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日傘
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ひがさ
ふりがな文庫
“
日傘
(
ひがさ
)” の例文
どんな女も七面鳥ほど上手に
裾
(
すそ
)
はまくれまい。また、日光もおそれない。七面鳥は
日傘
(
ひがさ
)
を持たずに出掛けるなんていうことはない。
ぶどう畑のぶどう作り
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
またはさまざまなる
大道店
(
だいどうみせ
)
の
日傘
(
ひがさ
)
の間をば士農工商思い思いの
扮装形容
(
みなりかたち
)
をした人々が
後
(
あと
)
から後からと引きも切らずに歩いて行く。
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
日傘
(
ひがさ
)
さして橋の上渡り来るうつくしき女の藤色の
衣
(
きぬ
)
の色、あたかも藤の花
一片
(
ひとひら
)
、一片の藤の花、いといと小さく、ちらちら眺められ候ひき。
凱旋祭
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
坂になった馬籠の町は金の
葵
(
あおい
)
の紋のついた
挾箱
(
はさみばこ
)
、長い
柄
(
え
)
の
日傘
(
ひがさ
)
、鉄砲、
箪笥
(
たんす
)
、
長持
(
ながもち
)
、その他の諸道具で時ならぬ光景を呈した。
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
黒塗
(
くろぬり
)
のランドーの
蓋
(
おおい
)
を、秋の日の暖かきに、払い退けた、中には
絹帽
(
シルクハット
)
が一つ、美しい
紅
(
くれな
)
いの
日傘
(
ひがさ
)
が一つ見えながら、両人の前を通り過ぎる。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
「あそこを行くじゃねえか。ほら、みなよ。黒っぽい
明石
(
あかし
)
の着付けで、素足に
日傘
(
ひがさ
)
をもったくし巻きのすばらしいあだ者が、向こうへ行くじゃねえか」
右門捕物帖:06 なぞの八卦見
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
「皇子さまがお通りなされるのだ。」と、言つて、さしてゐた
日傘
(
ひがさ
)
をつぼめ、頭にかぶつてゐたものを脱ぎ、
路傍
(
みちばた
)
にぺつたりと坐り込んでしまひました。
拾うた冠
(新字旧仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
葉子はハンドバックに
日傘
(
ひがさ
)
という気軽さで、淡い褐色がかった
飛絣
(
とびがすり
)
のお召を着ていたが、それがこのごろ
小肥
(
こぶと
)
りのして来た肉体を一層
豊艶
(
ほうえん
)
に見せていた。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
垂飾
(
たれかざり
)
をつけた
日傘
(
ひがさ
)
、
花楸樹
(
はなかまど
)
よ、ジタナ
少女
(
をとめ
)
の
頸
(
くび
)
にある
珊瑚玉
(
さんごだま
)
、その
頸飾
(
くびかざり
)
と
柔肌
(
やははだ
)
を
巫山戲
(
ふざけ
)
た雀が來て
啄
(
つゝ
)
く。
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
彼等は
足許
(
あしもと
)
に埃を舞はせながら白白とした野路を歩き出した。実枝は
日傘
(
ひがさ
)
を
翳
(
かざ
)
した。礼助と兄とは
裾
(
すそ
)
を
端折
(
はしよ
)
つてゐた。礼助はステツキで向う手の山を指しながら云つた。
曠日
(新字旧仮名)
/
佐佐木茂索
(著)
大きな
日傘
(
ひがさ
)
をさして、白い
水干
(
すいかん
)
を着た男が一人、青竹の
文挾
(
ふばさみ
)
にはさんだ
文
(
ふみ
)
を持って、暑そうにゆっくり通ったあとは、向こうに続いた
築土
(
ついじ
)
の上へ、影を落とす犬もない。
偸盗
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
去年の夏
