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巣窟
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そうくつ
ふりがな文庫
“
巣窟
(
そうくつ
)” の例文
自分の家を乱行の
巣窟
(
そうくつ
)
にしたりしているうちに、三つになるミーチャの世話を引き受けたのは、この家の忠僕グリゴリイであった。
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
「
先刻
(
さっき
)
の話では、岩は坑道をあけていったそうじゃ。どうだい、その坑道を逆に進んでいったら岩の
巣窟
(
そうくつ
)
へ行けそうなものじゃないか」
地中魔
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
いまや、その
巣窟
(
そうくつ
)
の上に、裁決の日は来た。一山の僧房や
伽藍
(
がらん
)
は、わずか
伝法院
(
でんぽういん
)
の一宇を残したきりで、炎々たる
兵燹
(
へいせん
)
に
罹
(
かか
)
った。
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それは重罪の
巣窟
(
そうくつ
)
であるというてよろしい。また乞食の多くもこの種族に属して居る。なおこの種族の中には別に乞食族という者もある。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
まったくそれは、探検という言葉がなんらの誇張もなく当てはまるほど危険な、ないしは危険を感ずる、都会悪の
巣窟
(
そうくつ
)
なのだ。
女肉を料理する男
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
▼ もっと見る
首尾よくここを逃げることが出来たら、最下等の私娼の
巣窟
(
そうくつ
)
を訪ね、お吉に逢って様子を聞こう、道人様のおり場所を教えてくれるに相違ない
任侠二刀流
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
かくのごときすなわちスペインの古い修道院のありさまである。恐るべき帰依の
巣窟
(
そうくつ
)
、童貞女らの
洞穴
(
どうけつ
)
、残忍の場所である。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
蜘蛛は、葉の密集した小さな束の中に、絹の
巣窟
(
そうくつ
)
をつくる。小さな漏斗形の精巧な織物だ。それは蜘蛛のふだんの住居だ。
科学の不思議
(新字旧仮名)
/
ジャン・アンリ・ファーブル
(著)
ニーナ 父も
継母
(
はは
)
も、あたしがここへくるのは反対なの。ここは、ボヘミアンの
巣窟
(
そうくつ
)
だって……あたしが女優にでもなりゃしまいかと、心配なのね。
かもめ:――喜劇 四幕――
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
弘子をわが
巣窟
(
そうくつ
)
に連れ去って、完全に所有してしまおうという、けだものらしい陰謀を企らんでいたからではないか。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
あんぽんたんは外国の
匂
(
にお
)
いを、ここではじめて
嗅
(
か
)
いだのだ。なぜなら神田は学問をする書生さんの
巣窟
(
そうくつ
)
であり、いまでいうインテリゲンチャの群である。
旧聞日本橋:15 流れた唾き
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
「無頼の
巣窟
(
そうくつ
)
」へと化して行った点がなくはないが、それも俺たち自身のせいというだけでなく、ボル派に追いまくられて、そうなった点だってあるのだ。
いやな感じ
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
その中に這入て居る書生は皆活溌
有為
(
ゆうい
)
の人物であるが、一方から見れば血気の壮年、乱暴書生ばかりで、中々
一筋縄
(
ひとすじなわ
)
でも二筋縄でも始末に行かぬ人物の
巣窟
(
そうくつ
)
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
私
(
わたし
)
は
心
(
こころ
)
で、これはきっと
悪者
(
わるもの
)
どもの
巣窟
(
そうくつ
)
であると
考
(
かんが
)
えました。そして、この
間
(
あいだ
)
に
逃
(
に
)
げ
出
(
だ
)
さなければならぬと
思
(
おも
)
いました。
私
(
わたし
)
は、よくそのときのことを
覚
(
おぼ
)
えています。
子供の時分の話
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
この笠松はその昔「
葦
(
あし
)
の
洲
(
す
)
」と
称
(
とな
)
えた
蘆荻
(
ろてき
)
の三角洲で、氾濫する大洪水の
度
(
たび
)
ごとにひたった。この
狐狸
(
こり
)
の
巣窟
(
そうくつ
)
を
発
(
あば
)
いて初めて
拓
(
ひら
)
いたのが
三
(
み
)
ツ
家
(
や
)
の漂流民だと伝えている。
木曾川
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
しかし、祥子の証言で、香港の香山飯店が、皇軍に占領される前からのスパイ団の
巣窟
(
そうくつ
)
であったことや、趙と王はそれに出入りしていた一味であったことだけはわかった。
秘境の日輪旗
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
だんなの知恵じゃ、すぐとそいつが一味の
巣窟
(
そうくつ
)
にも穴倉にも見当がつくんでがしょうが、あっしゃぺったり生き血を首筋へやられたときゃ、五年ばかり命がちぢまりましたぜ
