)” の例文
旧字:
遠くは六朝りくちょう時代より近くは前清ぜんしんに至るまでの有名な小説や筆記の類にって、時代をって順々に話していただくことに致しました。
一方では真実の役者がそれぞれ立派に三座にっていたが、西両国という眼抜きの地に村右衛門が立籠たてこもったので素破すばらしい大入おおいりです。
江戸か東京か (新字新仮名) / 淡島寒月(著)
伝説にると景行天皇の御宇に日本武尊が東夷を征伐して、甲州から武州へ越えられる際に今の雁坂かりさか峠を踰えて三峰へお出になった。
奥秩父 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
わたしの考えるところにりますと、阿闍利さまは悲しみの余り、また童子の可愛さのあまりに気が狂うたのではないかと思います。
あじゃり (新字新仮名) / 室生犀星(著)
二十三日まで湊をささえていた筑波勢は、館山たてやまっていた味方の軍勢と合流し、一筋の血路を西に求めるために囲みを突いて出た。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
地点は、森武蔵ぜいっている岐阜ヶ嶽の下——ぶついけのなぎさである。馬に水を飼い、馬の脚を、水にけて冷やしているのだ。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ほっと重荷がおりて笑いたくなり、この小さい水たまりの在るうちは、私の芸術もりどころが在る。この水たまりを忘れずに置こう。
(新字新仮名) / 太宰治(著)
中村、藤沢両君の話にると、十七日に、主治医のばん鎌吉さんが、赤彦君の黄疸わうだんの一時的のものでないことの暗指あんじを与へたさうである。
島木赤彦臨終記 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
「目下天下多事だ、是非君の手腕にらなければならぬ。君のような人はもうその上学問をする必要がない、俸給はこれだけやるから」
教育の目的 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
香取秀真かとりほつま氏が法隆寺の峰の薬師で取調べたところにると、お薬師様に奉納物ほうなふものの鏡には、随分すぐれた価値ねうちのものもすくなくなかつたが
少なくともその人たちがいっているさまざまなことからなんらかのりどころか折り合えるところかが出てくるにちがいありませんわ。
(新字新仮名) / フランツ・カフカ(著)
それにると、この御紋章は彼の「二人同心、其利断金、同心之言、其臭如蘭」の古語に基いて選ばれたとの事であると拝察した。
植物記 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
けれども十七字を並べるというだけでは、漠然としてり所がないかもしれません。それで私はとりあえずこうおすすめします。
俳句の作りよう (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
そうして、妻が病床にいるということだけが、現在彼の生きている世界のなかに、とにかくりどころを与えているようだった。
美しき死の岸に (新字新仮名) / 原民喜(著)
それが一週間に二三度くらい出てきた先生も毎日来なければならぬようにやかましくなり、総て官吏服務規則にって勤めることになった。
美術学校時代 (新字新仮名) / 高村光太郎(著)
彼の大多数の知識は主として耳から這入はいった耳学問と、そうして、彼自身の眼からはいった観察のノートにるものと思われる。
西鶴と科学 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
私はもとよりるところがあって言ったのであるが、伯父様おじさまが用いて下さらねばそれまでのこと、お前はまああの男をどう思う。
書記官 (新字新仮名) / 川上眉山(著)
中にも彼が仕途は水野美濃守の因夤いんいんによりしにかかわらず、彼は大義しんを滅すの理にり、彼をすらしりぞけたりき。寵臣去りて群小の肝胆寒し。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
同じ一つの土地からの報告をくらべてみても、四十歳の人は三十年ほど以前、三十歳の人は二十年ばかり前の、記憶にっているのが多く
こども風土記 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
医者の調査にると空気中の細菌は床へ近いほど多くして上になるほど段々減じる、床の上三尺までの空気中が一番多いとしてあります。
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
物にって形を変え、天然を利して攻撃を避ける。孫呉の兵法にもあった筈。さすれば奇道と申しても、その実やはり正兵法じゃ
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「トゥーサンだったら、」とジャン・ヴァルジャンは考えのり所を求めて何でも手当たりしだいにつかもうとしてるかのように言った
院の御殿は南に淀川、東に水無瀬川の水をひかえ、この二つの川の交わる一角にって何万坪という宏荘こうそうな庭園を擁していたにちがいない。
蘆刈 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
朱子しゅしちゅうって論語を講釈するのを聞いたより外、なんの智識もないのだが、頭の好い人なので、これを読んだ後に内々ないない自らかえりみて見た。
かのように (新字新仮名) / 森鴎外(著)
この書一度ひとたび世にでてより、天下てんか後世こうせい史家しかをしてそのるところを確実かくじつにし、みずからあやまりまた人を誤るのうれいまぬかれしむるにるべし。
