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背負
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ふりがな文庫
“
背負
(
しょ
)” の例文
まず朝
勃然
(
むっくり
)
起る、弁当を
背負
(
しょ
)
わせて学校へ
出
(
だし
)
て
遣
(
や
)
る、帰ッて来る、直ちに傍近の私塾へ通わせると言うのだから、あけしい間がない。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
しかしそれにしても刃物は
剣呑
(
けんのん
)
だから
仲見世
(
なかみせ
)
へ行っておもちゃの空気銃を買って来て
背負
(
しょ
)
ってあるくがよかろう。
愛嬌
(
あいきょう
)
があっていい。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「いや、人間を
背負
(
しょ
)
って逃げる犬はないだろうが、よく馴らした犬なら、血の付いた刃物ぐらいはどこかへ持って行ってくれるよ」
銭形平次捕物控:061 雪の足跡
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
花岡 だってそうじゃないか! そうやって、この世の苦しみは、みんな一人で
背負
(
しょ
)
っていますって、ツラあして、キザったらお前——
胎内
(新字新仮名)
/
三好十郎
(著)
国家を一人で
背負
(
しょ
)
って立つような意気込みを見ると——兵馬はどうも、知らず知らず自分が
大海
(
おおうみ
)
へ泳ぎ出したような心持もするのです。
大菩薩峠:03 壬生と島原の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
▼ もっと見る
素裸
(
すっぱだか
)
になって、
衣
(
き
)
ものを
背負
(
しょ
)
って、どうとか……って、話をするのを、
小児
(
こども
)
の時、うとうと寝ながら聞いて、面白くって
堪
(
たま
)
らない。
河伯令嬢
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
桝組
(
ますぐみ
)
も
椽配
(
たるきわ
)
りも
我
(
おれ
)
がする日には我の勝手、どこからどこまで一寸たりとも人の
指揮
(
さしず
)
は決して受けぬ、善いも悪いも一人で
背負
(
しょ
)
って立つ
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
『なんだと!』ハーキュリーズはひどく腹を立てて叫びました、『君は僕にいつまでも、この重いものを
背負
(
しょ
)
わしとくつもりか?』
ワンダ・ブック――少年・少女のために――
(新字新仮名)
/
ナサニエル・ホーソーン
(著)
まだ昼前のことで、大きな
風呂敷包
(
ふろしきづつ
)
みを
背負
(
しょ
)
った男、帳面をぶらさげて行く小僧なぞが、その辺の町中を
往
(
い
)
ったり来たりしていた。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
ところが二三日
後
(
のち
)
、よく
主顧
(
とくい
)
にしていた、
大仏前
(
だいぶつまえ
)
の
智積院
(
ちしゃくいん
)
という寺へ、用が出来たので、例の如く、私は書籍を
背負
(
しょ
)
って行った。
子供の霊
(新字新仮名)
/
岡崎雪声
(著)
と血だらけになった百姓が仰向いて見ますと、
氈鹿
(
かもしか
)
の
膏無
(
あぶらな
)
しに山猫の皮を前掛にしまして、
野地草
(
やちぐさ
)
の笠を
背負
(
しょ
)
い、八百目の鉄砲を提げて
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
金ピカの
塩瀬
(
しおぜ
)
を色気よく高々と
背負
(
しょ
)
っているのだから、ウッカリした男の眼には十四五ぐらいにしか、うつらないでしょうよ。
ココナットの実
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「君、そこの離れにいる男は確かに肺病だよ。折角丈夫な身体を転地療養に来て、病気を
背負
(
しょ
)
っちゃ詰まらないぜ。早く何処かへ越し給え」
脱線息子
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「宜し。じゃ、とにかく、今夜のうちに駐在所まで来て、本署まで一緒に行ってもらわねばならんな。この
外套
(
がいとう
)
を
背負
(
しょ
)
って。」
熊の出る開墾地
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
小野田はお島がやってみることになった、毛布の方の仕事を
背負
(
しょ
)
いこんで来ると、そう言ってその遣方を彼女に教えて行った。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
「べらぼうめ、
筮竹
(
ぜいちく
)
なんか
背負
(
しょ
)
ってあるかなくっても、金と米ッ粒はおいらの足のふむところに付いて廻っているじゃねえか」
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
