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麩
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ふ
ふりがな文庫
“
麩
(
ふ
)” の例文
「何でて、こう、金魚が
麩
(
ふ
)
ウをぱくつくみたいに、口を円くあけはって、えらい窮屈そうにしながら、そのわりにたんと食べはりますな」
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「おお、あの何か江戸ッ子の、いつも
前垂
(
まえだれ
)
掛けでおいでなさる、活溌な、ふァふァふァ、」と笑って、鯉が
麩
(
ふ
)
を呑んだような口附をする。
三枚続
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
スマ 小麦の外皮をフスマというわけは、まだ明らかでないが、
麩
(
ふ
)
という食物の名と関係があるだけは想像することができる。
食料名彙
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
彼は、そのぬれた
麩
(
ふ
)
のように力なく疲れたからだを、寝箱の中から危うくデッキへ落ちそうにまでもだえ狂った。彼は狂人のように叫んだ。
海に生くる人々
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
晃平は、前の川へ
釣綸
(
つりいと
)
を垂れて、
岩魚
(
いわな
)
一尾を得た。これをぼつぼつ切にして、
麩
(
ふ
)
と一緒に、味噌汁にして、朝飯を済す。
白峰山脈縦断記
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
▼ もっと見る
そして明けても暮れても
麩
(
ふ
)
ばかりであつた。天氣も惡く、寺は毎日雲霧に包まれてゐた。で、私は麩化登仙の熟語を作つて自ら慰めたものである。
梅雨紀行
(旧字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
あるが
中
(
なか
)
にも
薄色綸子
(
うすいろりんず
)
の
被布
(
ひふ
)
すがたを
小波
(
さヾなみ
)
の
池
(
いけ
)
にうつして、
緋鯉
(
ひごひ
)
に
餌
(
ゑ
)
をやる
弟君
(
おとヽぎみ
)
と
共
(
とも
)
に、
餘念
(
よねん
)
もなく
麩
(
ふ
)
をむしりて、
自然
(
しぜん
)
の
笑
(
ゑ
)
みに
睦
(
むつ
)
ましき
咡
(
さヽや
)
きの
浦山
(
うらやま
)
しさ
暁月夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
と田鶴子さんが言った時には三輪さんは
最早
(
もう
)
麩
(
ふ
)
を買って投げていた。緋鯉や真鯉が押し合ってパク/\食べる。
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
由「へえ、お平椀の下に青物が這入って
麩
(
ふ
)
が切ってある、これは分った
蕨
(
わらび
)
だ、
鳥肉
(
とり
)
が這入って居る……お汁に丸まッちい茄子のお
汁
(
つけ
)
は変だ……これは何んで」
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
膳には、
麩
(
ふ
)
の露、香の物などが付いた。私達は窓に近い板敷の上に
直
(
じか
)
に坐って、そこで朝飯の膳に就いた。
芽生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
まるで池の鯉へ
麩
(
ふ
)
をちぎッて投げやるように、おもなる部将へ、あらかた、頒け与えてやったのだった。
私本太平記:09 建武らくがき帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ザクの数が又、やたらに多い、青い菜っぱ、青い葱、ゆばから
麩
(
ふ
)
まで入れる。そこへ又、牛肉そのものの、薄い大きい片を、まぜこぜにして、ぶち込んで、かき廻す。
牛鍋からすき焼へ
(新字新仮名)
/
古川緑波
(著)
麩
(
ふ
)
に飽きた金魚のように口をモグモグさせながらも、あまりの事に声を
得立
(
えた
)
てず、両手の指を交る交るに突き出して、前方に立ち
塞
(
ふさ
)
がる、
海鼠塀
(
なまこべい
)
の土蔵を指すのでした。
銭形平次捕物控:009 人肌地蔵
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
加十も止むを得ず野太い口を開いて
麩
(
ふ
)
呑みに呑み込むと、鶴子はフォークを加十の手に握らせて
魔都
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
まるで一つの
麩
(
ふ
)
を目懸けて、沢山の
緋鯉
(
ひごい
)
真鯉
(
まごい
)
がお互に押しのけながら飛びついてくるかのように。
ゴールデン・バット事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
その
周囲
(
まわり
)
の水の上は真黒な魚の頭で埋まって見えた。それは公園や社寺の池に
麩
(
ふ
)
を投げたときに集まってくる