それらの有産者らは皆、種々の原則にっていた、ある者は自分の心に、ある者は自分の理性に、またある者は自分の利益に。
将門は京に居て龍口の衛士になつたか知らぬが、系図に龍口の小次郎とも記してあるにれば、其のくらゐなものにはなつたのかも知れぬ。
平将門 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
実はドレゴが急にこんな翻意をするようになったわけは、その前夜、アイスランドから一通の無線電信を受領したことにる。
地球発狂事件 (新字新仮名) / 海野十三丘丘十郎(著)
そして、それには一々確かなどころがあったので、係長もたちまち疑念をはらし、犯人の用意周到さに驚くばかりであった。
悪魔の紋章 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
戦いの終った後、その廃墟に立ち、わずかに残ったいしずえの上にいかなる涙をそそぐであろうか。そういう日に、何にって悲しみに堪えようか。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
人世の鬼面に脅かされ心のりどころを失った若い女性に対するはる子の同情を押しひろめてのみ、千鶴子は容れられる。
沈丁花 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
しかしポオの物語が悉く信頼すべき事実にって書かれたものだとはバーンスも思わなかったであろう。して見ると真実であるかとも思われる。
私がアダム・スミスのって立つ特定の論拠に私の記述を限定していたことは、この本文が十分に示すものと私は考える。
水戸烈公の著「明訓一班抄」にれば、徳川家康は博奕ばくえきをもってすべての罪悪の根元であるとし、はやく浜松・駿府在城の頃よりこれを厳禁した。
法窓夜話:02 法窓夜話 (新字新仮名) / 穂積陳重(著)
ところで、この相互依存の関係を明らかにするには、パレートがいっているように、通常の論理は無力であり、数学の力にらねばならぬ(三)
何か相当のりどころはあるらしいが、口に上せてはっきりと補うことができない、そこに信仰者のもだえがありました。
大菩薩峠:41 椰子林の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
こういう優秀な素質を有する民族ではありますが、その素質を磨かせ、長所を発達せしめた道程は、幾多の先覚者の指導啓発にるのであります。
仏教人生読本 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
姫君はさう云ふ父母ちちははと一しよに、六の宮のほとりにある、木高こだか屋形やかたに住まつてゐた。六の宮の姫君と云ふのは、その土地の名前につたのだつた。
六の宮の姫君 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
吾輩幼時和歌山で小児をねむらせるうたにかちかち山の兎はささの葉を食う故耳が長いというたが、まんざら舎々迦ささかてふ梵語にって作ったのであるまい。
その本に書いてある分類にると、相対的稀覯書というのは、前述の『フランス料理大全』の類で、時代を経るに従って漸次に稀になる書物である。
愛書癖 (新字新仮名) / 辰野隆(著)
「しかし、貴下、聞く処にりますると、早瀬子は、何か、芸妓げいしゃ風情を、内へ入れておると申すでごわりまするが。」
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
日本および日本人がってもって立っている伝統のなかの良きものを、阻害したり腐敗させたり死滅させたり歪めたり侮辱したり植民地化したりする
抵抗のよりどころ (新字新仮名) / 三好十郎(著)
それもまた道理もっともということで、結局、鎧は大袖ということに決定しましたのですから、実際は、これにるというよりどころはなかったのであります。
心にしっかりしたどころをもって、心に太陽をもって清く、正しく、明るいシッカリした生活を営みたいものです。
般若心経講義 (新字新仮名) / 高神覚昇(著)
以上が山県の策戦であるが、山県の想定に対して、薩軍はその第二想定の如く堂々の正攻法にったのであった。
田原坂合戦 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
もし彼が趙姓であったなら、現在よく用いらるる郡望まつりの旧例にり、郡名百家姓ぐんめいひゃっかせいに書いてある注解通りにすればいい。「隴西天水ろうせいてんすいの人也」といえば済む。
阿Q正伝 (新字新仮名) / 魯迅(著)
今これを通読するに画家の伝記は従来の『浮世絵類考』にりたるがためその誤謬ごびゅうをも合せ伝へたる点すくなからず。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
多年此道で苦労した僕も及ばぬ程の手柄だ、吾々のる所は是からたゞあの犬ばかり、夫にしても君の様に短兵急に問詰ては敵が直様すぐさま疑うから事が破れる
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
折角せっかく白井が尽力してくれたのも画餅がへいとなった、大久保某の言にると、只見川の上流の白沢を登るが便利というので、この登路は林治は知らないのである
平ヶ岳登攀記 (新字新仮名) / 高頭仁兵衛(著)
(もとこの画譜は余斎よさいの道中歌を絵にしたものとあるからして大体の趣向はその歌につたのであらうが、ここにはその歌がないので、十分にわからぬ。)
病牀六尺 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)