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讒訴
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ざんそ
ふりがな文庫
“
讒訴
(
ざんそ
)” の例文
給仕
(
ボーイ
)
頭くらいの者に入れ知恵されて持って来た話というのは、たかだか気位の高い妻の
讒訴
(
ざんそ
)
をして愚痴を
零
(
こぼ
)
すくらいのものだろうと
陰獣トリステサ
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
ねえ、お
内儀
(
かみ
)
さん、私はなにも人様の
讒訴
(
ざんそ
)
をするわけではございませんが……あの方の人相をごらんなさい。昨晩も夢を見ましたよ。
大菩薩峠:23 他生の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
朝廷に最も勢力のあった神道主義者と仏僧とのヤソ教に対するあらゆる反対
讒訴
(
ざんそ
)
姑息
(
こそく
)
な陰謀は
秀吉
(
ひでよし
)
時代からの古いことであったが
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死――
(新字新仮名)
/
長与善郎
(著)
きのう、なんのかのとおいらに末寺の兄弟
弟子
(
でし
)
のあの美男上人の
讒訴
(
ざんそ
)
をしたのも、今になって思い直してみりゃ気に食わねえんだ。
右門捕物帖:29 開運女人地蔵
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
推薦者の二家ばかりでなく、
手蔓
(
てづる
)
のある限り、閣老たちの屋敷へも行った。そして武蔵の
讒訴
(
ざんそ
)
をあの調子で
撒
(
ま
)
いて歩いたのである。
宮本武蔵:07 二天の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
御米の方から、進んで弟の
讒訴
(
ざんそ
)
でもするようだと、叱るにしろ、慰さめるにしろ、かえって始末が好いと考える時もあった。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
その後はうばうで自分のことを
悪様
(
あしざま
)
に言ひふらし、果ては太閤殿下にまで
讒訴
(
ざんそ
)
を試みてゐるといふことを聞いてゐるので、こんな場合の沈黙が
利休と遠州
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
おッ母さんは搆わないでおいでなんて、お上手を遣つてサ、蔭へ廻つて
讒訴
(
ざんそ
)
するなんッてほんとうに呆れたものだよ。
小むすめ
(新字旧仮名)
/
清水紫琴
(著)
それはつまり、自分に浴びせられた非難攻撃が本当のことで、正しく自分がソフィヤ・セミョーノヴナを
讒訴
(
ざんそ
)
したのを、自白することになるからであった。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
子に向つて父親の
讒訴
(
ざんそ
)
をいふ女房
氣質
(
かたぎ
)
を誰れが教へた、お力が鬼なら手前は魔王、商賣人のだましは知れて居れど、妻たる身の不貞腐れをいふて濟むと思ふか
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
ヂュリ
眞
(
ほん
)
の
事
(
こと
)
は
讒訴
(
ざんそ
)
とは
言
(
い
)
はれぬ、ましてこれは
後言
(
かげごと
)
ではない、
直
(
ぢか
)
に
面
(
かほ
)
に
對
(
むか
)
うて
言
(
い
)
うてゐるのぢゃもの。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
それがやっぱり
身贔屓
(
みびいき
)
で、自分の娘の悪いことは棚にあげて、ふだん遊びに行くなあちゃんが、家へ帰って何か
讒訴
(
ざんそ
)
でもしたように思い込んでいるらしいんです。
半七捕物帳:35 半七先生
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
侍医兼侍従の施薬院全宗が御相手を承つてゐたが、酔つ払つた秀吉に切支丹を
讒訴
(
ざんそ
)
して焚きつけた。
イノチガケ:――ヨワン・シローテの殉教――
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
(間)私は
比叡山
(
ひえいざん
)
と
奈良
(
なら
)
の
僧侶
(
そうりょ
)
たちが憎くなります。かほどの尊い
聖人
(
しょうにん
)
様をなぜあしざまに
讒訴
(
ざんそ
)
したのでございましょう。あのころの京での騒動のほども忍ばれます。
出家とその弟子
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
文太郎 俺の
讒訴
(
ざんそ
)
はそれで仕舞いか。では出掛けるぞ、さあ歩け。愚図つくと手荒くするぞ。
中山七里 二幕五場
(新字新仮名)
/
長谷川伸
(著)
西陣の織物を一手に
捌
(
さば
)
いた本家福屋の番頭から仕上げた善兵衛が、
暖簾
(
のれん
)
を分けて貰うと、公儀に
讒訴
(
ざんそ
)
して、
天草
(
あまくさ
)
の
旗指物
(
はたさしもの
)
を引受けたとか、身分不相応の
奢侈僭上
(
しゃしせんじょう
)
に
耽
(
ふけ
)
ったとか
銭形平次捕物控:002 振袖源太
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
仕つり九郎兵衞は九郎右衞門の
弟
(
おとゝ
)
なれ共一
體
(
たい
)
若年
(
じやくねん
)
よりといはんとせしが伯父の
讒訴
(
ざんそ
)
は如何とぞ心ろ付
亡夫
(
ばうふ
)
