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落胆
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らくたん
ふりがな文庫
“
落胆
(
らくたん
)” の例文
旧字:
落膽
ただあらゆる浮浪人のようにどこかへ姿を隠してしまったのである。伝吉は勿論
落胆
(
らくたん
)
した。一時は「神ほとけも
讐
(
かたき
)
の上を守らせ給うか」
伝吉の敵打ち
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
私は親友を
落胆
(
らくたん
)
させるに忍びず、もう少しよくなるまで、彼のピアニストとしての生涯が終わったことを、伏せておこうとした。
指
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「フーム、そう申上げたら、殿にはさぞ御
落胆
(
らくたん
)
遊ばすことであろうが、余儀ないことだ。——あんまり力を落すでないぞ、お楽」
銭形平次捕物控:066 玉の輿の呪い
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
せっかく骨を折って設計した地下戦車第一号が、ものの見事に、失敗の作となってしまったので、岡部一郎の
落胆
(
らくたん
)
は、非常に大きかった。
未来の地下戦車長
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
かれらが
失望
(
しつぼう
)
落胆
(
らくたん
)
すべき
必然
(
ひつぜん
)
の
時期
(
じき
)
はもはや目のまえに
迫
(
せま
)
っていると思うと、はらわたが
煮
(
に
)
えかえってちぎれる心持ちがする。
老獣医
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
▼ もっと見る
僕はつねに失望する人を
慰
(
なぐさ
)
めんとするとき、あるいは
自
(
みずか
)
ら失望し
落胆
(
らくたん
)
せんとするとき、みずから励まして、「マア十年待て」といっている。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
いつも
詰
(
つま
)
らない飴細工ばかり引き当てて、欲しいと思う橋弁慶なぞは、
何時
(
いつ
)
も取ったことがなく
落胆
(
らくたん
)
したものだった。
梵雲庵漫録
(新字新仮名)
/
淡島寒月
(著)
生前に父親も
親戚
(
しんせき
)
も
婿
(
むこ
)
をとるようかなりお蘭を責めたものだが、こればかりはお蘭は
諾
(
うべな
)
わなかった。四郎が伝え聞いたらどんなに
落胆
(
らくたん
)
するであろう。
みちのく
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
しかし、何らの
惑
(
まど
)
いも
落胆
(
らくたん
)
も抱かなかった。期待を持たない対象には惑いの生じようも落胆のしようもないのである。
旗岡巡査
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ああ何という私の
落胆
(
らくたん
)
であったろう。最初私は、叔父が本気にそんなことを言っているのではなかろうと考えていた。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
と、
主人
(
しゅじん
)
は
平常
(
へいぜい
)
自慢
(
じまん
)
をしていました。その
鳥
(
とり
)
がいなくなってから
主人
(
しゅじん
)
は、どんなに
落胆
(
らくたん
)
をしたことでありましょう。
こまどりと酒
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
彼は
落胆
(
らくたん
)
と悲哀との中で第二の手を探し始めた。綺麗で立派な手! 白い優雅な指! 併し彼の求める指、その指環の求めるような指は容易になかった。
指と指環
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
私は少し
落胆
(
らくたん
)
してとにかく笹川のところへ行って様子を聞いてみようと思って、郊外行きの電車に乗った。
遁走
(新字新仮名)
/
葛西善蔵
(著)
能
(
よ
)
く
自他
(
じた
)
の
分
(
ぶん
)
を
明
(
あきらか
)
にして
二念
(
にねん
)
あることなく、理にも非にもただ徳川家の主公あるを
知
(
しり
)
て他を見ず、いかなる非運に際して
辛苦
(
しんく
)
を
嘗
(
なむ
)
るもかつて
落胆
(
らくたん
)
することなく
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
終
(
つい
)
に
最早
(
もう
)
すっかり無くなった時分にはとうとう姿を隠して家を逃げてしまった、残された老婆は非常に
怨憤
(
うら
)
み
落胆
(
らくたん
)
して常に「
口惜
(
くや
)
しい
口惜
(
くや
)
しい」といっていた。
暗夜の白髪
(新字新仮名)
/
沼田一雅
(著)
蘿月
宗匠
(
そうしょう
)
はいくら年をとっても昔の
