たはら)” の例文
むくりとなかきたが、ちひさいむすめさんのむねうへつて、るとすべつて、ころりとたはらにころがつて、すや/\とのまゝた。
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
岡目をかめでもれまさあねえ、假令たとひどうでもたはらまでつてられて、辨償まよつてところで三十せんか五十せんのことだんべぢやねえか
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
またよこながたはらのような恰好かつこうをして、そのまんなかくちをつけた横瓮よこべといふつぼがありますし、ひらべったいつぼひもをつけるみゝくちのついたつぼといふのがありまして
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
こめたはらよりぜに蟇口がまぐちよりいづ結構けつこうなかなに不足ふそく行倒ゆきだふれの茶番ちやばん狂言きやうげんする事かとノンキに太平楽たいへいらく云ふて、自作じさく小説せうせつ何十遍なんじつぺんずりとかの色表紙いろべうしけて売出うりだされ
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵三文字屋金平(著)
日頃好物の塩鱒しほますたはらで取るのも亦勝手だつた。お住はまだ一生のうちにこの位ほつとした覚えはなかつた。この位ほつとした?——しかし記憶ははつきりと九年前の或夜を呼び起した。
一塊の土 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
音作は腰をこゞめ、足に力を入れ、重いたはらを家の方へ運んで行く。後には女二人と省吾ばかり残つて、もみふるつたり、それを俵へ詰めたりして居た。急に『かあさん、かあさん。』と呼ぶ声が起る。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
床几しやうぎしたたはらけるに、いぬ一匹いつぴき其日そのひあさよりゆるもののよしやつしよくづきましたとて、老年としより餘念よねんもなげなり。
弥次行 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
貧乏びんばふ百姓ひやくしやうはいつでもつちにくつゝいて食料しよくれうることにばかり腐心ふしんしてるにもかゝはらず、作物さくもつたはらになればすで大部分だいぶぶん彼等かれら所有しよいうではない。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
松村まつむら小松こまつかこつて、松賀町まつかちやう淨瑠璃じやうるりをうならうといふ、くらくらとはならんだり、なか白鼠しろねずみ黒鼠くろねずみたはら背負しよつてちよろ/\したのが、みなはひになつたか。
深川浅景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
勘次かんじはおしな葬式さうしきむとすぐあたらしいたはられた小作米こさくまい地主ぢぬしはこんでかねばらぬとそれがこゝろくるしめてた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
飯坂いひざか前途さきやまからの、どん/\とますだで。——いゝ磨砂みがきずなだの、これ。」と、たくましい平手ひらてで、ドンとたゝくと、たはらからしろが、ふツとつ。
飯坂ゆき (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
同町内どうちやうない瀧君たきくんに、ひとたはらおくらうかな、……水上みなかみさんはおほきをして、二七にしち縁日えんにち金魚藻きんぎよもさがしてく。……
城崎を憶ふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
うで、うで、めいぶつで。」と振向ふりむいて、和笑にやりとしながら、平手ひらてまたたゝいて、つゞけざまにドン/\とたはらつと、ふにやおよぶ、眞白まつしろなのが、ぱつ/\とつ——東京とうきやうほこりなか
飯坂ゆき (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)