数寄屋橋
(
すきやばし
)
の電車停留場安全地帯に一人の西洋婦人が派手な大柄の
更紗
(
さらさ
)
の服をすそ短かに着て
日傘
(
ひがさ
)
をさしているのを見た。近づいて見ると素足に
草履
(
ぞうり
)
をはいている。
自由画稿
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
わたしの心がらから、おんば
日傘
(
ひがさ
)
で育ったあいつにまで、えらい苦労をかけました。わたしが
京阪
(
かみがた
)
のほうに行っているあいだあいつを、この江戸に、ひとりで残しておいたものです。
巷説享保図絵
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
九時・十時になると、ギラギラする日が照りだして、公園の木かげにも、子供プールのまはりにも、だんだん人が集まつて来て、色さまざまの
日傘
(
ひがさ
)
や帽子の、きれいな花が咲くのです。
プールと犬
(新字旧仮名)
/
槙本楠郎
(著)
紺青
(
こんじょう
)
に発火している空、太陽に酔った建物と植物、さわるとやけどする鉄の街燈柱、まっ黒に
這
(
は
)
っているそれらの影、張り出し
前門
(
ファサード
)
の下を行くアフガン人の色絹行商人、交通巡査の大
日傘
(
ひがさ
)
ヤトラカン・サミ博士の椅子
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
やがて、彼女は、歌舞伎座の方から橋を渡って
河岸
(
かし
)
通りを此方へ歩いて来る雪子の
日傘
(
ひがさ
)
が眼に留まると、
徐
(
しず
)
かに座敷の中へ
這入
(
はい
)
って、自分の顔色を見るために、次の間の鏡台の前に坐った。
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
日傘
(
ひがさ
)
の上に白い雲と月の光がつみかさなったようで、じつにみごとでした。
山の別荘の少年
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
別墅
(
べっしょ
)
の
芝生
(
しばふ
)
の上には、紫のアネモネの小川と
菫
(
すみれ
)
の池とが流れていた。
日傘
(
ひがさ
)
のような松のまわりには藤がからんでいた。そして都会の上を吹き過ぎる風は、パラチーノ丘の
薔薇
(
ばら
)
の香りをもたらしていた。
ジャン・クリストフ:12 第十巻 新しき日
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
母が
日傘
(
ひがさ
)
を横にして
会釈
(
えしゃく
)
し、
最早
(
もう
)
熊本に帰っても宜しゅうございましょうかと云うた。
宜
(
よ
)
いとも/\、
皆
(
みんな
)
ひどい目に
会
(
あ
)
った
喃
(
なあ
)
。と士官が馬上から
挨拶
(
あいさつ
)
した。
其処
(
そこ
)
に
土俵
(
どひょう
)
で
築
(
きず
)
いた
台場
(
だいば
)
——
堡塁
(
ほるい
)
があった。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
○フレッシュの
苺
(
いちご
)
クリーム、ブライトな
日傘
(
ひがさ
)
、初夏は楽しい。
現代若き女性気質集
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
日傘
(
ひがさ
)
がまわる
絵
(
ゑ
)
がまわる。
桜さく島:春のかはたれ
(新字旧仮名)
/
竹久夢二
(著)
身體
(
からだ
)
を
搖
(
ゆす
)
り、
下駄
(
げた
)
にて
板敷
(
いたじき
)
を
踏鳴
(
ふみな
)
らす
音
(
おと
)
おどろ/\し。
其
(
その
)
まゝ
渡場
(
わたしば
)
を
志
(
こゝろざ
)
す、
石段
(
いしだん
)
の
中途
(
ちうと
)
にて
行逢
(
ゆきあ
)
ひしは、
日傘
(
ひがさ
)
さしたる、十二ばかりの
友禪縮緬
(
いうぜんちりめん
)
、
踊子
(
をどりこ
)
か。
弥次行
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
あの諸大名が多数の従者を引きつれ、お
抱
(
かか
)
えの医者までしたがえて、
挾箱
(
はさみばこ
)
、
日傘
(
ひがさ
)
、鉄砲、
箪笥
(
たんす
)
、
長持
(
