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手真似
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てまね
ふりがな文庫
“
手真似
(
てまね
)” の例文
旧字:
手眞似
なだらかに傾斜した砂浜を、身ぶり
手真似
(
てまね
)
をまじえて、何かしきりに話しあいながら、だんだん英夫たちのいる方へやって来る。
秘境の日輪旗
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
と、手を振りぬいて後の者を制しながら、一方、あなたの山腹へ向っても、出せるだけの声を張って、何やら
手真似
(
てまね
)
で意志を送っていた。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ルピック夫人は、これはまた、食事の時以外は
鵲
(
かささぎ
)
よりもおしゃべりなのだが、食卓につくと、
手真似
(
てまね
)
と顔つきでものをいいつけるのである。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
彼は髯から手を放すと、やや
反
(
そ
)
り身になって、鼻の高い、眼光の鋭い顔を時々ちらりと眺めながら、勢いよく
手真似
(
てまね
)
をして、しゃべり出した。
英雄の器
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
きんは笑いながら
手真似
(
てまね
)
で、客間に
蒲団
(
ふとん
)
を敷くように云いつけた。紙の焼ける匂いを消す為に、きんは薄く切ったチーズの一切れを火にくべた。
晩菊
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
▼ もっと見る
半分は
手真似
(
てまね
)
で物を言って、長火鉢を間にした差向い、妙に黙りこくって飲んでいると、やがて、
亥刻
(
よつ
)
(十時)過ぎ。
銭形平次捕物控:021 雪の精
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
会話と云っても
手真似
(
てまね
)
である。その
覚束
(
おぼつか
)
ない手真似をもって、ようやく紋太夫が聞き出したのは、
壺神様
(
つぼがみさま
)
の事である。
加利福尼亜の宝島:(お伽冒険談)
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
三吉は庭に出て、大きな石と石の間を歩いたが、
不図
(
ふと
)
姉の後に立つ女髪結を見つけて不思議そうに眺めていた。髪結は種々な
手真似
(
てまね
)
をしてお種に見せた。
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「
何
(
ど
)
うして
作
(
つく
)
る? ……つひ
一寸
(
ちよつ
)
くら
手真似
(
てまね
)
で
話
(
はな
)
されるもんではねえ。
此
(
こ
)
の
胸
(
むね
)
に、
機関
(
からくり
)
を
知
(
し
)
つとります。」
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「わたし、あの時は実に
怖
(
こわ
)
かったわ。顔がこんなよ。」と
手真似
(
てまね
)
をして、玉子が
一伍一什
(
いちぶしじゅう
)
を
委
(
くわ
)
しく話した。
ひかげの花
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
言語が通ぜぬから、
手真似
(
てまね
)
や顔色やにて不快の念を表すが多い。これが一番
不愉快
(
ふゆかい
)
に
感
(
かん
)
ずることである。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
墓地向うの
家
(
うち
)
の久さんの
子女
(
こども
)
が久さんを馬鹿にするのを見かねて、
余
(
あんま
)
りでございますねと
訴
(
うった
)
えた。唖の子の
巳代吉
(
みよきち
)
とは
殊
(
こと
)
に懇意になって、
手真似
(
てまね
)
で
始終
(
しじゅう
)
話して居た。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
余は再び
手真似
(
てまね
)
を交ぜて解剖的の説明を試みた所が、女主人は突然と、ああサンゴミか、というた。
くだもの
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
暗くなり切った時、
家主
(
いえぬし
)
の女が
蝋燭
(
ろうそく
)
を
点
(
とも
)
して来て、病人の寝ている
側
(
そば
)
の、今一つの
寝台
(
ねだい
)
を
拵
(
こしら
)
えに掛かった。それを見てマリイはそれには及ばぬと、
手真似
(
てまね
)
で知らせた。
みれん
(新字新仮名)
/
アルツール・シュニッツレル
(著)
善作が
空身
(
からみ
)
で立っている、
手真似
(
てまね
)
で下りろという、崖が急で下りられない、
指
(
ゆびさ
)
す方に従って
漸
(
ようや
)
く下り場所をさがし、偃松の中に転げこむと、
荷梯子
(
にばしご
)
がそっくり寝ていた
奥常念岳の絶巓に立つ記
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
二人の話はただ吉川夫人の双眼鏡に触れただけであった。お延はわざと
手真似
(
てまね
)
