“韋駄天:いだてん” の例文
“韋駄天:いだてん”を含む作品の著者(上位)作品数
吉川英治15
佐々木味津三7
海野十三3
夏目漱石3
太宰治3
“韋駄天:いだてん”を含む作品のジャンル比率
文学 > 日本文学 > 小説 物語1.2%
文学 > 日本文学 > 日記 書簡 紀行0.6%
文学 > 日本文学 > 小説 物語(児童)0.4%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
韋駄天いだてんを叱する勢いよくまつはなけ付くれば旅立つ人見送る人人足にんそく船頭ののゝしる声々。
東上記 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
彼奴きゃつ、稀代の韋駄天いだてん駿足しゅんそくでござるな、はははは、それはそうと、貴殿、落とし物はござらぬかの?」
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
そしてそのまッ先を、韋駄天いだてんのように飛んでいたのは、検断所の本庄鬼六だったので、仲時が馬上から呼びかけて、
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と立って、クルリとむきなおるが早いか、韋駄天いだてんの名にそむかず、飛鳥ひちょうのように望楼ぼうろうをかけおりていった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そこへ、韋駄天いだてんの足音、同時にただ何ということなしに、ワーッと遠巻きの見物が、ときこえを揚げる。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「そうでございます、御承知の通り私共は韋駄天いだてんの生れかわりでございまして、下手へたに信心をするとかえって罰が当ります」
大菩薩峠:08 白根山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
あの体躯で地響きをさせながら、韋駄天いだてん走りに飛んできた鐘巻自斎は、この気配を察するより大刀を抜き払って、
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
やがて船客は降船しはじめた。田中は第一に船を降りて、韋駄天いだてんのように駈け出した。里村はそれにつづいた。
頭と足 (新字新仮名) / 平林初之輔(著)
相手は韋駄天いだてん鵲橋かささぎばしを一足とびに、その黒い影は、どうとうの水の飛沫しぶく、流れの彼岸ひがんに躍っている。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
両手を振りながら韋駄天いだてんと、こなたへ馳けてくる人影が見える。その迅いことは、まるで疾風に一葉の木の葉が舞ってくるようだった。
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
けれど、彼はまだ依然として、持ちまえの才能をもって、敵国と甲州のあいだを、まるで韋駄天いだてんか天馬のように、のべつ往来していた。
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
やあ遅かったと思ううち、の制帽は馳け足の姿勢をとって根拠地の方へ韋駄天いだてんのごとく逃げて行く。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
この時、一人の壮漢が、彼の今来た方角から韋駄天いだてんのように走って来るのがふと右衛門の眼に付いた。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
——見ていれば相良金吾はなおもそれから走りに走りつづけ、小田原の宿へつづく根府川七里の街道をさながら韋駄天いだてんの姿で急いでおります。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
うまや武士一名、韋駄天いだてんのごとく追いかけて、途中から口輪を取ったが、伊勢に入るまで、とうとう供といってはこの侍一人だったという。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
配下のものに女装の京弥をさえぎらしておいて、ひたひた逃げのびようとしたので、何条権之兵衛の許すべき、韋駄天いだてんにそのあとを追っかけました。
あとは——雨が降る。誰も何とも云わない。この時一りょうの車はクレオパトラのいかりを乗せて韋駄天いだてんのごとく新橋からけて来る。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
お経の中には韋駄天いだてんが三界を駆け回って、仏の子の衣食をあつめて供養すると書いてあります。
出家とその弟子 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
ああ、あ、濁流を泳ぎ切り、山賊を三人も撃ち倒し韋駄天いだてん、ここまで突破して来たメロスよ。
走れメロス (新字新仮名) / 太宰治(著)
虎松は暗闇の中をかきわけるようにして韋駄天いだてんばしりに駆けだした。三太もこれに続く……。
