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容態
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ようだい
ふりがな文庫
“
容態
(
ようだい
)” の例文
私は暗い
観覧席
(
かんらんせき
)
で苦笑いをうかべた。その晩から女房の
容態
(
ようだい
)
が変ってきた。赤ん坊がうまれることは、もはや絶対の運命である。
親馬鹿入堂記
(新字新仮名)
/
尾崎士郎
(著)
ただ気の毒なのは、進の父六角博士の
容態
(
ようだい
)
だった。博士は
老衰病
(
ろうすいびょう
)
のため、ひどく弱っていて、動かすことも出来ない有様だった。
月世界探険記
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
真面目
(
まじめ
)
くさった口をきいて、ちょっと
容態
(
ようだい
)
ぶった
衒学
(
げんがく
)
的な調子で詩人の句を引用した。彼はほとんど答えもしなかった。気持が悪かった。
ジャン・クリストフ:04 第二巻 朝
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
医者が患者の
容態
(
ようだい
)
が
判
(
わか
)
るように、料理をする者は、相手の
嗜好
(
しこう
)
を見分け、老若男女いずれにも、その要求が
叶
(
かな
)
うようでなくてはなりません。
日本料理の基礎観念
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
今朝と
容態
(
ようだい
)
の変ったところは、昏睡状態に陥ったことと、八度二分ほど発熟したことである。博士の所見も大体児玉さんと違わないらしい。
鍵
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
▼ もっと見る
が、やがて話が終ると、甚太夫はもう
喘
(
あえ
)
ぎながら、「身ども
今生
(
こんじょう
)
の思い出には、兵衛の
容態
(
ようだい
)
が
承
(
うけたまわ
)
りとうござる。兵衛はまだ存命でござるか。」
或敵打の話
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
私たちは中畑さんのお家で昼食をごちそうになりながら、母の
容態
(
ようだい
)
をくわしく知らされた。ほとんど
危篤
(
きとく
)
の状態らしい。
故郷
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
おとうさんと
姫
(
ひい
)
さんとで、
夜昼
(
よるひる
)
、まくら
元
(
もと
)
につききりで
看病
(
かんびょう
)
したかいもなく、もういよいよ
今日
(
きょう
)
あしたがむずかしいというほどの
容態
(
ようだい
)
になりました。
鉢かつぎ
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
どうやらこうやら、人心地ついた左孝は、まだ
纏
(
まと
)
まった事を話せるような
容態
(
ようだい
)
ではありませんが、それでも、眼だけは
物憂
(
ものう
)
そうに動かしております。
銭形平次捕物控:054 麝香の匂い
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
それで
車錢
(
くるません
)
だけでも
幾
(
いく
)
ら
助
(
たす
)
かるか
知
(
し
)
れないといふので
貧乏
(
びんばふ
)
な
百姓
(
ひやくしやう
)
から
能
(
よ
)
く
聘
(
よば
)
れて
居
(
ゐ
)
るのであつた。
勘次
(
かんじ
)
は
途次
(
みち/\
)
お
品
(
しな
)
の
容態
(
ようだい
)
を
語
(
かた
)
つて
醫者
(
いしや
)
の
判斷
(
はんだん
)
を
促
(
うなが
)
して
見
(
み
)
た。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
この
容態
(
ようだい
)
で氏は、家庭に
於
(
おい
)
て
家人
(
かじん
)
の
些末
(
さまつ
)
な感情などから
超然
(
ちょうぜん
)
として、自分の
室
(
へや
)
にたてこもり
勝
(
が
)
ちであります。
岡本一平論:――親の前で祈祷
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
これで悪漢は全部ほろんだので、一同は
安堵
(
あんど
)
の思いをなした。しかし
安堵
(
あんど
)
ならぬは、ドノバンの
容態
(
ようだい
)
である。彼はいぜん、こんこんとして、半死半生の
境
(
さかい
)
にあるのだ。
少年連盟
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
その後二日間は同じような
容態
(
ようだい
)
がつづいた。そのうちに遠方の親類も来るものは大てい来た。広い正木の家も、さすがに、病室以外はそれらの人たちでごったがえしだった。
次郎物語:01 第一部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
院長の
容態
(
ようだい
)
が悪くなったのは余の危篤に
陥
(
おちい
)
ったのとほぼ同時だそうである。
思い出す事など
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
主人の
容態
(
ようだい
)
がよくないといふ事でした。軍医を迎へるホテルのガルソンの手にあるランプが赤黄ろくガラス戸の向ふに動くのを、私は重苦しい思ひで
眺
(
なが
)
めてゐました。診断は長く続きました。
亜剌比亜人エルアフイ
(新字旧仮名)
/
犬養健
(著)
然
(
さ
)
なくば
此處
(
こゝ
)
で
自害
(
じがい
)
すると
半狂亂
(
はんきゃうらん
)
の
面持
(
おもゝち
)
、
是非
(
ぜひ
)
なく、
自得
(
じとく
)
の
法
(
はふ
)
により、
眠劑
(
ねむりぐすり
)
を
授
(
さづ
)
けましたところ、
案
(
あん
)
の
如
(
ごと
)
くに
效力
(
きゝめ
)
ありて、
死
(
し
)
せるにひとしき
其
(
その
)
容態
(
ようだい
)
、
手前
(
てまへ
)
其間
(
そのあひだ
)
に
書状
(
しょじゃう
)
して、
藥力
(
やくりき
)
の
盡
(
つく
)
るは
今宵
(
こよひ
)
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
代診らしいのがペンを手にして型の如く姓名宿所から
容態
(
ようだい
)
を尋ね始めた。
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
