“生木:なまき” の例文
“生木:なまき”を含む作品の著者(上位)作品数
吉川英治8
野村胡堂6
岡本綺堂5
国枝史郎2
石川啄木2
“生木:なまき”を含む作品のジャンル比率
文学 > 日本文学 > 小説 物語0.8%
文学 > 日本文学 > 詩歌0.2%
文学 > 日本文学 > 小説 物語(児童)0.2%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
「可哀想でしたよ。秋月樣は良い男だし、お孃さんはあの通りのきりやうでせう。生木なまきを割かれちや、目も當てられませんや」
パチパチと生木なまきの焼けいぶる響き。ごうごうと炎の迫る音。すでに寄手は、ここかしこから、城中へなだれこんでいた。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
みりっと、寺のやぶで、生木なまきの踏み折れるような響きがした。清麿は、二人を門の外へ突き出して、内から棒をかってしまった。
山浦清麿 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
三本並んだ太い生木なまきの柱の中央に、白髪、白髯はくぜんの神々しい老人が、高々とくくり付けられている。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
そんなことはさのみ珍らしくもないので、親切な重兵衛はこの旅人をもこころよく迎い入れて、生木なまきのいぶる焚火の前に坐らせた。
木曽の旅人 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
どう憎んでも別れても骨肉同士はなおきずなと本能の苦悶を持つが、周囲には生木なまきの裂けた苦痛はなかった。
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「じゃァねえんだ、無理から生木なまきを裂いたんだ。……おやじとおふくろとで無理から二人をわかれさしたんだ。」
春泥 (新字新仮名) / 久保田万太郎(著)
ところが、枕木は炭焼竈の生木なまきのように、雪の中で点火されぷす/\燻りながら炭になってしまうのだった。
氷河 (新字新仮名) / 黒島伝治(著)
すなわち生木なまきのようなる弾力だんりょくがあって、世の変遷へんせんとともに進む能力を保留している。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
竹童の体重たいじゅうがおなじ枝へのしかかったとたんに——生木なまきまた虫蝕折むしおれでもしかけていたのだろうか、ボキッと
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
たとへば生木なまき一端かたはし燃え、一端よりはしづくおち風聲を成してにげさるごとく 四〇—四二
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
「頑固なお方でございましたゆえ恨みをうけたのでござりましょうよ。……子さえできている二人の仲を生木なまきをさくようにかれたお方だ」
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
そこで、その日はいつもよりたくさんに枯枝かれえだ落葉おちばを拾ってきて、中には生木なまきの枝までも交えて、煙が多く出るようにしました。
お山の爺さん (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
二人は又狭い横町を抜けて、幅の広い寂しい通を横切って、純一の一度渡った、小川に掛けた生木なまきの橋を渡って、千駄木下せんだぎしたの大通に出た。
青年 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
窟の入口には薄黒い獣の生皮なまかわを敷いて、エッキスという字のように組まれた枯木と生木なまきとが、紅い炎焔ほのおや白いけむりを噴いていた。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
二人はしかし、生木なまきを割かれたまま、じっと運命に甘んじているにしては若すぎました。
それからの細君が一緒に東京へ帰つて呉れと言出した時に、先輩は叱つたりはげましたりして、丁度生木なまきくやうに送り返したことを思出した。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
二人は併し、生木なまきを割かれたまゝ、ぢつと運命に甘んじてゐるにしては若過ぎました。
痛い血を流すかわりに、樫の生木なまきはその裂け目から一種強烈な香気を放散する。
さっきから黙然と、官兵衛夫婦とその孫をながめていた宗円は、生木なまきを裂くようなむごさを胸のそこにみながら、わざと可笑おかしくもない顔していった。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
訳の解らないことをののしりながら生木なまきの得物を打ち振るのであった。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
気の短い父はあり合う生木なまきの枝を取って、わが子の背にたたきつけた。
木曽の旅人 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
生木なまきのいぶる室内の煙の中の生活は何とかして止めなければならない。
(新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
つまり相思の馬が生木なまきを裂くように無理矢理ひき離された訳である。
劉備の打ちつづけていた生木なまきの鞭は、皮がはげて白木になっていた。
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
