペラ
)
のことを話しだした。クリストフは用件をくり返した。
ジャン・クリストフ:04 第二巻 朝
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
ついでに
先刻
(
さっき
)
から苦になっていた
襟飾
(
えりかざり
)
の横っちょに曲っているのを注意して直させた後で、また彼の話を聴きつづけた。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
黒い
毛氈
(
もうせん
)
の上に、
明石
(
あかし
)
、
珊瑚
(
さんご
)
、トンボの青玉が、こつこつと
寂
(
さ
)
びた色で、古い物語を
偲
(
しの
)
ばすもあれば、
青毛布
(
あおげっと
)
の上に、
指環
(
ゆびわ
)
、鎖、
襟飾
(
えりかざり
)
、
燦爛
(
さんらん
)
と光を放つ合成金の、新時代を語るもあり。
露肆
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
いずれも岸本には
見知越
(
みしりご
)
しの連中で、
襟飾
(
えりかざり
)
の結び方からして美術家らしく若々しかった。こうして集って見ると、岸本よりはずっと
年少
(
としした
)
な岡が在留する美術家仲間では
寧
(
むし
)
ろ
年嵩
(
としかさ
)
なくらいであった。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
此前
暑
(
あつ
)
い
盛
(
さか
)
りに、神楽坂へ買物に出た序に、代助の所へ寄つた
明日
(
あくるひ
)
の
朝
(
あさ
)
、三千代は平岡の社へ
出掛
(
でか
)
ける世話をしてゐながら、
突
(
とつ
)
然
夫
(
おつと
)
の
襟飾
(
えりかざり
)
を持つた儘卒倒した。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
釦
(
ぼたん
)
をはずして、胸を開けて、けばけばしゅう
襟飾
(
えりかざり
)
を出した、でっぷり紳士で、胸が小さくッて、
下腹
(
したっぱら
)
の方が図ぬけにはずんでふくれた、脚の短い、靴の大きな、帽子の高い、顔の長い、鼻の赤い
化鳥
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
この前暑い盛りに、神楽坂へ買物に出た
序
(
ついで
)
に、代助の所へ寄った
明日
(
あくるひ
)
の朝、三千代は平岡の社へ出掛ける世話をしていながら、突然夫の
襟飾
(
えりかざり
)
を持ったまま卒倒した。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
手を当てると
冷
(
つめた
)
かった、光が隠れて、
掌
(
たなそこ
)
に包まれたのは
襟飾
(
えりかざり
)
の小さな宝石、時に別に手首を伝い、雪のカウスに、ちらちらと
樹
(
こ
)
の間から
射
(
さ
)
す月の影、露の
溢
(
こぼ
)
れたかと輝いたのは、
蓋
(
けだ
)
し
手釦
(
てぼたん
)
の玉である。
伊勢之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
甲野さんは
椅子
(
いす
)
の背に
倚
(
よ
)
りかかって、この楽天家の頭と、
更紗模様
(
さらさもよう
)
の
襟飾
(
えりかざり
)
と——襟飾は例に
因
(
よ
)
って襟の途中まで浮き出している。——それから親譲の
背広
(
せびろ
)
とをじっと
眺
(
なが
)
めている。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そうしてその布はこの間まで余の
家
(
うち
)
に預かっていた娘の子を
嫁
(
かた
)
づける時に新調してやった
布団
(
ふとん
)
の表と同じものであった。この卓を前にして坐った先生は、
襟
(
えり
)
も
襟飾
(
えりかざり
)
も着けてはいない。
ケーベル先生
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「どうも、この
襟飾
(
えりかざり
)
は
滑
(
すべ
)
っていけない」と
手探
(
てさぐり
)
に位地を正しながら
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
彼方
(
あちら
)
の
角
(
かど
)
だから、遠く三四郎と
真向
(
まむかひ
)
になる。
折襟
(
をりえり
)
に、
幅
(
はゞ
)
の広い
黒繻子
(
くろしゆす
)
を
結
(
むす
)
んだ
先
(
さき
)
がぱつと
開
(
ひら
)
いて胸
一杯
(
いつぱい
)
になつてゐる。与次郎が、仏蘭西の
画工
(
アーチスト
)
は、みんなあゝ云ふ
襟飾
(
えりかざり
)
を
着
(
つ
)
けるものだと教へて呉れた。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
襟
常用漢字
中学
部首:⾐
18画
飾
常用漢字
中学
部首:⾷
13画
“襟飾”で始まる語句
襟飾り