トップ
>
生木
>
なまき
ふりがな文庫
“
生木
(
なまき
)” の例文
そこで、その日はいつもよりたくさんに
枯枝
(
かれえだ
)
や
落葉
(
おちば
)
を拾ってきて、中には
生木
(
なまき
)
の枝までも交えて、煙が多く出るようにしました。
お山の爺さん
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
例えば、雪国生活の衛生の問題で一番問題になるのは
囲炉裏
(
いろり
)
である。
生木
(
なまき
)
のいぶる室内の煙の中の生活は何とかして止めなければならない。
雪
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
「可哀想でしたよ。秋月樣は良い男だし、お孃さんはあの通りのきりやうでせう。
生木
(
なまき
)
を割かれちや、目も當てられませんや」
銭形平次捕物控:220 猿蟹合戦
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「頑固なお方でございましたゆえ恨みをうけたのでござりましょうよ。……子さえできている二人の仲を
生木
(
なまき
)
をさくように
割
(
さ
)
かれたお方だ」
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
その顔も、木々の幹も、不意に赤く
照
(
て
)
り
映
(
は
)
えた。城は一瞬に火の海と化し、この山の
生木
(
なまき
)
までバリバリと燃えて来たのである。
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
連銭葦毛は鼻面を二つ三つぶん殴られて、たじたじと後もどりをした。つまり相思の馬が
生木
(
なまき
)
を裂くように無理矢理ひき離された訳である。
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
そんなことはさのみ珍らしくもないので、親切な重兵衛はこの旅人をも
快
(
こころよ
)
く迎い入れて、
生木
(
なまき
)
のいぶる焚火の前に坐らせた。
木曽の旅人
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
それから
彼
(
あ
)
の細君が一緒に東京へ帰つて呉れと言出した時に、先輩は叱つたり
厲
(
はげま
)
したりして、丁度
生木
(
なまき
)
を
割
(
さ
)
くやうに送り返したことを思出した。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
「じゃァねえんだ、無理から
生木
(
なまき
)
を裂いたんだ。……おやじとおふくろとで無理から二人をわかれさしたんだ。」
春泥
(新字新仮名)
/
久保田万太郎
(著)
昼
(
ひる
)
は
猟
(
かり
)
して
獣
(
けもの
)
を
食
(
しよく
)
とし、夜は
樹根
(
きのね
)
岩窟
(
がんくつ
)
を
寝所
(
ねどころ
)
となし、
生木
(
なまき
)
を
焼
(
たい
)
て
寒
(
さむさ
)
を
凌
(
しのぎ
)
且
(
かつ
)
明
(
あかし
)
となし、
着
(
き
)
たまゝにて
寝臥
(
ねふし
)
をなす。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
ところが、枕木は炭焼竈の
生木
(
なまき
)
のように、雪の中で点火されぷす/\燻りながら炭になってしまうのだった。雪の中で燻る枕木は外へは火も煙も立てなかった。
氷河
(新字新仮名)
/
黒島伝治
(著)
御泉水あたりの巨樹大木も一様にさながら
箒
(
ほうき
)
を振るように鳴りざわめき、その中を燃えさかったままの
棟木
(
むなぎ
)
の端や
生木
(
なまき
)
の大枝が、雨あられと落ちかかって参ります。
雪の宿り
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
計らず
私
(
わし
)
が助けたから、直ぐにお村さんばかり連れて来ようとも存じましたが、若い者が何か
両人
(
ふたり
)
でこそ/\話をしているのを、無理に
生木
(
なまき
)
を裂くのも気の毒だから
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
福子の
親父
(
おやじ
)
だのと云ふものがお膳立てをしたからなのだと、さう思はれて、少し誇張した云ひ方をすれば、
生木
(
なまき
)
を
割
(
さ
)
かれたやうな感じが胸の奥の方にくすぶつてゐるので
猫と庄造と二人のをんな
(新字旧仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
三本並んだ太い
生木
(
なまき
)
の柱の中央に、白髪、
白髯
(
はくぜん
)
の神々しい老人が、高々と
括
(
くく
)
り付けられている。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
痛い血を流すかわりに、樫の
生木
(
なまき
)
はその裂け目から一種強烈な香気を放散する。それは強くはあるが、またどこやら
仄
(
ほの
)
かなところがあり、人を深みに誘い込むような匂である。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
たとへば
生木
(
なまき
)
の
一端
(
かたはし
)
燃え、一端よりは
雫
(
しづく
)
おち風聲を成してにげさるごとく 四〇—四二
神曲:01 地獄
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
その代り、私も
生木
