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言伝
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ことづて
ふりがな文庫
“
言伝
(
ことづて
)” の例文
旧字:
言傳
大きい身体を
揺
(
ゆす
)
つて、いつも案内なしに入つて来る。張帥の
言伝
(
ことづて
)
はみなこの老人が持つて来るのだ。新民屯に近い同郷人ださうだ。
南京六月祭
(新字旧仮名)
/
犬養健
(著)
別れた頃の苦しさは次第次第に忘れたが、ゆかしさはやはり太郎坊や次郎坊の
言伝
(
ことづて
)
をして戯れていたその時とちっとも変らず心に浮ぶ。
太郎坊
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
大尉は、帆村の
言伝
(
ことづて
)
を聞いてからのち、いろいろ考えた末、大利根博士を訪問することをたいへん重大に思うようになったのです。
怪塔王
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
では、お
言伝
(
ことづて
)
申します、目明し万吉という者が、はるばる遠い
上方
(
かみがた
)
から、あなた様に会いたいために、この江戸表へまいっております。
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
荘田に
言伝
(
ことづて
)
をしておいて呉れたまえ、いゝか。
俺
(
わし
)
の云うことをよく覚えて、言伝をして、おいて呉れ
給
(
たま
)
え。
此
(
こ
)
の唐沢は貧乏はしている。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
▼ もっと見る
十五日ごろ出かけたいと
言伝
(
ことづて
)
させようとしたら十五日は無理よ、無理よ、二十日にしておけと大いに力説したから我が意を得たわけです。
獄中への手紙:06 一九三九年(昭和十四年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
卓一への
言伝
(
ことづて
)
の一句すら他巳吉は託されてゐなかつた。もはやそんな友達すら知らないやうな澄江であつたと他巳吉は左門に語つてゐた。
吹雪物語:――夢と知性――
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
目的の成否にかかわらず、三日以内には一応、船へ戻ると
言伝
(
ことづて
)
をしていた田山白雲は、早くも二日目の晩に
飄然
(
ひょうぜん
)
として立戻って来ました。
大菩薩峠:38 農奴の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
と
矢張
(
やっぱり
)
固くなりながら、
訥弁
(
とつべん
)
でポツリポツリと両親の
言伝
(
ことづて
)
を述べると、奥様は聴いているのか、いないのか、
上調子
(
うわちょうし
)
ではあはあと受けながら
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
坐蒲団
(
ざぶとん
)
を敷いて坐る前に、お房やお菊の
弔
(
くや
)
みだの、
郷里
(
くに
)
に居る
姑
(
しゅうとめ
)
からの
言伝
(
ことづて
)
だの、夫が来てよく世話に成る礼だのを述べた。
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
それから、きのふ大体約束して置いた
Mair
(
マイル
)
のところの娘が今夜是非来るやうにといふ母の
言伝
(
ことづて
)
を
以
(
もつ
)
て訪ねて居た。
南京虫日記
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
真っ直ぐに両国へかかると、橋の
袂
(
たもと
)
でどこかの小僧さんが待っていて、『増屋の主人が小梅の寮に居るから、そっちへ持って行くように』という
言伝
(
ことづて
)
です
銭形平次捕物控:075 巾着切りの娘
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
見継
(
みつ
)
いで上げますから、小兼に話して手紙の一本も
遣
(
よこ
)
しなされば
直
(
すぐ
)
に出て来て話相手にも成りましょうから、お心置なく小兼にまで
一寸
(
ちょっと
)
言伝
(
ことづて
)
をなさるよう
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
領事館は十時でないと人が来て居ないと云ふので、私は花岡、石田二氏への
言伝
(
ことづて
)
を朴氏に頼んで
復
(
また
)
汽車に乗つた。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
なにも
心配
(
しんぱい
)
するな。
万
(
まん
)
一、おれが、
武運
(
ぶうん
)
つたなく
生
(
い
)
きて
帰
(
かえ
)
るとしたら、きっとお
母
(
かあ
)
さんに
見
(
み
)
たままを
言伝
(
ことづて
)
する。
戦友
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
ただ東京へ行くから、何か家へ
言伝
(
ことづて
)
がないかと
煩
(
うるさ
)
