蘇生よみがへ)” の例文
つきヤレ/\有難き仰せ畏まり奉つると蘇生よみがへりたる心地こゝちにて直樣すぐさま馳歸はせかへり多くのかぎを持參なし種々いろ/\あはせ見て具足櫃ぐそくびつ錠前ぢやうまへあけけるとなり此事錠前を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
さらすう分間ぷんかんまゝわすられてたならばかれとき自分じぶんほつしたやうにつめたいむくろから蘇生よみがへらなかつたかもれなかつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
もとより不信の極悪人ごくあくびと、此儘に打ち捨て置き、風来犬ふうらいいぬにな食す可きなれど、今日は異例の情をもて、さんたまりやに祈りを上げ蘇生よみがへらして呉れむずらむ。
南蛮寺門前 (新字旧仮名) / 木下杢太郎(著)
夕食ゆふめしはずに倒れたなりうごかずにゐた。其時おそるべき日は漸くちて、夜が次だいほしいろくした。代助はくらさと涼しさのうちに始めて蘇生よみがへつた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
行くうち不図ふと、この霜降りのインバネスを初めて着たをり編輯長に「君は色が黒いから似合はないね」と言はれて冷やツとした時の記憶が頭に蘇生よみがへつた。
途上 (新字旧仮名) / 嘉村礒多(著)
平次と一緒になる前、一二年こゝの水茶屋で働いてゐたお靜は、兩國へ來ると——往來の人の顏にも兩側の店構へにも、いろ/\と古い記憶が蘇生よみがへります。
靜かに引きしまつた自分の心の中へ何が蘇生よみがへつて來るのか、何が浮んで來るのか、私はそれを求めてゐる。恐ろしさとうれしさの期待を持つてそれを求めてゐる。
霧の旅 (旧字旧仮名) / 吉江喬松(著)
ごろむつまじくかたり給ふ二二殿原とのばらまうで給ひてはうむりの事をもはかり給ひぬれど、只師が心頭むねの暖かなるを見て、ひつぎにもをさめでかく守り侍りしに、今や蘇生よみがへり給ふにつきて
それは水害すゐがいのためにもしふね転覆ひつくりかへると蘇生よみがへ亡者やつが多いので、それでは折角せつかくひらけようといふ地獄ぢごく衰微すゐびだといふので、とほ鉄橋てつけうになつちまいました、それ御覧ごらうじろ
明治の地獄 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
「や、伯父をぢさん」と蒋生しやうせい蘇生よみがへつたやうにおもつて、はじめて性分しやうぶんこゑして伸上のびあがる。
麦搗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
私の耳に蘇生よみがへ
一点鐘 (旧字旧仮名) / 三好達治(著)
平次に斯う指摘されると、この五年の間、養父母に加へた虐待ぎやくたい凌辱りようじよくが、あり/\記憶に蘇生よみがへるのです。
蘇生よみがへつたやうにはつきりしたさい姿すがたて、おそろしい悲劇ひげきが一遠退とほのいたときごとくに、むねおろした。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
けておくれ/\、蘇生よみがへつたからけておれ。岩「なんとかひますよ、おけなさい。とふから、早桶はやをけふたを取ると蘇生よみがへつてる。妻「あらまアおまへさん助かつたのかえ。 ...
明治の地獄 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
と、蘇生よみがへつてとしてから、てい飛脚ひきやくが、内證ないしようで、兄弟分きやうだいぶんはなしたとつたへられる。
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
止めしにや息のえたるにおどろきつゝ種々しゆ/″\介抱かいはうなしけれ共蘇生よみがへ容子ようすなく暫時ざんじつめたくなり候まゝ當御奉行所へ御訴へ申上候儀に御座候と申立ければ慈仁じじん無類むるゐの大岡殿ゆゑたちまち久八の廉直れんちよくなるを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
それが一巡りゆき渡ると、又もあふられたやうに、亂痴氣騷ぎが蘇生よみがへるのです。
繰返くりかへすやうだが、それが二日ふつかで、三日みつかひるすぎ、大雨おほあめよわてて、まだ不安ふあんながら、破家やぶれや引返ひきかへしてから、うす味噌汁みそしる蘇生よみがへるやうなあぢおぼえたばかりで、くわんづめの海苔のり梅干うめぼしのほかなんにもない。
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
翌早朝よくさうてう小使部屋こづかひべやゐろり焚火たきびすくはれて蘇生よみがへつたのであります。
雪霊続記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
こたへたときわたし蘇生よみがへつたやうにおもつた。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)