(
なまき
)
を
割
(
さ
)
くようなことはしません。貴女さえ承知なら、借金を払って、どこか一軒小さい家でも借りて、たんとのこともできませんが、月々の仕送りをしてあげましょう。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
あんまり用いなかったが、切ったばかりの堅い
生木
(
なまき
)
はどのほかのものにも増してわたしの目的にかなった。わたしはときどき冬の午後、ひとあるきするときにたっぷり火を起こしておいた。
森の生活――ウォールデン――:02 森の生活――ウォールデン――
(新字新仮名)
/
ヘンリー・デイビッド・ソロー
(著)
初恋の若旦那とは
生木
(
なまき
)
を
割
(
さ
)
く
辛
(
つら
)
い目を見せられても、ただその当座泣いて暮して、そして
自暴酒
(
やけざけ
)
を飲む事を覚えた位のもの、別に天も
怨
(
うら
)
まず人をも怨まず、やがて周囲から
強
(
しい
)
られるがままに
妾宅
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
二人
(
ふたり
)
の
仲
(
なか
)
はとても
濃
(
こまや
)
かで、
別
(
わか
)
れる
気
(
き
)
などは
更
(
さら
)
になかったのでございますが、その
頃
(
ころ
)
は
何
(
なに
)
よりも
血筋
(
ちすじ
)
を
重
(
おも
)
んずる
時代
(
じだい
)
でございましたから、お
婿
(
むこ
)
さんは
無理
(
むり
)
無理
(
むり
)
、あたかも
生木
(
なまき
)
を
裂
(
さ
)
くようにして
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
二人は又狭い横町を抜けて、幅の広い寂しい通を横切って、純一の一度渡った、小川に掛けた
生木
(
なまき
)
の橋を渡って、
千駄木下
(
せんだぎした
)
の大通に出た。菊見に行くらしい車が、大分続いて
藍染橋
(
あいそめばし
)
の方から来る。
青年
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
かくのごとき人の心には余裕がある。すなわち
生木
(
なまき
)
のようなる
弾力
(
だんりょく
)
があって、世の
変遷
(
へんせん
)
とともに進む能力を保留している。「
老木
(
ろうぼく
)
は
曲
(
まが
)
らぬ」とは
邪道
(
じゃどう
)
に迷わぬの意より弾力なきを笑うの言である。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
生木
(
なまき
)
の枝を打ち振ってる子供、その時ちょうど
罷工
(
ひこう
)
していた石工や大工、紙の帽子でそれと見分けられる印刷職工、そういう者らが三々五々打ち連れ立って、
喊声
(
かんせい
)
を上げ、たいてい皆杖を振り回し
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
生木
(
なまき
)
の
棺
(
くわん
)
に
裂罅
(
ひび
)
の
入
(
い
)
る夏の空気のなやましさ。
心の姿の研究
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
「
生木
(
なまき
)
を
割
(
さ
)
いて別れるよりは、まあ
愈
(
まし
)
だ」
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
生木
(
なまき
)
をかぢつてねこやなぎ
赤い旗
(旧字旧仮名)
/
槙本楠郎
(著)
五六本
生木
(
なまき
)
つけたる
潴
(
みずたまり
)
兆
俳句への道
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
みりっと、寺の
藪
(
やぶ
)
で、
生木
(
なまき
)
の踏み折れるような響きがした。清麿は、二人を門の外へ突き出して、内から棒をかってしまった。
山浦清麿
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
窟の入口には薄黒い獣の
生皮
(
なまかわ
)
を敷いて、
X
(
エッキス
)
という字のように組まれた枯木と
生木
(
なまき
)
とが、紅い
炎焔
(
ほのお
)
や白い
烟
(
けむり
)
を噴いていた。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
御泉水あたりの巨樹大木も一様にさながら
箒
(
ほうき
)
を振るやうに鳴りざわめき、その中を燃えさかつたままの
棟木
(
むなぎ
)
の端や
生木
(
なまき
)
の大枝が、雨あられと落ちかかつて参ります。
雪の宿り
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
福子の
親父
(
おやじ
)
だのと云ふものがお膳立てをしたからなのだと、さう思はれて、少し誇張した云ひ方をすれば、
生木
(
なまき
)
を
割
(
さ
)
かれたやうな感じが胸の奥の方にくすぶつてゐるので
猫と庄造と二人のをんな
(新字旧仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
二人はしかし、
生木
(
なまき
)
を割かれたまま、じっと運命に甘んじているにしては若すぎました。
銭形平次捕物控:137 紅い扱帯
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
紅山桜
(
べにやまざくら
)
や、桂の叢林を分けながら、
屏風
(
びょうぶ
)
を切り立ったような石狩本流の崖の上まで来ますと、
