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草臥
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ふりがな文庫
“
草臥
(
くたび
)” の例文
風呂に入って汗を流し座敷に帰って足を延べた時は生き返ったようであるが、同時に
草臥
(
くたび
)
れが出てしもうて最早筆を採る勇気はない。
徒歩旅行を読む
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
「ああ、
草臥
(
くたび
)
れた。」と老人は溜息が洩れた。娘は寝椅子の布が破れたのを、「家具屋さんかしら?」と言った。老人は黙っていた。
老人と孤独な娘
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
日本間の方ではお師匠さんが待ち
草臥
(
くたび
)
れているのか、三味線を
弾
(
ひ
)
き始めた。社長は無言のまゝ、それを指の先で合せていたが、忽ち
ガラマサどん
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
私は、あるいは敵意を含む身振か、嘲弄するような言葉かを発見することが出来るかと思って、
草臥
(
くたび
)
れて了うまで彼等の後をつけた。
日本その日その日:03 日本その日その日
(新字新仮名)
/
エドワード・シルヴェスター・モース
(著)
男は二十四五の、
草臥
(
くたび
)
れたやうな顔、女は六十ばかりの皺くちやな
媼
(
ばあ
)
さんで、
談話
(
はなし
)
の模様でみると、親子といふやうな調子があつた。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
▼ もっと見る
まあこういった調子で、何一つ不自由のない生活ではあるが、十年もつづいたら、こういう生活も、何となく
草臥
(
くたび
)
れるものらしい。
パーティ物語
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
その日も晝頃から始まつて、
申刻
(
なゝつ
)
前にはかなり
草臥
(
くたび
)
れましたが、近頃油の乘つて來た新助は、なか/\止さうと言ふことを言ひません。
銭形平次捕物控:057 死の矢文
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「本読みは退屈な程長くつづく。」ゴーリキイは聴き
草臥
(
くたび
)
れる。それにもかかわらず、彼にはその挑戦的な鋭い言葉が気に入った。
マクシム・ゴーリキイの伝記:幼年時代・少年時代・青年時代
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
……ぴたぴたと
行
(
や
)
るうちに、
草臥
(
くたび
)
れるから、
稽古
(
けいこ
)
の時になまけるのに、催促をされない稽古棒を持出して、
息杖
(
いきづえ
)
につくのだそうで。
開扉一妖帖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
すっかり
草臥
(
くたび
)
れが出たのであろう、小さいあぐらを組んで、両手を膝の間に突っこんだまま、
涎
(
よだれ
)
をながして心地よげに居眠りしていた。
宮本武蔵:03 水の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
一年あまりも心の暗い旅をつづけて、諸国の町々や、港や、海岸や、それから知らない山道などを
草臥
(
くたび
)
れるほど歩き廻った足だ。
足袋
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
遍路のはいている
護謨底
(
ごむそこ
)
の
足袋
(
たび
)
を
褒
(
ほ
)
めると「どうしまして、これは
草鞋
(
わらじ
)
よりか倍も
草臥
(
くたび
)
れる。ただ草鞋では金が
要
(
い
)
って
敵
(
かな
)
いましねえから」
遍路
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
啓吉は
草臥
(
くたび
)
れてしまって、入口の石段に傘をすぼめて腰をかけた。雨がにわかにひどくなった。自動車の旗がべろんと濡れさがっている。
泣虫小僧
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
少し
草臥
(
くたび
)
れ加減の私の二円五十銭のネクタイは、たとえ
硝子
(
ガラス
)
でも
燦然
(
さんぜん
)
たる光のせいで、たちまち五円ぐらいの値打に
競
(
せ
)
り上ってしまった。
ナリン殿下への回想
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
「そうですか。でもお
草臥
(
くたび
)
れでしょうネ。大杉も御近所同士で家の角へ夜警に毎晩出ておりますワ。町内のお附合いですもの、」
最後の大杉
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
虱は
草臥
(
くたび
)
れはてた人のやうに、のろのろ動いてゐたが、やがて武士は自分の腕が
痒
(
かゆ
)
くなるのを覚えた。虱が血を吸ひ始めたことが解つた。
良寛物語 手毬と鉢の子
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
鞭を持っていたのは、慣れない
為事
(
しごと
)
で
草臥
(
くたび
)
れた跡で、
一鞍
(
ひとくら
)
乗って、それから身分相応の気晴らしをしようと思ったからである。
世界漫遊
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ユリウス・ダビット
(著)
「駅々で水をかえてくださらなきゃだめ。水が列車でゆれどおしだから、あたい、ふらふらになっちゃって、とても
草臥
(
くたび
)
れてしまうのよ。」
蜜のあわれ
