一生いっしょう)” の例文
こんなわけで、ふたりのきょうだいは、いじわるをしたり、にせの花よめになったりしたばちがあたって、一生いっしょう目が見えませんでした。
十まではおろか一生いっしょうでも、この子のそばにいたいのですけれど、わたしはもう二人間にんげん世界せかいかえることのできないになりました。
葛の葉狐 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
もしあのまま殺さないで置いたなら今の備後屋びんごやの女房の話のように、私の妻もどんな機会で九死きゅうし一生いっしょうを得たかも知れない。
疑惑 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
キッコは一すんばかりの鉛筆えんぴつ一生いっしょうけんめいにぎってひとりでにかにかわらいながら8の字をよこにたくさん書いていたのです。
みじかい木ぺん (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
かんがえると、あなたがたの一生いっしょうほどいろいろと経験けいけんなさるものはありますまい。わたしたちは、永久えいきゅうに、このままでうごくことさえできないのであります。
雪くる前の高原の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
というのは、わたしは自分のしごとに夢中むちゅうになっていましたから。つまりわたしは、かえるを打つために使うくるみのえだをおろうと、一生いっしょうけんめいでした。
一生いっしょうのあいだ、あなたへのまごころはかわりません。一生のあいだ、あなたへのまごころはかわりません。」
だんこくを移して、いとまを告げて去らんとすれば、先生なおしばしと引留ひきとめられしが、やがて玄関げんかんまで送り出られたるぞ、あにらんや、これ一生いっしょう永訣えいけつならんとは。
このひと一生いっしょうには随分ずいぶん過失あやまちもあったようで、したがって帰幽後きゆうご修行しゅぎょうには随分ずいぶんつらいところもありましたが、しかしもともとしっかりした、けぬ気性きしょうかただけに
「ああ。おとなしくいうことをきいて、そして一生いっしょうけんめいにはたらけば、入れてやってもいいよ。」
曲馬団の「トッテンカン」 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
諭吉ゆきち一生いっしょうは、この理想りそうでつらぬかれました。
感心かんしんして、きかけたかたなっこめてしまいました。そしてそれからはまったく義家よしいえになついて、一生いっしょうそむきませんでした。
八幡太郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
(ああ、ああ、弟のやつは、なんて大ばかなんだ。あれじゃ、一生いっしょうかかったって、ものになりゃしない。たましい百までっていうからなあ。)
おたがいに、このなかから、うつくしい、よろこばしいことをりましょう。わたしは、あなたが、わたしのために乱暴者らんぼうものからなぐられて、ながされたことを一生いっしょうわすれません。
あほう鳥の鳴く日 (新字新仮名) / 小川未明(著)
おっかさんがおどろいていてポーセの名をびながら一生いっしょうけんめいゆすぶりましたけれども、ポーセのあせでしめったの頭はただゆすぶられた通りうごくだけでした。
手紙 四 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
けれど新吉は、一生いっしょうけんめいはたらきます。どんなことでもします。団長だんちょう約束やくそくしたのですから、いやだなどということはもちろん、ちょっとでもなまけることは出来ません。
曲馬団の「トッテンカン」 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
そのうちに、若者わかものはいいおよめさんをもらって、子供こどもまごがたくさん出来できました。そしてにぎやかなおもしろい一生いっしょうをおくるようになりました。
一本のわら (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
王さまとおきさきさまは、もういちど婚礼こんれいの式をあげました。そして、ふたりは一生いっしょうをおわるまで、たのしくくらしました。
つくえくんなどは、こんどはたらきにれば、きっとおもいもののだいにでもなるだろう。そうすれば、一生いっしょうかぶがない。乳母車うばぐるまさんだって、どうせらくはありっこない。
春さきの古物店 (新字新仮名) / 小川未明(著)
するとしゅっこは、さっきからよっぽどおこっていたとみえて、「ようし、見てろ」と云いながら、本気になって、ざぶんと水に飛び込んで、一生いっしょうけんめい、そっちの方へ泳いでいった。
さいかち淵 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
「ああわかったとも。おっかさんも林太郎のくるのを一生いっしょうけんめいにってるだ。」
あたまでっかち (新字新仮名) / 下村千秋(著)
実高夫婦さねたかふうふはさっそく長谷はせ観音かんのんさまにおれいまいりをして、こんどまれたひいさんの一生いっしょうを、ほとけさまにまもっていただくようにおたのみしてかえってました。
鉢かつぎ (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
「おまえは、ここにいるほうがよかろ。おまえなんざ、一生いっしょうかかったって、駄馬だば一つ手にはいりゃしないよ」
それはリシウムの紅焔こうえんでしょう。ほんとうに光炎菩薩こうえんぼさつ太陽たいようマジックの歌はそらにも地面ちめんにもちからいっぱい、日光の小さな小さなすみれだいだいや赤のなみといっしょに一生いっしょうけんめいに鳴っています。
イーハトーボ農学校の春 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
あたたかなうみしおしよせてきた、がけのうえで、心持こころもちのいいかぜかれて、うつりうつりとゆめていたときのことをかんがえると、くらべものになりませんが、どうせわたし一生いっしょうというものは
ガラス窓の河骨 (新字新仮名) / 小川未明(著)
このチャンは女の子のからだにこびりついてしまって、一生いっしょうのあいだどうしてもとれませんでした。
遠いおきのほうまでもこぎ出して、一生いっしょうけんめいおさかなをつっていますと、ふとうしろのほうで
浦島太郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
それから、わたしは、いくらさがしたかしれません。おかあさんからはしかられました。けれど、どうしても、なくしたたまつからなかったのです。わたしは、一生いっしょうそのことをわすれませんでした。
山へ帰りゆく父 (新字新仮名) / 小川未明(著)
と、いいながら、三人の子どもをわたして、お妃さまのしたをうごくようにしてくれました。しかもそればかりか、お妃さまに一生いっしょうのしあわせをもさずけてくださったのです。
といって、一生いっしょうけんめいいのりました。
たにしの出世 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
一生いっしょうあまになってらしたまわれた——。
三つのかぎ (新字新仮名) / 小川未明(著)
こうして、ちびの仕立屋さんは、一生いっしょうのあいだ、ずうっと王さまでいました。
御恩ごおん一生いっしょうわすれません。
葛の葉狐 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
あのひとをしたうわたしの気持ちは、かりに木ぎの葉がのこらずしたであっても、とうていいいつくすことができないほどなのだ。わたしは一生いっしょうをかけても、あのひとをじぶんのものにしたい。
忠義者のヨハネスというのは、王さまのいちばんお気にいりの家来けらいでした。この男は、一生いっしょうのあいだ、ずっと王さまに忠義をつくしてつかえてきましたので、こんなふうによばれていたのです。
「ここにいたんじゃ、一生いっしょうかかったって、おぼえられやしない。」