くろがね天狗 (新字新仮名) / 海野十三(著)
つらつかると、目がくらんで、真暗三宝まっくらさんぽう韋駄天いだてんでさ。
式部小路 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
くじけた元気をとりなおして、お十夜孫兵衛と旅川周馬、ふたたび、韋駄天いだてんの足を飛ばした。
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
言い捨てると、疾風韋駄天いだてん。のどかなお公卿さまもちょこちょこと小またに韋駄天——。
グリーンランドの北端にあるアカデミー氷河群に、一日四十メートルをながれる韋駄天いだてん氷河があるけれど、これはおそらく、その速度の十倍以上であろう。
人外魔境:10 地軸二万哩 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
忍剣にんけんも、韋駄天いだてんばしり、この一足ひとあしが、必死のあらそいとはなった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、悲鳴が聞こえて来た。「人殺しい!」と叫んでいた。向こう詰めから聞こえるのであった。造酒は大小をそくに掴むと、韋駄天いだてんのように走って行った。
名人地獄 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
と、言いのこした今一人、韋駄天いだてんばしりで駆け出すと、河岸で、かごを拾って、
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
先頭は誰ぞと見れば、腕力自慢の衣水いすい韋駄天いだてん走り、遥か遅れて髯将軍、羅漢らかん将軍の未醒みせい子と前後を争っていたが、七、八町に駆けるうちに
本州横断 癇癪徒歩旅行 (新字新仮名) / 押川春浪(著)
ひらり乗るといっさん走り。——あとにつづいてあば敬とその一党も、逃がしてならじというように、三丁の駕籠をつらねながら、えいほうと韋駄天いだてんに追いかけました。
急に威勢がよくなって、アコ長ととど助の二人、息杖を取りなおすとエッホ、エッホと息声をあわせながら韋駄天いだてん走り、下高井戸から調布、上田原とむさんに飛んで行く。
顎十郎捕物帳:23 猫眼の男 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
こう呼ばわりながら、彼は、真っ暗な野を韋駄天いだてんのように駈けている——
宮本武蔵:02 地の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「お疲れでしょう。どうぞおつかまり下さい。韋駄天いだてんといそぎまする」
私本太平記:06 八荒帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
とたんに命じた名人の声に、さっと伝六が飛び出したのを、早くも知って七造がまっしぐら。あとを伝六が追いかけて韋駄天いだてん走り。見ながめるや、名人がまたさらに早かった。
右門捕物帖:30 闇男 (新字新仮名) / 佐々木味津三(著)
帆村はもう必死で、このコンパスの長い韋駄天いだてん追駈おいかけた。
赤外線男 (新字新仮名) / 海野十三(著)
正太が声をかけると、かの正太そっくりの少年は、いきなりマリ子を背に負い、後をふりかえりながら、どんどん逃げだした。その足の早いことといったら、韋駄天いだてんのようだ。
人造人間エフ氏 (新字新仮名) / 海野十三(著)
後も見ずに、目明しの万吉、もう、バラバラと提灯ちょうちんの駈けみだれている、紅梅河岸こうばいがしを一散にぬけて、息もつかずに、駿河台まで韋駄天いだてんと飛んできた——。
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
馬蹄のほこりを浴びながら、韋駄天いだてんと追ってゆく加山耀蔵。
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
坊主ぼうずに聞いてみたら韋駄天いだてんと云う怪物だそうだ。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
胸のつかえが通じてしまったとならば韋駄天いだてん走り——。
声をかけあわせながら韋駄天いだてんちゅうを飛ぶ。
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
(貴様のような友達は持たん、失敬な。)と云って引返したわ。何かかこつけ、根は臆病でげただよ。見さっせえ、韋駄天いだてんのように木の下を駆出し、川べりの遠くへ行く仁右衛門親仁を、
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
と槍を持った韋駄天いだてんの群れが集中して行った。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
露八は、韋駄天いだてんだった。煮込屋の葭簀よしずつまずいて、樽みたいに、ころがった。神馬小屋の後ろへ、隠れこんだ。だが、すぐ見つかってしまった。浪士の腕は、まるで、鉄の感じがした。
