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扮装
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ふんそう
ふりがな文庫
“
扮装
(
ふんそう
)” の例文
旧字:
扮裝
悪党でも派手を誇る時代だったから、それは洛内の見聞であったろうが、いずれはそんな部類の雑多な
扮装
(
ふんそう
)
をしていたにちがいない。
剣の四君子:03 林崎甚助
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
次第に
扮装
(
ふんそう
)
も
巧
(
うま
)
くなり、大胆にもなって、物好きな
聯想
(
れんそう
)
を
醸
(
かも
)
させる為めに、
匕首
(
あいくち
)
だの麻酔薬だのを、帯の間へ
挿
(
はさ
)
んでは外出した。
秘密
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
帆村荘六は早く起き出ると、どうした
気紛
(
きまぐ
)
れか、洋服箪笥からニッカーと鳥打帽子とを取り出して、ゴルフでもやりそうな
扮装
(
ふんそう
)
になった。
赤外線男
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
肥満しきった快活
豪奢
(
ごうしゃ
)
な婦人らが、代わる代わるイソルデやカルメンに
扮装
(
ふんそう
)
して現われた。アンフォルタスがフィガロを演じた。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
「すぐわかりました。進さんだという事が、すぐにわかりました。どんな
扮装
(
ふんそう
)
をしていても、やっぱりわかるものですね。」
正義と微笑
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
▼ もっと見る
どっかにサーカスがかかっていて、その広告ビラを
撒
(
ま
)
いて歩くチンドン屋に違いない。それにしても、虎の
扮装
(
ふんそう
)
とは珍しい。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
女性に
殊
(
こと
)
に著しい美的
扮装
(
ふんそう
)
(これは
極
(
きわ
)
めて外面的の。女性は
屡〻
(
しばしば
)
練絹
(
ねりぎぬ
)
の外衣の下に
襤褸
(
つづれ
)
の肉衣を着る)、本能の如き
嬌態
(
きょうたい
)
惜みなく愛は奪う
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
幕の外に出ている玉乗りの女の異様な
扮装
(
ふんそう
)
や、大きい女の
鬘
(
かつら
)
を
冠
(
かぶ
)
った
猿
(
さる
)
の顔にも、釣り込まれるようなことはなかった。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
綾織
(
あやおり
)
の帯で、塩瀬紺無地の
袴
(
はかま
)
。
総
(
ふさ
)
ついた、塗柄の
団扇
(
うちわ
)
を手まさぐる、と、これが内にいる
扮装
(
ふんそう
)
で、容体が分りましょう。
白花の朝顔
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
肝心の犯罪捜査を外れた
傍
(
わき
)
道に種々の揷話を生んだものだが、この、漫画に出てくる「ジャック」、舞台や仮装舞踏会の彼の
扮装
(
ふんそう
)
は、かならずその
女肉を料理する男
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
彼女が臨終七時間前に
撮
(
うつ
)
したという「カルメン」の写真は、彼女の
扮装
(
ふんそう
)
のうちでもうつくしい方であるが、心なしか見る目に寂しげな影が濃く出ている。
松井須磨子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
お駒ちゃんは、その天人姿の
扮装
(
ふんそう
)
のまま舞台をいったり来たりして走りながら、叫ぼうとしてけむりにむせる。
巷説享保図絵
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
とんがり
兜
(
かぶと
)
もあごひげも得物の
槍
(
やり
)
の三つまたも
扮装
(
ふんそう
)
は絵にある清正と同じでしたが、こっけいなことに、その清正は朝鮮タバコの長いキセルを口にくわえて
右門捕物帖:01 南蛮幽霊
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
扮装
(
ふんそう
)
とメイキャップの工夫をするというふうにハムレットになりきるために異常な努力をつづけていました。
ハムレット
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
典型に
基
(
もとづ
)
く俳優の演技並びにその
扮装
(
ふんそう
)
とこの三要素の
綜合
(
そうごう
)
して
渾然
(
こんぜん
)
たる一種の芸術を構成したるものなり。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
それはれいの浮浪者の
扮装
(
ふんそう
)
をしているチャップリンが一匹の野良犬とならんでいる写真なのだ。その後も私はずっとその写真のことを、なんとなく忘れずにいる。
犬の生活
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
あらゆる
妖怪
(
ようかい
)
はその衣裳方となって彼を
扮装
(
ふんそう
)
してやったのである。はいつつ立っている。
爬虫類
(
はちゅうるい
)
