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訣
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わか
ふりがな文庫
“
訣
(
わか
)” の例文
巴里の北の停車場でおまえと
訣
(
わか
)
れてから、もう六年目になる。人は久しい歳月という。だが、私には永いのだか短いのだか
判
(
わか
)
らない。
巴里のむす子へ
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
其ほどに約束を守らねばならぬか
訣
(
わか
)
らずなった為に、聖衆降臨の途次といった別の目的を、見つけることになったと見る外はない。
山越しの阿弥陀像の画因
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
五時すぎにかえって風呂にも入った方がよいというので、四時半頃西練兵のところで電車にのる私たち、かえる隆ちゃんと
訣
(
わか
)
れました。
獄中への手紙:06 一九三九年(昭和十四年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
そうしていつかは行き違いに死に
訣
(
わか
)
れて行かなければならぬ、親とか子とか孫とかの肉縁の愛着の強い力を考えずにはいられなかった。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
もういよいよ立つという時になったものですから、母親がお
訣
(
わか
)
れしないかというと大きな声で泣き立ててどうもしようがなかったです。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
▼ もっと見る
私
(
わたし
)
も
矢
(
や
)
つ
張
(
ぱ
)
りあのSさんのやうに
皆
(
みな
)
さんにもうお
訣
(
わか
)
れです、でもね
私
(
わたし
)
は
今
(
いま
)
、
大
(
おほ
)
きな
大
(
おほ
)
きな
丘陵
(
きうりよう
)
のやうに、
安心
(
あんしん
)
して
横
(
よこ
)
たはつてゐますのよ。
彼女こゝに眠る
(旧字旧仮名)
/
若杉鳥子
(著)
中村と一緒に生活していた間に私の最も悲しかったことはしかし、中村に苛められ
責
(
さいな
)
まれたことではない。それは弟と
訣
(
わか
)
れたことであった。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
今日記憶の旗が落ちて、大きな川のやうに、私は人と
訣
(
わか
)
れよう。
床
(
ゆか
)
に私の足跡が、足跡に微かな塵が……、ああ哀れな私よ。
測量船
(新字旧仮名)
/
三好達治
(著)
能
(
よ
)
くその
所天
(
おっと
)
を
援
(
たす
)
けて
後顧
(
こうこ
)
の
憂
(
うれ
)
いなからしめ、あるいは一朝不幸にして、その
所天
(
おっと
)
に
訣
(
わか
)
るることあるも、独立の生計を営みて、
毅然
(
きぜん
)
その操節を
清
(
きよ
)
うするもの
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
『これはもと
京
(
きょう
)
の
生
(
うま
)
れじゃが、』と
老人
(
ろうじん
)
は一
向
(
こう
)
済
(
す
)
ました
面持
(
おももち
)
で『ごく
幼
(
おさな
)
い
時分
(
じぶん
)
に
父母
(
ふぼ
)
に
訣
(
わか
)
れ、そしてこちらの
世界
(
せかい
)
に
来
(
き
)
てからかくまで
生長
(
せいちょう
)
したものじゃ……。』
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
私は文久二年四月の生まれですが、まだ物ごころのつかぬ時分に早くも両親に
訣
(
わか
)
れて孤児となりました。
牧野富太郎自叙伝:02 第二部 混混録
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
持ち行きて商主に
訣
(
わか
)
れると、何故
遅
(
おそ
)
く来たか、荷物は皆
去
(
い
)
ってしまった、気は心というから、何か上げたいものと考えた末、かの新たに生まれた駒こそ災難の本なれ
十二支考:05 馬に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
大船で
訣
(
わか
)
れるとき、訣れの言葉をも交さず、またお互いに訣れるのだということも知らないで訣れるのなら好いと思った。しかし君と僕とはきまりの悪い、辛そうな顔して訣れた。
愛と認識との出発
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
と、病み衰えた顔に淋しい微笑を浮べ、
梶棒
(
かじぼう
)
の上ると共に互に黙礼を
換
(
かわ
)
して
訣
(
わか
)
れた。暫らくは涙ぐましく俥の跡を
目送
(
みおく
)
ったが、これが紅葉と私との最後の
憶出
(
おもいで
)
の深い会見であった。
硯友社の勃興と道程:――尾崎紅葉――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
此の
度
(
たび
)
はもうこれがお
訣
(
わか
)
れで、お萓は御存じの通り
外
(
ほか
)
に身寄もなき
不束者
(
ふつゝかもの
)
、
何
(
ど
)
うぞ幾久しゅう、お萓や見棄てられぬように気を付けなよ、それでも文治の嫁が思ったより優しいので
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
