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ここ
ふりがな文庫
“
茲
(
ここ
)” の例文
茲
(
ここ
)
に透き写す、これで見ると、蝶や農鳥は、雪がその形をするのだが、農男は、雪に輪を取られた赭岩が、人物の格好に見えるらしい
雪の白峰
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
信一郎が、
茲
(
ここ
)
まで話したとき、夫人の
面
(
おもて
)
は、急に緊張した。そうした緊張を、現すまいとしている夫人の努力が、アリ/\と分った。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
むしろ凄惨な男性の性慾、暴力、所有慾、
茲
(
ここ
)
にしてまた引っ裂かれる女性の犠牲死体が、じりじりと日光と砂熱とに焼け
爛
(
ただ
)
れるのだ。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
剣菱
茲
(
ここ
)
に論語、聖書の中より二三節を抜摘して、公平なる批評を加えて、孔子や耶蘇が
何
(
ど
)
れ
程
(
ほど
)
利口な事をいったか研究して見よう。
論語とバイブル
(新字新仮名)
/
正宗白鳥
(著)
始終私どもの講義を聞いて、
茲
(
ここ
)
にはじめて神の正しく
儼存
(
げんぞん
)
し
玉
(
たま
)
ううえは、
至誠
(
しせい
)
を
以
(
も
)
ってこれを信じその道を尽し、その法を修めんには
神仙河野久
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
▼ もっと見る
しかし万人が見てこれを感じはしても、何人も能く味解し得べくもないこれらの魅力を
茲
(
ここ
)
に縷説して果して何の益があらうか……。
吸血鬼
(新字旧仮名)
/
ジョン・ウィリアム・ポリドリ
(著)
後から後からと次第に力が加わって大空の一点を指して或る高さまで達すると、
茲
(
ここ
)
に始めて長短曲直各種の線が離合集散の妙を尽して
奥秩父の山旅日記
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
それで
茲
(
ここ
)
に私の述べた所は、平塚さんに寄せる私の答弁では全くなくて、第三者たる人たちの裁定の資料として述べたのに過ぎません。
平塚さんと私の論争
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
詞藻
(
しそう
)
の豊富に対して驚くべき自信を持っていたなら、自分は余す処なく霊廟の柱や扉の彫刻と天井や
襖
(
ふすま
)
の絵画の一ツ一ツを
茲
(
ここ
)
に写生し
霊廟
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
回を重ぬる六十回、時歳末に際して予期の如く事件を発展せしむる能はず
茲
(
ここ
)
に一先づ擱筆するに到れるは作者の多少遺憾とする所なり。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
額は血が
上
(
のぼ
)
って熱し、眼も赤く充血したらしい?
茲
(
ここ
)
に倒れても詩の大和路だママよと
凝
(
じっ
)
と私は、目を
閉
(
つむ
)
って
暫
(
しば
)
らく土に突っ立っていた。
菜の花物語
(新字新仮名)
/
児玉花外
(著)
今は二十世紀、
茲
(
ここ
)
は日本国だけに
厳
(
いか
)
めしい金ピカで無いから、何れも黒のモーニングに中折帽で、
扮装
(
いでたち
)
丈では長官も属官も区別はつかぬ。
監獄部屋
(新字新仮名)
/
羽志主水
(著)
今
茲
(
ここ
)
に空気の
一塊
(
ひとかたまり
)
が高い所へ昇って行くと、四方からこれを圧している外気の圧力が減ずるから、その空気の塊は漸次膨脹する。
雪
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
もし松島の詩歌俳句等にして秀俊なる者あらば、そは必ず松島の真景に非ざるなり。(吉野は我これを知らず、故に
茲
(
ここ
)
に論ぜず)
俳諧大要
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
で、あなたとの御交際をこれ切りで打ち切らなければならないことも
諒解
(
りょうかい
)
出来ました。しかし
茲
(
ここ
)
で僕に少しく云わして頂き度い。
母子叙情
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
水の低きに就く様に文学の本流は
茲
(
ここ
)
に流れ落ちて来る。これには色々異存もある様であろう。けれども事実が之を証明しつつある様である。
第四階級の文学
(新字新仮名)
/
中野秀人
(著)
茲
(
ここ
)
において我が地方的玩具の保護や製作を
奨励
(
しょうれい
)
する意味が一層
深刻
(
しんこく
)
になるのである。(大正十四年九月『副業』第二巻第九号)
土俗玩具の話
(新字新仮名)
/
淡島寒月
(著)
この白石博士を、柿丘秋郎は恩人と仰いでいると、
茲
(
ここ
)
に誌したが、柿丘も実は博士のこの新療法によって、更生の幸福を
掴
