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立籠
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たてこも
ふりがな文庫
“
立籠
(
たてこも
)” の例文
一方では真実の役者がそれぞれ立派に三座に
拠
(
よ
)
っていたが、西両国という眼抜きの地に村右衛門が
立籠
(
たてこも
)
ったので
素破
(
すば
)
らしい
大入
(
おおいり
)
です。
江戸か東京か
(新字新仮名)
/
淡島寒月
(著)
ただ長い間同じ下宿に
立籠
(
たてこも
)
っているという縁故だか同情だかが
本
(
もと
)
で、いつの間にか
挨拶
(
あいさつ
)
をしたり世間話をする仲になったまでである。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
その水の手の切れた、敵から案内を知り抜かれている、狭い、窮屈な牙城に一人か二人しか居ない探偵小説家は
立籠
(
たてこも
)
ろうとしているのだ。
探偵小説の真使命
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
江戸ッ子風の
洒脱
(
しゃだつ
)
らしく見えて実は根ッから洒脱でなかった。硯友社という小さな王国に
立籠
(
たてこも
)
って容易に人を寄せ付けなかった。
美妙斎美妙
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
弥五兵衛以下一族の
立籠
(
たてこも
)
りという順序に、阿部家がだんだん否運に傾いて来たので、又七郎は親身のものにも劣らぬ心痛をした。
阿部一族
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
▼ もっと見る
かようにして
内裏
(
だいり
)
の東西とも一望の焼野原となりました上は、細川方は最早や相国寺を最後の陣所と頼んで、
立籠
(
たてこも
)
るばかりでございます。
雪の宿り
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
一八八八年の秋頃から、マターファは公然兵を集めて山岳密林帯に
立籠
(
たてこも
)
った。独逸の軍艦は沿岸を回航して叛軍の部落に大砲をぶち込んだ。
光と風と夢
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
寧
(
むし
)
ろ宮戸座あたりの小芝居に
立籠
(
たてこも
)
って、気楽に自分の好きな芝居を演じている方が、ましであると思っていたかも知れない。
源之助の一生
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
吉之丞は、当然、大阪城に
立籠
(
たてこも
)
り、東軍を迎えて花々しい一戦に及ぶのだろうと推量していたが、それらしいこともないので意外の感にうたれた。
呂宋の壺
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
睥睨
(
へいげい
)
しようとする職人上りで頭が高い壮年者と青年は自らの孤独な階級に
立籠
(
たてこも
)
って脅威し来るものを
罵
(
ののし
)
る快を貪るには一あって二無き相手だった。
食魔
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「お十二になられた。おいたわしや、父の殿、
堀遠江守
(
ほりとおとうみのかみ
)
様には、先年亡くなられ、今はまた、十二の御幼少で、この城に
立籠
(
たてこも
)
られ、御運のほども……」
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
自分が援助するつもりで来た成合平左衛門に
却
(
かえっ
)
て
援
(
たす
)
けられる形となって、佐沼の城へ父子共
立籠
(
たてこも
)
ることになった。
蒲生氏郷
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
壮太郎はそれに気を腐らして、この一冬をどうしてお島と二人で、この町に
立籠
(
たてこも
)
ろうかと思いわずろうた。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
およそ四海に事を為す能わざる時に、この山国に
立籠
(
たてこも
)
って天下の
勢
(
せい
)
を引受けてみるも一興ではないか
大菩薩峠:11 駒井能登守の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
實驗室——彼れの庵室とも、城郭とも、宮殿とも昨日まで思つて、この六年間
立籠
(
