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征矢
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そや
ふりがな文庫
“
征矢
(
そや
)” の例文
繁った枝葉を巧みに縫い棹はあたかも
征矢
(
そや
)
のように梢遥かに
伸
(
の
)
して行ったが、落ちて来た時にはその先に山鳩を黐で
繋
(
つな
)
ぎ止めていた。
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
崩れた体勢をそのまま一転、足を変えるが早いか、寺の土塀と渓流のながれに沿って下町のほうへ
征矢
(
そや
)
のごとく逃げ去ってしまった。
宮本武蔵:08 円明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
無数の
征矢
(
そや
)
は煙りを目がけて飛んだ。女は
下界
(
げかい
)
をみおろして
冷笑
(
あざわら
)
うように、高く高く宙を舞って行った。千枝松はおそろしかった。
玉藻の前
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
白山は、
藍色
(
あいいろ
)
の雲間に、
雪身
(
せっしん
)
の竜に玉の翼を放って
翔
(
か
)
けた。悪く触れんとするものには、その羽毛が一枚ずつ
白銀
(
しろがね
)
の
征矢
(
そや
)
になって飛ぼう。
卵塔場の天女
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
行列の前後は、あやしの靄が立ちこめて、百千万の銀の
征矢
(
そや
)
が、右から左から、前から後ろから縦横無尽に射込まれるのです。
銭形平次捕物控:227 怪盗系図
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
『
然
(
さ
)
うか!』と言つた信吾の態度は、
宛然
(
さながら
)
、
其麽
(
そんな
)
事は聞いても聞かなくても可いと言つた樣であつたが、靜子は
征矢
(
そや
)
の如く兄の心を感じた。
鳥影
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
そうして、森からは弓材になる
檀
(
まゆみ
)
や
槻
(
つき
)
や
梓
(
あずさ
)
が切り出され、
鹿矢
(
ししや
)
の骨片の矢の根は
征矢
(
そや
)
の
雁股
(
かりまた
)
になった
矢鏃
(
やじり
)
ととり変えられた。
日輪
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
もし白昼にまなこを正しく開くならば、その日天子の黄金の
征矢
(
そや
)
に
伐
(
う
)
たれるじゃ。それほどまでに我等は
悪業
(
あくごう
)
の身じゃ。又人及諸の強鳥を恐る。な。
二十六夜
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
坂上田村麿
(
さかのうえのたむらまろ
)
が勅命を蒙って、百方苦戦の末、観音の夢のお告げで、
山雉
(
やまきじ
)
の羽の
征矢
(
そや
)
を得て、遂に八面大王を亡ぼした。
大菩薩峠:25 みちりやの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
男
(
をとこ
)
は、——いえ、
太刀
(
たち
)
も
帶
(
お
)
びて
居
(
を
)
れば、
弓矢
(
ゆみや
)
も
携
(
たづさ
)
へて
居
(
を
)
りました。
殊
(
こと
)
に
黒
(
くろ
)
い
塗
(
ぬ
)
り
箙
(
えびら
)
へ、二十あまり
征矢
(
そや
)
をさしたのは、
唯今
(
ただいま
)
でもはつきり
覺
(
おぼ
)
えて
居
(
を
)
ります。
藪の中
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
十六の年に奥州の
軍
(
いくさ
)
に出て、敵の
征矢
(
そや
)
に片方の眼を射られながら、それを抜かぬ前に
答
(
とう
)
の
箭
(
や
)
を射返して、その敵を討ち取ったという勇猛な武士でありましたが
日本の伝説
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
黙っていれば悟られずに、行き抜ける
便
(
たより
)
もあるに、隠そうとする
身繕
(
みづくろい
)
、名繕、さては
素性
(
すじょう
)
繕に、
疑
(
うたがい
)
の
眸
(
ひとみ
)
の
征矢
(
そや
)
はてっきり
的
(
まと
)
と集りやすい。繕は
綻
(
ほころ
)
びるを持前とする。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
配達人の提げた赤い印の付いた小鞄を恐怖の
征矢
(
そや
)
として、其の飛んで行く先きを見極めようとした。
天満宮
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
そんな考が不意に
射出
(
いだ
)
した
征矢
(
そや
)
のように、鶴見の頭脳のなかを一瞬の間に飛び過ぎた。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
旭はすでにポプラ並木を透して光り、
征矢
(
そや
)
の如く輝き出し、大向日葵の濃蕊の霧がきらめく。市街の空は煤煙でにごりそめ、海上の汽笛にあはせて、所々の工場の笛がなりつゞける。
瓢作り
(新字旧仮名)
/
杉田久女
(著)
安治川石炭君が、攻撃の
征矢
(
そや
)