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
裸体武兵衛と数馬とは草鞋わらじの紐を締め直し、数馬にとっては父の仇、武兵衛にとっては仕官の敵の坊主之助を討ち取ろうと朝陽を受けて煙り立つ恵那の高山を振り仰ぎ韋駄天いだてんのように走り出した。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
きくだに妖艶ようえん、その面影もさながらに彷彿ほうふつできるへび使いの美人行者、そもなんの目的をもって三人の小町娘をさらい去ったか、疑問はただその一点! 日は旱天かんてん、駕籠は韋駄天いだてん
城下の辻は夜もすがらの笛だ、太鼓だ! 踊ってる! 踊ってる! 踊ってる! かれが韋駄天いだてんと飛んでゆく先、走ってゆく先の町には、必ず幾組もの男女が仮装して、囃子はやしとともに踊りの渦を巻いている。
鳴門秘帖:06 鳴門の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その速い事! 今までの足の重さもどこへやら、五、六町韋駄天いだてん走りに逃げ延びて、フウフウ息を切らしながら再び振返ってみると、これはしたり、一行中の杉田子は、くだんの大女につかまって何か談判最中。
本州横断 癇癪徒歩旅行 (新字新仮名) / 押川春浪(著)
わかればなかなかに伝六もうれしいやつで、骨身をおしまず韋駄天いだてんに遠藤屋敷をめがけて駆けだしたものでしたから、右門ももはや五分どおり事のなったものと考えまして、ゆうゆうねそべりながら、伝六の報告を待ちました。
彼らはブラウワーの話や、ボーンズの話や、またほかの話も全部思い出し、それらについてとくと考え、今回の事件と比較したあげく、みな頭をふって、イカバッドは韋駄天いだてん走りのヘッセ人にさらわれてしまったのだと決めた。
吝嗇けちな奴め、其手間で早く行けと我が年したに叱かられて、おつと來たさの次郎左衞門、今の間とかけ出して韋駄天いだてんとはこれをや、あれ彼の飛びやうが可笑しいとて見送りし女子どもの笑ふも無理ならず、横ぶとりして背ひくゝ
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
——が、駈けるには、具足は重く邪魔にもなるので、しまいには、それをも脱いで小者にかつがせ、ただ白地にしゅじゃの陣羽織一枚となって、韋駄天いだてんのごとく走り、いつかまた秀吉の側に追いついていたという。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
韋駄天いだてん
顎十郎捕物帳:08 氷献上 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
「いや、お若けえの、待って下せえやし。と、長兵衛をめるほどの事でもねえが、見すみす無駄と知りながら、汗をたらして韋駄天いだてんは気の毒だ。ここに一つの思案あり。まあ聞きたまえ。」と、彼は芝居気取りでお熊の耳にささやいた。
廿九日の牡丹餅 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
韋駄天いだてんごとそのかたはらはしつたとき水兵すいへい猛獸まうじうまたがつてとゞめの一刀いつたう海軍士官かいぐんしくわん悠然いうぜんとして此方こなたむかつた。
その手間で早く行けと我が年したにかられて、おつと来たさの次郎左衛門じろざゑもん、今の間とかけ出して韋駄天いだてんとはこれをや、あれあの飛びやうが可笑しいとて見送りし女子おなごどもの笑ふも無理ならず、横ぶとりして背ひくく
たけくらべ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
水源の濁り水は大渦小渦を巻きながらそろそろふくれあがって六本の支流を合せてたちまち太り、身を躍らせて山を韋駄天いだてんばしりに駈け下りみちみち何百本もの材木をかっさらい川岸のかしもみ白楊はこやなぎの大木を根こそぎ抜き取り押し流し
ロマネスク (新字新仮名) / 太宰治(著)
その玉子を四つずつ左右のたもとへ入れて、例の赤手拭あかてぬぐいかたへ乗せて、懐手ふところでをしながら、枡屋ますや楷子段はしごだんを登って山嵐の座敷ざしきの障子をあけると、おい有望有望と韋駄天いだてんのような顔は急に活気をていした。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
いうや否や、韋駄天いだてんで行ったかと思いましたが、案外にさっそく見つかったとみえて、屈強な替え肩を二人ずつ伴いながら、早駕籠仕立てで威勢のいいところを二丁ひっぱってまいりましたので、一丁は伝六へ、一丁は右門自身で、そして右門みずからは北町奉行ご配下をひとめぐりしようと、すぐに息づえを上げさせました。
とき折その可能を、ふと眼前に、千里韋駄天いだてん、万里の飛翔ひしょう、一瞬、あまりにもわが身にちかく、ひたと寄りそわれて仰天、不吉な程に大きな黒アゲハ、もしくは、なまあたたかき毛もの蝙蝠こうもり、つい鼻の先、ひらひら舞い狂い、かれ顔面蒼白、わなわなふるえて、はては失神せんばかりの烈しき歔欷きょき
創生記 (新字新仮名) / 太宰治(著)