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
ながい、そしていそぎの旅をして来たとみえ、
埃
(
ほこり
)
と汗にまみれた、ひどく
草臥
(
くたび
)
れた恰好であったが、門番に向って、こう案内を申しいれた。
山彦乙女
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
大ていの奴だったら途中で
草臥
(
くたび
)
れて引き返しちまうだろう。だからなかなか本筋の、叩き鍛えた芸人ってできないわけなのだ。
小説 円朝
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
「うんこないだもちょっと散歩の帰りに寄ったよ。
草臥
(
くたび
)
れた時、休むにはちょうど都合の好い所にある宅だからね、あすこは」
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「講座」は
閉口
(
あやま
)
る。
利益
(
ため
)
には成るのだろうが、
七六
(
しちむ
)
ツかしくて、聞くのに
草臥
(
くたび
)
れる。其処へ行くと、「ニュース」は素敵だ。
越後獅子
(新字新仮名)
/
羽志主水
(著)
マドリガルやエピグラムのきらめきに、昼の
間
(
ま
)
を遊び暮して、
草臥
(
くたび
)
れた跡で、それとは様子の変つた、彼の青年との交際を楽む事にしてゐる。
クサンチス
(新字旧仮名)
/
アルベール・サマン
(著)
大正池の
畔
(
ほとり
)
に出て
草臥
(
くたび
)
れを休めていると池の中から絶えずガラガラガラ何かの機械の歯車の
轢音
(
れきおん
)
らしいものが聞こえて来る。
雨の上高地
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
ところで私が弁士の如くさんざん重たい口から説明してしまってああ
草臥
(
くたび
)
れたと思った時分に友人がいうのに、いくら君が説明してくれても
めでたき風景
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
最も名残の惜しまれる
黄昏
(
たそがれ
)
の
一時
(
ひととき
)
を選んで、半日の行楽にやや
草臥
(
くたび
)
れた足を
曳
(
ひ
)
きずりながら、この神苑の花の下をさまよう。
細雪:01 上巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
従兄
(
カズン
)
ユースタスだって、当然、子供達同様
草臥
(
くたび
)
れていた。というのは、この楽しかった午前中に、彼はいろいろと
離技
(
はなれわざ
)
を演じて見せたのだから。
ワンダ・ブック――少年・少女のために――
(新字新仮名)
/
ナサニエル・ホーソーン
(著)
幸「止しねえよ、詰らねえ事を云って、まア湯へ這入って寝ようと云うのだが、腹が北山になって
草臥
(
くたび
)
れたから酔ったよ」
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
ある時、これも内攻に
草臥
(
くたび
)
れた痴川が孤独からの野獣の狂躁で脱出してきて、麻油を誘ひ伊豆を誘ひ小笠原を誘ひ、とある山底の湯宿へ遁走した。
小さな部屋
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
……すこし
草臥
(
くたび
)
れたので、私はとある小さな林の中にはいって、一本の松の木の根に腰をかけながら、足を休めていた。
三つの挿話
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
別格を以て重く用いても好いといって、懇望せられたので、諸家を
廻
(
まわ
)
り
草臥
(
くたび
)
れた五百は、この家に仕えることに
極
(
き
)
めた。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
「さあさ、ちょっと休んで行きましょうね。歩くのはこれで、何でもないようで
草臥
(
くたび
)
れるからねえ。お前も大変だったろう? 御苦労だったねえ」
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
が、都まではよほど遠いと見え、日の暮れかかる頃に、
漸
(
ようや
)
く都の町はずれに着きました。もう足が
草臥
(
くたび
)
れて、
一足
(
ひとあし
)
も歩けないほどに疲れていました。
三人兄弟
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
すっかり
草臥
(
くたび
)
れてしまって、『どうじゃ一銭』を云うさえ億劫だし、手をのべたくても、
手套
(
てぶくろ
)
なしの手は我慢にも
衣嚢
(
かくし
)
から出せないほど
凍
(
かじ
)
かんでいた。
幻想
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
「お母さん、あなたはひどく
草臥
(
くたび
)
れているのです。すこしお休みなさい。とにかく、マック・アン・テイルという人は世の中にいくらもいるでしょう」
漁師
(新字新仮名)
/
フィオナ・マクラウド
(著)
時計は十二時まで打つて
草臥
(
くたび
)
れてゐると見えて、不性らしく一時を打つた。それ以上は打つ事が出来ないのである。
駆落
(新字旧仮名)
/
ライネル・マリア・リルケ
(著)
一日じゅう、あっちへ行ったりこっちへ行ったり。なんと言う
験
(
げん
)
の悪い日だろう。わたしゃもう
草臥
(
くたび
)
れてしまった
取返し物語
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
乃
(
そこ
)
で
愛
(
あい
)
ちやんが
云
(
い
)
ふには、『
鼠
(
ねず
)
ちやん、お
前
(
まへ
)
此
(
この
)
池
(
いけ
)
の
出口
(
でぐち
)
を
知
(
し
)
つてゝ?