の二重の歩き方である。かくて彼はあらゆる役目に適するようになる。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
紅、黄、紫、
藍
(
あい
)
、黒などの、禁ぜられた
衣裳
(
いしょう
)
を着用できるのは、舞台上の
扮装
(
ふんそう
)
の場合だけである。
わが心の女
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
扮装
(
ふんそう
)
は、少年少女は
平常着
(
ふだんぎ
)
のままでも
好
(
よ
)
い、その
他
(
ほか
)
は子供の空想の産物で好いが、先生は威厳を損じない程度にのどかな人物であること、
猟人
(
かりうど
)
はずんぐりしていて意気なあわてもの
春
(新字新仮名)
/
竹久夢二
(著)
田舎廻りの舞台の上で、彼は玄武門の勇士を演じ、自分で原田重吉に
扮装
(
ふんそう
)
した。
日清戦争異聞:(原田重吉の夢)
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
従来寺院のものであった聖譚曲——聖書の中の
事蹟
(
じせき
)
を音楽として、背景も
扮装
(
ふんそう
)
も用いずに、
地味
(
じみ
)
に
抹香臭
(
まっこうくさ
)
く歌われた「聖譚曲」を、社会とお宗旨関係者の反対を押し切って劇場に持ち来り
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
小翠は戸を閉めて、また元豊を
扮装
(
ふんそう
)
さして
項羽
(
こうう
)
にしたて、
呼韓耶単于
(
こかんやぜんう
)
をこしらえ、自分はきれいな着物を着て
虞
(
ぐ
)
美人に扮装して帳下の舞を舞った。またある時は
王昭君
(
おうしょうくん
)
に扮装して琵琶を
撥
(
ひ
)
いた。
小翠
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
その
扮装
(
ふんそう
)
は高貴な王女のようでともかく霊体のようにはかいてない。
ばけものばなし
(新字新仮名)
/
岸田劉生
(著)
「今はもう皆あれだす、うちの子供にもあんなん買うたろ」といって
漸
(
ようや
)
く着せて見た洋服を、私は
心斎橋筋
(
しんさいばしすじ
)
の散歩で沢山見受ける。即ち女の子は、近所の女給かダンサーの
扮装
(
ふんそう
)
となって街頭に現れる。
めでたき風景
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
見ると、それは医員に
扮装
(
ふんそう
)
したほかならぬ冬木刑事であった。
五階の窓:06 合作の六(終局)
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
そのかずおよそ一百人、だが
扮装
(
ふんそう
)
は別々である。
剣侠受難
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
その
扮装
(
ふんそう
)
も思い思いでした。
綺堂むかし語り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
(すばらしき大演武会の司会者は、また
欧羅巴
(
ヨーロッパ
)
の国王間にも到底見られない華麗豪壮な
扮装
(
ふんそう
)
に
鏤
(
ちりば
)
められた端正なる一貴人であった——)
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
かく
扮装
(
ふんそう
)
して市場に立ち現われると、若い女や年取った男どもが、それを非常に喜んだ。
屍体
(
したい
)
と後宮の
臙脂
(
えんじ
)
との匂いが、そこから発散していた。
ジャン・クリストフ:07 第五巻 広場の市
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
いつもなら、
矢走千鳥
(
やばせちどり
)
が手伝ってくれるのだが、彼女は臨時に終幕に持ち役ができて舞台に出ているので、ジュリアは
自
(
みずか
)
ら
扮装
(
ふんそう
)
を
脱
(
ぬ
)
ぐほかなかった。
恐怖の口笛
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
緋
(
ひ
)
ぢりめんの長じゅばん、お
召
(
めし
)
のコートというところから、伯爵家の若夫人の外出の服装ではないといい、わざとああした目立たぬ
扮装
(
ふんそう
)
をしたのであろうとも言い
芳川鎌子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
どの狂言にも代々の名優の工夫に成る一定の
扮装
(
ふんそう
)
、一定の動作———
所謂
(
いわゆる
)
「型」が伝えられているから、その約束に従い、太夫の語るチョボに乗って動きさえすれば
蓼喰う虫
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「右六名のうち、
孔雀
(
くじゃく
)
の
扮装
(
ふんそう
)
は最も醜怪なり。馬肉をくらいたる
孫悟空
(
そんごくう
)
の
如
(
ごと
)
し。われらしばしば忠告を試みたるも、更に反省の色なし。よろしく当道場より追放すべし。」
パンドラの匣
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
舞台中央に立った一人の異様な人物、金モールの飾りいかめしい赤ビロードの
上衣
(
うわぎ
)
、ズボン、同じくピカピカ光るビロード帽子、スペインの闘牛士そのままの
扮装
(
ふんそう
)
である。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
ねずの
三武
(
さんぶ
)
という連中の
扮装
(
ふんそう
)
が
観
(
み
)
ものだったので、いっそう評判になった。