気質
(
かたぎ
)
は変らないので見て見ぬように
窃
(
そっ
)
と立止るが、大概はぞっとしない女房ばかりなので、
落胆
(
らくたん
)
したようにそのまま
歩調
(
あゆみ
)
を早める。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
士官たちの
歎
(
なげ
)
き! けれども当の
M
(
エム
)
大尉はすこしも
落胆
(
らくたん
)
しないのみか、にっこりとしておりました。
国際射的大競技
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
ぼくはきみの苦しい立場は十分に同情する、けれど一
考
(
こう
)
してくれたまえ。いま大統領の重位にあるきみが、元気のない顔を見せると、一同はよけいに
落胆
(
らくたん
)
してしまう。
少年連盟
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
不思議に思いて、一の戸に行くなりと
生
(
なま
)
いらえするに、
彼
(
かれ
)
笑って、ああおのし、まようて損したり、福岡の橋を
渡
(
わた
)
らねばならずと云う。余ここにおいていよいよ
落胆
(
らくたん
)
せり。
突貫紀行
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
友人はどんなに
落胆
(
らくたん
)
するだろう。探偵は巧く取返して呉れるか知らん。とても難かしいだろう。
急行十三時間
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
そのむすめは真夏のころ帰って来るあの船乗りの花よめとなるはずでしたが、その船乗りが秋にならなければ帰れないという手紙をよこしたので、
落胆
(
らくたん
)
してしまったのでした。
真夏の夢
(新字新仮名)
/
アウグスト・ストリンドベリ
(著)
利休が死んだので、秀吉は呂宋の壺を求める道が絶えたと
落胆
(
らくたん
)
していたが、文禄三年の七月、思いがけなく、堺の納
屋
(
や
)
助左衛門が呂宋の壺の名品を五十個ばかり持ち帰って上覧に供した。秀吉は
呂宋の壺
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
これまでは
虚心
(
きょしん
)
平気
(
へいき
)
で、
健全
(
けんぜん
)
に
論
(
ろん
)
じていたが、一
朝
(
ちょう
)
生活
(
せいかつ
)
の
逆流
(
ぎゃくりゅう
)
に
触
(
ふ
)
るるや、
直
(
ただち
)
に
気
(
き
)
は
挫
(
くじ
)
けて
落胆
(
らくたん
)
に
沈
(
しず
)
んでしまった……
意気地
(
いくじ
)
が
無
(
な
)
い……
人間
(
にんげん
)
は
意気地
(
いくじ
)
が
無
(
な
)
いものです、
貴方
(
あなた
)
とてもやはりそうでしょう
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
わたしは一日や半日ではまた
落胆
(
らくたん
)
しませんでした。
オカアサン
(新字新仮名)
/
佐藤春夫
(著)
失望したばかりならよいが、己はひどく
落胆
(
らくたん
)
した。
小僧の夢
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
この帝都の惨状を、振りかえっては、あまりにも無力だった帝都の空の護りへの
落胆
(
らくたん
)
を、その飛行隊の機影に向って
抛
(
な
)
げつけたのだった。
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
水色の目をした、鼻の高い、
何
(
なん
)
とか云う
貧相
(
ひんそう
)
な女優である。僕はT君と同じボックスにタキシイドの胸を並べながら、
落胆
(
らくたん
)
しない
訣
(
わけ
)
には行かなかった。
カルメン
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
小泉氏は
落胆
(
らくたん
)
のあまり、しばらくは口をきく力もないように、だまりこんでいましたが、やがて、顔をあげますと、思いあまったようにいうのでした。
妖怪博士
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
失望
落胆
(
らくたん
)
に沈んでいる時にも、もしこれがソクラテス
翁
(
じい
)
さんであったら、この
一刹那
(
いっせつな
)
を
如何
(
いか
)
に処するであろう、と振返って、
静
(
しずか
)
に
焦立
(
いらだ
)
つ精神を
鎮
(
しず
)
めてみると
ソクラテス
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
ひとり玄徳の
落胆
(
らくたん
)
を励ますばかりでなく、敗滅の底にある将士に対して、ここが大事と思うからであった。
三国志:06 孔明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
蘿月宗匠
(
らげつそうしやう
)
はいくら年をとつても
昔
(
むかし
)
の
気質
(
かたぎ
)
は
変
(
かは