を放つや否や松島女郎屋君も、彼に賛同した。
空中征服
(新字新仮名)
/
賀川豊彦
(著)
ねいき細きこのわがのどに
征矢
(
そや
)
ひきて夢路かへさぬ神もいまさば
恋衣
(新字旧仮名)
/
山川登美子
、
増田雅子
、
与謝野晶子
(著)
文治は
端
(
はし
)
なくも樹の上に
征矢
(
そや
)
を認め
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
星天
(
せいてん
)
に
征矢
(
そや
)
を放ちぬ。これよりぞ
海潮音
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
樹蔭にかくるる
征矢
(
そや
)
の
形
(
なり
)
を。
泣菫詩抄
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
白羽の
征矢
(
そや
)
を手挾みて
花守
(旧字旧仮名)
/
横瀬夜雨
(著)
天幕の隙間から春の陽が、黄金の
征矢
(
そや
)
を投げかけた。紅巾は
燦然
(
さんぜん
)
と輝いた。底に一抹の黒味を
湛
(
たた
)
え、表面は紅玉のように光っていた。
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
叫
(
さけ
)
ぶまもなく、ピュッ、ピュッと、風をきってくる
霰
(
あられ
)
のような
征矢
(
そや
)
。——早くも、四面の
闇
(
やみ
)
からワワーッという
喊声
(
かんせい
)
が聞えだした。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
鷹の羽を
矧
(
は
)
いだ古い
征矢
(
そや
)
ですが、矢の根が確りして居り、それがベツトリ血に塗れて、紫色になつて居るのも無氣味です。
銭形平次捕物控:256 恋をせぬ女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
男は、——いえ、
太刀
(
たち
)
も帯びて
居
(
お
)
れば、弓矢も
携
(
たずさ
)
えて居りました。殊に黒い
塗
(
ぬ
)
り
箙
(
えびら
)
へ、二十あまり
征矢
(
そや
)
をさしたのは、ただ今でもはっきり覚えて居ります。
藪の中
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
昔から物語の本にもある、屋の
棟
(
むね
)
へ白羽の
征矢
(
そや
)
が立つか、さもなければ
狩倉
(
かりくら
)
の時
貴人
(
あでびと
)
のお目に
留
(
とま
)
って
御殿
(
ごてん
)
に
召出
(
めしだ
)
されるのは、あんなのじゃと
噂
(
うわさ
)
が高かった。
高野聖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と言つた信吾の
態度
(
やうす
)
は、
宛然
(
さながら
)
、其麽事は聞いても聞かなくても可いと言つた様であつたが、静子は
征矢
(
そや
)
の如く兄の心を感じた。そして、何といふ事なしに
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
夕暮の空に
金色
(
こんじき
)
の
征矢
(
そや
)
のさすように、二人は、その火光を前面に浴びました。光を浴びたところの半面はえびのように赤いけれども、その後ろは
鯰
(
なまず
)
の如く真黒であります。
大菩薩峠:26 めいろの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
伝え言う、源頼義父子奥州より
凱旋
(
がいせん
)
の途次、上総の海岸に上陸したる折、
征矢
(
そや
)
百本を取り一里(小道)ごとに一本の矢を指したるに、九十九にして一本残りたればこの塚に埋む。
地名の研究
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
星天
(
せいてん
)
に
征矢
(
そや
)
を放ちぬ。これよりぞ
海潮音
(新字旧仮名)
/
上田敏
(著)
征矢
(
そや
)
鳴りやめるかげにかくれむ
草わかば
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
銀杏は
征矢
(
そや
)
を射つくして
泣菫詩抄
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
丑之助は、晴々といって、
藁苞
(
わらづと
)
の腹を破った。その中から一羽の鶯が
跳
(
は
)
ね出した。そして
征矢
(
そや
)
みたいに、城の外へ飛んで行った。
宮本武蔵:08 円明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
がしかし楠の木の
際
(
きわ
)
まで行くと、ヒューッと風を切る音がして電光のように白
征矢
(
そや
)
が、楠の木の蔭から飛んで来て鷲の翼につき刺さった。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
昔
(
むかし
)
から
物語
(
ものがたり
)
の
本
(
ほん
)
にもある、
屋
(
や
)
の
棟
(
むね
)
へ
白羽
(
しらは
)
の
征矢
(
そや
)
が
立
(
た
)
つか、
然
(
さ
)
もなければ
狩倉
(
かりくら
)
の
時
(
とき
)
貴人
(
あてびと
)
のお
目
(
め
)
に
留
(
と
)
まつて
御殿
(
ごてん
)
に
召出
(
めしだ
)
されるのは、
那麼
(
あんな
)
のぢやと
噂
(
うはさ
)
が
高
(
たか
)
