空中くうちう)” の例文
つち徹宵よつぴてさういふ作用さよういとなんだばかりに、拂曉あけがたそらからよこにさうしてなゝめしもかして、西風にしかぜたゞちにそれをかわかして残酷ざんこく表土へうどほこり空中くうちうくる。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
其爲そのため貴君等きくんら兩人りやうにん大佐たいさ袂別わかれげ、一だい使命しめいびてこの空中くうちう飛行ひかうしてたのではありませんか。
がい草履ざうりうらに血が付きしとて三十町ほど歩行あるきかへらば必ず地をふみ付て仕舞しまふべきなり空中くうちう
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ふたはらへば、昏惘こんまうとして令史れいしあり。つま微醉ほろゑひおもて妖艷無比えうえんむひ令史れいしさらおどろかず、そんなものはお打棄うつちやりよと。令史れいし突出つきだし、大勢おほぜい一所いつしよに、あはゝ、おほゝ、とさら空中くうちう昇去のぼりさりぬ。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
げんに斯かる法の行はるる所にては火の付きたるホクチ樣のものをくさつつ空中くうちうに於てはげしくうごかすなり。コロボツクルも此仕方このしかたを以てえ草に火焔くわえんうつし、此火焔をば再びたきぎてんぜしならん。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
ラツカダイヴ諸島しよたうそら流星りうせいごとかけつて、それから何處いづくへ、如何いかくものやら、四晝夜しちうやあひだまつた夢中むちう空中くうちう飛走ひさうしたが、その五日目いつかめ午前ごぜんになつて、かぜやうやくをさまり
一度いちどは、たとへば、敦賀灣つるがわんでありました——にかいた雨龍あまりようのぐる/\といて、一條ひとすぢ、ゆつたりとしたれたやうなかたちのものが、りしきり、吹煽ふきあふつて空中くうちう薄黒うすぐろれつつくります。
雪霊続記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
勘次かんじはじめてこゝろづいて、ねつした唐鍬たうぐはひやさうとして井戸端ゐどばたはしつた。かぎはなれた釣瓶つるべたか空中くうちううかんでゆつくりとおほきくうごいてた。かれながじりにずぶりと唐鍬たうぐはとうじてまた萬能まんのうつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
やが氣球ききゆうはだん/\と接近せつきんして、丁度ちやうど鐵車てつしやすぐうへ五十フヒートばかりになると、空中くうちうから大聲たいせい
さらにはかにごつとつたかぜもりこずゑ散亂さんらんしてあざやかなひかりたもちながら空中くうちうひらめいた。數分時すうふんじのち世間せけんたちまちに暗澹あんたんたるひかりつゝまれて時雨しぐれがざあとた。村落むら何處どこにも晴衣はれぎ姿すがたなくつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)