までして見せた。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
中館が、令夫人もいるかい? ときいたら、半分若侍のこしらえをしたその俳優は、ええ、と答えて、何か
手真似
(
てまね
)
をした。へえ。そうなのかい。中館はちらりと唇をまげた。
道標
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
小山嬢は、美貌の青年に向って
手真似
(
てまね
)
と共に何事かを命じた。すると青年は、くるっと後を向いた。青年の顔は、今や窓外から室内を
窺
(
うかが
)
う帆村と田鍋課長の方へ正面を切った。
鞄らしくない鞄
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
いずれも自分だけが、委細を見届けているような口ぶりで、身ぶり、
手真似
(
てまね
)
までして見せて、つまり、あの小童は棒使いの名人だということにおいては、誰も一致するようです。
大菩薩峠:24 流転の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
一人を
追躡
(
ついじょう
)
して
銀明水
(
ぎんめいすい
)
の
側
(
かたわら
)
まで来りしに、吹雪一層烈しく、大に悩み居る折柄、二人は予らに面会を
了
(
おわ
)
りて下るに
遇
(
あ
)
い、
切
(
しき
)
りに危険なる由を
手真似
(
てまね
)
して引返すべきことを
促
(
うなが
)
せしかば
寒中滞岳記:(十月一日より十二月廿一日に至る八十二日間)
(新字新仮名)
/
野中至
(著)
翌日の夕方、彼は広島駅で下車すると、まっすぐに
幟町
(
のぼりちょう
)
の方へ歩いて行った。道路に面したガラス窓から何気なく内側を
覗
(
のぞ
)
くと、ぼんやりと兄の顔が見え、兄は
手真似
(
てまね
)
で向うへ廻れと合図した。
永遠のみどり
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
道の
向
(
むか
)
ひの塀の隣りで、
此処
(
ここ
)
とは筋
向
(
むか
)
うの鼠色の家の一番上
殆
(
ほとん
)
ど家根とすれすれの
処
(
ところ
)
に一つきりある窓から十六七の
少女
(
をとめ
)
が顔を出して
先刻
(
さつき
)
から曙村さんを
手真似
(
てまね
)
などでからかつて居るのてあつた。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
ソレ
弾丸
(
だま
)
でも食って
怪我
(
けが
)
をしては大変と松とも話し、一緒に家へ帰って、師匠に市中の光景などを
手真似
(
てまね
)
で話をしておりますと、ドドーン/\/\という恐ろしい
音響
(
おと
)
が上野の方で鳴り出しました。
幕末維新懐古談:19 上野戦争当時のことなど
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
そして、T機関士に
手真似
(
てまね
)
で
飛行機に乗る怪しい紳士
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
そこへ紅毛人の婆さんが一人静かに戸をあけて女に近より、一封の手紙を出しながら、「読んで見ろ」と云う
手真似
(
てまね
)
をする。
誘惑
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
歌道や茶の友には、礼儀のほかに、階級を
超
(
こ
)
えた心と心の親しいものがある。
行祐
(
ぎょうゆう
)
はすこし
仰山
(
ぎょうさん
)
な
手真似
(
てまね
)
で答えた。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
マリイ・マドレエヌは白木のテーブルの
後
(
うしろ
)
で貧乏ゆすりをしている。そして、相手をそらさない笑顔を作りながら、熱心に
手真似
(
てまね
)
身振りをしてしゃべり続ける。
ぶどう畑のぶどう作り
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
こう話し聞かせる岡見は、人の心に火を点けて歩くという若者の様子を
手真似
(
てまね
)
にまでして見せて、笑った。
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
生憎
(
あいにく
)
来客だ。御母さんは
手真似
(
てまね
)
で早く隠せと云うから、余は手帳を
内懐
(
うちぶところ
)
に入れて「宅へ帰ってもいいですか」と聞いた。御母さんは玄関の方を見ながら「どうぞ」と答える。
趣味の遺伝
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
土人乙女はそれを見ると、踊っていた手を急ぎ止めて
手真似
(
てまね
)
で私へ話しかけた。
沙漠の古都
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
と
呼吸
(
いき
)
の下でいって、いい続けて、時々
歯噛
(
はがみ
)
をしていた少年は、耳を
澄
(
すま
)
して、聞き果てると、しばらくうっとりして、早や死の色の宿ったる
蒼白
(
そうはく
)
な
面
(
おもて
)
を
和
(
やわら
)
げながら、
手真似
(
てまね
)
をすること三度ばかり。
註文帳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「其中に一人立ちて
大音声
(
だいおんじやう
)
に
罵
(
ののし
)
り、
手真似
(
てまね