左様
(
さよう
)
に
豪勢
(
ごうせい
)
な(
併
(
しか
)
し不思議な)人気を
背負
(
しょ
)
っている金青年の心は一体誰の上にあったかというと、それは君江の上にあった。
ゴールデン・バット事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
しかし明るい戸口の
外光
(
ひかり
)
を
背負
(
しょ
)
って立っている男が、染八でもなく喜代三でもなく、武士だったので、乾児たちは一度に口を
噤
(
つぐ
)
んでしまった。
血曼陀羅紙帳武士
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
だが、それだけ、ひとりで
背負
(
しょ
)
わねばならぬ栄三郎の苦しみは、身体があけばあくほど大きかったといわなければならない。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
というのは、そこには、
縞
(
しま
)
の着物に角帯を締めて、紺の前垂れをつけた一人の商人風の男が、一寸した風呂敷包を
背負
(
しょ
)
って立っていたのである。
二銭銅貨
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
ある者は
巖
(
いわ
)
に虎を彫っている。ある者は義経を
背負
(
しょ
)
っている。ある者は弁慶を背負っている。ある者は天狗を描いている。ある者は美人を描いている。
三浦老人昔話
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
この世間の、ありとある幸不幸を、
背負
(
しょ
)
って生れて来た人間を、筆一本で自由自在に、生かしたり殺したりしようというのが、戯作者の仕事じゃねえか。
曲亭馬琴
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
いざ
背負
(
しょ
)
おうと、
後向
(
うしろむ
)
きになって、手を出して待っているが、娘は
中々
(
なかなか
)
被負
(
おぶさ
)
らないので、彼は
待遠
(
まちどお
)
くなったから
テレパシー
(新字新仮名)
/
水野葉舟
(著)
籠長持
(
かごながもち
)
に
詰
(
つ
)
め込んである荷物を、政吉と父の兼松とが
後先
(
あとさき
)
に担い、師匠は大きな風呂敷包みを
背負
(
しょ
)
いました。
幕末維新懐古談:14 猛火の中の私たち
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
「話のほかよ。奴等、
背負
(
しょ
)
えるったけ背負って帰れ、って云わっちゃもんだから、はあ、わが体さ四十五貫くくりつけて、営門を這って出た豪傑があります」
播州平野
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
二人はそれに顔を近づけて眺めた。家の前の小径を朝畑に出る隣りの小母さんが目籠を
背負
(
しょ
)
って通りかかり
暦
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
……なア、目ッ吉、仮に、象を
背負
(
しょ
)
って歩きながら里春を殺るとしたら、どいつがいちばん
歩
(
ぶ
)
がいいと思う
平賀源内捕物帳:山王祭の大像
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
ところが僕の場合は、人に近づくということが非常に危険なのです。『死』を
背負
(
しょ
)
ってるんですからね。
誤診
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
「六十八さ。もう駄目だよ。ついこの間まで六貫や七貫平気で
背負
(
しょ
)
えたんだがね。年にゃ勝てない。」
買出し
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
今しがたやッと下してきた重荷を今夜また今一度
背負
(
しょ
)
わされはしないかということを案じられた。
猫八
(新字新仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
ちょうど途中の伊豆村というところで大きい風呂敷で包んだ荷箱を
背負
(
しょ
)
ってくる娘さんに会った。
石ころ路
(新字新仮名)
/
田畑修一郎
(著)
どうかした日の
晩方
(
ばんがた
)
、川から帰りがけに、
背負
(
しょ
)
ってる
籠
(
かご
)
がいつもの晩より重く、押してる車が思うように動かないのさ。お前さんは、車の
梶棒
(
かじぼう
)
の間へ
膝
(
ひざ
)
をついて倒れる。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
あんな奴は、友達の借金でも
背負
(
しょ
)
わされて、少し実社会の味を覚える方が宜いんだ。そうすれば少しは人間らしくなるだろう。——今頃『万有還金』なんて夢みたいな事を
天狗岩の殺人魔
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
苦しみを一人で
背負
(
しょ
)
って、弟たちの生活を守りたいために、已むなく国法を破っているのです。
仁王門