生木なまきくわん裂罅ひびる夏の空気のなやましさ。
心の姿の研究 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
「お隣の長崎屋——あの萬兩分限の箱入り娘お喜多が、皆川半之丞と仲がよくなつたのを、長崎屋の主人幸右衞門が、貧乏浪人などは以ての外と、生木なまきを割いたのを御存じですかい」
生木なまきひつぎ裂罅ひびの入る夏の空気のなやましさ。
(新字旧仮名) / 石川啄木(著)
土間には炉を切って生木なまきがいぶりながら薄紅く燃えていた。
小坂部姫 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
十兵衛は駈けて、木の間から城のほうを偵察していた。その顔も、木々の幹も、不意に赤くえた。城は一瞬に火の海と化し、この山の生木なまきまでバリバリと燃えて来たのである。
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
生木なまきいて別れるよりは、まあましだ」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
一瞬は、生木なまきの裂かれるような声々だった。
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
五六本生木なまきつけたるみずたまり 兆
俳句への道 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
あたかも生木なまきくようにして
生木なまきをかぢつてねこやなぎ
赤い旗 (旧字旧仮名) / 槙本楠郎(著)
その次には動揺せる異様な無数の群集がやってきた、「人民の友」の各区隊、法律学校の生徒、医学校の生徒、各国からの亡命客、スペインやイタリーやドイツやポーランドの旗、横の三色旗、その他ありとあらゆる旗、生木なまきの枝を打ち振ってる子供
新「引取ひきとりますとも、貴方あなたが勘当されゝば私は仕合しあわせですが、一人娘ですから御勘当なさる気遣きづかいはありません、かえってあと生木なまきかれるような事がなければいと思って私は苦労でなりませんよ」
折からの強風にかてて加えて、火勢の呼び起すつむじ風もすさまじいことで、御泉水あたりの巨樹大木も一様にさながらほうきを振るように鳴りざわめき、その中を燃えさかったままの棟木むなぎの端や生木なまきの大枝が、雨あられと落ちかかって参ります。
雪の宿り (新字新仮名) / 神西清(著)
折からの強風にかてて加へて、火勢の呼び起すつむじ風もすさまじいことで、御泉水あたりの巨樹大木も一様にさながらほうきを振るやうに鳴りざわめき、その中を燃えさかつたままの棟木むなぎの端や生木なまきの大枝が、雨あられと落ちかかつて参ります。
雪の宿り (新字旧仮名) / 神西清(著)
その女といふのは、今でも伊勢屋に下女奉公をしてゐる、お富の母親、お徳と言ひました。二人は二、三年前からの仲でしたが、若旦那の跡取あととりを奉公人のお徳と一緒にすることは、どうしても伊勢屋の隱居が許さず、到頭生木なまきを割いて、私が伊勢屋の嫁になつたのです。
無理に生木なまきをひきさいて、それがために又なにかの間違いでも出来て、結局は新聞の雑報だねになって、近所隣りへ来て大きい声で読売りでもされた日には、飛んだ恥さらしをしなければなりませんから、家内にも因果をふくめて、とうとうそういうことに決めてしまったのです。
有喜世新聞の話 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
腕はなまくらで、ろくな物も彫れないが、そんな野郎に限つて、ちよいと好い男で、生木なまきを割かれて勘兵衞をうんと怨んで、一度は加賀屋のあたりをウロウロして若い者に袋叩きにされて居ますが、宜いあんべえに、親方の月齋と一緒に江の島の辨天樣の欄間らんかんの修復に行つて
それを振り切って山を下りまして、紅山桜べにやまざくらや、桂の叢林を分けながら、屏風びょうぶを切り立ったような石狩本流の崖の上まで来ますと、生木なまきの皮で作った丈夫な綱をブラ下げまして、下の石原に降り立って、岩の間の淀みに迷う鱒や小魚を、すくい上げ掬い上げしておりました。
キチガイ地獄 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
稽古唄の文句によって、親の許さぬ色恋は悪い事であると知っていたので、初恋の若旦那とは生木なまきつらい目を見せられても、ただその当座泣いて暮して、そして自暴酒やけざけを飲む事を覚えた位のもの、別に天もうらまず人をも怨まず、やがて周囲からしいられるがままに、いやな男にも我慢して身をまかした。
妾宅 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
ひとり娘を嫁にやるのは困るのですが、今更そんなことを言ってもいられないので、わたしは家内と相談して、思い切ってお蝶を矢田の家へやることに決めました。無理に生木なまきをひきさいて、それがために又なにかの間違いでも出来て、結局は新聞の雑報種になって、近所隣りへ来て大きい声で読売りでもされた日には、飛んだ恥さらしをしなければなりませんから、家内にも因果をふくめて、とうとうそういうことに決めてしまったのです。
探偵夜話 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
私の経験から申しても、貴女の不幸になればとて、決して幸福になる気遣きづかいはありません、若い同志で好き合ったから、家へ入れよう入りましょうと、気軽に約束しても、結果は必ずまずいに決まっておりますから、家へ入ることだけは思い止まっていただきましょう。その代り、私も生木なまきくようなことはしません。貴女さえ承知なら、借金を払って、どこか一軒小さい家でも借りて、たんとのこともできませんが、月々の仕送りをしてあげましょう。
縮図 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)