-
トップ
>
-
白晝
>
-
はくちう
然れども
此の
白晝横行の
惡魔は、
四時恆に
在る
者にはあらず。
或は
週を
隔てて
歸り、
或は
月をおきて
來る。
其去る
時來る
時、
進退常に
頗る
奇なり。
「
爺よう」と
喚んでくれゝばふいと
懶い
首を
擡げて
明るい
白晝の
光を
見ることによつて
何とも
知れぬ
嬉しさに
涙が一
杯に
漲ることもあるのであつた。
滿船を
照す
其光は
白晝を
欺かんばかり、
其光の
下に
一個の
異樣なる
人影現はれて、
忽ち
檣桁高く
信號旗が
上つた。
吹通しの
風砂を
捲きて、
雪駄ちやら/\と
人の
通る、
此方は
裾端折の
然も
穿物の
泥、
二の
字ならぬ
奧山住の
足痕を、
白晝に
印するが
極惡しなど
歎つ。
恁うしておつぎもいつか
口の
端に
上つたのである。それでも
到底青年がおつぎと
相接するのは
勘次の
監督の
下に
白晝往來で一
瞥して
行き
違ふ
其瞬間に
限られて
居た。
彼等は
隣の
主人に
對して
平素に
報いようとするよりも
將來を
怖れて
居る。
彼等は
皆齊しく
靜かに
落ついた
白晝の
庭に
立ことが
其の
家族の
目に
觸れ
易いことを
知つて
居るのである。
私は——
白晝、
北海の
荒波の
上で
起る
處の
此の
吹雪の
渦を
見た
事があります。
店の
竈の
上で、
笊の
目を
透すまで、あか/\と
日のさした
處は、
燒芋屋としては
威嚴に
乏しい。あれは
破れるほどな
寒い
晩に、ぱつといきれが
立つに
限る。で、
白晝の
燒芋屋は、
呉竹の
里に
物寂しい。
と、
變じて
狐と
成つて、
白晝を
窓から
蝙蝠の
如くに
消えぬ。