ながもち
)
、その他の諸道具の行列で宿場宿場を
埋
(
うず
)
めたような時は、もはや
後方
(
うしろ
)
になった。
夜明け前:03 第二部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
職業的美術批評家の目で見ると
日傘
(
ひがさ
)
や帽子の赤が勝って画面の中心があまり高い所にあるとも言われる。これはおそらく壁面へずっと低く掲げればちょうどよくなると思う。静物も美しい。
昭和二年の二科会と美術院
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
そのほか、
日傘
(
ひがさ
)
をかざすもの、
平張
(
ひらばり
)
を空に張り渡すもの、あるいはまた
仰々
(
ぎょうぎょう
)
しく
桟敷
(
さじき
)
を路に連ねるもの——まるで目の下の池のまわりは時ならない
加茂
(
かも
)
の祭でも渡りそうな景色でございます。
竜
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
いはんや晴天の
日傘
(
ひがさ
)
をや。細巻の洋傘ステッキの如くに細工したるものは旅行用なり。熱帯の植民地は一日に二、三回
必
(
かならず
)
驟雨
(
しゅうう
)
来るが故に外出の折西洋人は傘を携ふ。日本の気候四季共に雨多し。
洋服論
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
天気の
勝
(
すぐ
)
れて美くしいある日の午前、御米はいつもの通り宗助を送り出してから
直
(
じき
)
に、表へ出た。もう女は
日傘
(
ひがさ
)
を差して外を行くべき時節であった。急いで
日向
(
ひなた
)
を歩くと額の
辺
(
あたり
)
が少し汗ばんだ。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
※
(
あね
)
は
日傘
(
ひがさ
)
をさしかけて
どんたく:絵入り小唄集
(新字旧仮名)
/
竹久夢二
(著)
天氣
(
てんき
)
の
勝
(
すぐ
)
れて
美
(
うつ
)
くしいある
日
(
ひ
)
の
午前
(
ごぜん
)
、
御米
(
およね
)
は
何時
(
いつ
)
もの
通
(
とほ
)
り
宗助
(
そうすけ
)
を
送
(
おく
)
り
出
(
だ
)
してから
直
(
ぢき
)
に、
表
(
おもて
)
へ
出
(
で
)
た。もう
女
(
をんな
)
は
日傘
(
ひがさ
)
を
差
(
さ
)
して
外
(
そと
)
を
行
(
ゆ
)
くべき
時節
(
じせつ
)
であつた。
急
(
いそ
)
いで
日向
(
ひなた
)
を
歩
(
ある
)
くと
額
(
ひたひ
)
の
邊
(
あたり
)
が
少
(
すこ
)
し
汗
(
あせ
)
ばんだ。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
桜の花さく
河岸
(
かし
)
の眺め(第五図)は直ちに新緑
滴
(
したた
)
る
元柳橋
(
もとやなぎばし
)
の夏景色(第六図)と変じ、ここに
包
(
つつみ
)
を背負ひし男一人橋の欄干に腰かけ扇を使ふ時、
青地
(
あおじ
)
の
日傘
(
ひがさ
)
携へし女芸者二人話しながら歩み行けり。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
絹張りの
日傘
(
ひがさ
)
に
更紗
(
さらさ
)
の小包みを持ち添えたり。
義血侠血
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
自分は「さあどうぞ」と云ったようなものの、腹の中では車夫の口にした奥さんという言葉が大いに気になった。嫂はそんな
景色
(
けしき
)
もなく、自分を乗り越すや否や、
琥珀
(
こはく
)
に
刺繍
(
ぬい
)
のある
日傘
(
ひがさ
)
を
翳
(
かざ
)
した。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
両ぐりの
下駄
(
げた
)
をはいて
日傘
(
ひがさ
)
を
提
(
さ
)
げている。
ひかげの花
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
日
常用漢字
小1
部首:⽇
4画
傘
常用漢字
中学
部首:⼈
12画
“日傘”で始まる語句
日傘持
日傘行列