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
そして、美作屋では、自分の
生国
(
しょうごく
)
から取ったものだけに、気が
指
(
さ
)
したのか、あらためて
小豆屋
(
あずきや
)
善兵衛と名告って、扇子や
鬢
(
びん
)
つけの荷を
背負
(
しょ
)
いながら、日々吉良邸の内外を
窺
(
うかが
)
った。
四十八人目
(新字新仮名)
/
森田草平
(著)
ですから、悩みというものが、もしも鉄のような、神経の持主だけに
背負
(
しょ
)
われるものだとすれば、当然その反語として、いつか私は、それに似た者になってしまうかもしれません。
白蟻
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
香木の弓に孔雀の羽の矢を
背負
(
しょ
)
った、神様のような
髪長彦
(
かみながひこ
)
が、黒犬の背中に跨りながら、白と
斑
(
ぶち
)
と二匹の犬を小脇にかかえて、
飛鳥
(
あすか
)
の
大臣様
(
おおおみさま
)
の
御館
(
おやかた
)
へ、空から舞い下って来た時には
犬と笛
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
社交とで東京を
背負
(
しょ
)
っている感のある、栄子夫人を連想しにくい古風さだった。
江木欣々女史
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
何にしても書記官という後立てを、背中に
背負
(
しょ
)
っていれば論はないさ。綱雄などにはこういうところが見えぬから困る。とにもかくにも有名な木島炭山、二十万とは馬鹿馬鹿しい
安価
(
やすね
)
だ。
書記官
(新字新仮名)
/
川上眉山
(著)
これはしたり! 一行二日分の握飯は風呂敷に包んで若い方の剛力が
背負
(
しょ
)
って来たのだが、この男元来の無精者、雨が降っても
蔽
(
おお
)
いもしなかったものと見え、グチャグチャに崩れた上に
本州横断 癇癪徒歩旅行
(新字新仮名)
/
押川春浪
(著)
彼は用意の
背負
(
しょ
)
いごをひきよせた。
頑固
(
がんこ
)
な火繩銃のつつ先が出ばっていた。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
もみじの落葉を
焚
(
た
)
いて酒を暖めるというのが昔からの風流であるが、この落葉で風呂を
沸
(
わ
)
かしたらどんなものであろうと思って、大きい
背負
(
しょ
)
い
籠
(
かご
)
に何杯も何杯も運んで行って燃したことがある。
京の四季
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
曲げてまがらぬ柳に受けるもやや
古
(
ふる
)
なれどどうも言われぬ取廻しに俊雄は成仏延引し父が奥殿深く秘めおいたる
虎
(
とら
)
の子をぽつりぽつり
背負
(
しょ
)
って出て皆この
真葛原下
(
まくずはらした
)
這
(
は
)
いありくのら猫の児へ
割歩
(
わりぶ
)
を
かくれんぼ
(新字新仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
私は見慣れた千草の風呂敷包を
背負
(
しょ
)
って、前には女房が背負うことに決っていた
白金巾
(
しろかなきん
)
の包を片手に提げて、髪毛の薄い素頭を秋の夕日に照されながら、独り町から帰ってくる姿を哀れと見た。
世間師
(新字新仮名)
/
小栗風葉
(著)
馴
(
な
)
れた手つきでベタキシンのアンプールを
鑢
(
やすり
)
で切って、液を注射器に吸い上げると、まだ鏡の前に立ってお太鼓に
背負
(
しょ
)
い上げを入れさせている幸子の左の腕をとらえて、肩の辺までまくり上げた。
細雪:01 上巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
と思うと、いきなりこんなばかげた中傷だらけの
反古紙
(
ほごっかみ
)
をわしに
背負
(
しょ
)
い込ませる。ふふん、なるほどな、筆のうえじゃ君は勇気があるて。ところで、これがもしこの滑稽な手紙だけなら、まだいいさ。
トリスタン
(新字新仮名)
/
パウル・トーマス・マン
(著)
「もしもの時にゃあ、奥様、又蔵が、
背負
(
しょ
)
います」
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
お前方、元気な、
真木
(
まき
)
を
背負
(
しょ
)
った男や
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
幾組となく
背負
(
しょ
)
ってしまったらしいぜ
左近の怒り
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
「これは
甲斐
(
かい
)
の国から
反物
(
たんもの
)
を
背負
(
しょ
)
ってわざわざ東京まで出て来る男なんです」と坂井の主人が紹介すると、男は宗助の方を向いて
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
背
常用漢字
小6
部首:⾁
9画
負
常用漢字
小3
部首:⾙
9画
“背負”で始まる語句
背負上
背負揚
背負子
背負籠
背負梯子
背負込
背負投
背負商
背負紐
背負引