かれらの人物の毅然たるきびしさと端正な男らしさとを思った。そしてゆううつな微笑をうかべた。かれらならなんと言うであろう。
ヴェニスに死す (新字新仮名) / パウル・トーマス・マン(著)
美しいがうえにも毅然たる萩乃の威に気おされて、こんどは門之丞、あわれみを乞うがごとくに、トンと膝をついてうなだれた。
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
かかる危険を前にして確固毅然たるその老人は、ただ何ということもなく本来からして勇気と親切とを兼ねそなえてるもののように思われた。
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス (新字新仮名) / ヴィクトル・ユゴー(著)
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア (旧字旧仮名) / シャーロット・ブロンテ(著)
だがいずれにせよ、この老人が自分の信念をぐんぐん押し通してゆく毅然たる生活態度に、チェーホフが及びがたく学びがたいものを痛切に感じていたことだけは争えない。
チェーホフ試論:――チェーホフ序説の一部として―― (新字新仮名) / 神西清(著)
本州横断 痛快徒歩旅行 (新字新仮名) / 押川春浪、井沢衣水(著)
源氏物語:51 宿り木 (新字新仮名) / 紫式部(著)
他の一隅には、誰も附添っていない一人の負傷者が、打捨てられ、毅然たる様子で横たわっていた。前の美青年に比べて、遥かに立派な態度と映ったが、彼の容貌は美しくはなかった。
烏啼は、毅然としていた。藤代女史は、さすがに照れて、隅っこへ小さくなる。
すり替え怪画:烏啼天駆シリーズ・5 (新字新仮名) / 海野十三(著)
イエス伝:マルコ伝による (新字新仮名) / 矢内原忠雄(著)
毅然として友に降らざりしヨブも、今は神御自身の直示に接して、この謙遜の心態に入るに至ったのである。しかも彼の悟りし所はなお足らざりしと見え、エホバはなお教え給うたのである。
若宮の子供とは思えぬ毅然とした言葉に女院は涙を新たにした。
現代語訳 平家物語:04 第四巻 (新字新仮名) / 作者不詳(著)
旧聞日本橋:02 町の構成 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌 (新字新仮名) / ヴィクトル・ユゴー(著)
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
くじき、われわれの毅然たる心を、これほど完全に押しつぶしてしまうのは、たしかにあの神なのだ……
ヴェニスに死す (新字新仮名) / パウル・トーマス・マン(著)
だがいずれにせよ、この老人が自分の信念をぐんぐん押し通して行く毅然たる生活態度に、チェーホフが及びがたく学びがたいものを、痛切に感じていたことだけは争えない。
チェーホフ序説:――一つの反措定として―― (新字新仮名) / 神西清(著)
おどろきのうちにも毅然として、ああして理のたった言葉でたしなめた萩乃——あれほどの強い、正しい、美しい女性を見たことがないと、左膳はスッカリ感心してしまったのだ。
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス (新字新仮名) / ヴィクトル・ユゴー(著)