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有
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もの
ふりがな文庫
“
有
(
もの
)” の例文
ところがまるで、追つかけるやうに、藤原の宮は固より、目ぬきの家並みが、不時の出火で、痕形もなく、
空
(
そら
)
の
有
(
もの
)
となつてしまつた。
死者の書:――初稿版――
(新字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
「
汝
(
きさま
)
は不孝不弟であるから、死期がもうせまっているのだ。僅かな田地も汝の
有
(
もの
)
にならない。持っていてどうするつもりなのだ。」
珊瑚
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
そして死んだ彼の
懐
(
ふとこ
)
ろに、小判の入った重い財布があった。それをそっくり養父母は自分の
有
(
もの
)
にして
了
(
しま
)
ったと云うのであった。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
この場合店員が
露
(
む
)
き出しの京都訛りを使つたのは上出来だつた。何故といつて、これ以上自分の
有
(
もの
)
を取られては、
迚
(
とて
)
も立つ瀬が無かつたから。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
彼
(
かれ
)
黄の百合を
公
(
おほやけ
)
の旗に
逆
(
さか
)
らはしむれば
此
(
これ
)
一黨派の爲にこれを己が
有
(
もの
)
となす、いづれか最も非なるを知らず 一〇〇—一〇二
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
▼ もっと見る
ヂュリ ほんに
然
(
さう
)
もあらうか、
妾
(
わたし
)
の
有
(
もの
)
ではないゆゑ。……(ロレンスに)
御坊樣
(
ごぼうさま
)
、
今
(
いま
)
お
暇
(
ひま
)
でござりますか、
改
(
あらた
)
めて
晩
(
ばん
)
のお
祈祷頃
(
いのりごろ
)
に
參
(
まゐ
)
りませうか?
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
来世に関する聖書の記事は之れを
心霊化
(
スピリチュアライズ
)
せんとする、「心の貧しき者は
福
(
さいわい
)
なり、天国は即ち其人の
有
(
もの
)
なれば也」
聖書の読方:来世を背景として読むべし
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
何千人の
犠牲
(
いけにえ
)
になってきたこの
身体
(
からだ
)
を、さ、思う存分にして下さい! さ、なぜ早く自分の
有
(
もの
)
にしないのです。
若き日の成吉思汗:――市川猿之助氏のために――
(新字新仮名)
/
林不忘
、
牧逸馬
(著)
引越しあとの
空家
(
あきや
)
は総じて立派なものでは無いが、彼等はわが
有
(
もの
)
になった
家
(
うち
)
のあまりの不潔に胸をついた。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
それによると文化年間、吉原の橋本楼に小式部太夫と云う
妓
(
おんな
)
がいて、それに三人の武士が深い執着をもって、主家を浪浪するもかまわず、通いつめて自分の
有
(
もの
)
にしようとした。
偶人物語
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
すつかり私の
有
(
もの
)
にする事が出来ないのね。貴方が接吻で生かして下すつた私——貴方の為に利の門を崩して、貴方を仕合せにしてあげたいばつかりに、命を貴方に捧げてゐる私。
クラリモンド
(新字旧仮名)
/
テオフィル・ゴーチェ
(著)
みんなが自分の
有
(
もの
)
として独占し、したがって
何人
(
なんぴと
)
にも属していない
地球人
(
コスモポリタン
)
の交易場。
踊る地平線:06 ノウトルダムの妖怪
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
で、大井川を境に、駿河一円は、武田家の
有
(
もの
)
となり、遠州は、徳川家の領になった。
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
最前より
噬
(
かみ
)
あひ見るに、世にも鋭き御身が
牙尖
(
きばさき
)
、
某
(
それがし
)
如きが及ぶ処ならず。もし彼の鳥猫に取られずして、なほも御身と争ひなば、わが身は遂に