……それへおれの病を君から
委
(
くは
)
しく書いてやつて呉れ。まだ
容態
(
ようだい
)
をくはしく書いてやらうとしてゐて書いてやらないから。……身のおきどころがない。……坐つてゐても玉のやうな汗が額から出る。
島木赤彦臨終記
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
「おまえとは違って、お勝さんはどうも
容態
(
ようだい
)
がよくないようで、丁度お医者を呼んで来たところさ。お医者は
質
(
たち
)
の悪い風邪だと云ったそうだけれど、小父さんはよっぽど心配しているようだったよ」
半七捕物帳:69 白蝶怪
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
つく/″\本尊の
容態
(
ようだい
)
を仰ぎ見るに驚く可し。一見尋常一様の観世音菩薩の立像の如くなるも、長崎にて物慣れし
吾
(
わが
)
眼には
紛
(
まぎ
)
れもあらず。光背の紋様、
絡頸
(
らくけい
)
の星章なんど正しく聖母マリアの像なり。
白くれない
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
打刀
(
うちがたな
)
を持つようになってからは、いよいよ思いあがった
容態
(
ようだい
)
になり、
生毛
(
うぶげ
)
のはえた頬に懸髯をかけ、
市
(
いち
)
のたつ賑やかなところへ出かけては、わけもなく棚の八百物をとって投げ、道端の魚籠を蹴返し
うすゆき抄
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
びんぼうなうちではめったに医者を
呼
(
よ
)
ぶということはないが、わたしの
容態
(
ようだい
)
がいかにも重くって心配であったので、わたしのため
特別
(
とくべつ
)
に、
習慣
(
しゅうかん
)
のためいつか当たり前になっていた
規則
(
きそく
)
を
破
(
やぶ
)
ってくれた。
家なき子:02 (下)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
勿論この女中の「坊ちゃんが——」は、お栄の耳にも明かに、茂作の
容態
(
ようだい
)
の変った事を知らせる力があったのです。
黒衣聖母
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
そういっているときに、目賀野が連れていた医師が入って来て、博士の
容態
(
ようだい
)
について報告した。目下
麻痺
(
まひ
)
症状がつづいている。その原因は不明である。
鞄らしくない鞄
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
翌日
(
よくじつ
)
の
午前
(
ごぜん
)
に
來
(
き
)
て
醫者
(
いしや
)
は
復
(
また
)
注射
(
ちうしや
)
をして
大抵
(
たいてい
)
此
(
こ
)
れでよからうといつて
去
(
さ
)
つた。
然
(
しか
)
しお
品
(
しな
)
の
容態
(
ようだい
)
は
依然
(
いぜん
)
として
恢復
(
くわいふく
)
の
徴候
(
ちようこう
)
がないのみでなく
次第
(
しだい
)
に
大儀相
(
たいぎさう
)
に
見
(
み
)
えはじめた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
退屈な
容態
(
ようだい
)
ぶった我慢できない音楽会を、劇場の奏楽席やまたは宮廷で過ごした後、子馬のように草の中に転がったり、新しいズボンのまま芝生の斜面を滑り降りたり
ジャン・クリストフ:04 第二巻 朝
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
が、運命は飽くまでも、田岡甚太夫に
刻薄
(
こくはく
)
であった。彼の病は
重
(
おも
)
りに重って、
蘭袋
(
らんたい
)
の薬を貰ってから、まだ十日と経たない内に、今日か明日かと云う
容態
(
ようだい
)
になった。
或敵打の話
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
その代り彼は赤見沢博士の
容態
(
ようだい
)
には十分の警戒を払い、専門の警察医を附添わせた。
鞄らしくない鞄
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
此
(
こ
)
の
朝
(
あさ
)
になつてからもお
品
(
しな
)
の
容態
(
ようだい
)
がいゝので
勘次
(
かんじ
)
はほつと
安心
(
あんしん
)
した。さうして
斜
(
なゝめ
)
に
遠
(
とほ
)
くから
射
(
さ
)
す
冬
(
ふゆ
)
の
日
(
ひ
)
を
浴
(
あ
)
びながら
庭葢
(
にはぶた
)
の
上
(
うへ
)
に
筵
(
むしろ
)
を
敷
(
し
)
いて
俵
(
たはら
)
を
編
(
あ
)
みはじめた。
薦
(
こも
)
つくこは
兩端
(
りやうたん
)
に
足
(
あし
)
が
附
(
つ
)
いて
居
(
い
)
る。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
戸沢は博士に問われる通り、ここ一週間ばかりのお律の
容態
(
ようだい
)
を
可成
(
かなり
)
詳細に説明した。慎太郎には薄い博士の
眉
(
まゆ
)
が、戸沢の
処方
(
しょほう
)
を聞いた時、かすかに動いたのが気がかりだった。
お律と子等と
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「ベルガー夫人の出血はようやく停った。絶対安静を命ぜられているが、しきりに赤ちゃんの
容態
(
ようだい
)
のことを気にして、大きな声で泣いたり急に暴れだしたりするので、医局員は困っている」
宇宙尖兵
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「どうもお
律
(
りつ
)
の
容態
(
ようだい
)
が思わしくないから、
慎太郎
(
しんたろう
)
の所へ電報を打ってくれ。」
お律と子等と
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
それは病人の
容態
(
ようだい
)
に対する心配だけではないように思われた。
東京要塞
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
“容態”の意味
《名詞》
容態(ようだい)
病気の様子。病状。
(出典:Wiktionary)
容
常用漢字
小5
部首:⼧
10画
態
常用漢字
小5
部首:⼼
14画
“容”で始まる語句
容
容貌
容易
容子
容色
容赦
容姿
容喙
容体
容器