くいうから、干物なんかことづけてやるだけなのよ。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
左様左様
(
そうそう
)
。ところで、お前はおれが会いたいという
言伝
(
ことづて
)
を弁護士から聞いたときに、どう思ったの
暗中の接吻
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
「これは
貝
(
かい
)
の火という
宝珠
(
ほうじゅ
)
でございます。王さまのお
言伝
(
ことづて
)
ではあなた
様
(
さま
)
のお手入れしだいで、この
珠
(
たま
)
はどんなにでも
立派
(
りっぱ
)
になると
申
(
もう
)
します。どうかお
納
(
おさ
)
めをねがいます」
貝の火
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
ヘエ……
今朝
(
けさ
)
になりますと、まだ
些
(
すこ
)
しフラフラしますが、熱は取れたようですから、景気づけに一パイやっておりますところへ、
昨日
(
きのう
)
、兼からの
言伝
(
ことづて
)
をきいたと云って
いなか、の、じけん
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「わからない、あたしあなんにも知らない、ただ思いだしたから聞いてみたまでのことさ、でもなにか
言伝
(
ことづて
)
があるなら云ってあげるよ、たいてい来やしまいと思うけどね」
柳橋物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
彼等は出会ふときには、
会釈
(
ゑしやく
)
をするやうに、或は噂をし合ふやうに、或は
言伝
(
ことづて
)
を託して居るやうに両方から立停つて頭をつき合せて居る。これはよくある蟻の転宅であつた。
田園の憂欝:或は病める薔薇
(新字旧仮名)
/
佐藤春夫
(著)
余の病気の
由
(
よし
)
を聞いて、それは残念だ、自分が健康でさえあれば治療に尽力して上げるのにと云う
言伝
(
ことづて
)
があった。その
後
(
ご
)
も副院長を通じて、よろしくと云う
言伝
(
ことづて
)
が時々あった。
思い出す事など
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ちょうど
汀
(
なぎさ
)
の銀の
蘆
(
あし
)
を、一むら肩でさらりと分けて、雪に
紛
(
まが
)
う鷺が一羽、人を払う
言伝
(
ことづて
)
がありそうに、すらりと立って歩む
出端
(
でばな
)
を、ああ、ああ、ああ、こんな日に限って、ふと仰がるる
神鷺之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
今店先で
誰
(
た
)
れやらがよろしく言ふたと
他
(
ほか
)
の女が
言伝
(
ことづて
)
たでは無いか、いづれ面白い事があらう何とだといふに、ああ
貴君
(
あなた
)
もいたり
穿索
(
せんさく
)
なさります、馴染はざら一面、手紙のやりとりは
反古
(
ほご
)
の取かへツこ
にごりえ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
立子
(
たつこ
)
が御地へ一遊しますので、御地の俳人に
言伝
(
ことづて
)
をします。
俳句への道
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
いくたびか遠慮がちな
言伝
(
ことづて
)
をしてよこしたことはある。
光は影を
(新字新仮名)
/
岸田国士
(著)
昌允 須貝さんに
言伝
(
ことづて
)
なすったんじゃないんですか。
華々しき一族
(新字新仮名)
/
森本薫
(著)
恋人に
言伝
(
ことづて
)
なんかいらん。そんな事は聞きたくない。
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
その度、吉野に来て
一杯
(
ひとつ
)
飲めと加藤の
言伝
(
ことづて
)
を伝へた。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
(然し、逢えぬ。
言伝
(
ことづて
)
を——)
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
「ああしまった。こんなことになるなら、荊州の民に頼まれた手紙や品物や、また
言伝
(
ことづて
)
なども兵に聞かすのではなかったものを」
三国志:10 出師の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
もし伸子が在宅なら、面談したいから、柚木先生自身、伸子のところに来て下さろうと云う
言伝
(
ことづて
)
であった。伸子は恐縮した気持になった。
伸子
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
船番の人に
言伝
(
ことづて
)
があって、帰るつもりであったけれども、山田の町にもう少し足を止める必要が起ったから帰れぬとのこと。
大菩薩峠:06 間の山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「病院の方では、部屋を明けて御待ち申して居るさうです。院長さんも、飯島さんの奥さんは
如何
(
どう
)
なすつたらうつて、私共へ
言伝
(
ことづて
)
がありました。」