噬斃
(
かみたお
)
されて、雉子は御身が
有
(
もの
)
となりてん。
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
今にも
蛭
(
ひる
)
が
小島
(
こじま
)
の頼朝にても、
筑波
(
つくば
)
おろしに
旗揚
(
はたあ
)
げんには、源氏譜代の恩顧の士は言はずもあれ、
苟
(
いやしく
)
も志を當代に得ず、怨みを
平家
(
へいけ
)
に
銜
(
ふく
)
める者、響の如く應じて關八州は日ならず平家の
有
(
もの
)
に非ざらん。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
とうに人の
有
(
もの
)
になってしまったのですが、ご存じでいらッしゃいましょう、
小石川
(
こいしかわ
)
の水道橋を渡って、少しまいりますと、大きな
榎
(
えのき
)
が茂っている所がありますが、私はあの屋敷に生まれましたのです。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
それより漸く諸方に進み、やがては世界を我が
有
(
もの
)
とした。
ランボオ詩集≪学校時代の詩≫
(新字旧仮名)
/
ジャン・ニコラ・アルチュール・ランボー
(著)
アキルリュウスの
有
(
もの
)
に乘り、われら二人を打斃し
イーリアス:03 イーリアス
(旧字旧仮名)
/
ホーマー
(著)
わが腕は既に無用の
有
(
もの
)
に似たり。
山羊の歌
(新字旧仮名)
/
中原中也
(著)
今この三界は、皆是れ我
有
(
もの
)
なり
般若心経講義
(新字新仮名)
/
高神覚昇
(著)
この店員は自分の
有
(
もの
)
を
他人
(
ひと
)
に取られまいとする時には京都弁を使ふが、
他人
(
ひと
)
から何か貰ひ受けたいやうな折には、
努
(
つと
)
めて京都訛りを押し隠さうとする。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
ところがまるで、追っかけるように、藤原の宮は
固
(
もと
)
より、目ぬきの家並みが、不意の出火で、其こそ、あっと言う間に、
痕形
(
あとかた
)
もなく、
空
(
そら
)
の
有
(
もの
)
となってしまった。
死者の書
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
……ロミオどの、おのが
有
(
もの
)
でもない
名
(
な
)
を
棄
(
す
)
てゝ、
其代
(
そのかは
)
りに、
予
(
わし
)
の
身
(
み
)
をも、
心
(
こゝろ
)
をも
取
(
と
)
って
下
(
くだ
)
され。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
良人
(
おっと
)
の喬之助は、
行方
(
ゆくえ
)
不明のお尋ね者で、うっかり出て来られないのだから、何とかして、一度でも園絵をわが
有
(
もの
)
にしてみたいものだと、ひどいやつがあったもので、村井長庵
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
明治四十年の九月
某日
(
それのひ
)
、媒妁夫妻は
小婢
(
こおんな
)
と三人がかりで草屋の六畳二室を
清
(
きよ
)
め、赤、白、鼠、婢の
有
(
もの
)
まで借りて、あらん限りの毛布を敷きつめた。家のまわりも
一
(
ひと
)
わたり
掃
(
は
)
いた。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
お島は
怳
(
とぼ
)
けたような顔で
応
(
こた
)
えたが、この地面が自分の
有
(
もの
)
になろうとは思えなかった。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
陳は女を
伴
(
つ
)
れて帰り、
燈
(
あかり
)
を
点
(
つ
)
けてよく見ると、ひどく
佳
(
い
)
い
容色
(
きりょう
)
をしていた。陳は悦んで自分の
有
(
もの
)
にしようとした。女は大きな声をたててこばんだ。やかましくいう声が隣りまで聞えた。
阿霞
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
まかりちがえばローゼンの一家を
鏖殺
(
おうさつ
)
してもかまわないから、
彼
(
か
)
の
女
(
むすめ
)
はどうしても己の
有
(
もの
)
にしなくてはならんと思いだした。と、
嫉妬
(
しっと
)
の強い背の高い肩幅の広い
細君
(
さいくん
)
の顔が見えて来る。
警察署長
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