の
勘當
(
かんだう
)
を受け十七年の間
相摸
(
さがみ
)
國御
殿場
(
てんば
)
村に居りしを私し親共死去の
節
(
せつ
)
戒名
(
かいみやう
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
志丈は伴蔵の旧悪を知って強請り、
某
(
なにがし
)
かの金銀を捲き上げたのち、伴蔵に連れられてお国と相見る。愕いたお国は志丈に旧悪を喋られてしまってはとあることないこと伴蔵に
讒訴
(
ざんそ
)
する。
我が円朝研究:「怪談牡丹灯籠」「江島屋騒動」「怪談乳房榎」「文七元結」「真景累ヶ淵」について
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
それは彼が三十二歳で藩主世子うえもんのすけ忠春の
側
(
そば
)
がしらに任じられたとき、その出頭を
嫉
(
ねた
)
む者から
讒訴
(
ざんそ
)
されて、老臣列座の
鞠問
(
きくもん
)
をうけた、私行のうえの根も葉もない事だったので
日本婦道記:墨丸
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
父母が梅子に対する悪感情を、
傲
(
ほこ
)
りがに伝達しつ、又た姉の悲哀の容態をば
尾鰭
(
をひれ
)
を付けて父母に披露す、芳子は
流石
(
さすが
)
にお
加女
(
かめ
)
夫人の愛児なり、梅子の
苦悶
(
くもん
)
を見て自ら喜び、姉を
讒訴
(
ざんそ
)
して
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
良人に対しても嫁について
讒訴
(
ざんそ
)
とも見るべきことを言うのであった。
姑と嫁について
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
五月蠅
(
うるせ
)
エや、何ンだ、言う事ア夫れッ切りか、下ら無エ同じ事をツベコベツベコベ、ぬかしやがって耳が
草臥
(
くたび
)
れらア、コウ
手前
(
てめえ
)
達ア、此山に居ながら此山の
讒訴
(
ざんそ
)
をしやがって夫れで済むか、山にもナ
監獄部屋
(新字新仮名)
/
羽志主水
(著)
「お黙りよ! お上さんの
讒訴
(
ざんそ
)
なぞは聞きたくないよ!」
お富の貞操
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
侍「
怪
(
け
)
しからん事をいう、人の顔を
讒訴
(
ざんそ
)
をして無礼至極」
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「しかし、いくらやつが意趣がえしにどんなに
讒訴
(
ざんそ
)
をしたって、こっちがそうでないことを明らかにすれアなんでもないじゃないか!」
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死――
(新字新仮名)
/
長与善郎
(著)
せっかく、
蔡
(
さい
)
大臣の
生辰綱
(
しょうしんこう
)
輸送の大役を果たしえても、後日、
謝
(
しゃ
)
の口からそんな
讒訴
(
ざんそ
)
を
堂上
(
どうじょう
)
の耳に入れられたらすべては水の泡だろう。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
御米
(
およね
)
の
方
(
はう
)
から、
進
(
すゝ
)
んで
弟
(
おとうと
)
の
讒訴
(
ざんそ
)
でもする
樣
(
やう
)
だと、
叱
(
しか
)
るにしろ、
慰
(
なぐ
)
さめるにしろ、
却
(
かへ
)
つて
始末
(
しまつ
)
が
好
(
い
)
いと
考
(
かんが
)
へる
時
(
とき
)
もあつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
馬鹿野郎呼はりは太吉をかこつけに
我
(
を
)
れへの当こすり、子に向つて
父親
(
てておや
)
の
讒訴
(
ざんそ
)
をいふ女房
気質
(
かたぎ
)
を
誰
(
た
)
れが教へた、お力が鬼なら手前は魔王、商売人のだましは知れてゐれど
にごりえ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
中にも極楽寺の良観は、日蓮は宗教に名をかって政治の転覆をはかる者であると
讒訴
(
ざんそ
)
した。
学生と先哲:――予言僧日蓮――
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
パリス いや、
卿
(
こなた
)
の
面
(
かほ
)
は
今
(
いま
)
では
予
(
わし
)
の
有
(
もの
)
ぢゃに、それをば
其樣
(
そのやう
)
に
惡
(
あ
)
しう
被言
(
おしゃ
)
るのは
讒訴
(
ざんそ
)
ぢゃ。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
「どうかわっしが
讒訴
(
ざんそ
)
したり、悪心を持ったりしたのを、かんべんなすってくださいまし」
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
西陣
(
にしぢん
)
の織物を一手に
捌
(
さば
)
いた本家福屋の番頭から仕上げた善兵衞が、
暖簾
(
のれん
)
を分けて貰ふと、公儀に
讒訴
(
ざんそ
)
をして、
天草
(
あまくさ
)
の旗指物を引受けたとか、身分不相應の
奢侈
(
しやし
)
僭上
(
せんじやう
)
に
耽
(
ふけ
)
つたとか
銭形平次捕物控:002 振袖源太
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
人の好い翁は隣りの娘の
讒訴
(
ざんそ
)
をもう聞き飽きたらしい。ただ黙ってにやにや笑っていた。
玉藻の前