灯火
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
前川さんて、素晴らしい紳士じゃないの。あんないい方ないわ。私ね、貴女が
厭
(
いや
)
がっていたから、内緒にしておくつもりだったけれども、前川さんに
言伝
(
ことづて
)
を
貞操問答
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
「
僕
(
ぼく
)
が
死
(
し
)
んだら、
帰還
(
きかん
)
したとき、
老母
(
ろうぼ
)
に
言伝
(
ことづて
)
をしてくれないか。」と、
真剣
(
しんけん
)
な
調子
(
ちょうし
)
で、いいました。
戦友
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「ぼくをここから逃がして下さい。そうすればきっと春木君に、あなたの
言伝
(
ことづて
)
をつたえます」
少年探偵長
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「先生。きょうは朔造(梅津)さんは病気で稽古を休みますと
言伝
(
ことづて
)
がありました」
梅津只円翁伝
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
それで
私
(
わたくし
)
が
言伝
(
ことづて
)
を頼まれて参りました宜しく申し上げて呉れと申しました
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「今となっては、お鳥殿の身の秘密を知る者は、広い世界にも拙者より外には無い。礼儀にも道理にも無いことではあるが、源吉に頼んで、あの
言伝
(
ことづて
)
を申し上げたのは、
斯
(
こ
)
うしたわけであった」
裸身の女仙
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
彼は一種の利害関係から、過去に
溯
(
さかの
)
ぼる
嫌疑
(
けんぎ
)
を恐れて、森本の居所もまたその
言伝
(
ことづて
)
も主人夫婦に告げられないという弱味を
有
(
も
)
っているには違ないが、それは良心の上にどれほどの
曇
(
くもり
)
もかけなかった。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「そう、わしは先刻
伯爵
(
はくしゃく
)
からご
言伝
(
ことづて
)
になった医者ですがね。」
ひのきとひなげし
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
「緑ちやん、君に
言伝
(
ことづて
)
があるんだよ。」
のらもの
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
そのうちのひとりは、たしかに、
武田勝頼
(
たけだかつより
)
にそういないから、すぐこのことを、
呂宋兵衛
(
るそんべえ
)
さまにお知らせもうせという蚕婆からの
言伝
(
ことづて
)
なんで
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「時間が来たら貴様は学校の方へ帰るが可い。どうせ田辺には逢う用があるし、大勝の大将から頼まれて来た
言伝
(
ことづて
)
もあるし、俺は後から出掛ける」
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
幸内は前にお君のところへお銀様の
言伝
(
ことづて
)
を言った足でこちらへ来たものと見えます。そうして昨晩はどこか甲府の城下へ宿を取っていたものでしょう。
大菩薩峠:12 伯耆の安綱の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「いや、大変お手間を取らして相済みません。が、もう一言、そうです、青木君の
言伝
(
ことづて
)
があるのです。時計の元の持主にこう伝えて
呉
(
く
)
れと頼まれたのです。」
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
と何気なく笑ったけれども、その
言伝
(
ことづて
)
は心にしみた。お針屋に
十月
(
とつき
)
いて肋膜になったときもサイは帰らず、この二月には、夜業をつづけて二十円も国へ送った。
三月の第四日曜
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
ねえ一彦君、私はどうもちかごろ博士のすることに、腑におちない点があるのだよ。それに帆村君からの
言伝
(
ことづて
)
にも、博士に必ず会って見ろとあったではないか。帆村君も博士に気を
怪塔王
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「そんならあなたとお約束した風は、まだ
戻
(
もど
)
っては来ないのでしょう。私がその風に
遇
(
あ
)
うか
何
(
ど
)
うか分らないが、遇ったら
言伝
(
ことづて
)
をいたしましょう。」と言って、その風も
何処
(
どこ
)
へとなく
月と海豹
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
言
常用漢字
小2
部首:⾔
7画
伝
常用漢字
小4
部首:⼈
6画
“言”で始まる語句
言
言葉
言語
言下
言上
言草
言訳
言問
言出
言句