(
つか
)
んだ一人だった。
振動魔
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
兎
(
と
)
に
角
(
かく
)
自分の読んだだけの範囲で云うと、
茲
(
ここ
)
に一種の哲学なら哲学があって、それを現わす為めに、殊更な劇を組み立てたように思われる。
予の描かんと欲する作品
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
翁は福岡の誇りとするに足る隠れたる偉人高士であったと断言しても、決して過当でない事が、
茲
(
ここ
)
に於て首肯されるであろう。
梅津只円翁伝
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
私が
茲
(
ここ
)
に訳出したのは、メルキュル版千九百二十四年刊行の「アルチュル・ランボオ作品集」中、韻文で書かれたものの殆んど全部である。
ランボオ詩集
(新字旧仮名)
/
ジャン・ニコラ・アルチュール・ランボー
(著)
たとえば、
茲
(
ここ
)
にある一個の人間の子、
相馬
(
そうま
)
の
小次郎
(
こじろう
)
なども、そうした“地の顔”と“天の気”とを一塊の肉に宿して生れ出たような
童
(
わっぱ
)
だった。
平の将門
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
茲
(
ここ
)
数日後に瑪瑙座の創立記念公演があると言うので、関係者からはそれとなく出京を促されていた為、一両日の中に帰京する筈になっていた。
花束の虫
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
手軽に考へたいかさま学説を
強
(
むり
)
に社会へ押売にするのは、
豪
(
えら
)
い
大伎倆
(
だいぎりやう
)
で。
茲
(
ここ
)
が学者の学者たる
価値
(
しんしやう
)
かも知れんが、俺は何だか虫が好かんのだ。
犬物語
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
(著)
その時の
何某
(
なにがし
)
刑事の手柄話が載せられた程であるが——この私の記述も、実はその新聞記事に
拠
(
よ
)
ったものである——私は
茲
(
ここ
)
には、先を急ぐ為に
二銭銅貨
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
何
(
ど
)
う見ても一個の書生なれど
茲
(
ここ
)
に詰居る所を見れば此頃谷間田の下役に拝命せし者なる可し此男テーブル
越
(
ごし
)
に谷間田の顔を
無惨
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
「尾ノ道の地由来文化なし、いはんや文政をや。
茲
(
ここ
)
を以て殷賑の市
未
(
いま
)
だ一つの図書館だになし、
豈
(
あに
)
恥じざるべけんや……」
光り合ういのち
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
○
茲
(
ここ
)
に
吾
(
わ
)
が
住
(
すむ
)
近在
(
きんざい
)
に
后谷村
(
ごやむら
)
といふあり。此村の弥左ヱ門といふ
農夫
(
のうふ
)
、
老
(
おい
)
たる
双親
(
ふたおや
)
年頃
(
としごろ
)
のねがひにまかせ、秋のはじめ信州善光寺へ
参詣
(
さんけい
)
させけり。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
茲
(
ここ
)
に第二の誓願を起して、
扨
(
さて
)
身に叶う仕事は三寸の舌、一本の筆より
外
(
ほか
)
に何もないから、身体の健康を頼みにして
専
(
もっぱ
)
ら塾務を務め、又筆を
弄
(
もてあそ
)
び
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
中田は歩きながら、
茲
(
ここ
)
この頃、ひどく不運つづきの自分自身に、全く愛想がつき果てて思わず大きな溜息を
排
(
は
)
き出した。
自殺
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
併しそれを正面から実行した点につき、この方面の作歌に一つの基礎をなした点につき、旅人に
満腔
(
まんこう
)
の尊敬を払うて
茲
(
ここ
)
に一首を選んだのであった。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
朕
黎元
(
れいぐわん
)
を
撫育
(
むいく
)
する
事
(
こと
)
梢
(
やや
)
に
年歳
(
とし
)
を経たり。
風化
(
ふうくわ
)
尚
(
なほ
)
壅
(
よう
)
して、
囹圄
(
れいご
)
未
(
いま
)
だ
空
(
むな
)
しからず。
通旦
(
よもすがら
)
寝
(
しん
)
を忘れて
憂労
(
いうらう
)
茲
(
ここ
)
に
在
(
あ
)
り。
頃者
(
このごろ
)
天
(
てん
)
頻
(
しきり
)
に
異
(
い
)
を
見
(
あら
)
はし、地
数
(
しばしば
)
震動す。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