)
らないので見て見ぬやうに
窃
(
そつ
)
と
立止
(
たちどま
)
るが、
大概
(
たいがい
)
はぞつとしない女房ばかりなので、
落胆
(
らくたん
)
したやうに
其
(
そ
)
のまゝ
歩調
(
あゆみ
)
を早める。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
こう
看護婦
(
かんごふ
)
がいったとき、
若
(
わか
)
い
婦人
(
ふじん
)
の
顔色
(
かおいろ
)
は、
落胆
(
らくたん
)
と
失望
(
しつぼう
)
のために、
変
(
か
)
わりました。
彼女
(
かのじょ
)
は、どうしていいかわからなかったからです。しばらく
黙
(
だま
)
って
考
(
かんが
)
えていました。
世の中のこと
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
氏の
為
(
た
)
めに苦戦し氏の
為
(
た
)
めに戦死したるに、首領にして
降参
(
こうさん
)
とあれば、たとい同意の者あるも、不同意の者は
恰
(
あたか
)
も見捨てられたる姿にして、その
落胆
(
らくたん
)
失望
(
しつぼう
)
はいうまでもなく
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
とモコウが
落胆
(
らくたん
)
した。
少年連盟
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
博士に会いたくて
焦
(
こ
)
げつきそうな
焦燥
(
しょうそう
)
を感じていた某大国の特使閣下も、この噂に突き当られ、
落胆
(
らくたん
)
のあまり今にもぶったおれそうな
蒼
(
あお
)
い顔色でもって
地軸作戦:――金博士シリーズ・9――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「この
雨
(
あめ
)
の
中
(
なか
)
を、いつまで
原
(
はら
)
っぱにいられるものですか。」と、お
母
(
かあ
)
さんは、おかしそうにおっしゃいましたが、あまり
光
(
こう
)
一が
落胆
(
らくたん
)
するので、
後
(
あと
)
でかわいそうになって
真昼のお化け
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
自分の
落胆
(
らくたん
)
や
失望
(
しつぼう
)
が、どれほど
忠節
(
ちゅうせつ
)
な人々の
胸
(
むね
)
に
反映
(
はんえい
)
するかをよく知っている。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
王子 (
落胆
(
らくたん
)
したように)わたしの姿は見えないはずなのですがね。
三つの宝
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
かれは
落胆
(
らくたん
)
のあまり、場所がらをもわきまえないで、舞台にぶっ倒れて、おいおいと泣きだした。
金属人間
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
しかし、いくらあたりをたずねても、かれのすがたが見えないので、
落胆
(
らくたん
)
しているところへ、
崖
(
がけ
)
の
細道
(
ほそみち
)
をかきわけて、
菊村宮内
(
きくむらくない
)
が、水から助けあげたふたりの少年をつれてあがってきた。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そこで竹見は、
手短
(
てみじ
)
かに、ハルクのことをはなして、丸本にもハルクを見かけなかったかとたずねたが、丸本もやはり知らないとこたえた。竹見は、いよいよ
落胆
(
らくたん
)
した。
火薬船
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
当初より官兵衛様は亡きものとしても、松千代様はご無事を得るものとしておられている御本丸様(官兵衛の父宗円をさす)のご
落胆
(
らくたん
)
は拝察するもお傷わしいが……今は嘆いている場合ではない。
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
博士は、密使の顔を見て、率直に
落胆
(
らくたん
)
の色を現した。
人造人間戦車の機密:――金博士シリーズ・2――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「
刑場
(
けいじょう
)
はもう近い!
落胆
(
らくたん
)
するな、気をくじくな!」
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
泣かんばかりの
落胆
(
らくたん
)
である。
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“落胆”の意味
《名詞》
落胆(らくたん)
がっかりすること。力を落とすこと。
(出典:Wiktionary)
落
常用漢字
小3
部首:⾋
12画
胆
常用漢字
中学
部首:⾁
9画
“落”で始まる語句
落
落着
落魄
落葉松
落人
落葉
落籍
落付
落語家
落莫