右門捕物帖:05 笛の秘密
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
或
(
あ
)
る
年
(
とし
)
の
冬
(
ふゆ
)
は
雪沓
(
ゆきぐつ
)
を
穿
(
は
)
いて、
吉備国
(
きびのくに
)
から
出雲国
(
いずものくに
)
への、
国境
(
くにざかい
)
の
険路
(
けんろ
)
を
踏
(
ふ
)
み
越
(
こ
)
える。
又
(
また
)
或
(
あ
)
る
年
(
とし
)
の
夏
(
なつ
)
には
焼
(
や
)
くような
日光
(
ひ
)
を
浴
(
あ
)
びつつ
阿蘇山
(
あそざん
)
の
奥深
(
おくふか
)
くくぐり
入
(
い
)
りて
賊
(
ぞく
)
の
巣窟
(
そうくつ
)
をさぐる。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
彼等自らうら淋しく
追放人
(
エキスパトリエ
)
といっている巴里幾年もの滞在外国人がある。初めはラテン区が彼等の
巣窟
(
そうくつ
)
だったが、次にモンマルトルに移り、今ではモンパルナッスが中心地となっている。
巴里祭
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
地形から考えても、今は格別、むかし狐や狸の
巣窟
(
そうくつ
)
であったらしく思われる。私もここに長く住むようならば、綺堂をあらためて狸堂とか狐堂とか云わなければなるまいかなどとも考える。
綺堂むかし語り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
七月×日 どうもあの若い支那人のやつは
怪
(
け
)
しからぬ脚をくつけたものである。
俺
(
おれ
)
の脚は両方とも
蚤
(
のみ
)
の
巣窟
(
そうくつ
)
と言っても
好
(
い
)
い。俺は今日も事務を
執
(
と
)
りながら、気違いになるくらい
痒
(
かゆ
)
い思いをした。
馬の脚
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「女将軍?ええ、山賊の
巣窟
(
そうくつ
)
かな。」
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
此処
(
ここ
)
は×国
間諜団
(
かんちょうだん
)
の
巣窟
(
そうくつ
)
ではないか。
累々
(
るいるい
)
と
横
(
よこた
)
わるのは、みな×国の間諜たちだった。もっとも一人だけ覆面を取らぬ団員があったが……。
流線間諜
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
恩田はどこともしられぬ彼の
巣窟
(
そうくつ
)
に
潜
(
ひそ
)
み隠れているのであろう。警察の手を尽した捜索も徒労におわった。気丈の蘭子は休みもしないで舞台に立った。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
人の内心、そは空想と欲念と企画との
混沌界
(
こんとんかい
)
であり、夢想の
坩堝
(
るつぼ
)
であり、恥ずべき
諸
(
もろもろ
)
の観念の
巣窟
(
そうくつ
)
である。そは
詭弁
(
きべん
)
の魔窟であり、情欲の戦場である。
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
妖艶
(
ようえん
)
の
巣窟
(
そうくつ
)
の浅草公園で、ことに腕前の
凄
(
すご
)
いといわれたおとめのことは、種にしようと思ったから近づいたのだ。
田沢稲船
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
それだから
梁山泊
(
りょうざんぱく
)
のごとき世を怖れぬ大盗の
巣窟
(
そうくつ
)
も出来たりすると、
高俅
(
こうきゅう
)
大臣のおすすめでな、このごろは
朔風
(
さくふう
)
の野に御弓も持たれるようになってきたわけ。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ソリャ鎖国家の
巣窟
(
そうくつ
)
と
云
(
いっ
)
ても
宜
(
よ
)
い
有様
(
ありさま
)
で、四面八方ドッチを見ても洋学者などの頭を
擡
(
もた
)
げる時代でない。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
慶安年間の四谷左門町ときては、いわゆる
悪漢
(
わる
)
の
巣窟
(
そうくつ
)
で、微禄の御家人とか
香具師
(
やし
)
とか、猿廻しとか
夜鷹
(
よたか
)
とかないしは怪しげな浪人者とか、そんな者ばかりが住んでいた。
剣侠受難
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
それなる一味の
巣窟
(
そうくつ
)
であったばかりではなく、にせ金を鋳造していた場所だったのです。
右門捕物帖:05 笛の秘密
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
この
界隈
(
かいわい
)
は、労働者や各国の下級船員を相手にする、最下層の売春婦の
巣窟
(
そうくつ
)
だった。
女肉を料理する男
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
そこは真っ暗な草原で、野犬の
巣窟
(
そうくつ
)
、追剥ぎの稼ぎ場である。闇の奥で犬の声がきこえる。狐の声もきこえる。雨のふる時には容赦なく吹っかける。冬のあけ方には霜を吹く風が氷のように冷たい。
綺堂むかし語り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
ワシントン市におけるスパイの
巣窟
(
そうくつ
)
はついに
壊滅
(
かいめつ
)
し、スパイの大半は
捕縛
(
ほばく
)
せられ、その一部は、自殺または逃走した。