わが誇るは益なしと雖も止むを得ざるなり、
茲
(
ここ
)
に主の
顕示
(
しめし
)
と黙示とに及ばん。我はキリストにある一人の人を知る。
パウロの混乱
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
茲
(
ここ
)
に苦しんでいる人間があるとする。それを傍の人間が救う、その行為が果して愛であるか否かは余程疑問である。
愛に就ての問題
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
すなわち
茲
(
ここ
)
にもまた二十年前の子どもとお母様とが、再びその感慨を新たにしているのである。母といた日の悦楽は、老いたる私にさえも蘇ってくる。
こども風土記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
だが
茲
(
ここ
)
に到つて自体考へなぞといふものが、凡そなつちやあゐないものであることを、思はないではゐられない。
亡弟
(新字旧仮名)
/
中原中也
(著)
話は少し
外
(
そ
)
れるが
後
(
のち
)
に探偵小説を論ずるときに必要であるから「
定
(
じやう
)
」に入ることに就て
茲
(
ここ
)
に少しく述べて置かう。
毒と迷信
(新字旧仮名)
/
小酒井不木
(著)
これ余が本校に向て冀望する所以の首要にして、微々ながらも余の力を出し、これを
茲
(
ここ
)
に用いんと欲する所なり。
祝東京専門学校之開校
(新字新仮名)
/
小野梓
(著)
つゞまり二月は
茲
(
ここ
)
で暮し三月の三日一先づ薩摩へ行つては如何と西郷さんが勤めるので、小松さんの持船の三国丸へ乗つて私も一処に薩摩へ下りました。
千里駒後日譚
(新字旧仮名)
/
川田瑞穂
、
楢崎竜
、
川田雪山
(著)
さて、そうして
茲
(
ここ
)
に二十年。医者が、それ迄は生きられまいと云った四十の歳を最早三年も生延びたのである。
光と風と夢
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
その
闘
(
たたかひ
)
の如何に酷烈を極めたるか、如何に
歩々
(
ほほ
)
予を死地に駆逐したるか。予は到底
茲
(
ここ
)
に叙説するの勇気なし。
開化の殺人
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
コレ即チ清教徒ガ新世界上陸ノ基点ニシテ、世界殖民ノ歴史ニ異彩ヲ放テルぷりまうすノ事業モまた
茲
(
ここ
)
ニ始ル
大菩薩峠:39 京の夢おう坂の夢の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
そして遂に
茲
(
ここ
)
に、犯人は残った二名のうちに限定されてきて了った。即ち、Aの場合か、Bの場合か——?
旅客機事件
(新字新仮名)
/
大庭武年
(著)
余すなわちその事実に
拠
(
よ
)
り一文を草し、
碩果生
(
せきかせい
)
の名を以てこれを同二十五日の時事新報に
掲載
(
けいさい
)
せり。実に先生
発病
(
はつびょう
)
の当日なり。本文と
関係
(
かんけい
)
あるを以て
茲
(
ここ
)
に
附記
(
ふき
)
す。
瘠我慢の説:04 瘠我慢の説に対する評論について
(新字新仮名)
/
石河幹明
(著)
明治の世になりて、宗祐は正四位を贈られ、宗政は従四位を贈らる。地下の枯骨、
茲
(
ここ
)
に聖恩に
沽
(
か
)
へる也。
秋の筑波山
(新字新仮名)
/
大町桂月
(著)
仏教中の様々の食制に関する
考
(
かんがえ
)
は他に
誰
(
たれ
)
か述べられる予定があったようであるから
茲
(
ここ
)
にはこれを略する。
ビジテリアン大祭
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
ただ
茲
(
ここ
)
に不思議なのは心である、五官の力を借りないでこの心で事物を知る能力が人間に備っている。
大きな怪物
(新字新仮名)
/
平井金三
(著)
終りに
茲
(
ここ
)
に書いて置かなくてはならぬ事は、此書の出版に就き医学博士宮嶋幹之助君が大層骨を折って下さった事と、啓明会が物質上多大の援助を与えられた事と
日本その日その日:01 序――モース先生
(新字新仮名)
/
石川千代松
(著)
終りに
茲
(
ここ
)
に書いて置かなくてはならぬ事は、此書の出版に就き医学博士宮嶋幹之助君が大層骨を折って下さった事と、啓明会が物質上多大の援助を与えられた事と
日本その日その日:03 日本その日その日
(新字新仮名)
/
エドワード・シルヴェスター・モース
(著)
古来、世界の
船乗
(
シイメン
)
仲間の不文律に従って「
上海
(
シャンハイ
)
された男」坂本新太郎と自分を「
上海
(
シャンハイ
)
」した坂本新太郎とは共に
茲
(
ここ
)
に二度と再び土を踏めないことになったのである。
上海された男
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
茲
漢検1級
部首:⾋
9画
“茲”を含む語句
今茲
茲処
亀茲
亀井茲矩
重茲
茲俊
茲谷
茲年
茲等
隼人佑重茲
茲辺
茲許
茲等邊
茲矩
茲江戸子
茲有
茲所
茲元
桜山茲俊
於茲
...