義
(
ただし
)
き事のために責めらるる者は
福
(
さいわい
)
なり、其故如何となれば、心の貧しき者と同じく天国は其人の
有
(
もの
)
なれば也、
現世
(
このよ
)
に在りては義のために責められ、
来世
(
つぎのよ
)
に在りては義のために誉めらる
聖書の読方:来世を背景として読むべし
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
愛してあげる事が出来てよ。私の命は貴方の
有
(
もの
)
だわ。私の中にある物は皆、貴方から来たのだわ。貴方の豊な貴い血の滴が、世界中のどの不死の薬よりも得難い、力のつく薬なの。その血の滴のおかげで私は命を
クラリモンド
(新字旧仮名)
/
テオフィル・ゴーチェ
(著)
「人間には所持慾つて奴があつて自分の
有
(
もの
)
にしないでは
落付
(
おちつ
)
いて娯まれないのだ。兎一つ
棲
(
す
)
まないやうな禿山だつて自分の
有
(
もの
)
にするとまた格別だからな。」
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
パリス いや、
卿
(
こなた
)
の
面
(
かほ
)
は
今
(
いま
)
では
予
(
わし
)
の
有
(
もの
)
ぢゃに、それをば
其樣
(
そのやう
)
に
惡
(
あ
)
しう
被言
(
おしゃ
)
るのは
讒訴
(
ざんそ
)
ぢゃ。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
柔和なる者は
福
(
さいわい
)
なり、其人はキリストが再び世に
臨
(
きた
)
り給う時に彼と共に地を嗣ぐことを得べければ也とのことである、地も亦神の
有
(
もの
)
である、是れ今日の如くに永久に神の敵に
委
(
ゆだ
)
ねらるべき者ではない
聖書の読方:来世を背景として読むべし
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
彼の
有
(
もの
)
ではないが、千金
啻
(
ただ
)
ならず彼に愛される。彼が家の
背
(
うしろ
)
に、三角形をなす小さな
櫟林
(
くぬぎばやし
)
と共に、春夏の際は若葉青葉の
隧道
(
とんねる
)
を造る。青空から降る雨の様に
落葉
(
おちば
)
する頃は、人の
往来
(
ゆきき
)
の足音が耳に立つ。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
伊右衛門はお岩を
己
(
じぶん
)
の
有
(
もの
)
にできるので心でほくそ笑んだ。
南北の東海道四谷怪談
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
それは幼い
雛妓
(
おしやく
)
を
招
(
よ
)
んで遊ぶ事で、枯れかけた松の
周囲
(
ぐるり
)
に、小松を植ゑると、枯松までが急に若返へるやうに、訥子はかうして
妓
(
をんな
)
の若さを自分の
有
(
もの
)
にしてゐる。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
世間には
他人
(
ひと
)
の
有
(
もの
)
だつたら、手だらうが、脚だらうが、平気で切つて捨てる医者といふ
職業人
(
しごとにん
)
がゐる。
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
恋をする者もさうで、相手を身も心もそつくり自分の
有
(
もの
)
にしないと納得の出来ないものだ。たゞ
偶
(
たま
)
に達人の恋のみは、
七夕星
(
たなばたぼし
)
のやうに遠く離れてゐて、少しもその熱を失はうとしない。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
住持
(
おつ
)
さんは
庫裏
(
くり
)
でちびりちびり晩酌をやりながら、土間に積んだ米俵を見た。そして
万一
(
もしか
)
米屋が頓死でもして、この米俵がそつくり自分の
有
(
もの
)
になるのだつたら、こんな結構な事はないと思つた。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
“有”の意味
《名詞》
(あり)存在すること。主に表やリストの中で 無 と対比して用いる。
《動詞》
(あ-り)ある。もつ。
(出典:Wiktionary)
“有”の解説
有(う、sa: bhava)とは、仏教用語で衆生としての生存、存在状態を表すことばである。
(出典:Wikipedia)
有
常用漢字
小3
部首:⽉
6画
“有”を含む語句
所有
難有
有合
有難
有無
有名
有之候
仰有
有様
有之
中有
有情
有所
未曾有
有明
希有
有為
有仰
有司
有平糖
...