トップ
>
夜半
>
よなか
ふりがな文庫
“
夜半
(
よなか
)” の例文
「いや、まだ
夜半
(
よなか
)
だが、お前に良いものを見せてやる、相手は思ひの外手剛いかも知れない、拔かりもあるめえが、
十手
(
じつて
)
を忘れるな」
銭形平次捕物控:284 白梅の精
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
夜半
(
よなか
)
に
咽喉
(
のど
)
が
煎
(
い
)
りつくような気がして、小平太は眼を覚した。気がついてみると、自分はちゃんと蒲団の上に夜着を
被
(
か
)
けて寝ていた。
四十八人目
(新字新仮名)
/
森田草平
(著)
もう
夜半
(
よなか
)
を過ぎた時刻で、どの家も暗く雨戸を閉ざし、ほのかに明るい空の下でしんと寝しずまっていた。おせんは柳河岸へいった。
柳橋物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
けれどもその何であるかは、ついに知る機会なく過ぎた。病人は静かな男であったが、折々
夜半
(
よなか
)
に看護婦を小さい声で起していた。
変な音
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
何でも
夜半
(
よなか
)
のことだと聞きましたが、裏の
鶏舎
(
とや
)
で
羽搏
(
はばたき
)
の音が烈しく聞えたので、彌作が
窃
(
そっ
)
と出て見ると、暗い中に例の𤢖が立っている。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
▼ もっと見る
夜半
(
よなか
)
頃に急に思い出して妾はしげしげと二人の子供の顔を眺めた。その時も、急に頭の具合がどうかなってしまいはしないかと思った。
オパール色の手紙:――ある女の日記――
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
「お客、
穢
(
むさ
)
い夜具だが、ここなら
炉
(
ろ
)
もあるし、
夜半
(
よなか
)
に
喉
(
のど
)
が
渇
(
かわ
)
けば、湯茶も沸いている。ゆっくりと、この
蒲団
(
ふとん
)
へ手足をのばしたがいい」
宮本武蔵:04 火の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
たといその光りが弱く曇っていても、やはり月には相違ないのであるから、
夜半
(
よなか
)
を過ぎて雲が散れぱ、明かるくなるであろうと思われた。
世界怪談名作集:02 貸家
(新字新仮名)
/
エドワード・ジョージ・アール・ブルワー・リットン
(著)
障子の破れに、顔が
艶麗
(
あでやか
)
に口の
綻
(
ほころ
)
びた時に、さすがに
凄
(
すご
)
かつた。が、
寂
(
さみ
)
しいとも、
夜半
(
よなか
)
にとも、何とも
言訳
(
いいわけ
)
などするには及ばぬ。
貴婦人
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
目科は「出来るとも僕が此事件の詮鑿を頼まれて居るでは無いか
仮令
(
たと
)
い夜の
夜半
(
よなか
)
でも必要と認れば其罪人に逢い
問糺
(
といたゞ
)
す事を許されて居る」
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
早々
(
そうそう
)
蚊帳
(
かや
)
に
逃
(
に
)
げ
込
(
こ
)
むと、
夜半
(
よなか
)
に雨が降り出して、
頭
(
あたま
)
の上に
漏
(
も
)
って来るので、
遽
(
あわ
)
てゝ
床
(
とこ
)
を
移
(
うつ
)
すなど、わびしい旅の第一夜であった。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
『家が戀しくなつたんだな。……これから
直
(
す
)
ぐ歸へれば、
夜半
(
よなか
)
までには着くよ。……
阿母
(
おつか
)
さんの顏も見られるし。お
聟
(
むこ
)
さんの顏もね。……』
東光院
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
艇長の屍体を発見したのが、ちょうど
夜半
(
よなか
)
の二時でしたが、それから四人は、
艙蓋
(
ハッチ
)
の下で眠るともなく横になっておりました。
潜航艇「鷹の城」
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
夜半
(
よなか
)
に一度、隣に寝ている男の
呻声
(
うめきごえ
)
を聞いて
為吉
(
ためきち
)
は寝苦しい儘、裏庭に
降立
(
おりた
)
ったようだったが、昼間の
疲労
(
つかれ
)
で間もなく床に帰ったらしかった。
上海された男
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
夜半
(
よなか
)
になって皆が疲れて睡ったところで、妻と枕を並べて寝ていた紇は、うなされて眼が開いたので、妻の方を見るともう妻の姿が見えない。
美女を盗む鬼神
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
通常われわれの家で
夜半
(
よなか
)
に急にさわぎがおこれば、まず泥棒がはいつたか、火事か、もしくは急病人ができたと思うだろう。
殺人鬼
(新字新仮名)
/
浜尾四郎
(著)
近来珍らしい二百二十
日
(
か
)
だよ。
夜半
(
よなか