呉起
(
ごき
)
其
(
そ
)
の
己
(
おのれ
)
を
謗
(
そし
)
りし
者
(
もの
)
三十
餘人
(
よにん
)
を
殺
(
ころ
)
して、
東
(
ひがし
)
、
衞
(
ゑい
)
の
(六五)
郭門
(
くわくもん
)
を
出
(
い
)
で、
其母
(
そのはは
)
と
訣
(
わか
)
る。((己ノ))
臂
(
ひぢ
)
を
齧
(
か
)
んで
盟
(
ちか
)
つて
曰
(
いは
)
く、「
起
(
き
)
、
卿相
(
けいしやう
)
と
爲
(
な
)
らずんば、
復
(
ま
)
た
衞
(
ゑい
)
に
入
(
い
)
らじ」と。
遂
(
つひ
)
に
曾子
(
そうし
)
に
事
(
つか
)
ふ。
国訳史記列伝:05 孫子呉起列伝第五
(旧字旧仮名)
/
司馬遷
(著)
ものぐるひはかなしきかなと思ふときそのものぐるひにも吾は
訣
(
わか
)
れむ
つゆじも
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
「これでお前達といよいよ
訣
(
わか
)
れる時がきた」
陸判
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
巴里
(
パリ
)
の北の停車場でおまえと
訣
(
わか
)
れてから、もう六年目になる。人は久しい歳月という。だが、私には永いのだか短いのだか判らない。
巴里のむす子へ
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
御経
(
おんきょう
)
の
文
(
もん
)
は手写しても、
固
(
もと
)
より意趣は、よく
訣
(
わか
)
らなかった。だが、処々には、かつがつ気持ちの汲みとれる所があったのであろう。
死者の書
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
『
何處
(
どこ
)
までゝも——けれど、それがもしあなたの
御迷惑
(
ごめいわく
)
になるとでも
仰有
(
おつしや
)
るなら、
私
(
わたし
)
は
此處
(
ここ
)
でお
訣
(
わか
)
れします。でも、
家
(
うち
)
へはもう
歸
(
かへ
)
らない
覺悟
(
かくご
)
です。』
彼女こゝに眠る
(旧字旧仮名)
/
若杉鳥子
(著)
とてもほかの
訣
(
わか
)
れの挨拶は出なかった。明らかに、今は涙を制しかねている母を、伸子は二目と見ていられなかった。
伸子
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
さらば父よ、叔母よ、弟よ、祖母よ、祖父よ、叔父よ、今までの関係に置かれた一切のものよさらば、さらば、今こそ私たちの
訣
(
わか
)
れる時が来たのだ。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
いかにも
釈迦牟尼如来
(
しゃかむににょらい
)
に
訣
(
わか
)
れを告げてこれから帰るとはいうたものの、せっかく日本人としてこの国に来て居ながら
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
森さんは去年細君に
逝
(
ゆ
)
かれて、最近また十八になる長子と
訣
(
わか
)
れたので、自身劇場なぞへ顔を出すのを
憚
(
はば
)
かっていた。
挿話
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
わが友はわが枕べにすわり居り
訣
(
わか
)
れむとして
涙
(
なみだ
)
をおとす
つゆじも
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
これがアンナが
訣
(
わか
)
れる最後に私に云つた言葉だつた。わたしは脇の下に挟んだ彼女の七色織の日傘の畳目にキッスして彼女に返した。
雪
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
理分にも非分にも、これまで南家の権勢でつき通して来た
家長老
(
おとな
)
等にも、寺方の扱ひと言ふものゝ世間どほりにはいかぬ事が
訣
(
わか
)
つて居た。
死者の書:――初稿版――
(新字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
長いあいだ子供の病気や死には
馴
(
な
)
れている庸三だったが、
夙
(
はや
)
く母に
訣
(
わか
)
れた咲子の病気となると、一倍心が痛んだ。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
その夜、千代さんは、こっそりと起きて長い最後の手紙を、永遠のお
訣
(
わか
)
れの手紙を、叔父に書いた。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
その夜は、低い声で、彼の心を蹴とばして他人のものになった女のことを母娘に話してきかせた。油井が最後の
訣
(
わか
)
れにその女と小田原へ行ったというところへ来たとき、お清は
未開な風景
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
これが師匠のガンデン・チー・リンボチェと私との最終のお
訣
(
わか
)
れであったです。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
唯
(
たゞ
)
一人
(
ひとり
)
、
頼
(
たの
)
みとする
片山
(
かたやま
)
に
訣
(
わか
)
れた
彼女
(
かのぢよ
)
は、
全
(
まつた
)
く
淋
(
さび
)
しい
身
(
み
)
の
上
(
うへ
)
だつた。
