不器用ぶきよう)” の例文
「わしもうれしいよ。とにかくふしぎな気がする。わしは生まれつき不器用ぶきようで、死んだ父親からさんざんとしかられたもんじゃったがのう」
超人間X号 (新字新仮名) / 海野十三(著)
不器用ぶきようなればお返事へんじのしやうもわからず、唯々たゞ/\こ〻ろぼそくりますとてをちゞめて引退ひきしりぞくに、桂次けいじ拍子ひようしぬけのしていよ/\あたまおもたくなりぬ。
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
そうすると、小さな音楽の先生たちは、はね毛をさかだて、この生徒の不器用ぶきようさかげんにがっかりして、大声を立てたりばたいたりしています。
「そうらわれつてたんだ、しけりやいくらでもつてけ」卯平うへい不器用ぶきようないひかたをしながら煎餅せんべいをとつてつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
しかしただ一人久保田さんが纎細せんさいみつ作品さくひんを書く人でありながら球突たまつきではひどく不器用ぶきようなのをのぞけばそれぞれに球突たまつきの中にも作品さくひんかんじがあらはれてくるからおも白い。
文壇球突物語 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
小六ころく其時そのとき中學ちゆうがくて、これから高等學校かうとうがくかう這入はいらうといふ間際まぎはであつた。宗助そうすけて、「にいさん」とも「御歸おかへりなさい」ともはないで、たゞ不器用ぶきよう挨拶あいさつをした。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
かれの不器用ぶきようさは朝倉先生どころではなく、その手振りはまるで拳闘けんとうでもやっているような格好であり、その足の運びには、四股しこをふむ時のような力がこもっていた。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
もう一つ、不器用ぶきようなことの、れいをあげてみましょうか。それは、はなをかむときでした。
左ぎっちょの正ちゃん (新字新仮名) / 小川未明(著)
一番最後の少し奥に引っ込んだ石菖せきしょうはち格子こうしのそばに置いてある家には、いかにも土百姓の娘らしい丸く肥った女が白粉をごてごてと不器用ぶきようにぬりつけて二三人並んでいた。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
不器用ぶきような足音が台所じゅうをしばらくがたつかせると、やがてまたしずかになった。
あいちやんは不器用ぶきようつきで赤子あかごりました、それはめう格好かくかうをしたちひさな動物どうぶつで、れがいてるまゝに其腕そのうであしみんそとすと、『恰度ちやうど海盤車ひとでのやうだ』とあいちやんはおもひました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
にはなる美登利みどりはさしのぞいて、ゑゝ不器用ぶきようんなつきしてうなるものぞ、紙縷こより婆々縷ばゝよりわらしべなんぞ前壺まへつぼかせたとてながもちのすることでは
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
卯平うへいるから不器用ぶきよう容子ようすをしてて、おそろしく手先てさきわざ器用きよう性來たちであつた。それでかれ仕事しごとるとつてからは方々はう/″\やとはれてたわらんだ。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
まさちゃん、よこちょをとおしてはいや、まんなかをとおしてね。」と、ヨシさんが、じゅずだまのまんなかをとおすように、注意ちゅういしましたけれどまさちゃんは、きわめて不器用ぶきようでした。
左ぎっちょの正ちゃん (新字新仮名) / 小川未明(著)
不器用ぶきようをあきらめて、羽織はをりひもながきをはづし、ゆわひつけにくる/\ととむなきあわせをして、これならばと踏試ふみこゝろむるに、あるきにくきことふばかりなく
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「うむ」と卯平うへい不器用ぶきよう風呂敷ふろしきしてさうしておつぎのうしろからおつたのそばへのつそりとつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
なんにしても、まさちゃんは、ゆびさきですることは、不器用ぶきようでありました。鉛筆えんぴつもひとりでうまくけずれません。女中じょちゅうのきよにけずってもらいます。きよは、お勝手かってのほうちょうでけずってくれます。
左ぎっちょの正ちゃん (新字新仮名) / 小川未明(著)
是にもはらはたてども良人おつとあそばすことなればと我慢がまんしてわたしなに言葉ことばあらそひしたこと御座ござんせぬけれど、朝飯あさはんあがるときから小言こゞとえず、召使めしつかひまへにて散々さん/″\わたし不器用ぶきよう不作法ぶさはう御並おならへなされ
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)