)
過ぎたら風速四十
米突
(
メートル
)
を越すかも知れん。……おまけにここは朝鮮最南端の
絶影島
(
まきのしま
)
だ。
爆弾太平記
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
少女達は規則なぞ忘れて、
夜半
(
よなか
)
まで教室にとどまり、アアミンガアドをかこんで、セエラの手紙を読み返しておりました。
小公女
(新字新仮名)
/
フランシス・ホジソン・エリザ・バーネット
(著)
「一週間なんて、暢気なことを云っちゃ困る。明日の晩までに集めてくれないか。船は明日の
夜半
(
よなか
)
の満潮と同時に出帆することになっているんだ」
ラ・ベル・フィユ号の奇妙な航海
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
祥雲氏はその晩
鱈腹
(
たらふく
)
牛肉と松茸とを食つて寝床に入つた。すると、
夜半
(
よなか
)
過ぎから急に腹が痛み出して、溜らなくなつた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
あなたが
立上
(
たてがみ
)
氏を呼んだと聞くとその夜、兄は
夜半
(
よなか
)
にそっと起きあがって、
稀塩酸
(
きえんさん
)
でじぶんの眼をつぶそうとしているのです。必死なようすでしたわ。
キャラコさん:03 蘆と木笛
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
伊太利
(
イタリイ
)
のメシナ海峡を
夜半
(
よなか
)
に通過する事に成つたのでエトナ
山
(
ざん
)
もブルカノ
島
(
たう
)
も遠望が出来なかつたが、
夜明
(
よあけ
)
にストロンボリイ島の噴火
丈
(
だけ
)
を近く眺めた。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
ふと、喜平次が
夜半
(
よなか
)
に目を覚ますと、自分の傍に寝て居るのは、美人どころか異形の化物だったので、ヒャッと言って飛び出すと化物が跡を追って来る。
暴風雨の夜
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
念のために廻り道して、一間隔てた老夫婦の部屋を覗いて見たが、二人は山慣れた健康者、
夜半
(
よなか
)
に目を覚ますこともないと見え、グッスリ寝入っている。
悪魔の紋章
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
此家
(
こゝ
)
は
予
(
かね
)
て自分も時々借りる家と見えまして、此の二階へ
夜半
(
よなか
)
に忍び込んで頬冠を
脱
(
と
)
り、ほッと息を
吐
(
つ
)
きました。
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
夜半
(
よなか
)
に田原さんは眼を覚した。家の中はひっそりと静まり返っていた。そして彼の心も如何にも静かであった。
田原氏の犯罪
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
女というものは種が分るともういけない。
例
(
たと
)
えば
夜半
(
よなか
)
に台所の方でコト/\音がする。テッキリ泥棒だと思って、ワナ/\震え出す。怖くて溜まらないから
秀才養子鑑
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
しかし世間は炎暑につかれて
夜半
(
よなか
)
のように
寂
(
しん
)
としています。
忽然
(
こつぜん
)
夕立が来ます。空の大半は青く晴れている処から
四辺
(
あたり
)
は
明
(
あかる
)
いので、太い雨の糸がはっきり見えます。
監獄署の裏
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
すると其晩一間隔てゝ寝て居た大藤が
夜半
(
よなか
)
に行燈の光で大刀を抜いて、
寐刃
(
ねたば
)
を合して居りますから私は龍馬をゆり起し、油断がなりませぬとつまり朝まで寝ずでした。
千里駒後日譚
(新字旧仮名)
/
川田瑞穂
、
楢崎竜
、
川田雪山
(著)
それに一度煮てあるからと思って沢山食べたが帰って来るとその
夜半
(
よなか
)
から腹が痛み出して
吐
(
は
)
くやら下すやら
七顛八倒
(
しってんばっとう
)
の
大苦
(
おおくるし
)
み、一時は殆どこれ切りになるかと思った。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
すこし大きくなってから、
夜半
(
よなか
)
に祖母におこされて、お
灸
(
きゅう
)
を毎夜すえてあげる役目をもった。
旧聞日本橋:20 西川小りん
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
市平は
夜半
(
よなか
)
の二時頃から起きて旅支度にかかった。長い徒歩の時間が彼をせきたてていた。
土竜
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
もみの木は、あいかわらず、ふかいためいきのかわりに、パチ、パチいいながら、森のなかの、夏のまひるのことや、星がかがやいている、冬の
夜半
(
よなか
)
のことをおもっていました。
もみの木
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
