小さな部屋ちいさなへや
「扨て一人の男が浜で死んだ。ところで同じ時刻には一人の男が街角を曲つてゐた」—— といふ、これに似通つた流行唄の文句があるのだが、韮山痴川は、白昼現にあの街角この街角を曲つてゐるに相違ない薄気味の悪い奴を時々考へてみると厭な気がした。自分も …
題名が同じ作品
小さな部屋 (新字新仮名)坂口安吾 (著)