)
などして狂人の如し」
大菩薩峠:30 畜生谷の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
その河童は僕が目をあいたのを見ると、僕に「静かに」という
手真似
(
てまね
)
をし、それからだれか後ろにいる河童へ Quax, quax と声をかけました。
河童
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
藤吉郎は、あたまを掻いて、もっと、何かして遊ぼうという意味を、
手真似
(
てまね
)
や顔つきで誘った。
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
で、とうとう、火の
気
(
け
)
の伝わってこない食器棚と袋戸棚の間へ押し込められてしまう。
盲人
(
めくら
)
は、途方に暮れ、手探りをし、
手真似
(
てまね
)
で何かいい、指の先が獣のように
這
(
は
)
いまわるのである。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
先生は
往時
(
むかし
)
戦争にまで出たことのある大きな手で、
種々
(
いろいろ
)
な
手真似
(
てまね
)
をして
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
手真似
(
てまね
)
で一ぱいやるしぐさをして見せたのが、真に迫りました。
大菩薩峠:36 新月の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
紋太夫は
側
(
そば
)
へ寄って行った。そうして
手真似
(
てまね
)
で話し出した。
加利福尼亜の宝島:(お伽冒険談)
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
と
手真似
(
てまね
)
で見せた、与吉は両手を
突出
(
つきだ
)
してぐっと引いた。
三尺角
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
が、クラバックはラップや僕にはちょっと「驚くな」という
手真似
(
てまね
)
をした上、今度は冷やかにこう言うのです。
河童
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「それをガツガツと食べ終りますと、
手真似
(
てまね
)
をして、もっとくれいと
強請
(
せが
)
みましたから、いかん、と首を振ってみせたら、さまざまなあだをいたして、いやはや
手古摺
(
てこず
)
りました」
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
この一瞬は、それほど
由々
(
ゆゆ
)
しき一瞬であり、彼女はために策の施しようがないのだ。
平生
(
へいぜい
)
用いる
脅
(
おど
)
しの
手真似
(
てまね
)
さえ、赤い
切先
(
きっさき
)
のように鋭く燃えるあの眼つきに
遇
(
あ
)
っては、もう役に立ちそうもない。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
「何か宇津木の奴、
頻
(
しき
)
りに
手真似
(
てまね
)
をして女を
宥
(
なだ
)
めている」
大菩薩峠:24 流転の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
彼女の情熱が和んでから
手真似
(
てまね
)
でいろいろ話して見た。
沙漠の古都
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
が、やがて両手を挙げ、顔中に喜びを
漲
(
みなぎ
)
らせる。すると猿がもう一匹いつか同じ枝の上にゆらりと腰をおろしている。二匹の猿は
手真似
(
てまね
)
をしながら、暫く何か話しつづける。
誘惑
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
眼のいろ、唇のうごき、
手真似
(
てまね
)
、
身振
(
みぶり
)
だけでも、話は立派に通じるんだ
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
で、
手真似
(
てまね
)
で
巫女
(
みこ
)
に訊いた。
加利福尼亜の宝島:(お伽冒険談)
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
そのうちに船長はマントルの中から望遠鏡を一つ出し、「さん・せばすちあん」に「見ろ」と云う
手真似
(
てまね
)
をする。彼はちょっとためらった後、望遠鏡に海の上を覗いて見る。
誘惑
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
会所の久六が、
手真似
(
てまね
)
でバッサリ、いやに小声で注意をする。
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
やがて廊下のつき当りまで来ると、新田はその部屋の戸を開けて、
後
(
うしろ
)
の三人を振返りながら、「御覧なさい」と云う
手真似
(
てまね
)
をした。ここは柔道の道場を思わせる、広い畳敷の病室だった。
路上
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
手
常用漢字
小1
部首:⼿
4画
真
常用漢字
小3
部首:⽬
10画
似
常用漢字
小5
部首:⼈
7画
“手”で始まる語句
手
手拭
手前
手巾
手繰
手許
手向
手綱
手際
手燭