芸当げいとう)” の例文
旧字:藝當
かれらは、んでいたテントをたたんで、いっさいの道具どうぐといっしょにくるまみ、そして、芸当げいとう使つかっていたうまかせてゆくのでした。
銀河の下の町 (新字新仮名) / 小川未明(著)
さあ、さあ、大評判おおひょうばん文福ぶんぶくちゃがまにえて、手足てあしえて、綱渡つなわたりのかるわざから、かれおどりのふしぎな芸当げいとう評判ひょうばんじゃ、評判ひょうばんじゃ。
文福茶がま (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
それは彼が何かがたい謎を発見し、解く前の楽しさに酔っているような場合に限って、必ずやって見せる一つの芸当げいとうだった。
ゴールデン・バット事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「掏摸とまちがえられてえらい目にあいましたよ。光る刀を引っこぬいてどんどん駈けてきましたがね。いや、あぶねえ芸当げいとうさ、ははははは」
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
と誇っている陣も、秀吉の目からは、青くさくて、“青い玄蕃”と微笑を覚えるほどな芸当げいとうに過ぎなかったものとみえる。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この二十面相の裏をかいて、これほどの芸当げいとうのできるやつは、そうたんとはないからね。じつをいうと、おれはまっ先に明智小五郎を思いだした。
怪人二十面相 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
アッカはたえずばたきながら、まっすぐに飛んでいくのに、コウノトリはいろんな芸当げいとうをやってはよろこんでいるのです。
けれど新吉がやると、ファットマンは、象のからだで出来ることは何でもやりました。中でも一番面白おもしろ芸当げいとうは、新吉と二人で鍛冶屋かじやをやることでした。
曲馬団の「トッテンカン」 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
一番の芸当げいとうが終わると、カピが歯の間にブリキのぼんをくわえて、お客さまがたの間をぐるぐる回りを始めた。
「おめえも十八だというじゃァねえか。もうてえげえ、そのくれえの芸当げいとうは、出来できてもはじにゃァなるめえぜ」
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
つまり、寝そべって両足をうしろへ立てて、ときどき足の裏をうちあわせる芸当げいとうをしたのである。
おじいさんのランプ (新字新仮名) / 新美南吉(著)
だって、そうでしょう、どんなロバにでも、そんな芸当げいとうができるわけではありませんからね。
結果に於て関ヶ原で勝っているから、まるでそれを見越した上での芸当げいとうだったと片づけているのだが、関ヶ原は一大苦戦で、秀秋の裏切りまでは、家康はすでに自らの敗北を信じていた。
家康 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
「まるでぼくは川のなみの上で芸当げいとうをしているようだぞ」といました。
貝の火 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
「前には子供が四つか五つの頃まで、どうにも父親としての決心がつきかねてこまっていたが、今となると押しも押されもしない父親である。この分でゆけば子故のやみに迷うという芸当げいとうだって、それほど至難ではなさそうである」
親馬鹿入堂記 (新字新仮名) / 尾崎士郎(著)
だれにもづかれないように、こうは、ひがしみやこへ、おつ芸当げいとうにやってきました。そして、ふつうの見物人けんぶつにんにまじって、ながめていました。
二人の軽業師 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ひらりと、宮のえんから飛びおりるがはやいか、湖畔こはんにそびえているもみ大樹たいじゅへ、するするすると、りすの木のぼり、これは、竹童ならではできない芸当げいとう
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「へえ。見世物みせものでいろいろおもしろい芸当げいとうをしてせて、あなたにたんとおかねもうけをさせてげますよ。」
文福茶がま (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
トッテンカンの新吉しんきちは、いよいよ、病気のきえちゃんに代わって、竹のぼりの芸当げいとうをすることになりました。