私
(
わたし
)
全然
(
すつかり
)
泳
(
およ
)
ぎ
草臥
(
くたび
)
れて
了
(
しま
)
つてよ、
鼠
(
ねず
)
ちやん!』
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
己はつまり影と相撲を取っていたので、己の
慾
(
よく
)
という慾は何の味をも知らずに夢の
中
(
うち
)
に
草臥
(
くたび
)
れてしまったのだ。
痴人と死と
(新字新仮名)
/
フーゴー・フォン・ホーフマンスタール
(著)
いつも彼は、彼自身が告白したとほり、怠け者や悪戯つ児の手をその定規で打ち
草臥
(
くたび
)
れてしまふ有様だつた。
ディカーニカ近郷夜話 後篇:04 イワン・フョードロヸッチ・シュポーニカとその叔母
(新字旧仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
年寄は
草臥
(
くたび
)
れるし、子供は飽きるし、今ごろはもうあいつ、少々厄介もの扱ひにされて、ベソをかいてるぜ。
五月晴れ
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
俺
(
お
)
ら
只
(
たゞ
)
ぢや
歩
(
ある
)
いてもよかつたが、
南
(
みなみ
)
こと
又
(
また
)
歩
(
ある
)
かせちや
濟
(
す
)
まねえから
同志
(
どうし
)
に
土浦
(
つちうら
)
まで
汽船
(
じようき
)
で
乘
(
の
)
つ
着
(
つ
)
けたんだが、
南
(
みなみ
)
は
草臥
(
くたび
)
れたもんだから
俺
(
お
)
ら
先
(
さき
)
へ
出
(
で
)
たんだがな
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
女房は走れるだけ走って、
草臥
(
くたび
)
れ切って草原のはずれの草の上に倒れた。余り駈けたので、体中の脈がぴんぴん打っている。そして耳には異様な囁きが聞える。
女の決闘
(新字新仮名)
/
ヘルベルト・オイレンベルク
(著)
女房は走れるだけ走って、
草臥
(
くたび
)
れ切って草原のはずれの草の上に倒れた。余り駆けたので、体中の脈がぴんぴん打っている。そして耳には異様な囁きが聞える。
女の決闘
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
二人で丁度一番高い岩山の
巓
(
いたゞき
)
まで登つた。老人は数分間は余り
草臥
(
くたび
)
れて物を云ふことが出来なかつた。
うづしほ
(新字旧仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
お話が間が抜けていて、ちょっと
草臥
(
くたび
)
れる人である。太宰先生が御一緒なので、彼女はとても上機嫌。
雨の玉川心中:01 太宰治との愛と死のノート
(新字新仮名)
/
山崎富栄
(著)
腰が痛み、
身体
(
からだ
)
が
草臥
(
くたび
)
れるにつけても、「あの野郎せえいれば、俺もこれ、じっかり楽なんだが……」
土竜
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
すご/\と山本のあとについて其日は吉田町から東山一帶を散歩して
草臥
(
くたび
)
れて上長者町の宿に歸る。
俳諧師
(旧字旧仮名)
/
高浜虚子
(著)
往つたり返つたりしたのに
草臥
(
くたび
)
れたらしく、主人は老人に暇を取らせた。家政の報告などは聞きたくないと云ふことを知らせるには、只目を
瞑
(
ねむ
)
つて頭を
掉
(
ふ
)
つたのである。
フロルスと賊と
(新字旧仮名)
/
ミカイル・アレクセーヴィチ・クスミン
(著)
でも
此様
(
こん
)
な
筈
(
はず
)
では無かツたがと、
躍起
(
やつき
)
となツて、
行
(
や
)
る
點
(
とこ
)
まで
行
(
や
)
ツて
見
(
み
)
る、
我慢
(
がまん
)
で行ツて見る。
仍且
(
やツぱり
)
駄目
(
だめ
)
だ。
頭
(
てん
)
で
調子
(
てうし
)
が出て來ない。
揚句
(
あげく
)
に
草臥
(
くたび
)
れて了ツて、
悲観
(
ひくわん
)
の
嘆息
(
ためいき
)
だ。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
草
常用漢字
小1
部首:⾋
9画
臥
漢検準1級
部首:⾂
8画
“草臥”で始まる語句
草臥儲
草臥足
草臥休
草臥様
草臥設