彼女こゝに眠る
(旧字旧仮名)
/
若杉鳥子
(著)
山を野へ下り立つ人は山を振り返るに、惜しき
訣
(
わか
)
れとらく/\した気持とで、こころ小鼓の調べの緒の
綾
(
あや
)
にうち返すといいます。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
理分に非分にも、これまで、南家の権勢でつき通してきた
家長老
(
おとな
)
等にも、寺方の扱いと言うものの、世間どおりにはいかぬ事が
訣
(
わか
)
って居た。
死者の書
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
三須は庸三のところへ出入りしていた若い文学者の
良人
(
おっと
)
と死に
訣
(
わか
)
れてから、世に出るに至らなかった愛人の志を継ぎたさに、長い間庸三に作品を見てもらっていた。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
母になる可能性を信じるようになって、その青年とは
訣
(
わか
)
れてしまった。
未開の花
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
この説明好きの男にも
訣
(
わか
)
れたくなった。加奈子はこれ以上、ここに居ると何か嫌悪以上の
惑溺
(
わくでき
)
に心も体も引き入れられるような危い気がした。
春:――二つの連作――
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
亀卜の亀の精霊が、太詔戸
ノ
命では
訣
(
わか
)
らぬ事である。「亀卜祭文」なども、神祇官の卜部等の唱へ出したものであらう。
国文学の発生(第四稿):唱導的方面を中心として
(新字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
上層階級の空気を吸って来た民子が、良人に死に
訣
(
わか
)
れ、胎児をも流した果てに、死から
蘇
(
よみがえ
)
って新橋へ身を投じたのも、あながち訳のわからぬ筋道でもないのであった。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
むす子は、ただしばしば男に
訣
(
わか
)
れねばならなくなる運命の女であるというところに、あっさり興味を持っているようだった。
母子叙情
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
それを見物の方でも自分自分に感じて楽しむという——まあ
訣
(
わか
)
り易くいえば一種のまぞひずむだが、これが源之助の芸の場合には大切な解釈であったのだ。
役者の一生
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
そこで稼いでいるうちに、
米屋町
(
こめやまち
)
で少しは名前の通った花村という年輩の男を物にし、花村がちょうど妻と死に
訣
(
わか
)
れて、孤独の寂しさを身にしみて感じていた折なので、家へ入れる約束で
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
ただ一つ永久のお
訣
(
わか
)
れに、わたくしがあのとき呼び得なかった心からのお願いを今、呼ばして頂き
度
(
と
)
うございます。それでは呼ばせて頂きます。
雛妓
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
こう言う、考えに落ちつくと、ありようもない考えだと
訣
(
わか
)
って居ても、皆の心が一時、ほうと軽くなった。
死者の書
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
倉持は幼い時に父に
訣
(
わか
)
れ、倉持家にふさわしい出の母の手一つに育てられて来たものだったが、法律家の渡弁護士が自然、主人
歿後
(
ぼつご
)
の倉持家に重要な地位を占めることとなり、年の若い倉持にほ
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
眼の前のこの蝶ちゃんなら、いつかお互に気まずい思いをして一たん
訣
(
わか
)
れてしまったら、やがては忘れ去るときも来よう。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
ただ山越しの弥陀像や、彼岸中日の日想観の風習が、日本固有のものとして、深く仏者の懐に採り入れられて来たことが、ちっとでも
訣
(
わか
)
って貰えれば、と考えていた。
山越しの阿弥陀像の画因
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
お千代婆さんは少し
強
(
きつ
)
いような調子で言った。婆さんは早く
良人
(
おっと
)
に
訣
(
わか
)
れてから、長いあいだ子供の世話をして、独りで暮して来た。浅井などに対すると、妙に
硬苦
(
かたくる
)
しい調子になるようなことがあった。
爛
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
「あなた方内地の女性に向って、ふだん考え
溜
(
た
)
めていたことを、話し出せそうな
緒口
(
いとぐち
)
が見つかったようになって、お
訣
(
わか
)
れするのは惜しいものです」
河明り
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
訣
漢検準1級
部首:⾔
11画
“訣”を含む語句
訣別
秘訣
要訣
永訣
申訣
妙訣
言訣
真訣
訣辞
両部神道口訣鈔
訣語
訣絶
訣故
訣別演奏会
草訣弁疑
神代口訣
祕訣
相訣
玉房秘訣
物訣
...