生木
(
なまき
)
の皮で作った丈夫な綱をブラ下げまして、下の石原に降り立って、岩の間の淀みに迷う鱒や小魚を
キチガイ地獄
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
新「
引取
(
ひきと
)
りますとも、
貴方
(
あなた
)
が勘当されゝば私は
仕合
(
しあわ
)
せですが、一人娘ですから御勘当なさる
気遣
(
きづか
)
いはありません、
却
(
かえ
)
って
後
(
あと
)
で
生木
(
なまき
)
を
割
(
さ
)
かれるような事がなければ
宜
(
い
)
いと思って私は苦労でなりませんよ」
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
訳の解らないことを
罵
(
ののし
)
りながら
生木
(
なまき
)
の得物を打ち振るのであった。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
生木
(
なまき
)
の
棺
(
ひつぎ
)
に
裂罅
(
ひび
)
の入る夏の空気のなやましさ。
詩
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
竹童の
体重
(
たいじゅう
)
がおなじ枝へのしかかったとたんに——
生木
(
なまき
)
の
股
(
また
)
に
虫蝕折
(
むしお
)
れでもしかけていたのだろうか、ボキッと、あまりにもろい音がした。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
無理に
生木
(
なまき
)
をひきさいて、それがために又なにかの間違いでも出来て、結局は新聞の雑報
種
(
だね
)
になって、近所隣りへ来て大きい声で読売りでもされた日には
有喜世新聞の話
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
福子の
親父
(
おやじ
)
だのと云うものがお
膳立
(
ぜんだ
)
てをしたからなのだと、そう思われて、少し誇張した云い方をすれば、
生木
(
なまき
)
を割かれたような感じが胸の奥の方にくすぶっているので
猫と庄造と二人のおんな
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
二人は併し、
生木
(
なまき
)
を割かれたまゝ、ぢつと運命に甘んじてゐるにしては若過ぎました。
銭形平次捕物控:137 紅い扱帯
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
さらに、縁につながる、幾多の
生木
(
なまき
)
を、みずから裂いて来た
科
(
とが
)
として、自分の心も、のべつ、引き裂かれずには
措
(
お
)
かれない。
新・平家物語:02 ちげぐさの巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
無理に
生木
(
なまき
)
をひきさいて、それがために又なにかの間違いでも出来て、結局は新聞の雑報種になって、近所隣りへ来て大きい声で読売りでもされた日には
探偵夜話
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
二人は二、三年前からの仲でしたが、若旦那の
跡取
(
あとと
)
りを奉公人のお徳と一緒にすることは、どうしても伊勢屋の隱居が許さず、到頭
生木
(
なまき
)
を割いて、私が伊勢屋の嫁になつたのです。
銭形平次捕物控:287 血塗られた祝言
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
パチパチと
生木
(
なまき
)
の焼けいぶる響き。ごうごうと炎の迫る音。すでに寄手は、ここかしこから、城中へなだれこんでいた。
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
土間には炉を切って
生木
(
なまき
)
がいぶりながら薄紅く燃えていた。表はもう暮れかかっているらしかった。
小坂部姫
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「お隣の長崎屋——あの萬兩分限の箱入り娘お喜多が、皆川半之丞と仲がよくなつたのを、長崎屋の主人幸右衞門が、貧乏浪人などは以ての外と、
生木
(
なまき
)
を割いたのを御存じですかい」
銭形平次捕物控:080 捕物仁義
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
さっきから黙然と、官兵衛夫婦とその孫をながめていた宗円は、
生木
(
なまき
)
を裂くような
酷
(
むご
)
さを胸のそこに
嚥
(
の
)
みながら、わざと
可笑
(
おか
)
しくもない顔していった。
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「お隣の長崎屋——あの万両分限の箱入り娘お喜多が、皆川半之丞と仲がよくなったのを、長崎屋の主人幸右衛門が、貧乏浪人などは
以
(
もっ
)
ての外と、
生木
(
なまき
)
を割いたのを御存じですかい」
銭形平次捕物控:080 捕物仁義
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
気の短い父はあり合う
生木
(
なまき
)
の枝を取って、わが子の背にたたきつけた。
木曽の旅人
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
生
常用漢字
小1
部首:⽣
5画
木
常用漢字
小1
部首:⽊
4画
“生木”で始まる語句
生木割
生木綿