たてこも
)
つてゐた實驗室を彼れはいま/\しげに見まはした。そこは機械と塵埃との荒野だつた。
実験室
(旧字旧仮名)
/
有島武郎
(著)
山田
(
やまだ
)
の
書斎
(
しよさい
)
は八
畳
(
ぢやう
)
の
間
(
ま
)
でしたが、
其
(
それ
)
に
机
(
つくゑ
)
を
相対
(
さしむかひ
)
に
据
(
す
)
ゑて、
北向
(
きたむき
)
の
寒
(
さむ
)
い
武者窓
(
むしやまど
)
の
薄暗
(
うすぐら
)
い
間
(
ま
)
に
立籠
(
たてこも
)
つて、
毎日
(
まいにち
)
文学の話です、
此
(
こゝ
)
に
二人
(
ふたり
)
が
鼻
(
はな
)
を
並
(
なら
)
べて
居
(
ゐ
)
るから
石橋
(
いしばし
)
も
繁
(
しげ
)
く訪ねて来る
硯友社の沿革
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
其
(
そ
)
の
実
(
じつ
)
、
矢叫
(
やさけび
)
の
如
(
ごと
)
き
流
(
ながれ
)
の
音
(
おと
)
も、
春雨
(
はるさめ
)
の
密語
(
さゝやき
)
ぞ、と
聞
(
き
)
く、
温泉
(
いでゆ
)
の
煙
(
けむ
)
りの
暖
(
あたゝか
)
い、
山国
(
やまぐに
)
ながら
紫
(
むらさき
)
の
霞
(
かすみ
)
の
立籠
(
たてこも
)
る
閨
(
ねや
)
を、
菫
(
すみれ
)
に
満
(
み
)
ちた
池
(
いけ
)
と見る、
鴛鴦
(
えんわう
)
の
衾
(
ふすま
)
の
寝物語
(
ねものがた
)
りに——
主従
(
しゆじう
)
は
三世
(
さんぜ
)
、
親子
(
おやこ
)
は
一世
(
いつせ
)
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
原城では十二月朔日に
立籠
(
たてこも
)
つた一揆軍が
矢狭間
(
やはざま
)
を明け堀をほり、この工事が完成して妻子を城内へ引入れた日であり、その翌日には天草甚兵衛が手兵二千七百をひきつれて入城してゐる。
島原の乱雑記
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
然れども宗教にしていつまでも乾燥なる神学的の論拠に
立籠
(
たてこも
)
らんか、美術も亦た己がじゝなる方向に傾かんとするは、当然の勢なり。宗教の度と美術の度とは、殆ど一種の比例をなせり。
万物の声と詩人
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
それも人に煩わされることが多いというので、最近には、別に小さい物理実験室を、赤耀館から小一町も
距
(
へだた
)
ったところに建てて、時には一日中も其の中に
立籠
(
たてこも
)
っていることがありました。
赤耀館事件の真相
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
家士五十三名、小者十八名、他に十二名の
奴婢
(
おんな
)
はとっくに逃がしてあったので、図書ともに七十二名が
立籠
(
たてこも
)
った訳である……図書は敵をこの屋敷へ引付け、機をみて一挙に決戦する考えであった。
三十二刻
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
……「
素朴
(
そぼく
)
な」人間の心を
喪失
(
そうしつ
)
している。都の人達はみんな利己主義です。
享楽
(
きょうらく
)
主義です。自分の利慾しか考えない。自分の享楽しか考えない。みんな自己本位の
狭隘
(
きょうあい
)
なる世界に
立籠
(
たてこも
)
っています。
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
母の秘密を保つ身は自分自身の秘密に
立籠
(
たてこも
)
らねばならなくなった。
酒中日記
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
「甲府へ
立籠
(
たてこも
)
って——」
近藤勇と科学
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
かやうにして
内裏
(
だいり
)
の東西とも一望の焼野原となりました上は、細川方は最早や相国寺を最後の陣所と頼んで、
立籠
(
たてこも
)
るばかりでございます。
雪の宿り
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
そこに
立籠
(
たてこも
)
っている兵も千二百ぐらいな小勢でしかない。しかし山腹の
嶮
(
けん
)
を負い、渓谷を前にし、寄手の作戦行動は、極めて
狭隘
(
きょうあい
)