かつた。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
『だがね、君。』、と稍あつてから低めの調子で竹山が云つた時、其聲は渠の混雜した心に異樣に響いて、「矢張今日限りだ」といふ考へが
征矢
(
そや
)
の如く閃いた。
病院の窓
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
革
(
かは
)
を
卷
(
ま
)
いた
弓
(
ゆみ
)
、
黒塗
(
くろぬ
)
りの
箙
(
えびら
)
、
鷹
(
たか
)
の
羽
(
は
)
の
征矢
(
そや
)
が十七
本
(
ほん
)
、——これは
皆
(
みな
)
、あの
男
(
をとこ
)
が
持
(
も
)
つてゐたものでございませう。はい、
馬
(
うま
)
も
仰有
(
おつしや
)
る
通
(
とほ
)
り、
法師髮
(
ほふしがみ
)
の
月毛
(
つきげ
)
でございます。
藪の中
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
雜司ヶ谷
鬼子母神
(
きしもじん
)
のあたりで御鷹を放たれた時、何處からともなく飛んで來た一本の
征矢
(
そや
)
が、危ふく家光公の肩先をかすめ、三つ葉
葵
(
あふひ
)
の定紋を打つた陣笠の裏金に滑つて
銭形平次捕物控:001 金色の処女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
一
抹
(
まつ
)
の浪しぶきが、横に砕けて舟影をくるんだかと思うと、どうなったか、その最後は分らずに、周馬の舟は
征矢
(
そや
)
のように流されていった。
鳴門秘帖:06 鳴門の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と左右から、猪之松の乾児で警護の二人が、切りつけて来た長脇差を、
征矢
(
そや
)
だ! 駈け抜け、振り返り、追い縋ったところを
剣侠
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
『だがね、君。』と、稍あつてから低めた調子で竹山が云つた時、其声は渠の混雑した心に異様に響いて、「矢張今日限りだ」といふ考へが
征矢
(
そや
)
の如く閃いた。
病院の窓
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
蜂は勿論蜜を取る為、蛇は
征矢
(
そや
)
の
鏃
(
やじり
)
に塗るべき、劇烈な毒を得る為であつた。それから狩や漁の暇に、彼は彼の学んだ武芸や魔術を、一々須世理姫に教へ聞かせた。
老いたる素戔嗚尊
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
雑司ヶ谷
鬼子母神
(
きしもじん
)
のあたりで御鷹を放たれた時、どこからともなく飛んで来た一本の
征矢
(
そや
)
が、危うく家光公の肩先をかすめ、三つ葉葵の定紋を打った陣笠の裏金に滑って
銭形平次捕物控:001 金色の処女
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
云うとともに、袖を払って一筋の
征矢
(
そや
)
をカラリと落す。矢は鷹狩の
中
(
うち
)
より射掛けたるなり。
天守物語
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
庭さきの陽の光の中を、その鶯の影が
征矢
(
そや
)
みたいに
翔
(
か
)
けた。あわただしい跫音が長縁を走って来たので、驚いたものとみえる。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
眼を閉じてじっと
佇
(
たたず
)
んでいたが、空の上から雨のように
征矢
(
そや
)
がひとしきり降って来ると、狐の体は見ている間にバタリバタリと地に
斃
(
たお
)
れた。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
革
(
かわ
)
を巻いた弓、黒塗りの
箙
(
えびら
)
、
鷹
(
たか
)
の羽の
征矢
(
そや
)
が十七本、——これは皆、あの男が持っていたものでございましょう。はい。馬もおっしゃる通り、
法師髪
(
ほうしがみ
)
の
月毛
(
つきげ
)
でございます。
藪の中
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
髻
(
もとどり
)
結いたる
下髪
(
さげがみ
)
の
丈
(
たけ
)
に余れるに、色
紅
(
くれない
)
にして、たとえば
翡翠
(
ひすい
)
の
羽
(
はね
)
にてはけるが如き
一条
(
ひとすじ
)
の
征矢
(
そや
)
を、さし込みにて
前簪
(
まえかんざし
)
にかざしたるが、
瓔珞
(
ようらく
)
を取って掛けし
襷
(
たすき
)
を、片はずしにはずしながら
多神教
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
直記は
傍
(
そば
)
に置いてあつた紙包の中から、一本の
征矢
(
そや
)
を出して見せました。
銭形平次捕物控:195 若党の恋
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
こういう意味の文字が書かれてあり、心臓に
征矢
(
そや
)
を突き刺した絵が、赤い色で描かれたものが、針によって止められていた。
鴉片を喫む美少年
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
征
常用漢字
中学
部首:⼻
8画
矢
常用漢字
小2
部首:⽮
5画
“征矢”で始まる語句
征矢野