地球要塞
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
あのジョンドレットの
巣窟
(
そうくつ
)
でなされたように多数の悪漢が一度に捕縛さるる場合には、必ずそれに引き続いて多くの捜索と監禁とが起こってくるもので
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
ですが、あいつは僕をこそ
恨
(
うら
)
むべきではないでしょうか。あいつらの
巣窟
(
そうくつ
)
を焼き払ったのも、大切な
豹
(
ひょう
)
を銃殺したのも、みんな僕のせいなんですからね。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
そうした反信長同盟の張本と
巣窟
(
そうくつ
)
は、いったい何処にあるかといえば、
叡山
(
えいざん
)
、本願寺などの僧団と三好の残党の内にあるとは、誰もすぐ考えつくところだが、事実は
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
儒者文人の
叢淵
(
そうえん
)
即ち不品行家の
巣窟
(
そうくつ
)
とも名づくべき悪風を成し、遂に徳川を終わりて明治の新世界に変じたれども、いわゆる洒落放胆の気風は今なお存して
止
(
や
)
まず、かの洋学者流の如き
日本男子論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
「纐纈城を逃げ出せよ。
羅刹
(
らせつ
)
の
巣窟
(
そうくつ
)
を遁がれ出よ。汝悪魔纐纈城主よ!」
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
一二
申残
(
もうしのこ
)
したことを附加えますと、六郎氏の死体がどうして裸体にされていたかという疑問については、吾妻橋
界隈
(
かいわい
)
は浮浪者、乞食、前科者の
巣窟
(
そうくつ
)
であって
陰獣
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
あたかも
巣窟
(
そうくつ
)
から狩り出された獣のように、永住し得る場所を見いだすまで一時身を隠す穴をさがしていた。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
彼はここがカンヌキ山のずっと奥深い山ぶところにかくされたる
六天山塞
(
ろくてんさんさい
)
の地下
巣窟
(
そうくつ
)
だとは知らなかった。
少年探偵長
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
知っているのがだいぶおるし、あそこは、勤王浪士の
巣窟
(
そうくつ
)
だ。近づくにも策がない。……で頼みというのは、八十三郎を、
其方
(
そち
)
の手で、連れ出してもらいたいことだが
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「したがってここは彼らの本陣、
巣窟
(
そうくつ
)
と見るべきかと存ぜられます」
任侠二刀流
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「いろいろわけがあるのです。ぼくが透明怪人の首領にさらわれたことは、もうきみの耳にもはいっているでしょう。じつはあのビルが悪人の
巣窟
(
そうくつ
)
なのです。」
透明怪人
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
しかし、人間と生れた
宿業
(
しゅくごう
)
の尽きぬうちは、いやでも天はあなたを地上で使い切るでしょう。梁山泊は賊の
巣窟
(
そうくつ
)
とのみお考えのようだが、これなん
天罡星
(
てんこうせい
)
の集まりです。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
衆人はその腐敗の床を、恐るべき死の
揺籃
(
ようらん
)
を、一種
敬虔
(
けいけん
)
な恐怖をもってながめていた。ベナレスの寄生虫の
巣窟
(
そうくつ
)
は、バビロンの
獅子
(
しし
)
の
洞
(
ほら
)
にも劣らぬ幻惑を人に与えていた。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
岩は地の底へ巧みに作られた自分の
巣窟
(
そうくつ
)
に帰ると、いきなり部下を集めて下した大命令! さてどんな大事件が、「岩」の手によってこれから
捲
(
ま
)
き起されようとしているのだろうか。
地中魔
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
ここは螢ヶ丘六文の
巣窟
(
そうくつ
)
、そこの束ねをするお吉の部屋。——
任侠二刀流
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
明智のふしぎな注文に、刑事は目をパチパチさせていましたが、魔人の
巣窟
(
そうくつ
)
を発見した名探偵のいいつけです。わけはわからなくても、したがうほかはありません。
青銅の魔人
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
大盗の
巣窟
(
そうくつ
)
、
梁山泊
(
りょうざんぱく
)
などの
水郷
(
すいごう
)
もあって、旅途はさびれ、土民の気風も荒く、そのうえ日々聞ゆる兇悪な犯行にさえ、従来、官の実績は何もあがらず、官は無力なものと
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“巣窟”の意味
《名詞》
巣窟(そうくつ)
悪者などが住みかとする場所。隠れ家。根城。
好ましくないものが集まっているところ。
(出典:Wiktionary)
巣
常用漢字
小4
部首:⼮
11画
窟
常用漢字
中学
部首:⽳
13画
“巣”で始まる語句
巣
巣鴨
巣籠
巣喰
巣立
巣山
巣林子
巣湖
巣兆
巣子