な悪地にしかゆるされない条件にある。
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
学者の生活に気のつかなかった自分は、Hさんのこの言葉で、急に兄の日常を
想
(
おも
)
い起した。彼らの書斎に
立籠
(
たてこも
)
るのは、必ずしも家庭や社会に対する
謀反
(
むほん
)
とも限らなかった。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
眞蒼
(
まつさを
)
に痩せさらぼへたY子の顏の二つの眼だけに、凡ての生命が死に追ひつめられて
立籠
(
たてこも
)
つたやうに見えた。彼女はその眼で少しでも生命のあるものは引よせて食はうとした。
実験室
(旧字旧仮名)
/
有島武郎
(著)
ほとんど母屋とは往来をしないで
立籠
(
たてこも
)
っているかと思えば、土蔵の中にはお銀様が、
怨
(
うら
)
むが如く、泣くが如く、
憤
(
いきどお
)
るが如く、ほとんど日の目を見ることなしに籠っているのであります。
大菩薩峠:18 安房の国の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
鬼村博士は、どの市民よりも、ずっとずっと早くから、あの
凄惨
(
せいさん
)
きわまる事件を忘れてしまったかのような面持で、何十年一日の如き足どりで化学研究所に通い、実験室に、
立籠
(
たてこも
)
っていた。
国際殺人団の崩壊
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「いや、
盗賊
(
どろぼう
)
も便利になった。汽車に乗って横行じゃ。倶利伽羅峠に
立籠
(
たてこも
)
って——御時節がら
怪
(
け
)
しからん……いずれその風呂敷包みも、たんまりいたした金目のものでございましょうで。」
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
天嶮
(
てんけん
)
に
立籠
(
たてこも
)
る敵方と、素裸の陣地にあるお味方とは、ほとんど同数の兵かと見られます、加うるにお味方の兵、地の理に
晦
(
くら
)
く、敵は闇夜でもこの辺の道には迷わぬ地侍です。
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
時に糸川老人の宿った夜は
恰
(
あたか
)
も樹木
挫折
(
ひしお
)
れ、屋根
廂
(
ひさし
)
の
摧飛
(
くだけと
)
ばんとする大風雨であった、宿の主とても老夫婦で、客とともに揺れ撓む柱を抱き、
僅
(
わずか
)
に板形の残った天井下の三畳ばかりに
立籠
(
たてこも
)
った
遺稿:02 遺稿
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「ふふふ、こいつはあまり誰にも聞かせたくないビッグ・アイデアだがね、外ならぬお仲間たちだから喋るが、実はアルプスの山の中へ
立籠
(
たてこも
)
るんだ。氷に穴をあけてね。そこにいれば大丈夫だよ」
地球発狂事件
(新字新仮名)
/
海野十三
、
丘丘十郎
(著)
十津川
(
とつがわ
)
へ退いて、
都合
(
つごう
)
二千余人で
立籠
(
たてこも
)
った時の勢いは大いに
振
(
ふる
)
ったもので、この分ならば都へ攻め上り、君を助けて幕府を倒すこと近きにありと勇み立ち、よく戦いもしたけれど、紀州、藤堂、彦根
大菩薩峠:05 龍神の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
佐和山には、浅井の家中
磯野丹波守
(
いそのたんばのかみ
)
の手勢がなお
立籠
(
たてこも
)
っていたからである。
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
応接所の戸をぴんと閉めて、
人払
(
ひとばらい
)
の上
立籠
(
たてこも
)
れるは深川綾子と怪しき
婦人
(
おんな
)
。
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
五千の人間が
立籠
(
たてこも
)
っていられるだろうかと疑えるほど、小さなものだった。
茶漬三略
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
この人数が、二階に
立籠
(
たてこも
)
る、と思うのに、そのまた
静
(
しずか
)
さといったら無い。
吉原新話
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
立
常用漢字
小1
部首:⽴
5画
籠
常用漢字
中学
部首:⽵
22画
“立”で始まる語句
立
立派
立退
立停
立場
立上
立出
立竦
立塞
立留