保存ほぞん)” の例文
いままでみづんだり、それを保存ほぞんするには椰子やしからのようなものとか、貝類かひるいからとかを使つかふことのほかはなかつたのであります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
ごろでは綿わたがすつかりれなくなつたので、まるめばこすゝけたまゝまれ保存ほぞんされてるのも絲屑いとくづぬの切端きれはしれてあるくらゐぎないのである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
「そのかんがえは、ぜいたくだろう。なにしろ、あの薄手うすででは、大事だいじにして、しまっておいても保存ほぞんは、容易よういではない。」
さかずきの輪廻 (新字新仮名) / 小川未明(著)
それをかういふふうにして、意味いみあらはあひだに、やす氣分きぶん保存ほぞんしようとするのが、うたうへ工夫くふうであります。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
死刑しけい理想りさうとしてはいすべきものだけれど、それが保存ほぞんされてある以上いじやうるたけおほ利用りようしなければならぬ。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
そもそ此氷川このひがは境内けいだいひろつた一破片はへんいまでも保存ほぞんしてあるが)これが地中ちちう秘密ひみつさぐはじめた最初さいしよかぎで、石器時代せききじだい研究けんきうおもつた動機どうきとはなつたのだ。
その中にはうす酸化鉄さんかてつ沈澱ちんでんしてあたりの岩から実にはっきりしていました。たしかに足痕がどろにつくやいなや、火山灰がやって来てそれをそのまま保存ほぞんしたのです。
イギリス海岸 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
香織かおりはそれを両手りょうでにささげ、『たとえおわかれしても、いつまでもいつまでもひめさまの紀念かたみ大切たいせつ保存ほぞんいたします……。』といながら、こえおしまずくずれました。
所謂いわゆる国家なるものを目的に定めてこれを維持いじ保存ほぞんせんとする者は、この主義にらざるはなし。
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
外国の力をりて政府を保存ほぞんせんとはかりたりとのひょうごときは、けっして甘受かんじゅせざるところならん。
そこで旧武田家きゅうたけだけ政弊悪政せいへいあくせいはこのさいつとめてはいしまするが、兵法奨励へいほうしょうれい御岳大講会みたけだいこうえ行事ぎょうじだけは、なんとか保存ほぞんいたしたいと考えて、昨秋さくしゅうかたちばかりはやりましたが、当時とうじ諸国紛端しょこくふんたんの折から
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それはかんなか空氣くうき侵入しんにゆうしてくさやすいが、直接ちよくせつ土中どちゆううづめるとき空氣くうきにくいので、かへってよく保存ほぞんされるのであります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
「それだから、うつくしいのなるのも、には、ふか意味いみがあるので、自分じぶん種類しゅるい保存ほぞんすることになるのです。」
赤い実 (新字新仮名) / 小川未明(著)
したがつてたきゞ缺乏けつばふから豆幹まめがらわらのやうなものもみな燃料ねんれうとして保存ほぞんされてることは勘次かんじつてた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
それで狩獵しゆりようでとつてけだものにくは、つぼなか鹽漬しほづけとして保存ほぞんされるし、みづやその流動物りゆうどうぶつかめれて、自由じゆうはこぶことも出來できるようになりました。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
はかない、薄手うすでのさかずきが、こんなに完全かんぜん保存ほぞんされたのに、そのあいだに、このまちでも、このなかでも、いくたびか時代じだい変遷へんせんがありました。あるものは、まれました。
さかずきの輪廻 (新字新仮名) / 小川未明(著)
もっとも、利助りすけほどの天才てんさいは、自分じぶんのものがなが保存ほぞんされるためとか、どうとかいうようなぞくかんがえはもたなかったろう。ただ、気品きひんたかいものをつくげたいとおもっていたにちがいない。
さかずきの輪廻 (新字新仮名) / 小川未明(著)