鯉
(
こい
)
の
趣
(
おもむき
)
に似ているが、その多さは比べものにならなかった。
水郷異聞
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
一片の
麩
(
ふ
)
を争う池の鯉の跳躍への憧憬がラグビー戦の観客を吸い寄せる原動力となるであろう。
烏瓜の花と蛾
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
小梅の伯父さんにつれられて奥山の
見世物
(
みせもの
)
を見に行ったり池の
鯉
(
こい
)
に
麩
(
ふ
)
をやったりした。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
池にはもう水蓮が
蕾
(
つぼみ
)
を持ってい、ところどころに
麩
(
ふ
)
のような綿雲の影が流れていた。
蝱の囁き:――肺病の唄――
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
フーワリとすると美味しいものよ。プワリプワリ鯉が
麩
(
ふ
)
をたべるようにたべるのよ。
獄中への手紙:10 一九四三年(昭和十八年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
亡兄うちゑみつゝ
足下
(
そこ
)
は今
天竺浪人
(
てんぢくらうにん
)
なり、ぶらりと江戸へきたりて
売創
(
うりはじむ
)
る物ゆゑに天ふらなり、
是
(
これ
)
に
麩羅
(
ふら
)
といふ字を
下
(
くだ
)
したるは
麩
(
ふ
)
は小麦の粉にてつくる、
羅
(
ら
)
はうすものとよむ字なり。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
切り昆布に油揚げの煮たのに
麩
(
ふ
)
のすまし汁。小さいお
櫃
(
ひつ
)
に過分な御飯。雨を見ながら一人しずかに食事をする愉しさ。敵は幾万ありとてもわが仕事これより燃ゆると意気ごんでみる。
新版 放浪記
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
前の晩にもらった
折詰
(
おりづめ
)
ものだとか、買い置きの
湯葉
(
ゆば
)
だとか、
麩
(
ふ
)
だとか、こんにゃくだとか、あるいは豆腐を使おうと、なんでも独創的に考案して、勝手にどんなふうにでもやれるのである。
鍋料理の話
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
朝食のとき、味噌汁を吸おうとすると、
麩
(
ふ
)
が入っている。もう、十日も、麩がつづいた。新妻は、近所の諸式商から買って来た麩の袋が、空になるまで、味噌汁に麩を入れるつもりらしい。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
初めは
生
(
いき
)
た亀ノ子と
麩
(
ふ
)
など売りしが、いつか張子の亀を製し、首、手足を動かす物を棒につけ売りし由。総じて
人出
(
ひとで
)
群集
(
ぐんしゅう
)
する所には皆玩具類を売る
見世
(
みせ
)
ありて、何か
思付
(
おもいつ
)
きし物をうりしにや。
江戸の玩具
(新字旧仮名)
/
淡島寒月
(著)
米の
磨汁
(
とぎしる
)
を飲むものもあれば松の樹の薄皮を引き
挘
(
むし
)
って
鯣
(
するめ
)
のようにして食うものもあり、赤土一升を水三升で解きそれを布の上へ厚く敷いて天日に曝らして乾いたところへ
麩
(
ふ
)
の粉を入れて団子に円め
開運の鼓
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「何だい、そりゃ、めだかが
麩
(
ふ
)
をかじるように、あっ! あっ!」
大菩薩峠:32 弁信の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
四箇
(
よつ
)
の
頭顱
(
かしら
)
はラムプの
周辺
(
めぐり
)
に
麩
(
ふ
)
に寄る池の
鯉
(
こひ
)
の如く
犇
(
ひし
)
と
聚
(
あつま
)
れり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
是は又水の月とる
麩
(
ふ
)
売なり 未計
古池の句の弁
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
「では
麩
(
ふ
)
でもおあがり。」
蜜のあわれ
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
お嬢様がお一方、お米さんが附きましてはちょいちょいこの池の緋鯉や目高に
麩
(
ふ
)
を遣りにいらっしゃいますが、ここらの者はみんな
姫様
(
ひいさま
)
々々と申しますよ。
政談十二社
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
そして大急ぎでタキシーを拾って
御幸町
(
ごこうまち
)
錦小路
(
にしきこうじ
)
まで飛ばした。私はまず、食料品の買い出しに来たという証拠に、錦の市場で
麩
(
ふ
)
だの湯葉だの野菜物だのを買った。
鍵
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
大地の上に