そこへ
臼田才佐
(
うすださいさ
)
と云ふものが来掛かつたので、それをも
誘
(
いざな
)
つて、三人で
茶店
(
ちやてん
)
に入つて酒を命じた。三人が
夜半
(
よなか
)
まで月を看てゐると、雨が降り出した。それから
各
(
おの/\
)
別れて家に還つた。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
夜半
(
よなか
)
の一時頃、留置場の番人が見廻りの際、特に奇怪なる青年として充分注意する様に云い渡されていたので、注意すると、驚くべし、岩見はいつの間にか留置場から姿を消していた。
琥珀のパイプ
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
彼方此方
(
あっちこっち
)
マゴマゴして、小倉
中
(
じゅう
)
、宿を
捜
(
さが
)
したが、
何処
(
どこ
)
でも泊めない。ヤット一軒泊めて
呉
(
く
)
れた所が薄汚ない宿屋で、
相宿
(
あいやど
)
の
同間
(
どうま
)
に人が寝て居る。スルト
夜半
(
よなか
)
に
枕辺
(
まくらもと
)
で小便する音がする。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
夜半
(
よなか
)
の怖さ淋しさというものより、
真昼間
(
まひるま
)
の怖さ淋しさは一層物凄いものだという事をしみじみ感じたその時からであった。二十歳の時であった。鈴鹿峠を只一人、歩いて越した事がある。
怪談
(新字新仮名)
/
平山蘆江
(著)
だが、いっておくがね、舞踏会には
夜半
(
よなか
)
の十二時までしかいられないのだよ。
シンデレラ
(新字新仮名)
/
水谷まさる
(著)
弾条
(
ぜんまい
)
のきしむ音と共に時計が鳴り出した。クララは数を数えないでも丁度
夜半
(
よなか
)
である事を知っていた。そして涙を拭いもあえず、静かに床からすべり出た。打合せておいた時刻が来たのだ。
クララの出家
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
「夢の中の女」「秘密の女」
朦朧
(
もうろう
)
とした、現実とも幻覚とも区別の附かない Love adventure の面白さに、私はそれから毎晩のように女の
許
(
もと
)
に通い、
夜半
(
よなか
)
の二時頃迄遊んでは
秘密
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
街の図書館は早朝から
夜半
(
よなか
)
まで一分の隙もなく満員となりました。
辞書と新聞紙
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
まだ
夜半
(
よなか
)
である。外は月夜らしくて、戸の節穴が青白く明かるい。
良寛物語 手毬と鉢の子
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
(丸太小舍には老の夫婦、
夜半
(
よなか
)
頃から鳴きだす蟋蟀。)
展望
(旧字旧仮名)
/
福士幸次郎
(著)
夜半
(
よなか
)
に彼處から出たのです。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
若いお内儀さんが
夜半
(
よなか
)
に
閨
(
ねや
)
をぬけ出して、下女部屋へ忍んで来た仔細は
直
(
すぐ
)
に判った。判ると同時に、お菊は差当りの返事に困った。
黄八丈の小袖
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
この頃は、野良犬みたいに、家の裏口から覗いたり、
夜半
(
よなか
)
に、真っ黒な人間が、物干しに屈みこんでいることも、幾度だか知れませんぜ
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
けれども其何であるかは、つひに知る機會なく過ぎた。病人は靜かな男であつたが、折々
夜半
(
よなか
)
に看護婦を小さい聲で起してゐた。
変な音
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
昨夜も
夜半
(
よなか
)
過ぎまで、何彼と介抱をして居たそうで、あんな評判の良い男はありませんね。一季半期の奉公人に出来ない事ですね
銭形平次捕物控:239 群盗
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
午前
(
ごぜん
)
などと
文化
(
ぶんくわ
)
がつたり、
朝
(
あさ
)
がつたりしては
居
(
ゐ
)
られない。
此
(
こ
)
の
頃
(
ごろ
)
ではまだ
夜半
(
よなか
)
ではないか。
南洋
(
なんやう
)
から
土人
(
どじん
)
が
來
(
き
)
ても、
夜中
(
よなか
)
に
見物
(
けんぶつ
)
が
出來
(
でき
)
るものか。
雨ふり
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
いつも枕に頭をつけるとすぐ眠る習慣なので、昨夜もそのまま眠つてしまいましたが、
夜半
(
よなか
)
にふと目がさめました。
殺人鬼
(新字新仮名)
/
浜尾四郎
(著)
“夜半”の意味
《名詞》
夜半(やはん、よわ)
夜中。
(出典:Wiktionary)
夜
常用漢字
小2
部首:⼣
8画
半
常用漢字
小2
部首:⼗
5画
“夜半”で始まる語句
夜半亭
夜半比
夜半過
夜半楽
夜半着
夜半近