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
つまりその話と同じことで
他
(
ひと
)
が出世をしたら、自分も出世をすればいいのだ。だのに他人の
讒訴
(
ざんそ
)
ばかり挙げているから、しまいに手前が五人十人、大ぜいがかりでなぶり殺しにされてしまうのだ。
寄席
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
したがって、その一廓のうちで、年景をめぐって、いろいろな
媚
(
こび
)
や、
讒訴
(
ざんそ
)
や、排撃や、嘘や、あらゆる小さな争闘が毎日行われている。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
朝廷に最も勢力のあつた神道主義者と仏僧との耶蘇教に対するあらゆる反対
讒訴
(
ざんそ
)
姑息な陰謀は秀吉時代からの古い事であつたが
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死
(新字旧仮名)
/
長与善郎
(著)
「しかし顔の
讒訴
(
ざんそ
)
などをなさるのは、あまり下等ですわ、誰だって好んであんな鼻を持ってる訳でもありませんから——それに相手が婦人ですからね、あんまり
苛
(
ひど
)
いわ」
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
馬鹿野郎
(
ばかやらう
)
呼
(
よば
)
はりは
太吉
(
たきち
)
をかこつけに
我
(
を
)
れへの
當
(
あて
)
こすり、
子
(
こ
)
に
向
(
むか
)
つて
父親
(
てゝおや
)
の
讒訴
(
ざんそ
)
をいふ
女房
(
にようぼう
)
氣質
(
かたぎ
)
を
誰
(
た
)
れが
教
(
おし
)
へた、お
力
(
りき
)
が
鬼
(
をに
)
なら
手前
(
てまへ
)
は
魔王
(
まわう
)
、
商買人
(
しようばいにん
)
のだましは
知
(
し
)
れて
居
(
ゐ
)
れど
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
姉はお
洒落
(
しゃれ
)
でお
転婆
(
てんば
)
だから両親にも兄にも憎まれている。上州屋の使で、自分の店へ薬を買いに来ることはあっても、自分は碌に口もきかないと、宗吉はしきりに姉の
讒訴
(
ざんそ
)
をした。
半七捕物帳:22 筆屋の娘
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
あることないことこの男が自分の
讒訴
(
ざんそ
)
を上げていたためだったのか。
小説 円朝
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
パリス
其樣
(
そのよ
)
なことを
被言
(
おしゃ
)
るのは、われから
我面
(
わがかほ
)
を
讒訴
(
ざんそ
)
するのぢゃ。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
恐らく仲の惡い後添ひのお加奈の
讒訴
(
ざんそ
)
かなんかでせう。
銭形平次捕物控:230 艶妻伝
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「まだいうかっ。あらぬ
讒訴
(
ざんそ
)
もいい加減にしろ。ははあ、なんだな、何かきさまこそ、わしの留守中に、
色街
(
いろまち
)
の
妓
(
おんな
)
にでもひッかかって」
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「その、ここにいるすべての同僚とおっしゃるのは、実はただ一人の紅毛人のことじゃないんですか。その紅毛人の
讒訴
(
ざんそ
)
のためじゃないんですか。」
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死――
(新字新仮名)
/
長与善郎
(著)
「あなたは僕の事を何か御父さんに
讒訴
(
ざんそ
)
しやしないか」
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
あなたを殺す計画に失敗した蔡瑁は、自己の罪を蔽うために、こんどはいかなる
讒訴
(
ざんそ
)
を劉表へするかも知れたものではない。
三国志:06 孔明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
われらはその慈円僧正を
擁
(
よう
)
して、飽くまで立つし、彼らが、朝廷へ
讒訴
(
ざんそ
)
するなら、われらも、朝廷へ弁解しても、闘ってやる
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「察するに、何者かが、先ごろの旅先から、鎌倉殿へ
讒訴
(
ざんそ
)
でもしたことではございませぬか。何かお心当りでも?」
私本太平記:05 世の辻の帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ついに彼らが林冲を途中で殺そうとした目的を遂げさせなかった始末は、やがて都へ帰った端公の口から、輪に輪をかけて、
高
(
こう
)
大臣へ
讒訴
(
ざんそ
)
されていた。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
末法の世といわれるのも、ああいう位階のたかい僧正の行状ですらそうなのだから、まことにやむを得ないことだ、嘆かわしいことだなどと、
讒訴
(
ざんそ
)
の舌を
賢
(
さかし
)
げに、寄るとさわると
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
讒
漢検1級
部首:⾔
24画
訴
常用漢字
中学
部首:⾔
12画
“讒”で始まる語句
讒言
讒
讒者
讒謗
讒誣
讒口
讒毒
讒臣
讒奏
讒構