尻餅
(
しりもち
)
を
搗
(
つ
)
いた權助は、
麩
(
ふ
)
に飽きた金魚のやうに、口をモグ/\させ乍らも、あまりの事に聲も立て得ず、兩手の指を交る/″\に突き出して、前方に立塞がる
銭形平次捕物控:009 人肌地藏
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
銀明水に達したるは午後七時に
垂
(
なんな
)
んとす、浅間社前の大石室に泊す、客は余を併せて四組七人、
乾魚
(
ほしうを
)
一枚、
麩
(
ふ
)
の味噌汁一杯、天保銭大の
沢庵
(
たくあん
)
二切、
晩餐
(
ばんさん
)
の
総
(
す
)
べては
是
(
かく
)
の如きのみ
霧の不二、月の不二
(新字旧仮名)
/
小島烏水
(著)
小梅
(
こうめ
)
の
伯父
(
をぢ
)
さんにつれられて
奥山
(
おくやま
)
の
見世物
(
みせもの
)
を見に行つたり池の
鯉
(
こひ
)
に
麩
(
ふ
)
をやつたりした。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
亡兄うちゑみつゝ
足下
(
そこ
)
は今
天竺浪人
(
てんぢくらうにん
)
なり、ぶらりと江戸へきたりて
売創
(
うりはじむ
)
る物ゆゑに天ふらなり、
是
(
これ
)
に
麩羅
(
ふら
)
といふ字を
下
(
くだ
)
したるは
麩
(
ふ
)
は小麦の粉にてつくる、
羅
(
ら
)
はうすものとよむ字なり。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
蛾をはたき落とす猫をうらやみ賛嘆する心がベースボールのホームランヒットに
喝采
(
かっさい
)
を送る。一片の
麩
(
ふ
)
を争う池の
鯉
(
こい
)
の跳躍への
憧憬
(
どうけい
)
がラグビー戦の観客を吸い寄せる原動力となるであろう。
からすうりの花と蛾
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
彼らはぬれた
麩
(
ふ
)
のように疲れ衰えてしまった。
海に生くる人々
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
平時
(
いつも
)
だと御宅へ上るんだけれど、今日の慈善会には、御都合で貴女も出掛けると云うから、珍らしくはないが、また浅間へ行って、豆か
麩
(
ふ
)
を食わしとるですかな。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
たとえば栖鳳池の東の茶屋で茶を飲んだり、楼閣の橋の欄干から
緋鯉
(
ひごい
)
に
麩
(
ふ
)
を投げてやったりなど。
細雪:01 上巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
猿に餌をやるどれほど面白きか知らず。魚釣幾度か釣り損ねてようやく得たる一尾に
笑靨
(
えくぼ
)
傾くる少年帰ってオッカサンに何をはなすか。写真店の看板を見る兵隊さん。鯉に
麩
(
ふ
)
を投ぐる娘の子。
半日ある記
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
いかに、
天變
(
てんぺん
)
の
際
(
さい
)
と
雖
(
いへど
)
も、
麩
(
ふ
)
に
羽
(
はね
)
が
生
(
は
)
えて
飛
(
と
)
ぶ
道理
(
だうり
)
がない。
畜生
(
ちくしやう
)
、
鼠
(
ねずみ
)
の
所業
(
しわざ
)
に
相違
(
さうゐ
)
あるまい。
間引菜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
当節は、もう学校で、かあかあ
鴉
(
からす
)
が鳴く事の、池の
鯉
(
こい
)
が
麩
(
ふ
)
を食う事の、と間違いのないお前様、ちゃんと理の詰んだ歌を教えさっしゃるに、それを皆が唄わいで、今申した——
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
麩
(
ふ
)
でも投げたか、
奴
(
やっこ
)
と二人で、同じ
状
(
さま
)
に
洋傘
(
こうもり
)
を傾けて、
熟
(
じっ
)
と池の
面
(
おも
)
を見入っている。
南地心中
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
鯉七 いや、お腰元衆、いろいろ知ったは結構だが、近ごろはやる==池の鯉よ、
緋鯉
(
ひごい
)
よ、早く出て
麩
(
ふ
)
を食え==なぞと、馬鹿にしたようなのはお唄いなさるな、失礼千万、御機嫌を損じよう。
夜叉ヶ池
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
“麩”の意味
《名詞:ふ》
小麦粉から取り出したグルテンで作る食品。
《名詞:ふすま》
麩(ふすま)
「ふすま」を参照。
(出典:Wiktionary)
“麩”の解説
麩(麸、ふ)は、グルテンを主な原料とした加工食品。グルテンは小麦粉を水で練ることで生成される。
(出典:Wikipedia)
麩
漢検1級
部首:⿆
15画
“麩”を含む語句
生麩
金魚麩
天麩羅
麩屋町
焼麩
車麩
天麩羅屋
天麩羅蕎麦
麩屋
麩羅
麩糊
麩海苔
簾麩
車輪麩
金麩羅
呑麩
麩粕船
麩麺
麩味噌
青麩
...