曲馬団の「トッテンカン」 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
最初ぼくを見たときから気づいていて、気づいていながらぼくの招待に応じるなんて、シャーロック=ホームズにだってできない芸当げいとうです。ぼくはじつにゆかいですよ。
怪人二十面相 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
しかも、この芸当げいとうを七回もくりかえすのです。ニールスは悲鳴ひめいをあげ、ガンたちはさけびました。
なぜというにこのさるは、これが仕事にかかるまえぶれだということを知りすぎるほど知っていて、なんでも着物を着させまいとするために、それはおかしな芸当げいとうを考え出すのであった。
そして海蔵かいぞうさんは、この芸当げいとうではほかのどの人力曳じんりきひきにもけませんでした。
牛をつないだ椿の木 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
この前きみが浅草公園あさくさこうえんの小屋の中で、綱わたりをしていたときに、きみはいつもりっぱに、らくらくとあの芸当げいとうをやりとげていた。ところが最後の日、きみは綱わたりに失敗して墜落ついらくした。
金属人間 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「あなたこそ、まったく、人間にんげんちからではできないような、芸当げいとうをなさいます。わたしは、感心かんしんしています。」と、こうがいいました。
二人の軽業師 (新字新仮名) / 小川未明(著)
すべて、きえちゃんがやるのと変わりありません。わか姉さんは、肩先で竹竿の平均へいきんを取りながら、このような芸当げいとうの出来る新吉を、不思議ふしぎに思って見上げていました。
曲馬団の「トッテンカン」 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
それからはなにをしても、文福ぶんぶくちゃがまがわった芸当げいとうをやってせるたんびに、見物けんぶつ大喜おおよろこびで
文福茶がま (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
救いに行った、私の兄の帆村荘六ほむらそうろくは、その洋館の一室で、足を天井につけ、身は宙ぶらりんに垂下たれさがっていました。ニュートンの万有引力ばんゆういんりょくの法則を無視したような芸当げいとうですから私は驚きました。
崩れる鬼影 (新字新仮名) / 海野十三(著)
カピが後足で立つのでも、ドルスがなわとびの芸当げいとうをやるのでも、みんなけいこをしておぼえたのだ。ずいぶんほねれたことではあったが、その代わりごらん、あのとおりかしこくなっている。
最初さいしょから、こんなあぶない芸当げいとうというものはできるものでありません。それには、るようなけいこをんだからです。
二人の軽業師 (新字新仮名) / 小川未明(著)
素人しろうとにしては、まことに水ぎわ立った上出来じょうでき芸当げいとうだった。
恐怖の口笛 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「あちらの、とおまちへいって、また、ああした芸当げいとうを、みんなにしてせているのだろう。」と、信吉しんきちは、こたえました。
銀河の下の町 (新字新仮名) / 小川未明(著)
やがて、かれらのれつがあるたか広場ひろばたっしたときに、かつて天上てんじょう神々かみがみたちよりほかにはられていなかった芸当げいとうをして、きょうじたことでありましょう。
深山の秋 (新字新仮名) / 小川未明(著)
サーカスの一は、あるときは西にしに、あるときはひがしに、ところさだめず、興行こうぎょうをつづけてあるきました。真夏まなつそらに、たかいテントをって、あぶない芸当げいとうえんじたのです。
サーカスの少年 (新字新仮名) / 小川未明(著)
それにつきましても、いのちがけの芸当げいとうゆえ、無事ぶじになしわせましたさいは、どうぞご喝采かっさいねがいます。
公園の花と毒蛾 (新字新仮名) / 小川未明(著)
けれど、このおろかなあひるには、そんな芸当げいとうは、どうてもできそうはありませんでした。
縛られたあひる (新字新仮名) / 小川未明(著)
すると、犬芝居いぬしばいや、やまがらの芸当げいとうや、大蛇だいじゃせものや、河童かっぱせものや、剣舞けんぶや、手品てじなや、娘踊むすめおどりなどというふうに、いろいろなものがならんでいました。そのなかに、おんな軽業かるわざがありました。
公園の花と毒蛾 (新字新仮名) / 小川未明(著)