鈴木主水
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
松川はその時お召ぞっきのぞろりとした
扮装
(
ふんそう
)
をして、
古
(
いにし
)
えの絵にあるような美しい
風貌
(
ふうぼう
)
の持主であったし、連れて来た女の子も、お
伽噺
(
とぎばなし
)
のなかに出て来る王女のように、純白な洋服を着飾らせて
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
それぞれ
扮装
(
ふんそう
)
を凝らした連中が勢揃いしていた。
桜林
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
大袈裟
(
おおげさ
)
な言葉や羽根飾り、ブリキの剣と厚紙の
兜
(
かぶと
)
とをつけた芝居がかりの
空威張
(
からいば
)
り、そういう
扮装
(
ふんそう
)
の下にはいつも
ジャン・クリストフ:07 第五巻 広場の市
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
衝立
(
ついた
)
ての後から、その途端に、腰もしっかり定まらない一人の
酔
(
え
)
いどれが、
扮装
(
ふんそう
)
してひょろりと起って来た。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
緋
(
ひ
)
の
袴
(
はかま
)
に
水干立烏帽子
(
すいかんたてえぼし
)
、ものめずらしいその
扮装
(
ふんそう
)
は、彼女の技芸と相まってその名を高からしめた。
明治美人伝
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
サーカスの舞台では、ピシーン、ピシーンと
鞭
(
むち
)
が鳴る。
檻
(
おり
)
の横手にピカピカ光る金色の
一物
(
いちもつ
)
。それは名にしおう猛獣団長大山ヘンリー氏の闘牛士そっくりの
扮装
(
ふんそう
)
であった。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
それに南蛮胴の鎧と云い、水牛の
抱角
(
だきづの
)
に
帝釈天
(
たいしゃくてん
)
の兜と云い、邪推をすれば、内面の弱点を人に
見透
(
みす
)
かされまいとして、
強
(
し
)
いてそう云う威嚇的な
扮装
(
ふんそう
)
をしたと思われぬでもない。
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
きょうも、その、おもしろい小父さまは、能役者たちの狂言が幾番かすむと、やおら自身、楽屋幕のうちへはいり込んで、やがて、
扮装
(
ふんそう
)
して、舞台へ出て来た。
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
京の
祇園
(
ぎおん
)
から呼びよせただらりの帯の舞い子が四、五人、柳橋の江戸まえのねえさんたちが四、五人、西洋道化師に
扮装
(
ふんそう
)
した
幇間
(
ほうかん
)
が四、五人、キャバレーの盛装美人が七、八人
影男
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
要は自分にその
真似
(
まね
)
が出来ようとは思わないながら、何のかのと物の分った顔をして年中ごたごたをつづけている自分の家庭を顧みると、人形のような女を連れて、人形芝居のような
扮装
(
ふんそう
)
で
蓼喰う虫
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
胡弓
(
こきゅう
)
、
長笛
(
ちょうてき
)
、
蛮鼓
(
ばんこ
)
、
木琴
(
もっきん
)
、
鉦
(
かね
)
などの
合奏
(
オーケストラ
)
にあわせて真っ赤な
扮装
(
ふんそう
)
をした童女三人が炎の乱舞を踊りぬいてしばらくお客のご機嫌をつないでいる。——それが引っ込む。曲が変る。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
丹下左膳
(
たんげさぜん
)
の
扮装
(
ふんそう
)
をして、大きな
太鼓
(
たいこ
)
を胸にぶらさげた男を先頭に、若い洋装の女のしゃみせんひき、シルク・ハットにえんび服のビラくばり、はっぴ姿の旗持ちなどが、一列にならんで
少年探偵団
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
彼が、家臣に何かささやくと、忽ち、正面の
大襖
(
おおぶすま
)
が除かれ、二次の馳走として用意されていた
猿楽
(
さるがく
)
役者が、楽器を
調
(
ととの
)
え、
扮装
(
ふんそう
)
をこらし、待ち控えていて、すぐ狂言舞を演じはじめた。
新書太閤記:10 第十分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
べつに一定の風俗
扮装
(
ふんそう
)
があるわけではなく、その目的が他日の武門生活の修行にあれば、虚無僧でも何でも、それを武者修行とよんで
差閊
(
さしつか
)
えないわけであるが、やがて、それが社会の表面に
随筆 宮本武蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しかも
曠
(
はれ
)
の式日に、曠の
扮装
(
ふんそう
)
をもって、演じてしまった宿命にすぎない。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“扮装”の意味
《名詞》
扮装(ふんそう)
身なりを飾ること。装い。
姿や顔を何かに変えること。また、その姿。
(出典:Wiktionary)
扮
漢検準1級
部首:⼿
7画
装
常用漢字
小6
部首:⾐
12画
“扮装”で始まる語句
扮装姿
扮装振
扮装術
扮装形容